盛土規制法とは?愛知県で許可が必要になる工事を解説

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

駐車場を造成するために土を入れたい。

敷地を平らにするために切土をしたい。

残土を別の土地へ一時的に置きたい。

このような工事では、盛土規制法の許可や届出が必要になることがあります。

盛土規制法は、正式には「宅地造成及び特定盛土等規制法」といい、盛土・切土や土石の堆積による崖崩れ・土砂流出などの災害を防ぐための法律です。

特徴は、住宅地だけを規制する制度ではないことです。

農地、森林、駐車場、資材置場など、土地の用途や工事目的にかかわらず、規制区域内で一定規模以上の盛土等を行う場合は対象になる可能性があります。

愛知県では2025年5月9日から盛土規制法に基づく規制区域を指定し、県管轄地域で法の運用を開始しています。

ただし、

「土を入れたら全部許可」
「500㎡を超えたら必ず許可」

という単純な制度ではありません。

まず確認するのは、

  • 計画地が規制区域内か
  • 盛土・切土・土石の堆積のどれに当たるか
  • 崖が生じるか
  • 高さはどの程度か
  • 工事面積はどの程度か
  • 宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域のどちらか

です。

この記事では、愛知県で盛土規制法の許可が必要になる主な工事と、許可要否を確認するときの順番を整理します。

盛土規制法とは

盛土規制法は、盛土等に伴う崖崩れや土砂流出による災害を防ぎ、人の生命・財産を守るための法律です。

2021年に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害などを踏まえ、それまでの宅地造成等規制法が抜本的に改正され、2023年5月26日に施行されました。

従来の制度と比べて大きく変わったのは、土地の用途にかかわらず危険な盛土等を包括的に規制する仕組みになったことです。

そのため、

  • 宅地造成
  • 駐車場造成
  • 農地や森林での盛土
  • 資材置場の造成
  • 切土
  • 土砂・残土の一時堆積

なども規制対象になり得ます。

国土交通省公式:盛土規制法の概要を見る

愛知県では2025年5月9日から規制が始まっている

愛知県では、盛土規制法に基づく規制区域を2025年5月9日に指定し、法の運用を開始しました。

ただし、愛知県が直接管轄する地域と、各市が許可等を行う地域があります。

名古屋市は政令指定都市、豊橋市・岡崎市・一宮市・豊田市は中核市であり、それぞれの市が盛土規制法を所管します。

また、愛知県から権限移譲を受けている市もあるため、申請先は計画地によって確認が必要です。

まずは所在地から、

「どの規制区域に入っているか」
「誰が許可権者なのか」

を確認します。

愛知県公式:盛土規制法の規制区域を確認する

盛土だけでなく切土も対象になる

「盛土規制法」という名前から、土を盛る工事だけが対象と思われがちです。

しかし、規制対象には切土も含まれます。

例えば、

  • 土地を高くするために土を入れる
  • 傾斜地を平らにするために土を削る
  • 盛土と切土を組み合わせて造成する

といった工事です。

許可対象になるかは、

  • 盛土によって生じる崖の高さ
  • 切土によって生じる崖の高さ
  • 盛土そのものの高さ
  • 盛土・切土を行う面積

などで判定します。

そのため、

「盛土は少ないから大丈夫」

と思っていても、切土や工事面積の基準から許可対象になる可能性があります。

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盛土規制法は何㎡・何mから許可が必要?高さ・面積の基準を解説

駐車場造成でも盛土規制法が関係することがある

駐車場造成でも、盛土規制法が関係する場合があります。

例えば、

田畑を駐車場にするため地盤を50cm程度上げる

道路との高低差を解消するため土を入れる

傾斜地を切土・盛土して平らにする

といった工事です。

重要なのは「駐車場」という用途ではなく、造成によってどの程度の盛土・切土を行うかです。

土地をアスファルト舗装するだけで直ちに盛土規制法の許可が必要になるわけではありません。

一方、舗装前の造成で一定規模以上の盛土・切土を行えば、許可対象になる可能性があります。

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駐車場造成でも盛土規制法の許可が必要になる?

土砂・残土を一時的に置くだけでも対象になることがある

盛土規制法は、完成後も残る盛土だけを規制するものではありません。

一定規模以上の「土石の堆積」、つまり土砂や残土を一時的に積み上げる行為も規制対象になります。

例えば、

工事現場から残土を別の土地へ運んで保管する

複数の現場から残土を受け入れるストックヤードを設ける

といった場合です。

一方、工事の施工に付随して、その工事で使う土石や発生した土石を、その工事現場または付近へ一時的に置く場合には、許可を要しないケースがあります。

「一時的だから対象外」ではなく、置く場所・目的・高さ・面積を確認します。

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土砂・残土を一時的に置くだけでも盛土規制法の許可が必要?

規制区域は2種類ある

盛土規制法の規制区域には、大きく次の2種類があります。

宅地造成等工事規制区域

市街地や集落、その周辺など、盛土等が行われた場合に人家等へ被害を及ぼす可能性がある区域です。

一定規模以上の盛土・切土・土石の堆積について許可が必要になります。

特定盛土等規制区域

市街地や集落から離れていても、盛土等が崩落した場合に人家等へ被害を及ぼすおそれがある区域です。

この区域では、工事規模によって、

  • 届出
  • 許可

のいずれかが必要になります。

同じ1,000㎡の造成でも、どちらの区域にあるかによって手続きが変わる可能性があります。

そのため、高さや面積を見る前に規制区域を確認することが重要です。

許可が必要になる規模は高さ・面積で決まる

許可要否は、一つの数字だけでは判断できません。

例えば宅地造成等工事規制区域では、

  • 盛土で一定高さを超える崖が生じる
  • 切土で一定高さを超える崖が生じる
  • 崖を生じない一定高さを超える盛土
  • 一定面積を超える盛土・切土

などが許可対象になります。

つまり、

面積が小さくても高さ基準で許可

高さが低くても面積基準で許可

となる場合があります。

反対に、土地全体が500㎡を超えていても、工事内容によっては単純に許可対象とは判断できません。

具体的な高さ・面積基準は別記事で整理しています。

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盛土規制法は何㎡・何mから許可が必要?高さ・面積の基準を解説

許可対象か確認するときの順番

盛土規制法が関係しそうな場合は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

順番確認すること
1計画地が盛土規制法の規制区域内か
2宅地造成等工事規制区域か特定盛土等規制区域か
3盛土・切土・土石の堆積のどれを行うか
4盛土・切土によって崖が生じるか
5盛土・切土の高さは何mか
6工事を行う面積は何㎡か
7許可・届出・手続不要のどれになるか
8開発許可など別の手続きが関係しないか

愛知県は、許可要否を確認するための判定チェックシートを公開しています。

愛知県公式:盛土規制法の許可要否判定チェックシートを確認する

開発許可を受ける工事では「みなし許可」になる場合がある

都市計画法の開発許可と盛土規制法の許可が両方関係する工事もあります。

一定の場合には、都市計画法の開発許可を受けることで、盛土規制法の許可を受けたものとみなされます。

これを「みなし許可」といいます。

この場合、盛土規制法について別の許可申請を行う必要はありません。

ただし、盛土規制法の技術基準や、中間検査・定期報告などが関係する場合があります。

「開発許可があるから盛土規制法は無関係」と考えるのではなく、みなし許可としてどの手続きが残るかを確認する必要があります。

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盛土規制法と開発許可の違い|両方関係するケース

許可申請前には住民周知や土地所有者等の同意も確認する

許可が必要になる場合は、申請書と図面だけを提出すればよいわけではありません。

愛知県の申請様式には、

  • 土地所有者等の同意を得たことを証する書類
  • 住民への周知措置を講じたことを証する書類
  • 工事主の資力・信用に関する申告書
  • 工事施行者の能力に関する申告書

なども用意されています。

周辺住民への周知は許可申請前に行う手続きです。

申請直前になって初めて気づくと工程に影響するため、造成計画の段階から確認しておきます。

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盛土規制法の許可申請前に必要な周辺住民への周知とは?

許可を受けた後も手続きがある

盛土規制法では、許可を取った後も工事規模によって、

  • 中間検査
  • 定期報告
  • 完了検査

などが必要になります。

そのため、

許可取得

そのまま工事

完成

とは限りません。

特に中間検査では、施工後に見えなくなる排水施設などを途中で確認するため、検査前に次の工程へ進めない場合があります。

許可取得時点で、施工中・完成時に必要な手続きまで確認しておくことが重要です。

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盛土規制法の許可後に必要な手続き|中間検査・定期報告・完了検査

盛土規制法だけで判断しない

土地造成では、盛土規制法以外にも別の制度が関係することがあります。

例えば、

  • 都市計画法の開発許可
  • 農地法の農地転用
  • 雨水浸透阻害行為許可
  • 道路関係の許可
  • 河川・水路関係の許可

などです。

盛土規制法の許可が不要でも、別の手続きが必要になる場合があります。

逆に、他の許可を取得しても盛土規制法の確認が必要になる場合があります。

工事内容だけでなく、土地の現在の利用状況や周辺条件を含めて手続きを整理します。

盛土工事を計画したら最初に区域・高さ・面積を確認する

盛土規制法で最初に確認するのは、申請書ではありません。

まず、

計画地

規制区域

工事内容

高さ

面積

を整理します。

この時点で許可対象かどうかを判定できれば、その後に必要となる図面・設計・住民周知などの準備へ進めます。

「少し土を入れるだけ」
「駐車場をつくるだけ」

と思って工事計画を進めた後に許可対象と分かると、工事工程や造成計画を見直さなければならない可能性があります。

計画の初期段階で盛土規制法の確認を入れておくことが重要です。

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盛土規制法の許可申請|必要書類・図面・手続きの流れ

愛知県三河の盛土規制法についてご相談ください

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、盛土規制法を含む土地利用に関する許認可手続きのご相談を受けています。

「土地を造成したいが盛土規制法の対象か分からない」
「駐車場造成で土を入れる予定がある」
「高さや面積を見ても許可が必要か判断できない」
「開発許可など他の手続きとの関係も整理したい」

という場合は、計画地、現在の土地の状況、盛土・切土の範囲、高さ、面積などを確認しながら必要な手続きを整理します。

許可が必要か分からない段階でもご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

0566-68-5511

営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)

出典

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この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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