巡回指導で指摘された|すぐ改善すればいい?監査につながるのはどんな場合?

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

巡回指導で指摘を受けても、その場ですぐに監査や行政処分になるわけではありません。

まず必要なのは、指摘された内容を確認し、改善できるものは実際に改善したうえで、改善状況を報告することです。

愛知県では、巡回指導で改善事項を指摘された場合、巡回指導実施日から3か月以内に改善結果報告書を提出する扱いになっています。

ただし、

  • 改善結果報告を提出しない
  • 指摘事項が改善されない
  • D・E評価が続く
  • 点呼を全くしていないなど、悪質性の高い状態が確認される

といった場合は、運輸支局へ情報が伝わり、監査につながることがあります。

「指摘されたこと」だけを見るのではなく、その後どう改善したかが重要です。

巡回指導で指摘されたら、まず何をする?

最初に、指摘事項を次の3つに分けます。

状況まずすること
書類の記載・保存に不備がある正しい管理方法へ変更する
必要な届出・報告をしていない今から必要な手続きを確認する
点呼・教育・点検などを実施していない未実施の事実を確認し、現在から改善する

この3つは、同じ「指摘」でも対応が違います。

たとえば、点呼記録簿の記載方法が一部足りない場合と、そもそも点呼を全くしていない場合では問題の程度が違います。

巡回指導報告書や改善事項の通知を見ながら、

「何を直せば改善になるのか」

を一項目ずつ整理します。

すぐ改善すればそれで終わる?

すぐ改善することは重要ですが、改善しただけで終わりではありません。

愛知県貨物自動車運送適正化事業実施機関の改善通知では、指摘された事項について改善し、改善状況を確認できる書類を添えて改善結果報告書を提出することとされています。

つまり、

「もう直しました」

と口頭で伝えるだけではなく、

  • 改善した内容
  • 改善した日
  • 改善後の帳票
  • 届出をした場合はその控え
  • 教育等を実施した場合はその記録
  • 今後の管理方法

などを確認できる形にします。

改善結果報告は3か月以内

愛知県では、改善結果報告の提出期限は巡回指導実施日から3か月以内です。

期限の最終日が土曜・日曜・祝日に当たる場合は、その直前の平日までとなります。

ここで重要なのは、3か月以内にすべてを完璧にできなかった場合です。

愛知県の改善通知では、改善できなかった事項があっても、改善結果報告書自体は提出し、

  • 改善できなかった理由
  • 今後の見込み

を報告する扱いになっています。

「全部終わっていないから報告書を出さない」という対応は避けます。

指摘された内容によって改善方法は変わる

たとえば、次のように分けて考えます。

点呼記録の不備

記載方法に問題があるなら、現在使用する点呼記録簿を見直します。

誰が点呼するのか、何を確認するのか、どのように記録するのかを決め、改善後の帳票を実際に使用します。

ただし、過去に実施していない点呼を、後から実施したように記録することはできません。

運転者教育の未実施

初任運転者教育など、必要な教育を実施していなかった場合は、現在から必要な教育を進めます。

過去の日付に戻して実施済みの記録を作るのではなく、

  • 未実施だった期間
  • 現在実施した内容
  • 今後の管理方法

を分けて整理します。

変更届の未提出

車両、営業所、車庫、運行管理者などについて必要な手続きをしていなかった場合は、現在の事業計画と届出内容を確認します。

届出書を提出した場合は、受付を確認できる控えなどを改善報告の資料として用意します。

巡回指導でD・E評価になるとどうなる?

巡回指導は、確認項目のうち「適」と判定された割合などからA~Eの総合評価が行われます。

おおむね、

評価適の割合
A90%以上
B80%以上90%未満
C70%以上80%未満
D60%以上70%未満
E60%未満

という区分です。

D・E評価だからといって、1回で自動的に行政処分になるわけではありません。

ただし、2023年4月からD・E評価の営業所に対する巡回指導は重点化されています。

D・E評価となった営業所には、原則として半年ごとに巡回指導が行われ、改善状況を継続して確認されます。

D・E評価は「改善報告を出して終わり」ではない

たとえば今回D評価となり、改善結果報告書を提出したとします。

それでも、半年後の巡回指導で、

「指摘された直後だけ直して、その後は元に戻っている」

という状態では改善したとはいえません。

そのため、

  • 点呼方法を変更したなら現在も続いているか
  • 教育管理表を作ったなら現在も更新しているか
  • 定期点検を再開したなら現在も実施しているか
  • 届出内容と現在の状態が一致しているか

を継続して確認します。

改善報告書を作ることより、改善した運用を続けることが重要です。

監査につながるのはどんな場合?

巡回指導と監査は別のものです。

巡回指導は、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が営業所を訪問し、法令遵守状況を確認して改善指導を行うものです。

一方、監査は国土交通省の運輸局・運輸支局が行います。

巡回指導に関連して運輸支局へ情報提供され、監査につながる主なケースには次のようなものがあります。

  • 改善結果報告書を提出しない
  • 改善結果報告をしても指摘事項がすべて未改善
  • 3回連続してD・E評価となる
  • 悪質性の高い法令違反が確認される

つまり、

「巡回指導で1項目指摘された=監査」

ではありません。

改善指導に従わず、問題が続いている状態のほうが監査につながりやすくなります。

点呼を全くしていない場合などは別に考える

一方で、D・E評価を3回繰り返すまで何も起きないわけではありません。

国土交通省と適正化事業実施機関の連携制度では、巡回指導時に悪質性の高い状態が確認された場合、運輸支局へ速報する仕組みがあります。

たとえば、

  • 点呼を全く実施していない
  • 点呼記録が全くない
  • 運行管理者が全く選任されていない
  • 運行管理者の選任届を出していない
  • 整備管理者が全く選任されていない
  • 定期点検を全く実施していない
  • 定期点検の記録が全くない

といったケースです。

これらは、単なる記載漏れとは性質が違います。

「改善報告まで3か月あるから、その間に整えればよい」と考えるのではなく、巡回指導時点で国へ情報提供される可能性がある事項として扱います。

記録簿があるだけでも安心できない

点呼簿や定期点検の記録簿を用意していても、実際には何も記載されていない状態では問題になります。

また、実施していない内容を巡回指導前にまとめて記載しても、実態と合わなければ説明できません。

たとえば点呼については、

  • 運転日報
  • デジタコ
  • 勤怠記録
  • アルコール検知器の記録

などと照合することができます。

書類だけを後から整えるより、実際に何をしていたのかを確認することが先です。

3回連続D・E評価になると監査対象へ

現在の重点化制度では、D・E評価の営業所について半年ごとの巡回指導が行われます。

そして、3回連続してD・E評価となった場合は、国へ報告され、監査・処分の対象となる仕組みです。

イメージすると、

1回目:D・E評価
↓
改善報告・改善
↓ 約6か月
2回目:D・E評価
↓
改善報告・改善
↓ 約6か月
3回目:D・E評価
↓
運輸支局へ報告
↓
監査・処分対象

という流れです。

1回目の指摘を軽く考えず、その時点で管理方法そのものを見直しておく必要があります。

改善報告を出さない場合も監査につながる

総合評価だけでなく、改善報告の提出状況も重要です。

指摘事項があるにもかかわらず、改善結果報告書を提出しない場合は、運輸支局への報告対象となります。

また、

「改善結果報告書は出したが、指摘された項目がすべて未改善」

という場合も同様に問題になります。

一部が改善できていないだけなら、改善できなかった理由や今後の見込みを記載して報告します。

報告自体を止めないことが重要です。

巡回指導と行政処分は同じではない

巡回指導で「否」が付いた時点で、車両停止の日数が決まるわけではありません。

行政処分は、運輸局・運輸支局の監査で法令違反が確認された場合などに、行政処分基準に基づいて判断されます。

そのため、

「巡回指導で点呼を指摘されたから○日車」

のように単純には決まりません。

違反内容、程度、違反回数、他の違反などによって扱いが変わります。

巡回指導の段階では、まず指摘事項を改善し、監査へ進む状態を作らないことを優先します。

指摘されたらこの順番で確認する

巡回指導後は、次の順番で進めると整理しやすくなります。

  1. 巡回指導報告書・改善通知を確認する
  2. 指摘事項を一覧にする
  3. 書類不備・手続き漏れ・実施未了に分ける
  4. すぐ改善できる事項を直す
  5. 必要な届出・報告を進める
  6. 点呼・教育・点検など現在の運用を改善する
  7. 改善後の記録を残す
  8. 改善を確認できる資料をそろえる
  9. 3か月以内に改善結果報告書を提出する
  10. その後も改善後の運用を継続する

特にD・E評価だった場合は、半年後の再度の巡回指導まで続けることを前提に管理します。

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まとめ

巡回指導で指摘を受けても、一度の指摘だけで直ちに監査や行政処分になるわけではありません。

まず、指摘された事項を実際に改善し、愛知県では巡回指導実施日から3か月以内に改善結果報告書を提出します。

改善が全部終わっていなくても、報告書自体を出さずに放置するのではなく、改善できなかった理由と今後の見込みを報告します。

一方、改善報告を提出しない、指摘事項がすべて未改善、D・E評価を3回連続して受けるといった場合は、運輸支局へ報告され、監査につながる仕組みがあります。

また、点呼を全くしていない、運行管理者を選任していない、定期点検を全くしていないなど、悪質性の高い状態については、巡回指導の段階で運輸支局への速報対象となる場合があります。

指摘されたら「書類だけ直す」のではなく、その指摘が生じた運用そのものを直すことが重要です。

巡回指導で指摘を受けた方へ

「指摘事項が多く、何から直せばいいか分からない」

「変更届や事業報告書の未提出も見つかった」

「改善結果報告書へ何を添付すればよいか整理できない」

という場合は、まず巡回指導報告書と現在の帳票、届出状況を分けて確認します。

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、一般貨物自動車運送事業の許可後手続きに対応しています。

巡回指導の指摘事項を確認し、変更届や報告書など行政書士が対応できる手続きと、会社自身で改善する必要がある運行管理・労務管理を分けて整理します。

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出典

一般社団法人 愛知県トラック協会|貨物自動車運送事業の改善事項及び総合評価について

一般社団法人 愛知県トラック協会|巡回指導総合評価D・E事業者(営業所)に係わる巡回指導の重点化について

国土交通省|悪質事業者に対する地方適正化実施機関の巡回指導の重点化

公益社団法人 全日本トラック協会|地方貨物自動車運送適正化事業実施機関からの悪質性の高い営業所に係る巡回指導結果の報告等の強化について

この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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