盛土規制法の許可が必要か分からない|事前相談前に確認すること

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

土地を造成しようとして、

「盛土規制法の許可が必要か分からない」

「500㎡を超えているから相談した方がいい?」

「どこまで図面を作ってから役所へ聞けばいい?」

と迷うことがあります。

結論からいうと、許可が必要か分からない段階で事前相談することはできます。

ただし、

「この土地は盛土規制法にかかりますか?」

だけでは、行政側も判断するための材料が足りません。

事前相談前に最低限整理したいのは、

どこの土地か
何をする工事か
造成前と造成後で地盤がどう変わるか
どの範囲を盛土・切土するか

です。

特に重要なのは、

敷地面積や完成高さだけを見るのではなく、実際に規制対象として数える盛土・切土部分を先に分けること

です。

まず「規制区域か」を確認する

盛土規制法は、規制区域内で行う一定規模以上の工事を対象とします。

そのため、最初に土地の所在地を確認します。

愛知県では、

宅地造成等工事規制区域
特定盛土等規制区域

が指定されており、区域によって許可・届出の対象規模が異なります。

まず、

所在地
地番

を確認し、

どの規制区域に入っているかを見ます。

ここを飛ばして、

「盛土高さが1mだから許可?」

と計算しても、区域によって基準が違えば判断できません。

同じ三河でも相談先は同じではない

地域によって相談窓口も違います。

たとえば愛知県内では、

碧南市
刈谷市
安城市
西尾市

は事務処理市として、それぞれの市が盛土規制法の窓口です。

岡崎市も中核市として市へ確認します。

一方、高浜市は愛知県側の西三河管轄です。

つまり、

三河の土地だから全部愛知県庁へ聞く

とは限りません。

まず所在地から、

誰が許可権者・相談窓口なのか

を確認します。

次に「何をする工事なのか」を分ける

盛土規制法という名前ですが、確認するのは盛土だけではありません。

対象になる可能性があるのは、

  • 盛土
  • 切土
  • 盛土と切土を同時に行う造成
  • 土石の一時的な堆積

です。

そのため、

「土を入れます」

だけでは足りません。

たとえば、

道路より低い土地を50cm上げる。

斜面を削って駐車場を作る。

高い側を削り、その土を低い側へ移す。

土を一時的に積んでおく。

では、見る基準が変わります。

まず工事を、

盛土なのか
切土なのか
両方なのか
土石の堆積なのか

に分けます。

「土を入れる=全部盛土」でもない

ここが許可要否で迷いやすいところです。

たとえば建物を解体し、

基礎を撤去した穴へ土を入れる。

この場合、愛知県では、

撤去した工作物の周囲の地盤高さまで戻す埋戻し

なら、原則として盛土規制法の許可対象とはしていません。

一方、

周囲の地盤高さまで戻したあと、

さらに50cm高くする。

のであれば、

その50cm部分は新たな盛土として確認します。

つまり、

入れた土の量
ではなく、
元の地盤からどれだけ土地の形を変えるか

を見る必要があります。

アスファルト舗装も完成高さ全部を盛土とは見ない

駐車場造成でも同じです。

たとえば、

盛土30cm
路盤20cm
アスファルト5cm

で完成面を55cm上げる計画があるとします。

愛知県では、通常の舗装構成については、

表層から路盤までを除き、その下の土部分を盛土高さとして見る

という取扱いがあります。

つまり、

完成高さ55cm
=
盛土55cm

とは限りません。

一方で、標準的な舗装構成を超えて厚い路盤を入れる場合や、崖の高さを判定する場合などは扱いが変わります。

そのため、

完成GLと盛土高を同じ数字として相談しない

方がよいでしょう。

既存擁壁のやり替えも全部「新しい造成」とは限らない

既存擁壁を造り直す場合も、工事内容を分けます。

愛知県では、

既存擁壁と位置・勾配が変わらない改修

なら、新たな崖を生じないため許可不要としています。

一方、

擁壁を前へ出す。

後ろへ下げる。

勾配を変える。

地盤高を変える。

となれば、新しい盛土・切土や崖が生じる可能性があります。

つまり、

擁壁を触るかどうか

ではなく、

やり替え前後で土地の形が変わるか

を確認します。

事前相談前に一番重要なのは「現況と計画の差」

許可要否を確認するとき、

完成後の計画だけを出しても十分ではありません。

たとえば、

完成地盤高 100.50

だけでは、

もともとの地盤が、

100.00
なのか、

99.00
なのか

で盛土高さが変わります。

そのため、

現況地盤高
と
計画地盤高

を並べます。

平面図には、

どの部分を盛るか。

どの部分を削るか。

面積は何㎡か。

を示します。

必要なら断面図で、

造成前
↓
造成後

を比較します。

「敷地500㎡超」だけでは許可要否は決まらない

盛土規制法では500㎡という数字が出てくるため、

「土地が600㎡だから許可が必要」

と思いやすくなります。

しかし、

敷地面積
と
盛土・切土する土地の面積

は同じとは限りません。

たとえば、

敷地800㎡

でも、

盛土する部分300㎡
既存地盤のまま500㎡

なら、面積基準で見るのは造成部分です。

反対に、

土地を複数に分けているものの、

実際には一体として造成する

という場合には、一体的な工事として確認する必要が出ることもあります。

だから、

登記上の土地面積ではなく、工事範囲を図面で出す

ことが重要です。

高さだけでも許可要否は決まらない

同じように、

「盛土は50cmだけ」

だから大丈夫とも限りません。

盛土規制法には、

崖の高さによる基準

盛土そのものの高さによる基準

面積による基準

があります。

たとえば宅地造成等工事規制区域では、国の基準上、

盛土で高さ1mを超える崖を生じる工事

切土で高さ2mを超える崖を生じる工事

一定規模を超える盛土

盛土・切土面積500㎡超

などが許可対象となります。

そのため、

高さ基準に当たらなくても面積基準に当たる

ことがあります。

切土なら断面図が特に重要

切土をする場合、

平面図だけでは、

どこを削るか

は分かっても、

何m削るのか

が分かりません。

たとえば300㎡を切土するとしても、

30cm削るのか。

3m削って高い崖を作るのか。

では許可要否が変わります。

そのため切土を含むなら、

現況地盤と計画地盤が分かる断面図

を準備すると相談が進みやすくなります。

傾斜地では「盛土と切土を別々」に見ない

傾斜地を平らにすると、

高い側
→ 切土

低い側
→ 盛土

になることがあります。

この場合、

「盛土部分だけ500㎡未満」

「切土部分だけ500㎡未満」

と個別に見るだけでは足りません。

盛土と切土を同時に行う工事として、

生じる崖や造成範囲を確認します。

つまり、

工事全体の断面

を見る必要があります。

許可不要工事に該当しないかも先に見る

高さ・面積を測る前に、

そもそも愛知県が許可不要としている工事に当たらないか確認すると早い場合があります。

たとえば、

工作物の基礎施工のために掘削し、元の地盤まで埋め戻す。

建物撤去後に周囲の地盤高さまで埋め戻す。

既存擁壁を同じ位置・勾配で改修する。

工事に付随して発生土を工事現場付近へ一時的に置く。

などです。

このような工事なら、

「何㎡だから」
「何mだから」

と通常の造成基準を当てる前に、許可不要工事として整理できる場合があります。

ただし「許可不要」と「確認不要」は違う

許可不要工事に見えても、

実際の計画に追加造成が含まれていることがあります。

たとえば、

建物跡を元地盤まで埋め戻す
→ 許可不要

その後、敷地全体をさらに50cm上げる
→ 追加盛土を確認

というケースです。

そのため、

工事項目をまとめて、

「解体後の整地だから不要」

としない方がよいでしょう。

許可不要部分と、新たな造成部分を分ける

ことが重要です。

事前相談では何を用意する?

愛知県知事が許可権者となる区域では、事前相談に、

位置図
土地の平面図

が必須とされています。

相談内容に応じて、

  • 断面図
  • 求積図
  • 擁壁図
  • 排水図
  • 現況写真
  • 許可要否判定チェックシート

などを添付します。

特に許可要否を相談するなら、

盛土・切土する部分の面積

が判断材料になるため、求積資料も重要になります。

平面図には何を書けばいい?

単なる敷地形状だけではなく、

盛土する範囲

切土する範囲

その面積

現況地盤高

計画地盤高

崖の位置

擁壁の位置

などを記載します。

つまり、

「この800㎡の土地を造成します」

より、

「この300㎡を+0.5m、こちら200㎡を-0.8m」

と示した方が、許可要否を判断しやすくなります。

断面図は全部の方向に必要?

最初の事前相談で、必ず何本もの詳細断面図を完成させる必要があるとは限りません。

愛知県も、

平面図だけで相談内容が把握できる場合は断面図不要

としています。

ただし、

傾斜地。

擁壁あり。

盛土と切土が混在。

高さ基準付近。

という案件では、断面図なしでは判断しにくくなります。

相談内容に合わせて準備します。

求積図は「敷地の面積」ではなく造成範囲を出す

許可要否で面積を確認する場合には、

盛土・切土をする土地の範囲が分かる求積図が重要です。

たとえば、

敷地面積1,000㎡

でも、

盛土300㎡
切土250㎡

なら、その工事範囲を示します。

逆に、

土地が複数筆にまたがっている場合でも、

一体的に造成するなら計画全体を整理する必要があります。

事前相談前にチェックシートを使う

愛知県は、

盛土規制法の許可要否について、

まず判定チェックシートと手引を使って自分で確認するよう案内しています。

これは、

「行政へ相談してはいけない」

という意味ではありません。

むしろ、

区域
工事種類
高さ
面積

を一度整理してから相談した方が、

どこで判断に迷っているのか

を明確にできます。

「よく分からないから全部役所へ聞く」より相談が早くなる

たとえば、

「盛土規制法が分かりません」

だけではなく、

「宅地造成等工事規制区域です」

「盛土範囲は約600㎡です」

「最大盛土高は40cmです」

「舗装部分をどこまで盛土として数えるか分かりません」

と伝えれば、

相談ポイントが明確です。

役所へ相談する前に法律を全部理解する必要はありません。

ただ、

どこまで自分で分かっていて、何が分からないのか

を整理すると話が早くなります。

開発許可もあるなら最初から伝える

建物建築のための造成などでは、

都市計画法の開発許可も関係することがあります。

愛知県では、盛土規制法の許可対象工事であっても、都市計画法の開発許可を受けることで盛土規制法の許可を受けたものとみなされるケースがあります。

そのため、

「開発許可も申請予定」

なら、盛土規制法だけを別に相談するのではなく、

最初から伝えます。

手続の組み方が変わるからです。

雨水浸透阻害行為も同時に確認することがある

駐車場造成や建築敷地造成では、

盛土規制法とは別に、

雨水浸透阻害行為

が関係する場合があります。

たとえば、

畑
↓
アスファルト駐車場

という計画です。

盛土規制法では盛土・切土の高さや面積。

雨水浸透阻害行為では雨水流出の変化。

を見ます。

許可制度が別なので、

盛土規制法の事前相談だけで造成関係の確認がすべて終わるとは限りません。

農地なら農地転用も別に確認する

農地を、

駐車場
資材置場
建物敷地

などへ変えるなら、農地転用も関係することがあります。

この場合も、

盛土規制法が不要だから工事できる

とは限りません。

土地利用そのものについて別の許可・届出が必要になる可能性があります。

造成前に、

土地の現在用途と造成後の利用目的

まで整理しておくと、周辺手続も見つけやすくなります。

「許可が必要か分からない」なら、ここまで整理すれば相談できる

事前相談前に整理したいのは、次の内容です。

確認すること内容
所在地地番まで確認
規制区域宅造区域・特盛区域
工事内容盛土・切土・両方・土石堆積
現況地盤現在の高さ
計画地盤工事後の高さ
工事面積盛土・切土する範囲
崖工事後に生じる高さ
擁壁新設・改修・位置変更
跡地利用建物・駐車場・資材置場等
他手続開発・雨水・農地等

これは機械的なチェックリストとして全部そろえるためではありません。

許可要否の判断に何が不足しているかを見るための整理

です。

図面がまだ完成していなくても相談できる?

できます。

ただし、

何をするか全く決まっていない

状態では許可要否を判断できません。

少なくとも、

どの土地を。

どの部分を。

どのくらい上げる・下げる予定か。

くらいは必要です。

正確な設計が未完成なら、

概略平面図
概略断面図

から相談し、

行政の指摘を受けて計画を修正する方法があります。

むしろ造成計画を固める前に相談した方がよいケースもある

先に造成図を完成させ、

施工会社と契約し、

最後に盛土規制法を確認する。

という順番だと、

許可対象だった場合に計画修正が大きくなることがあります。

特に、

  • 高低差が大きい
  • 500㎡前後
  • 擁壁がある
  • 傾斜地
  • 盛土と切土が混在
  • 開発許可もある
  • 駐車場・資材置場造成

という案件では、

造成計画を固める前に要否確認

する意味があります。

まとめ

盛土規制法の許可が必要か分からない場合、

すぐに許可申請書を作る必要はありません。

まず確認するのは、

土地の所在地
規制区域
工事内容
現況地盤と計画地盤の差
盛土・切土する範囲
崖の高さ

です。

そして重要なのは、

敷地面積や完成高さだけで判断しないこと

です。

建物跡の埋戻し。

通常の舗装部分。

既存擁壁の改修。

など、工事内容によっては規制対象として数える範囲が変わります。

そのうえで、

位置図
平面図
必要に応じて断面図・求積図・現況写真等

を用意して事前相談します。

つまり、

「許可が必要か役所に聞く」前に、「この工事のどこが盛土・切土なのか」を整理する。

ここまでできれば、事前相談で確認すべき点が明確になります。

三河の盛土規制法・造成手続をご相談ください

いしかわ行政書士事務所では、碧南・西尾・高浜・安城・刈谷・岡崎を中心とした三河エリアで、盛土規制法を含む造成関係の行政手続を整理しています。

「許可対象かまだ分からない」段階から、所在地・造成内容・図面等を確認し、必要に応じて行政窓口との事前相談、申請書類の作成・提出まで対応します。

開発許可・雨水浸透阻害行為・農地転用など、同じ造成に関係する別手続がある場合もあわせて整理します。

造成図や施工内容を固める前にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

0566-68-5511

営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)

出典

愛知県|許可申請等に関する事前相談, 愛知県|愛知県における許可申請等の手続, 愛知県|盛土規制法に関するよくある質問, 愛知県|愛知県における規制区域, 愛知県|審査担当窓口, 国土交通省|盛土規制法の許可等

この記事は、2026年9月時点の愛知県・国土交通省等の公的情報をもとに作成しています。

トップへ戻る