
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
土地を造成して建物を建てたい。
駐車場や事業用地をつくるために盛土・切土をしたい。
このような計画では、
「開発許可が必要なのか」
「盛土規制法の許可も別に必要なのか」
と迷うことがあります。
盛土規制法と都市計画法の開発許可は、目的も許可基準も異なる別の制度です。
ただし、両方が関係する工事については、都市計画法の開発許可を受けることで、盛土規制法の許可を受けたものとみなされる仕組みがあります。
これを「みなし許可」といいます。
そのため、
開発許可
+
盛土規制法許可
を必ず2本別々に申請するわけではありません。
一方で、みなし許可になったから盛土規制法が関係なくなるわけでもありません。
この記事では、盛土規制法と開発許可の違い、両方が関係するケース、みなし許可になった後に残る手続きを整理します。
盛土規制法と開発許可は目的が違う
まず、2つの制度を大まかに分けると次のようになります。
| 比較 | 盛土規制法 | 開発許可 |
|---|---|---|
| 主な法律 | 宅地造成及び特定盛土等規制法 | 都市計画法 |
| 主な目的 | 盛土・切土等による災害防止 | 良好で安全な市街地形成、無秩序な開発の防止 |
| 主な確認対象 | 盛土・切土・土石の堆積の高さ、面積、安全性など | 土地の区画形質変更、道路、排水、公園、用途など |
| 対象区域 | 盛土規制法の規制区域 | 都市計画区域等 |
| 主な技術事項 | 地盤、擁壁、排水施設など | 道路、排水、敷地安全、公園等 |
盛土規制法は、土地の用途にかかわらず、一定規模以上の盛土・切土等による災害を防ぐことを中心にしています。
一方、開発許可は、土地の区画形質を変更して建築物等を建てる開発行為について、都市計画上・技術上の基準に適合しているかを確認する制度です。
つまり、
「盛土をするか」
と、
「都市計画法上の開発行為をするか」
は別々に確認します。
開発許可が不要でも盛土規制法が必要になることがある
2つの制度が別である以上、開発許可が不要だから盛土規制法も不要とは限りません。
例えば、
- 駐車場造成
- 資材置場造成
- 土砂・残土の一時堆積
- 建築を伴わない一定規模の盛土・切土
などでは、都市計画法の開発許可が問題にならなくても、盛土規制法の許可・届出が必要になる可能性があります。
盛土規制法は、宅地だけでなく農地・森林等も含め、規制区域内の一定規模以上の盛土等を対象とする制度です。
したがって、
「建物を建てないから開発許可はいらない」
↓
「だから造成工事の許可は何もいらない」
とは判断しません。
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開発許可と盛土規制法が両方関係するケース
典型的なのは、建築物を建てるための開発行為で、同時に一定規模以上の盛土・切土を行うケースです。
例えば、
- 住宅地を造成する
- 事業所用地を造成する
- 店舗建設のため土地を盛土・切土する
- 大規模な造成を伴う建築計画
などです。
この場合、
都市計画法上の開発行為
と
盛土規制法上の盛土・切土
の両方に該当する可能性があります。
しかし、両方に該当するからといって、必ず別々に2つの許可を取るわけではありません。
開発許可を受けると盛土規制法の許可を受けたものとみなされる
盛土規制法では、都市計画法第29条第1項または第2項の開発許可を受けた場合、一定の範囲で盛土規制法の許可を受けたものとみなします。
愛知県もこの仕組みを「みなし許可」として案内しています。
したがって、
開発許可申請
↓
開発許可を受ける
↓
盛土規制法上も許可を受けたものとみなされる
という流れになります。
この場合、盛土規制法について同じ工事の許可申請を別にもう1本提出するわけではありません。
ただし、ここで注意したいのは、
「盛土規制法の申請が不要」
と
「盛土規制法の基準が適用されない」
は別だということです。
みなし許可でも盛土規制法の技術基準は適用される
愛知県の開発許可申請手引では、開発区域が盛土規制法の宅地造成等工事規制区域または特定盛土等規制区域を含む場合、都市計画法33条1項7号により、地盤、擁壁、排水施設などについて盛土規制法の技術基準に適合する必要があるとされています。
例えば、
- 地盤の安全
- 擁壁
- 排水施設
- 地下水対策
- 盛土の締固め
などです。
愛知県の開発許可制度でも、切土・盛土を行う場合の擁壁構造について盛土規制法の基準によることや、地下水排除、締固めなどの安全措置を求めています。
つまり、みなし許可は「安全基準を省略する制度」ではありません。
みなし許可でも中間検査・定期報告などが必要になることがある
さらに重要なのが許可後の手続きです。
愛知県は、開発許可によって盛土規制法のみなし許可となった場合でも、盛土規制法の許可を受けた工事主に課される手続きの一部が適用されると案内しています。
主なものとして、
- 工事現場への標識掲出
- 中間検査
- 定期報告
- 盛土規制法に基づく是正措置・罰則
などがあります。
したがって、
「開発許可を取ったから、盛土規制法についてはもう何もしなくてよい」
とは限りません。
造成規模や工事内容から、中間検査・定期報告の対象になるかを確認する必要があります。
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盛土規制法の許可後に必要な手続き|中間検査・定期報告・完了検査
住民周知はみなし許可の場合に扱いが変わる
盛土規制法の通常の許可申請では、許可申請前に周辺住民への事前周知を行います。
しかし、都市計画法の開発許可を受けて盛土規制法のみなし許可となる場合は扱いが異なります。
愛知県は、盛土規制法に基づく周辺住民への事前周知について、
盛土規制法の許可を申請するときに必要な手続きであるため、開発許可を申請するときには不要
と案内しています。
ここは、
通常の盛土規制法許可
と
開発許可によるみなし許可
で手続きが分かれるポイントです。
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土地所有者等の同意や資力・信用は開発許可側で確認する
盛土規制法の通常申請では、
- 工事主の資力・信用
- 工事施行者の工事完成能力
- 土地所有者等の同意
などが許可基準に含まれます。
開発許可によるみなし許可の場合、愛知県はこれらを盛土規制法の別申請で重ねて確認するのではなく、都市計画法に基づく開発許可の中で確認するとしています。
つまり、みなし許可は、
「盛土規制法を無視する」
のではなく、
「重複する許可手続きを開発許可側へまとめる」
と理解すると分かりやすくなります。
設計者の資格にも注意する
開発許可によるみなし許可の場合でも、盛土規制法上の一定規模の工事では設計者の資格要件を確認する必要があります。
愛知県の2026年版開発許可申請手引では、
- 高さ5mを超える擁壁を設置する場合
- 盛土・切土面積1,500㎡を超える土地で排水施設を設置する場合
について、盛土規制法上の設計資格を持つ者による設計が必要になるとしています。
開発区域が1ha未満で、都市計画法上は資格設計者が不要となる規模でも、盛土規制法の条件に該当すれば盛土規制法側の資格要件が必要になる場合があります。
「開発許可の面積だけ」で設計者資格を判断しないことが重要です。
開発許可があれば他の許可も全部不要になるわけではない
開発許可によってみなし許可になるのは、盛土規制法との関係です。
それ以外の法律まで一括して許可されたことになるわけではありません。
愛知県の開発許可申請手引でも、他の法律の許認可が必要な場合は、それぞれ所定の手続きを行うよう案内しています。
例として、
- 農地法
- 砂防法
- 森林法
- 道路法
- 河川法
などが挙げられています。
計画地によっては、さらに雨水浸透阻害行為など別制度も確認します。
具体例で違いを確認する
例1 建物を建てず駐車場だけ造成する
駐車場造成のため一定規模以上の盛土・切土を行う場合、盛土規制法が関係する可能性があります。
一方、建築物の建築を目的とする開発行為に当たらなければ、都市計画法29条の開発許可とは別の判断になります。
このケースでは、
「開発許可がないから盛土規制法もない」
とは判断できません。
例2 店舗建設のため大規模造成をする
店舗建設のため土地の区画形質を変更し、都市計画法の開発許可が必要で、同時に盛土規制法の規制対象となる盛土・切土を行うケースです。
開発許可を受けることで、盛土規制法の許可はみなし許可となる可能性があります。
ただし、盛土規制法の技術基準への適合や、対象規模によって中間検査・定期報告等を確認します。
例3 盛土規制法の対象だが開発許可は不要
建物を建てない造成や土石の堆積などでは、盛土規制法だけが直接問題になるケースがあります。
この場合は、みなし許可ではなく、盛土規制法そのものの許可・届出要否を確認します。
どちらの手続きが必要か確認する順番
盛土・開発が関係しそうな土地では、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- どのような土地利用を計画しているか確認する
- 都市計画法上の開発行為に当たるか確認する
- 開発許可が必要か確認する
- 盛土規制法の規制区域内か確認する
- 盛土・切土の高さ・面積を確認する
- 盛土規制法の規制対象になるか確認する
- 開発許可によるみなし許可になるか確認する
- 盛土規制法の技術基準・検査・報告の対象を確認する
- その他の農地・道路・河川等の許認可を確認する
愛知県では盛土規制法について許可要否判定チェックシートを公開しています。
愛知県公式:盛土規制法の許可要否判定チェックシートを確認する
開発許可については、愛知県が開発許可制度の概要や申請手引を公開しています。
「両方関係する」と「両方別申請する」は違う
盛土規制法と開発許可で最も混同しやすいのはここです。
工事に、
開発許可
と
盛土規制法
の両方が関係していても、
必ず2本の許可申請を別々に提出する
という意味ではありません。
開発許可を受けることで盛土規制法のみなし許可となる場合があります。
一方で、
- 盛土規制法の技術基準
- 設計者資格
- 標識掲示
- 中間検査
- 定期報告
などは残る可能性があります。
したがって、
「どちらの制度が関係するか」
↓
「どの申請をするか」
↓
「許可後にどの義務が残るか」
を分けて確認することが重要です。
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愛知県三河の盛土規制法・開発許可についてご相談ください
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、土地利用に関する許認可手続きのご相談を受けています。
「造成計画に盛土規制法と開発許可の両方が関係するか分からない」
「開発許可を取れば盛土規制法の申請は不要なのか確認したい」
「みなし許可後に中間検査や定期報告が必要か整理したい」
「造成工事に必要な許認可をまとめて確認したい」
という場合は、計画地、土地利用、造成内容、盛土・切土の高さ・面積などを確認しながら、関係する手続きを整理します。
どの許可が必要か分からない段階でもご相談ください。
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出典
愛知県公式:盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)、愛知県公式:愛知県における許可申請等の手続、愛知県公式:開発許可制度の概要、愛知県公式:開発許可申請等の手続、国土交通省公式:盛土規制法について
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
