この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
建物を解体すると、
「基礎を撤去した穴へ土を入れたい」
「地下室を壊した後を埋めたい」
「解体後に土地を平らにしたい」
という工事が必要になることがあります。
ここで気になるのが、
土を入れるなら盛土規制法の許可が必要なのか
という点です。
結論からいうと、愛知県では、
建物などを撤去した後、その工作物の周囲の地盤高さまで埋め戻すだけなら、盛土規制法の許可は不要
とされています。
一方、
埋め戻した後にさらに土を入れ、
周囲の地盤より高くする
のであれば、その高くした部分は盛土として扱われます。
つまり、
土を入れたかどうか
ではなく、
埋め戻した後の地盤が、元の周囲地盤を超えるか
が最初の境目です。
建物基礎を撤去した穴を元の高さまで戻すだけなら許可不要
たとえば建物を解体するとき、
建物本体
基礎
地中梁
などを撤去します。
基礎を撤去した部分には穴が残るため、土を入れて埋め戻します。
このとき、
周囲の地盤高さ
↓
基礎撤去のため掘削
↓
土を入れて周囲の地盤高さまで戻す
という工事なら、愛知県では盛土規制法の許可対象とはしていません。
これは、
新しく土地を高く造成したのではなく、工作物を撤去した空間を元の地盤レベルまで戻した
と考えるためです。
地下室を撤去して大量の土を入れても同じ?
地下室がある建物では、解体後に大きな空間が残る場合があります。
たとえば、
地下1階部分を撤去
↓
深さ3m程度の空間が残る
↓
大量の土で埋め戻す
という場合です。
入れる土の量だけを見ると、大規模な盛土に見えます。
しかし重要なのは、
埋め戻した後の高さ
です。
地下部分を、
周囲の地盤高さまで埋め戻すだけなら、
「大量の土を入れたから盛土」
と単純には判断しません。
愛知県の取扱いでは、工作物撤去後の周囲地盤高さまでの埋戻しは許可不要です。
つまり、
土量ではなく、どこまで地盤を戻すのか
を見る必要があります。
元の地盤より30cm・50cm高くするなら話が変わる
たとえば建物解体後、
元の周囲地盤まで埋め戻す。
そこからさらに、
水はけを良くしたい
道路との高さを合わせたい
駐車場を作りやすくしたい
という理由で土を入れることがあります。
この場合、
元の地盤まで
→ 埋戻し
元の地盤を超えた部分
→ 盛土
と分けて考えます。
ただし、
元地盤を1cmでも超えたら即許可
という意味ではありません。
盛土として扱う部分について、
高さ
面積
崖が生じるか
などを確認し、規制対象規模に該当するかを判定します。
「解体工事一式」で考えず、埋戻しと造成を分ける
実際の解体工事では、
建物解体
基礎撤去
埋戻し
整地
までまとめて「解体工事」と呼ぶことがあります。
しかし盛土規制法を確認するときは、
何のために土を入れているのか
を分けた方が分かりやすくなります。
たとえば、
基礎穴を埋める
→ 埋戻し
地下室跡を元GLまで埋める
→ 埋戻し
元GLよりさらに高くする
→ 盛土
土地の低い部分へさらに土を入れて造成する
→ 盛土の確認
という違いです。
元GLとは何を基準にする?
ここも実務では重要です。
「元の地盤まで戻す」
といっても、
解体後には建物がなくなるため、
どこが元の地盤だったのか分かりにくくなることがあります。
そのため解体前に、
- 現況測量図
- 配置図
- 建築図面
- 外構図
- 現況写真
- 地盤高が記載された図面
などがあれば残しておいた方がよいでしょう。
愛知県FAQの表現は、
撤去対象工作物の周囲の地盤高さ
です。
したがって、解体後の穴の底を基準にするわけではありません。
解体後の土地全部へ土を入れる場合は要注意
たとえば敷地800㎡に建物が建っていたとします。
建物を撤去して基礎部分だけ埋め戻す。
ここまでは周囲地盤までなら許可不要です。
しかしその後、
敷地800㎡全体へ土を入れ、
地盤を50cm上げる。
となれば話は変わります。
これは、
建物撤去に伴う単純な埋戻し
ではなく、
解体後の土地を新たに造成する工事
が加わっています。
この追加造成部分について盛土規制法の許可要否を確認します。
駐車場にするための整地も「どこまで上げるか」を見る
建物解体後、
月極駐車場
事業用駐車場
資材置場
にするケースもあります。
このとき、
「解体後の整地だから許可不要」
と一括りにしない方がよいでしょう。
たとえば、
基礎撤去部分を埋める
↓
敷地全体へ砕石を入れる
↓
一部を盛土して勾配を作る
↓
舗装
という工事なら、
単なる埋戻し以外の造成が含まれています。
愛知県では舗装についても、原則として舗装表層・標準的な路盤とは別に、土の部分の盛土高さ等から許可対象規模を確認します。
つまり、
完成後が駐車場だからではなく、その下で土地をどの程度動かすか
を見る必要があります。
解体後に道路の高さへ合わせる場合も確認する
古い建物では、
敷地が道路より低い
ことがあります。
解体後に、
「せっかくだから道路と同じ高さまで上げたい」
と考える場合です。
既存建物の周囲地盤より高くするのであれば、
その部分は単なる埋戻しではありません。
新たな盛土として、
高さ
面積
崖
を確認します。
つまり、
道路との高さを合わせること
と
元の土地へ戻すこと
は別です。
解体後の窪地を埋める場合はどうなる?
愛知県では、
四方の土地より低い窪地を、
周囲の高さまで埋めて平坦にする一定の工事についても許可不要となる取扱いがあります。
ただし、
「窪地なら何でも埋めてよい」
というわけではありません。
周囲との関係や水路などの条件によって取扱いが変わるため、
建物解体後にできた空間とは別に、
敷地にもともとある低地を一緒に埋める場合は確認した方がよいでしょう。
解体で出た土を現場内に仮置きする場合は?
基礎撤去や整地では、一時的に土を掘り出して現場内へ置くことがあります。
盛土規制法では、土石の一時的な堆積も規制対象になる場合があります。
ただし愛知県では、
工事の施工に付随し、その工事に使用する土石や工事で発生した土石を、工事現場またはその付近へ一時的に置くもの
については許可不要としています。
そのため、
解体・埋戻し作業中の通常の現場内仮置きまで、直ちに別の土石堆積許可になるわけではありません。
ただし、
解体現場とは別の土地へ大量に運び、長期間置く
といった場合は別途確認が必要です。
外から土を持ってきても「元GLまで」なら盛土になる?
ここも誤解しやすいところです。
建物基礎を撤去すると、
現場発生土だけでは埋戻し量が足りず、
外部から良質土などを搬入することがあります。
ここで重要なのは、
土をどこから持ってきたか
ではありません。
愛知県FAQでは、
工作物撤去後に周囲の地盤高さまで埋め戻す工事を許可不要としています。
したがって、
外部から土を搬入したという理由だけで、
直ちに盛土規制法の許可対象になるとは限りません。
見るのは、
最終的にどの高さまで埋めるか
です。
再生砕石なら盛土規制法は関係ない?
解体後には、
再生砕石
砕石
山砂
などを使って整地することがあります。
ここも材料名だけで判断しない方がよいでしょう。
舗装・路盤として通常必要な範囲なのか、
それとも実質的に地盤をかさ上げするため大量に入れているのか
で扱いが変わります。
特に、
「整地材だから盛土ではない」
として大量に敷き、造成後の地盤高が大きく変わる場合は、事前に確認した方が安全です。
解体後に新しい建物を建てる場合は?
建替えの場合も似ています。
古い建物を解体
↓
基礎撤去
↓
元地盤まで埋戻し
↓
新築のため再掘削
↓
新しい基礎施工
↓
元地盤まで埋戻し
という範囲なら、愛知県では工作物の新設・撤去に伴う通常の掘削・埋戻しについて許可不要となる考え方があります。
しかし、
新築に合わせて敷地全体を50cm高くする。
造成高を変更する。
新しい擁壁を作る。
という工事まで行えば、
その部分は別途盛土規制法を確認します。
「解体前より高くなるか」を図面で比べる
解体・埋戻しで許可要否を確認するなら、
最も分かりやすいのは、
解体前
と
工事後
の地盤高を比較することです。
たとえば、
解体前GL ±0.00
基礎撤去後 -1.50m
埋戻し後 ±0.00
なら、
元の周囲地盤まで戻しています。
一方、
埋戻し後 +0.50m
なら、
+0.50m分は新しい造成です。
この差を平面だけではなく、断面で確認します。
許可対象になるかは追加盛土部分の規模を見る
元地盤を超えて盛土する場合でも、
必ず許可になるわけではありません。
盛土規制法では規制区域ごとに、
- 盛土で生じる崖の高さ
- 盛土の高さ
- 盛土・切土する面積
などの基準があります。
愛知県の宅地造成等工事規制区域では、たとえば一定条件のもと、
盛土で高さ1mを超える崖を生じるもの
高さ2mを超える盛土
盛土・切土する土地の面積が500㎡を超えるもの
などが許可対象規模になります。
特定盛土等規制区域では基準が異なります。
そのため、
まず「埋戻し」と「新たな盛土」を分け、その後に新たな盛土部分の規模を判定
します。
解体業者が「盛土規制法は大丈夫」と言っていても場所は確認する
愛知県では盛土規制法の規制区域を2025年5月9日に指定して運用しています。
ただし、愛知県FAQの取扱いは、
愛知県知事が許可権者である区域
についてのものです。
事務処理市などでは、細かな取扱いが異なる場合があります。
そのため、
解体業者の一般的な説明だけで決めず、
対象地の許可権者と規制区域を確認します。
盛土規制法だけで解体工事の手続が全部決まるわけではない
建物解体では、
盛土規制法以外にも、
- 建設リサイクル法
- 石綿関係の事前調査・届出
- 建築物除却届
- 道路使用等
など別の手続が関係する場合があります。
また、解体後の土地を、
駐車場
資材置場
建物敷地
として利用する場合には、
都市計画法
農地法
雨水浸透阻害行為
などが別に関係することもあります。
したがって、
盛土規制法が不要=解体・跡地利用の手続が全部不要
ではありません。
建物解体後の埋戻し・造成を確認します
建物解体では、
「埋め戻すだけだから問題ない」
と思っていた工事が、
実際には敷地全体のかさ上げまで含んでいることがあります。
逆に、
地下室や大きな基礎を撤去するため大量の土を入れても、
周囲の地盤高さへ戻すだけなら盛土規制法の許可不要となるケースがあります。
「どこまでなら埋戻し?」
「駐車場にするためさらに土を入れたい」
「解体業者から盛土規制法を確認するよう言われた」
という段階から整理できます。
解体前後の地盤高さ、埋戻し範囲、解体後の利用方法が分かれば確認しやすくなります。
解体工事を始める前に、埋戻しだけなのか、その後の造成まで行うのかを分けて確認しておくことが重要です。
[解体後の造成・盛土規制法について相談する]
まとめ
建物を解体し、基礎や地下部分を撤去した後に土を入れるからといって、
必ず盛土規制法の許可が必要になるわけではありません。
愛知県では、
撤去対象となる建物・工作物の周囲の地盤高さまで埋め戻す工事は許可不要
としています。
重要なのは、
埋め戻した後、周囲の地盤より高くなるか
です。
周囲の地盤まで戻す
→ 原則として埋戻し
そこからさらに高くする
→ 追加部分を盛土として確認
と分けます。
そのため、
地下室を埋めるから土量が多い。
外部から土を持ってくる。
という理由だけで盛土規制法の許可が決まるわけではありません。
反対に、
解体後に駐車場へするため敷地全体をかさ上げする。
道路の高さへ合わせるためさらに土を入れる。
土地の低い部分も一緒に埋める。
といった場合は、
単なる解体後の埋戻しを超えた造成
として許可要否を確認します。
つまり、
「解体後に土を入れるか」ではなく、「元の周囲地盤まで戻すのか、それを超えて造成するのか」。
ここが盛土規制法を確認するときの最初の境目です。
お気軽にお問い合わせください
0566-68-5511
営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)
出典
愛知県|盛土規制法に関するよくある質問, 愛知県|愛知県における許可申請等の手続, 愛知県|愛知県における規制区域, 愛知県|盛土規制法に係る許可申請等の手引, 国土交通省|盛土規制法
この記事は、2026年9月時点の愛知県・国土交通省等の公的情報をもとに作成しています。
