盛土規制法の許可申請前に必要な周辺住民への周知とは?

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

盛土規制法の許可申請では、図面や計算書を作って県や市へ提出するだけではありません。

許可申請をする前に、工事を行う土地の周辺地域の住民へ、工事内容を事前に周知する必要があります。

「近所の人全員から同意をもらう必要がある?」
「説明会を必ず開催しないといけない?」
「チラシを配ればよい?」
「何を説明すればよい?」

と迷いやすい手続きですが、住民への周知と、土地所有者等から取得する同意は別の制度です。

盛土規制法では、許可申請前に、

  • 土地所有者等の同意
  • 周辺住民への事前周知

の両方を確認します。

この記事では、愛知県で盛土規制法の許可申請をする前に必要となる周辺住民への周知について、方法、周知する内容、申請時に残す資料まで整理します。

盛土規制法では許可申請前に周辺住民への周知が必要

盛土規制法では、許可を申請しようとする工事主に対して、あらかじめ工事を行う土地の周辺地域の住民へ工事内容を周知することを求めています。

つまり、

許可申請

住民へ説明

という順番ではありません。

基本的には、

工事計画を整理

周辺住民へ事前周知

周知したことを示す資料を準備

許可申請

という順番になります。

愛知県も盛土規制法の工事完了までの流れとして、

土地所有者等の同意

周辺住民への事前周知

許可申請

という順序を示しています。

愛知県公式:盛土規制法の申請様式・住民周知関係書類を確認する

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盛土規制法の許可申請|必要書類・図面・手続きの流れ

周辺住民の「同意」をもらう手続きではない

ここは混同しやすいところです。

盛土規制法では、

土地所有者等の同意

周辺住民への周知

が別に定められています。

土地所有者等については、盛土等を行う土地について権利を持つ者から必要な同意を得ます。

一方、周辺住民について求められているのは「工事内容を周知すること」です。

そのため、

周辺住民全員から工事への同意書をもらわなければ許可申請できない

という制度ではありません。

ただし、周知の際に質問や懸念が出ることはあります。

工事内容、安全対策、工事期間などを説明できるよう、周知前に計画を整理しておくことが重要です。

周辺住民への周知には複数の方法がある

盛土規制法施行規則では、周辺住民への周知方法として複数の方法を定めています。

主な方法は、

  1. 説明会を開催する
  2. 工事内容を記載した書面を配布する
  3. 工事内容を現地等へ掲示し、併せてインターネットで閲覧できるようにする
  4. その他、都道府県等が認める方法

です。

したがって、原則としてすべての盛土工事で大規模な住民説明会を開かなければならない、というわけではありません。

計画地や工事内容を確認したうえで、適切な周知方法を選びます。

ただし、工事場所や盛土の内容によっては説明会の開催が必要となる場合もあるため、「チラシを配れば必ずよい」と自己判断せず、申請先へ確認することが重要です。

e-Gov法令検索:盛土規制法施行規則の住民周知方法を確認する

説明会を開催する場合

説明会方式では、周辺住民に日時・場所を案内し、工事内容を説明します。

説明する内容としては、少なくとも、

  • 誰が工事を行うのか
  • どこで工事を行うのか
  • いつからいつまで工事を行うのか
  • どのような盛土・切土を行うのか
  • 盛土・切土の高さ
  • 工事を行う土地の面積
  • 盛土・切土の土量

など、工事の規模や内容が分かる情報が必要になります。

土石の堆積であれば、最大堆積高さ、堆積面積、最大堆積土量などを整理します。

図面を示した方が土地の位置や盛土範囲を理解しやすい場合は、位置図や計画図を使って説明すると分かりやすくなります。

書面を配布して周知する方法もある

周辺住民へ工事内容を記載した書面を配布する方法も認められています。

この場合も、

「盛土工事を行います」

という案内だけではなく、住民がどのような工事なのか把握できる内容を記載します。

例えば、

  • 工事主
  • 工事場所
  • 工事期間
  • 盛土・切土の概要
  • 高さ
  • 面積
  • 土量

などです。

申請時には、実際に配布した資料や、いつ・どの範囲へ周知したかを確認できるように記録を残しておくことが重要です。

掲示だけではなくインターネットでの閲覧も組み合わせる方法がある

施行規則では、工事内容を工事予定地等の見やすい場所へ掲示するとともに、インターネットを利用して住民が閲覧できる状態にする方法も定めています。

つまり、

現地に看板を出しただけ

では、この方法を選択した場合の周知が完了するとは限りません。

掲示

インターネットでの情報提供

を組み合わせます。

どの方法で周知する場合でも、申請後に「どうやって周知しましたか」と確認されたときに説明できる資料を残しておく必要があります。

どこまでの住民へ周知すればよいのか

周知対象は、工事を行う土地の「周辺地域の住民」です。

ただし、単純に、

隣接する家だけ
半径○m以内すべて

と一律に決められるものではありません。

盛土の種類、規模、地形、盛土が崩れた場合に影響する可能性がある範囲などを踏まえて確認します。

特に、

  • 高低差の大きい土地
  • 下方に住宅がある
  • 谷や沢などの地形
  • 大規模な盛土
  • 土砂流出時の影響範囲が広い

といった計画では、周知範囲も慎重に確認する必要があります。

「土地に接している家だけに配ればよい」と最初から決めず、事前相談時に周知範囲を確認しておく方が手戻りを防ぎやすくなります。

周知する前に工事内容をある程度固めておく

住民周知を先に済ませようとしても、工事内容が決まっていなければ説明できません。

少なくとも、

  • 工事区域
  • 盛土・切土の位置
  • 高さ
  • 面積
  • 土量
  • 工事期間

などは整理しておく必要があります。

そのため実務上は、

規制区域・許可要否を確認

造成計画を作成

盛土・切土の規模を整理

事前相談

住民周知

許可申請

という順番を意識すると進めやすくなります。

計画が大きく変わった場合には、すでに行った周知内容との整合も確認する必要があります。

許可申請では周知したことを証する書類を提出する

愛知県は、許可申請用の参考様式として、

「住民への周知措置を講じたことを証する書類」

を公開しています。

つまり、

「説明しました」

と申請書に書くだけではなく、どのように周知したのかを申請資料として確認できるようにします。

周知方法に応じて、

  • 説明会の資料
  • 配布した書面
  • 掲示した内容
  • 掲示状況が分かる写真
  • インターネット掲載内容
  • 周知した日時
  • 周知した範囲

などを残しておくと整理しやすくなります。

愛知県公式:住民への周知措置を講じたことを証する書類を確認する

開発許可で盛土規制法のみなし許可になる場合は扱いが異なる

盛土規制法では、都市計画法の開発許可を受けた工事について、盛土規制法の許可を受けたものとみなす制度があります。

この場合、盛土規制法の許可申請そのものを行うわけではありません。

愛知県は、盛土規制法に基づく周辺住民への事前周知について、

盛土規制法の許可を申請するときに必要な手続きであるため、開発許可を申請するときには不要

と説明しています。

したがって、

盛土規制法の許可申請

都市計画法の開発許可によるみなし許可

では、手続きの流れを分けて確認する必要があります。

関連記事

盛土規制法と開発許可の違い|両方関係するケース

周辺住民への周知は許可直前ではなく事前相談の段階から考える

住民周知で手戻りが起きやすいのは、

申請書類が完成

周知が必要と分かる

説明会や書面配布を実施

計画変更

周知内容と申請内容がずれる

という流れです。

そのため、周知だけを単独で最後に行うのではなく、

  1. 許可対象か確認する
  2. 造成計画を整理する
  3. 申請先へ事前相談する
  4. 周知範囲・方法を確認する
  5. 周辺住民へ周知する
  6. 周知記録を作成する
  7. 許可申請する

という順番で考えた方が進めやすくなります。

周辺住民への周知と土地所有者の同意を混同しない

許可申請前に確認する重要なポイントを整理すると、

手続き相手主な内容
土地所有者等の同意盛土等を行う土地の権利者工事を行うことについて必要な同意を取得
周辺住民への周知工事場所の周辺地域の住民工事内容を事前に知らせる

です。

周辺住民への周知は、

「工事に賛成してもらうための同意取得」

ではありません。

一方で、単に形式だけ済ませればよいというものでもなく、工事内容が分かるように必要な情報を伝え、その実施記録を残す必要があります。

愛知県三河の盛土規制法・住民周知についてご相談ください

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、盛土規制法を含む土地利用に関する許認可手続きのご相談を受けています。

「盛土許可の前にどこまで住民へ説明すればよいか分からない」
「説明会を開催する必要があるのか確認したい」
「周知範囲や周知資料を整理したい」
「土地所有者の同意と住民周知の違いが分からない」

という場合は、計画地、工事内容、周辺状況、申請先などを確認しながら必要な手続きを整理します。

許可申請の準備段階からご相談いただけます。

お気軽にお問い合わせください

0566-68-5511

営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)

出典

愛知県公式:盛土規制法の申請様式愛知県公式:盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)国土交通省公式:盛土規制法についてe-Gov法令検索:宅地造成及び特定盛土等規制法e-Gov法令検索:宅地造成及び特定盛土等規制法施行規則

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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