巡回指導で必要な書類一覧|点呼記録簿・運転日報・乗務員台帳

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

巡回指導の通知が届いたら、通知書に記載された帳票をそろえます。

ただし、点呼記録簿や運転日報などのファイルがあるだけでは、準備が終わったとはいえません。

巡回指導では、点呼記録簿、運転日報、運行記録計の記録、運行指示書、運転者台帳、整備関係書類などを確認し、日常の管理状況を見ていきます。

そこで、まず書類を、

  • ある
  • ない
  • あるが内容を確認していない
  • どこにあるか分からない

の4つに分けてみましょう。

この記事では、巡回指導までに確認しておきたい主な書類を分野ごとに整理します。

巡回指導までにそろえる書類チェックリスト

巡回指導では、運行管理だけでなく、事業計画、車両管理、労務管理、法定福利、運輸安全マネジメントなど、営業所の管理状況が広く確認されます。

まず、次の表で自社の書類がどこまでそろっているか確認します。

確認分野主に確認する書類状況
許可・事業計画許可書、認可申請書、変更届出書、営業所・車庫・休憩睡眠施設関係□
報告事業報告書、事業実績報告書の提出控え□
運行管理者選任・解任届、資格者証、講習記録、運行管理規程□
日常の運行点呼記録簿、運転日報、運行記録計、乗務割、運行指示書□
運転者管理運転者台帳、健康診断、適性診断、指導教育記録□
車両・整備車両一覧、整備管理者届、日常点検表、定期点検整備記録簿□
労務管理就業規則、36協定、労働者名簿、賃金台帳、勤怠記録□
社会保険等労災・雇用保険・健康保険・厚生年金の加入確認資料□
安全管理安全方針、安全目標、取組計画・実施結果など□

実際に準備を求められる書類や確認対象は、通知内容や営業所の状況によって異なります。

最初に通知書に書かれた資料を確認し、そのうえでこの一覧を使って不足がないか見ていきます。

点呼記録簿は「あるか」だけでなく中身まで確認する

点呼記録簿がファイルに入っていれば終わりではありません。

巡回指導前には、実際の運行と点呼記録がつながっているか確認します。

たとえば、

  • 点呼執行者が記載されているか
  • 点呼日時が記載されているか
  • 業務前・業務後に必要な点呼が行われているか
  • アルコール検知器による確認結果が記録されているか
  • 必要な場合に中間点呼を実施しているか
  • 点呼を行った人がその時間に勤務していたか

などです。

点呼簿だけを見るより、運転日報や運行記録計、勤怠記録と同じ日付を並べて確認したほうが食い違いを見つけやすくなります。

点呼時刻と実際の運行が合っているか

たとえば、運転日報では午前6時に出庫しているのに、業務前点呼が午前6時30分になっていれば、時間関係が合いません。

また、運行管理者が勤務していない時間に、その人が点呼した記録になっていないかも確認します。

帳票単体では問題がないように見えても、別の記録と照合すると違いが見つかることがあります。

運転日報は点呼・勤怠・運行記録計と一緒に見る

一般に運転日報と呼ばれる書類は、実際の乗務状況を確認する重要な記録です。

主な確認項目には、

  • 運転者
  • 使用車両
  • 業務開始・終了の地点と日時
  • 主な経過地点
  • 走行距離
  • 休憩・睡眠
  • 運転者を交替した場合の記録
  • 事故や著しい遅延などがあった場合の記録
  • 法令上必要となる荷待ち・荷役等の記録

などがあります。

巡回指導前には、運転日報だけを一枚ずつ読むより、同じ日の資料を横に並べて確認します。

書類確認すること
点呼記録簿出庫・帰庫と点呼時刻が合っているか
運転日報業務開始・終了、休憩、走行状況
運行記録計走行・停止時間、速度など
勤怠記録始業・終業、休日、労働時間
運行指示書必要な運行について作成されているか

一つの帳票だけをきれいにするのではなく、複数の記録が同じ運行を示しているかを確認することが大切です。

運転者台帳は現在の運転者全員を確認する

運転者台帳は、現在選任している運転者について漏れがないか確認します。

特に最近採用した運転者がいる場合は、

  • 台帳を作成しているか
  • 雇入れ年月日などが記載されているか
  • 運転免許関係を確認しているか
  • 健康診断を受けているか
  • 適性診断の対象になっていないか
  • 初任運転者への指導が必要ではないか
  • 指導・監督の記録が残っているか

を確認します。

運転者台帳だけ別にあり、健康診断や適性診断、教育記録が別ファイルになっている会社では、運転者ごとに一度横断して確認したほうが不足を見つけやすくなります。

退職者の台帳もすぐに捨てない

退職したからといって、運転者台帳をその場で廃棄するものではありません。

在籍者と退職者を分け、必要な保存期間を確認できる状態にしておきます。

巡回指導前に「現在在籍している人だけ」を見て終わらないようにします。

運行指示書が必要な運行をしていないか確認する

運行指示書は、すべての運行について作る書類ではありません。

業務前と業務後の点呼をいずれも対面で行えない運行など、法令上作成が必要となる運行について確認します。

長距離運行や宿泊を伴う運行がある会社では、

  • 対象となる運行がなかったか
  • 必要な運行指示書を作成したか
  • 運転者へ携行させたか
  • 営業所にも必要な書類を残しているか
  • 途中で運行内容を変更した場合の記録があるか

を確認します。

運行指示書だけを確認するのではなく、対象日の点呼記録簿、運転日報、運行記録計などと合わせて見ます。

運行管理者関係は届出と実態が一致しているか

運行管理者については、資格者証があるだけでなく、現在の営業所で適切に選任され、必要な届出をしているか確認します。

主な確認資料は、

  • 運行管理者資格者証
  • 選任・解任届出書
  • 必要な講習の受講記録
  • 運行管理規程
  • 運行管理者・補助者の勤務状況が分かる資料

などです。

特に、

「届出上の運行管理者がすでに退職している」

「実際には別の人が管理している」

「補助者を使っているが社内で役割が整理されていない」

といった場合は、書類と現在の状態が一致しているか確認します。

運行管理規程は古いままになっていないか

運行管理規程についても、昔作ったものをファイルに入れておけばよいわけではありません。

現在の運行方法や点呼方法と合っているかを確認します。

愛知県トラック協会では、現行の運行管理規程例を公開しています。

古い規程を使い続けている場合や、点呼方法・社内体制を変更した場合は、

  • 現在の法令に対応しているか
  • 運行管理者・補助者の役割
  • 点呼方法
  • アルコール検知器の管理
  • 運行指示書
  • 事故時の対応
  • 運転者への指導

などについて、実際の運用と違っていないか確認します。

車両・整備関係の書類も車両ごとに確認する

巡回指導では、運行管理だけでなく整備管理も確認対象になります。

主に確認しておきたいのは、

  • 事業用車両一覧
  • 整備管理者の選任・解任届
  • 整備管理規程
  • 日常点検表
  • 定期点検整備の記録
  • 整備管理者の研修関係資料

などです。

現在所有している車両のファイルがあるかだけでなく、車両ごとに必要な点検記録が残っているかを確認します。

最近、増車・減車・入替をしている場合は、届出上の車両と現在使用している車両が一致しているかも見ておきます。

事業報告書・事業実績報告書の控えも確認する

巡回指導前には、毎年提出する報告書についても確認します。

一般貨物自動車運送事業者では、

  • 事業報告書
  • 事業実績報告書

の2つがあります。

事業報告書は毎事業年度終了後100日以内、事業実績報告書は前年4月1日から当年3月31日までの実績について毎年7月10日までに提出します。

「毎年報告書を一つ出しているから大丈夫」と考えず、両方の提出控えを確認します。

控えが見つからない場合は、単に社内で見つからないだけなのか、本当に未提出なのかを分けて確認します。

労務・社会保険関係は担当者が違う会社ほど早めに集める

巡回指導では、労務管理や社会保険関係の状況も確認されます。

たとえば、

  • 就業規則
  • 36協定
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 出勤簿・勤怠記録
  • 社会保険・労働保険関係の確認資料
  • 健康診断

などです。

運行管理者がこれらを管理していない会社では、経理担当者や労務担当者など、資料を持っている人を早めに確認します。

巡回指導の前日になって担当者へ資料を頼むより、通知が届いた段階で保管場所だけでも確認しておくほうが準備しやすくなります。

運輸安全マネジメント関係も忘れず確認する

運行記録や点検記録と比べると後回しになりやすいのが、運輸安全マネジメント関係です。

会社の規模や状況に応じて、

  • 輸送の安全に関する方針
  • 安全目標
  • 具体的な取組
  • 実施結果
  • 必要な公表

などの状況を確認します。

愛知県トラック協会では、運輸安全マネジメント関係の帳票例も公開されています。

日常の点呼や運転日報がそろっていても、これらを一度も確認していなかったということがないようにします。

不足書類が見つかったら3つに分ける

チェックした結果、書類がないからといって、すべて同じ対応になるわけではありません。

次の3つに分けます。

状況確認すること
実施していて記録が見つからない本社・営業所・パソコン・外部保管などを探す
実施済みだが記載が不十分元資料を確認し、事実に基づいて整理する
必要な実施・届出自体をしていない現在からできる是正を確認する

ここを分けずに「足りないから書類を作る」と考えるのは避けます。

過去に実施していない記録を作らない

たとえば、実際には行っていない点呼や教育について、巡回指導のために過去の日付で実施したような記録を作ってはいけません。

点呼記録簿だけを書き直しても、運転日報、運行記録計、勤怠記録などと照合すれば実態との違いが出る可能性があります。

不足が見つかったら、

  1. 本当に記録がないのか探す
  2. 実施済みで記録だけが不足しているのか確認する
  3. 実施そのものがなかったのか確認する
  4. 現在から改善できることを始める

という順番で整理します。

最後に「同じ日付」で帳票を横断チェックする

書類をすべて集めたら、最後に種類ごとの確認から一段進めます。

同じ運転者、同じ車両、同じ日付について、

  • 点呼記録簿
  • 運転日報
  • 運行記録計
  • 勤怠記録
  • 運行指示書

を並べます。

たとえば、

「点呼では6時出庫なのに運転日報は5時30分」

「運転日報では休憩中なのに運行記録計では走行している」

「運行管理者が休みの日に点呼執行者になっている」

といった食い違いを確認できます。

巡回指導前のチェックでは、書類の枚数をそろえるだけでなく、「実際の一日の運行が帳票上でもつながっているか」を見るところまで進めておくと、自社の管理状況が分かりやすくなります。

巡回指導前の最終チェック

最後にもう一度確認します。

  • □ 通知書に記載された資料を確認した
  • □ 許可・変更届関係の控えがある
  • □ 事業報告書・事業実績報告書の控えがある
  • □ 運行管理者・整備管理者関係を確認した
  • □ 点呼記録簿を確認した
  • □ 運転日報を確認した
  • □ 運行記録計を確認した
  • □ 必要な運行指示書がある
  • □ 運転者台帳を全員分確認した
  • □ 健康診断・適性診断・教育記録を確認した
  • □ 日常点検・定期点検記録を確認した
  • □ 労務・社会保険関係の資料を確認した
  • □ 運輸安全マネジメントを確認した
  • □ 同じ日の帳票を横断して確認した
  • □ 不足書類を後から事実と違う内容で作っていない

全部にチェックが付かなかった場合は、残った項目について「資料がない」「内容に問題がある」「分からない」のどれなのかを分けます。

関連記事

巡回指導の通知が来た|まず何を確認して、いつまでに準備する?

巡回指導前に記録を見直したい|事故・苦情・アルコール記録は足りている?

巡回指導で指摘された|すぐ改善すればいい?監査につながるのはどんな場合?

まとめ

巡回指導前の準備では、点呼記録簿、運転日報、運転者台帳、運行指示書、整備関係書類などを幅広く確認します。

ただし、書類がファイルに入っているだけでは十分ではありません。

まず必要な資料があるか確認し、その後、点呼記録簿、運転日報、運行記録計、勤怠記録などを同じ日付で照合します。

不足を見つけた場合は、実施していた記録が見つからないのか、記載が不足しているのか、そもそも必要な対応をしていなかったのかを分けます。

巡回指導のために形式だけ整えるのではなく、現在の管理状況を把握し、今から直せるところを整理することが準備の中心です。

巡回指導前に不足している手続きを整理したい方へ

「書類はあるが、何が足りないか分からない」

「車両や運行管理者を変更した後の届出が心配」

「事業報告書・事業実績報告書を提出しているか確認できない」

という場合は、巡回指導前に現在の許可・届出状況と帳票を分けて整理します。

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、一般貨物自動車運送事業の許可後手続きに対応しています。

巡回指導で使用する帳票を確認しながら、変更届や報告書など、行政書士が対応できる手続きに漏れがないか整理します。

お問い合わせはこちら

「運送業新規許可・許可後手続きのお問い合わせ」 ご依頼の流れや料金案内をしております。ご相談だけでも構いませんのでお気軽にお尋ねください

出典

一般社団法人 愛知県トラック協会|各種帳票類ダウンロード

公益社団法人 全日本トラック協会|適正化事業

国土交通省|貨物自動車運送適正化事業

国土交通省 関東運輸局|事業報告書、事業実績報告書の提出について

この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

トップへ戻る