
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
Gマークを取得するには、申請書を提出するだけでは足りません。
巡回指導で確認される法定帳票、事故・行政処分の状況、安全への積極的な取組を証明する書類を、営業所単位で整える必要があります。
2026年度の認定要件は、100点満点中80点以上を取ることに加え、3つの評価項目でそれぞれ基準点を満たすことです。認可申請・届出・報告や社会保険等の加入が適正であることも求められます。
申請直前に書類を作ろうとしても、過去の研修、会議、適性診断などの実績が足りず、申請年度には間に合わないことがあります。
まずは、申請資格を満たしているか、巡回指導の評価に使われる帳票が整っているか、安全への取組を証明できるかを分けて確認します。
Gマークを申請できる営業所の要件
Gマークは会社全体ではなく、一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の事業所(営業所)単位で申請します。貨物軽自動車運送事業は評価対象外です。
2026年度は、2026年7月1日の申請基準日現在で、主に次の申請資格を満たす必要がありました。
| 申請資格 | 確認する内容 |
|---|---|
| 事業開始後3年を経過 | 営業所を開設して事業を開始してから3年が経過し、直近3年間連続して事業を行っている |
| 事業用自動車が5両以上 | 申請する営業所へ配置している事業用自動車が5両以上ある |
| 欠格期間を経過 | 不正申請による申請却下や認定取消しを受けた場合、所定の期間が経過している |
| 不正使用に関する要件を充足 | 認定証やステッカーの偽造・変造、不正使用により是正勧告を受けた場合、履行確認後の所定期間が経過している |
事業開始から3年という要件は、会社の設立日ではなく、申請する営業所が事業を開始した日を基準に確認します。
複数の営業所がある場合、古くから営業している本社営業所は申請できても、新設した営業所は3年を経過しておらず申請できないことがあります。
配置車両数や営業所所在地など、Web申請システムに表示される行政登録情報が実態と違う場合は、申請画面の訂正だけで終わらせず、必要な変更手続きが済んでいるかも確認してください。
Gマークの3つの評価項目
2026年度のGマークでは、次の3項目を合計100点で評価します。
| 評価項目 | 配点 | 基準点 | 主な評価内容 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ.安全性に対する法令の遵守状況 | 40点 | 32点 | 巡回指導の結果、運輸安全マネジメント |
| Ⅱ.事故や違反の状況 | 40点 | 21点 | 重大事故、行政処分の累積点数 |
| Ⅲ.安全性に対する取組の積極性 | 20点 | 12点 | 運転者教育、安全会議、法定基準を上回る取組など |
合計80点を超えても、いずれかの評価項目が基準点を下回れば認定されません。
さらに、評価項目Ⅲでは、4つの自認項目グループすべてから得点する必要があります。一部の取組だけへ集中して合計12点を取っても、得点のないグループがあれば認定要件を満たしません。
法に基づく認可申請・届出・報告が適正に行われ、社会保険等へ適正に加入していることも独立した認定要件です。
Ⅰ.安全性に対する法令の遵守状況
2026年度は、2025年7月1日から2026年10月31日までに行われた巡回指導の結果を使って評価します。
対象期間中に複数回の巡回指導を受けた場合は、原則として1回目の結果が使われます。巡回指導後に改善しても、巡回指導時に「否」と判定された項目へ後から点数が加算されるわけではありません。
申請時点で対象期間中の巡回指導を受けていない営業所には、申請後に巡回指導が行われます。
Ⅱ.事故や違反の状況
2026年度は、2023年12月1日から2026年11月30日までの3年間における事故と行政処分の実績が評価対象です。
事業用自動車が有責の第一当事者となる重大事故の有無や、貨物自動車運送事業法に基づく行政処分の累積点数が確認されます。
対象期間中に運輸支局へ自動車事故報告書を提出している場合は、その写しを提出します。過失割合が分かる保険会社の資料などがある場合は、併せて準備します。
Ⅲ.安全性に対する取組の積極性
安全への積極的な取組は、次の4グループから評価されます。
| グループ | 主な取組 |
|---|---|
| 1.運転者等の指導・教育 | 自社研修、外部研修、運転記録証明書を使った指導、省エネ運転に基づく個別指導 |
| 2.安全に関する会議・QC活動 | 社内安全会議、QC活動、荷主・協力会社との安全会議、事故防止意識を高める活動 |
| 3.法定基準を上回る対策 | 一般適性診断、健康診断後のフォロー、脳検査・SAS検査、安全装置、時間外労働短縮 |
| 4.その他の取組 | 健康起因事故防止、外部認証、表彰、GPS運行管理、社内表彰制度など |
グループ1から4まで、すべてのグループで得点し、合計12点以上を取る必要があります。
2026年度の取組実績は、原則として2026年7月1日現在で判断されました。7月2日以降に始めた取組は、2026年度申請の評価対象にはなりません。
申請時期になってから安全会議や研修をまとめて実施するのではなく、次回申請の基準日から逆算して、日頃の活動と記録を積み重ねる必要があります。
Gマーク申請に必要な帳票
Gマーク申請で準備する書類は、次の3種類に分けると整理しやすくなります。
- Web申請後に出力する申請書類
- 巡回指導で確認される法定帳票
- 安全への積極的な取組を証明する挙証書類
すべての法定帳票を申請時に一式郵送するわけではありません。
法定帳票は主に巡回指導で確認され、評価項目Ⅲの挙証書類は、申請書・自認書と一緒に地方実施機関へ提出します。
Web申請後に出力する書類
新規申請や所定の更新申請では、Web申請システムで次の書類を作成します。
- 安全性評価申請書
- 安全性に対する取組状況についての自認書
- 役職員名簿
- 自認事項に対応するチェックリスト
- 自動車事故報告書の写し(対象となる事故がある場合)
- 自認事項ごとに指定された挙証書類
一時保存しただけでは申請は完了しません。申請期間内に申請ボタンを押し、「提出用」と表示された申請書と自認書を出力します。
2026年度はWeb申請に加え、新規申請および更新A・C方式では、評価項目Ⅲの挙証書類を地方実施機関へ提出する必要がありました。
巡回指導に備えて整える法定帳票
評価項目Ⅰでは、巡回指導時の帳票と実際の運用状況が確認されます。
主に準備する帳票は次のとおりです。
| 分野 | 主な帳票・記録 |
|---|---|
| 営業所・事業計画 | 営業所・休憩睡眠施設・車庫の状況が分かる資料、認可書・届出書の控え |
| 運転者管理 | 運転者台帳、運転免許証の確認記録、選任状況が分かる資料 |
| 運行管理 | 運行管理規程、点呼記録簿、運転日報、運行指示書、運行記録計の記録 |
| 運転者教育 | 指導監督の年間計画、実施記録、教材、特定運転者への特別指導記録 |
| 適性診断 | 初任・高齢・事故惹起運転者などの適性診断受診記録 |
| 車両管理 | 車両台帳、整備管理規程、日常点検表、定期点検整備記録簿 |
| 労務・健康管理 | 就業規則、36協定、勤務表、拘束時間等の管理資料、健康診断記録 |
| 事故対応 | 事故記録、自動車事故報告書、事故原因と再発防止策の記録 |
| 安全管理 | 運輸安全マネジメントに関する安全方針、計画、実施・評価・改善記録 |
帳票の様式があるだけでは、適正に実施しているとは評価されません。
点呼記録簿であれば、実際の点呼方法、実施者、酒気帯び確認、健康状態、指示事項などが日々の運行と一致している必要があります。
運転日報、デジタコ、点呼記録、勤務表の時間が食い違っている場合は、書類単体ではなく一連の運行管理として確認が必要です。
安全への取組を証明する挙証書類
評価項目Ⅲは、会社が「取り組んでいる」と自認するだけでは加点されません。指定された判断基準を満たす資料を提出して、取組実績を証明します。
主な挙証書類の例は次のとおりです。
| 取組 | 挙証書類の例 |
|---|---|
| 自社内研修 | 研修計画、研修資料、実施記録、受講者名簿、写真 |
| 外部研修 | 研修案内、申込書、受講証明書、受講者名簿 |
| 運転記録証明書による指導 | 運転記録証明書、指導記録、対象者名簿 |
| 省エネ運転を使った指導 | 燃費等の客観的な結果、比較資料、個別指導記録 |
| 安全対策会議 | 議事録、開催案内、出席者名簿、配布資料 |
| QC活動 | 活動計画、改善前後の資料、会議記録、成果が分かる資料 |
| 荷主等との安全会議 | 議事録、出席者名簿、会議資料 |
| 一般適性診断 | 適性診断の受診結果、対象者を確認できる名簿 |
| 健康起因事故防止 | 再検査・治療勧奨等の記録、脳検査・SAS検査などの受診資料 |
| 安全装置 | 車検証、購入・装着資料、写真、安全装置搭載証明書 |
| 時間外労働短縮 | 有効な36協定届、前回届出との比較資料 |
| 認証・表彰 | 認定証、登録証、表彰状など |
| GPS運行管理 | 導入内容、対象車両、稼働状況が分かる資料 |
| 社内表彰制度 | 制度規程、選考記録、表彰実績 |
資料は、申請する営業所の取組であること、対象者・実施日・内容が分かることが基本です。
会社全体で研修を行った場合でも、申請営業所の運転者が参加したことを名簿などで確認できなければ、営業所の実績として判断できないことがあります。
Gマーク申請準備の進め方
Gマークの申請準備は、申請書の作成から始めるのではなく、次の順番で進めると不足を把握しやすくなります。
1.申請資格を確認する
営業所の事業開始日、配置車両数、過去の認定取消しなどを確認します。
営業所の新設、移転、車両の増減があった場合は、行政に登録されている内容と現在の状況が一致しているかも確認してください。
2.届出と報告書の提出状況を確認する
役員、営業所、車庫、車両、運行管理者などに変更がなかったかを確認します。
事業報告書や事業実績報告書を含め、未提出の手続きがある場合は、Gマーク申請前に整理します。
3.巡回指導用の帳票を点検する
点呼記録、運転日報、運転者台帳、教育記録、健康診断、点検整備記録などを確認します。
帳票が存在するかだけでなく、必要な期間分が保存されているか、記載内容が他の記録と一致しているかまで確認してください。
4.評価項目Ⅲの得点を仮計算する
4グループすべてから得点できる取組を選び、合計12点以上になるか確認します。
取組を選ぶときは、「実施したか」だけでなく、申請案内で指定された挙証書類が残っているかまで確認します。
5.不足している取組を次回申請までに実施する
申請年度の基準日後に取組を始めても、その年度の評価対象にならない場合があります。
研修、安全会議、一般適性診断、健康起因事故対策など、不足している項目は早めに年間計画へ組み込みます。
6.申請用ファイルを作成する
申請書、自認書、役職員名簿、チェックリスト、挙証書類を、申請案内で指定された順序に並べます。
提出前には控えを取り、申請後の問い合わせや評価結果の確認に備えて営業所で保管してください。
Gマーク申請で書類不備になりやすい点
Gマーク申請では、実際に取り組んでいても、書類から実績を確認できず加点されないことがあります。
特に注意したいのは次のようなケースです。
- 研修の資料はあるが、実施日や受講者名簿がない
- 会議の議事録はあるが、出席者や対象営業所が分からない
- 写真だけで、何の取組をいつ実施したのか確認できない
- 本社の取組資料だけで、申請営業所の参加状況が分からない
- 適性診断を受けたが、対象運転者の一覧と照合できない
- 安全装置のカタログはあるが、申請営業所の車両へ装着した証明がない
- 自認書で選んだ項目と、提出したチェックリスト・挙証書類が一致していない
- 過去に実施していない研修や会議を、実施済みとして後から記録している
- Web申請を一時保存しただけで、申請期間内に申請ボタンを押していない
- 挙証書類を郵送したが、期限までに地方実施機関へ到着していない
実施していない点呼、研修、会議などを、後から実施したように記録してはいけません。
不足が見つかった場合は、次回申請へ向けて実際の取組を始め、実施時点から正確に記録します。
よくある質問
- QGマークは合計80点を取れば認定されますか?
- A
合計80点だけでは認定されません。3つの評価項目でそれぞれ基準点を満たし、評価項目Ⅲの4グループすべてから得点する必要があります。届出・報告や社会保険等の加入が適正であることも必要です。
- Q点呼記録簿などの法定帳票は、申請時にすべて提出しますか?
- A
すべてを申請書と一緒に提出するわけではありません。点呼記録簿、運転日報、運転者台帳などは主に巡回指導で確認されます。申請時には、評価項目Ⅲの取組を証明する挙証書類などを提出します。
- Q巡回指導後に改善すれば評価点は上がりますか?
- A
2026年度の評価項目Ⅰでは、巡回指導時に「否」と判定された項目は、巡回指導後に改善しても加点されません。ただし、改善報告や今後の適正な管理は必要です。
- Q安全会議の議事録だけで加点されますか?
- A
議事録だけで必ず加点されるとは限りません。開催回数、実施日、内容、出席者、申請営業所での取組であることなど、各項目の判断基準を満たす資料が必要です。
- Q申請直前に研修を実施しても評価されますか?
- A
申請年度の基準日までに実施し、指定された期間や回数などの判断基準を満たす必要があります。2026年度は、原則として2026年7月1日現在の実績が対象で、7月2日以降の取組は評価されませんでした。
- Q本社でまとめて行った安全研修を営業所の実績にできますか?
- A
申請営業所の運転者などが対象に含まれ、その参加状況を名簿や実施記録で確認できれば評価対象となる可能性があります。本社の資料だけで申請営業所との関係が分からない場合は、実績を確認できないことがあります。
- Q2026年度の申請はまだできますか?
- A
2026年度の申請期間は2026年7月1日から7月14日までで、すでに終了しています。次回申請を検討する場合は、翌年度の申請案内が公表された後、評価項目や対象期間を改めて確認してください。
まとめ
Gマーク取得には、100点満点中80点以上を取るだけでなく、法令遵守、事故・違反、安全への積極的な取組の各項目で基準点を満たす必要があります。
申請準備では、次の書類を分けて整理します。
- Web申請で作成する申請書・自認書
- 巡回指導で確認される点呼記録や運転日報などの法定帳票
- 研修、安全会議、適性診断などを証明する挙証書類
- 変更届、報告書、社会保険等の手続状況が分かる資料
- 自動車事故報告書など、事故の状況を確認できる資料
申請直前に帳票を集めるだけでは、過去の取組実績や必要な記録を補えないことがあります。
次回申請を目指す場合は、現在の帳票と取組実績から取得可能性を確認し、不足している項目を年間計画へ組み込んでください。
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Gマーク申請に向けて帳票と評価項目を整理します
Gマークを検討していても、現在の帳票でどこまで評価を受けられるのか、どの取組が不足しているのかを社内だけで判断するのは容易ではありません。
いしかわ行政書士事務所では、巡回指導結果、変更届・報告書、点呼記録、運転日報、教育記録などを確認し、申請資格、評価項目、挙証書類の準備状況を整理します。
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次回のGマーク申請を検討している場合は、直近の巡回指導結果、改善報告書、現在使用している帳票、安全会議や研修の記録をご用意のうえお問い合わせください。
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出典
全日本トラック協会「2026年度貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)新規申請・更新申請」、全日本トラック協会「2026年度Gマーク申請案内」、全日本トラック協会「安全性に対する取組の積極性に係る説明・書式等ダウンロード」、愛知県トラック協会「Gマーク」、愛知県トラック協会「2026年度Gマーク申請について」
この記事は、2026年8月時点の公的情報をもとに作成しています。申請資格、評価項目、対象期間、挙証書類、申請方法は年度ごとに変更される可能性があるため、次回申請時には当該年度の申請案内を確認してください。
