巡回指導とは?いつ来る・何を確認されるのかを解説

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

運送業の許可を受けた後は、貨物自動車運送適正化事業実施機関による巡回指導が行われます。

巡回指導では、営業所や車庫が許可内容どおりに使われているか、点呼・運転日報・運転者教育・車両整備などが適切に行われているかを、帳票や現場の状況から確認します。

通常は事前に連絡があるため、突然来てその場で処分されるものではありません。ただし、帳票を当日だけ整えるのではなく、日々の運行実態と記録が一致していることが大切です。

巡回指導とは?運送会社が確認されるポイント

巡回指導は、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員が、運送会社の営業所を訪問して行う指導です。

都道府県トラック協会が地方実施機関として指定されており、愛知県では愛知県貨物自動車運送適正化事業実施機関が担当します。

主な目的は、一般貨物自動車運送事業者が関係法令を守り、安全な輸送を続けられるよう、営業所の管理状況を確認して改善を促すことです。

運送会社がトラック協会へ加入しているかどうかにかかわらず、巡回指導の対象になる可能性があります。

確認は営業所単位で行われます。同じ会社に複数の営業所がある場合、営業所ごとに点呼、運転者、車両、運行管理などの状況が確認されます。

巡回指導は、書類が置いてあるかだけを確かめるものではありません。

たとえば、点呼記録簿が保存されていても、実際の乗務時刻と点呼時刻が合わない場合や、運行管理者が不在の時間帯に対面点呼をした記録になっている場合は、運用実態を確認されます。

巡回指導はいつ来る?対象になる運送会社と流れ

既存の営業所に対する通常の巡回指導は、2年に1回を目安として計画的に実施されています。

ただし、すべての営業所へ必ず2年ごとの同じ時期に来るわけではありません。過去の指導結果、営業所の状況、苦情や事故、行政からの要請などによって実施時期が変わることがあります。

巡回指導の主な実施時期は、次のように分けられます。

対象となる営業所実施時期の目安
新規許可を受けた事業者運輸開始届出後1か月以降3か月以内
既存の一般的な営業所2年に1回を目安
D・E評価が続く営業所原則として半年ごとの重点的な巡回指導
行政から指導要請があった営業所要請内容に応じて実施
Gマークの申請に関係する営業所申請・評価に必要な時期に実施される場合がある

新規許可事業者への早期巡回指導は、許可を取ったときにそろえていた人員・車両・営業所などが、運輸開始後も許可基準を満たしているかを早い段階で確認するものです。

許可申請時に書類をそろえていても、運輸開始後に運行管理者が退職した、車庫の使い方が変わった、点呼や運転者教育を始めていないといった状態では、指摘を受ける可能性があります。

また、2023年4月からは、巡回指導の総合評価がD・Eとなった営業所に対する指導が重点化されています。

D・E評価となった営業所には、前回の巡回指導から半年後を目安に、再度巡回指導が行われます。3回続けてD・E評価となった場合や、指摘事項について3か月以内に改善結果を報告しない場合などは、地方実施機関から運輸支局へ報告される対象になります。

したがって、前回の巡回指導で指摘を受けている場合は、「次は2年後」と考えず、改善期限と次回の確認時期を管理する必要があります。

巡回指導の通知が来たら何をする?

巡回指導は、通常、実施機関から文書や電話などで事前に連絡があり、訪問日時の調整が行われます。

通知の方法や、訪問日までの日数は一律ではありません。通知を受けたら、実施日時、対象営業所、準備を求められた資料、当日の対応者を確認してください。

最初に行うのは、通知に記載された書類を机の上へ並べることではなく、許可内容と現在の実態に違いがないかを整理することです。

次の項目を順番に確認します。

  • 営業所・車庫・休憩睡眠施設が許可内容どおりか
  • 配置車両数が届出内容と一致しているか
  • 役員、運行管理者、整備管理者などの変更届が済んでいるか
  • 事業報告書と事業実績報告書を提出しているか
  • 点呼、運転日報、運行記録計、運行指示書の記録がそろっているか
  • 運転者台帳と車両台帳が更新されているか
  • 運転者教育、適性診断、健康診断を実施しているか
  • 日常点検、定期点検、整備管理者研修の記録があるか
  • 就業規則、36協定、社会保険・労働保険の手続きが済んでいるか
  • 運輸安全マネジメントに関する取組を行っているか

書類が不足している場合は、実施していない内容を後から実施したように作り直してはいけません。

まず、記録が別の場所に保管されていないかを確認します。そのうえで、未実施なのか、実施したものの記録が不足しているのか、記載方法を間違えているのかを分けてください。

当日だけ形式を整えても、運転日報、点呼記録簿、運行記録計の記録、出勤簿などを照合したときに内容が合わなければ、実態と異なる記録と判断されるおそれがあります。

巡回指導では何を確認される?

巡回指導では、38の指導項目と13の自主点検項目に基づいて確認が行われます。

主な確認分野は、次のとおりです。

確認分野主な確認内容
事業計画営業所・車庫・休憩睡眠施設、配置車両、役員等の変更
帳票・報告事故記録、運転者台帳、車両台帳、事業報告書、事業実績報告書
車両管理整備管理者、整備管理規程、日常点検、定期点検、点検整備記録簿
労務管理就業規則、36協定、労働時間、休日、健康診断
法定福利労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険
運行管理運転日報、運行記録計、運行指示書、乗務割、過労防止、過積載防止
点呼乗務前・乗務後・中間点呼、酒気帯び確認、点呼記録の保存
運転者教育一般的な指導監督、初任・高齢・事故惹起運転者への特別な指導、適性診断
管理者運行管理者・整備管理者の選任届、講習・研修の受講
運輸安全マネジメント安全方針、目標、取組、結果の確認と見直し

当日は、帳票の提示と担当者への質問を通じて確認が進みます。必要に応じて、営業所、車庫、休憩睡眠施設、掲示物、点呼場所、アルコール検知器などの現場も確認されます。

特に注意したいのは、複数の記録を照合したときの食い違いです。

たとえば、運転日報には午前5時出庫と記載されているのに、点呼記録簿では午前6時に乗務前点呼を行ったことになっていれば、出庫前に点呼を行ったとは確認できません。

また、運転者台帳に初任運転者としての記載があるのに、特別な指導や適性診断の記録がなければ、必要な教育を行ったか確認されます。

一つの書類を単独で見るのではなく、点呼、乗務、勤務、教育、車両の記録が一連の業務としてつながっているかを確認しておく必要があります。

巡回指導と監査の違いとは?

巡回指導と運輸支局による監査は、実施する機関と目的が異なります。

比較項目巡回指導監査
主な実施者都道府県トラック協会の地方適正化事業実施機関国土交通省・地方運輸局・運輸支局
主な目的法令遵守状況の確認、指導、改善の促進法令違反の有無を確認し、行政処分等を判断
実施時期計画的な巡回、新規許可後、重点化対象など重大事故、法令違反の疑い、通報、巡回指導結果などに基づく
結果総合評価、指摘事項、改善結果報告文書警告、車両使用停止、事業停止、許可取消しなどにつながる場合がある
行政処分巡回指導だけで直接処分を行うものではない違反が確認されれば行政処分等の対象になる

巡回指導で指摘を受けただけで、直ちに車両停止などの行政処分が行われるわけではありません。

一方で、点呼を全く行っていない、運行管理者や整備管理者が選任されていない、定期点検を全く行っていないといった重大・悪質な違反が確認された場合は、地方実施機関から運輸支局へ速報されることがあります。

また、正当な理由なく巡回指導を拒否した営業所、新規巡回指導で許可基準を逸脱するような悪質な事業計画違反が疑われる営業所、社会保険等が未加入の営業所なども、運輸支局への報告対象になる可能性があります。

巡回指導は監査そのものではありませんが、重大な違反を放置すれば監査につながることがあります。指摘事項があったときは、期限内に改善し、求められた改善結果報告書を提出してください。

よくある質問

Q
巡回指導は抜き打ちで来ますか?
A

通常の巡回指導は、文書や電話などで事前に連絡し、訪問日時を調整して行われます。ただし、連絡方法や通知から訪問までの日数は地域や巡回の種類によって異なります。通知が届いたら、対象営業所、日時、準備書類、対応者を確認してください。

Q
トラック協会へ加入していなくても巡回指導は来ますか?
A

巡回指導は、都道府県トラック協会への加入状況だけで対象が決まるものではありません。地方適正化事業実施機関は、貨物自動車運送事業法に基づいて運送事業者への指導を行います。

Q
新規許可を取った後は、いつ巡回指導が行われますか?
A

新規許可事業者への早期巡回指導は、運輸開始届出後1か月以降3か月以内に行う取扱いです。許可申請時の内容どおりに営業所、車庫、車両、人員が配置されているか、点呼や運転者教育などを開始しているかを確認します。

Q
巡回指導には社長が立ち会う必要がありますか?
A

必ず社長だけが対応するとは限りませんが、許可内容、点呼、車両管理、労務管理などについて説明できる人が必要です。運行管理者、整備管理者、経理・労務担当者など、確認分野に応じて資料の所在と説明担当者を決めてください。

Q
書類を会社の本社で一括保管していてもよいですか?
A

営業所で備え付け、記録、保存することが求められる帳票があります。本社にデータがあるというだけで足りるとは限りません。対象営業所で必要な記録を提示できるか、帳票ごとの保存場所と保存期間を確認してください。

Q
巡回指導で指摘されたら、すぐに監査になりますか?
A

軽微な記載不備を指摘されたことだけで、直ちに監査になるわけではありません。ただし、重大・悪質な違反が確認された場合、改善結果を報告しない場合、D・E評価が続く場合などは、運輸支局への速報・報告や監査につながる可能性があります。

まとめ

巡回指導は、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が営業所を訪問し、運送会社の法令遵守状況を確認して改善を促すものです。

既存の営業所には2年に1回を目安として実施され、新規許可事業者には運輸開始届出後1か月以降3か月以内に早期巡回指導が行われます。D・E評価となった営業所は、半年ごとの重点的な巡回指導の対象になることがあります。

確認されるのは、点呼記録簿や運転日報だけではありません。営業所・車庫、変更届、報告書、車両整備、労務管理、運転者教育、健康診断、社会保険、運輸安全マネジメントなど、許可後の運営全体が対象です。

通知が届いてから書類を作り始めるのではなく、許可内容と現在の実態、各帳票の記録内容が一致しているかを日頃から確認しておくことが、巡回指導への最も確実な準備になります。

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巡回指導前に許可内容と帳票を整理します

巡回指導の通知が届いても、点呼記録簿、運転日報、運転者台帳、車両台帳などが社内の複数箇所に分かれていると、短期間ですべてを確認するのは簡単ではありません。

いしかわ行政書士事務所では、現在の許可・届出内容と営業所の実態を確認し、変更届や報告書の提出漏れ、巡回指導で提示する帳票の整理を承ります。

碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、三河地域・愛知県内の運送会社からのご依頼に対応しています。

巡回指導の通知が届いたものの、何から確認すればよいか分からない場合は、通知書、許可書、過去の届出控え、現在使用している帳票をご用意のうえお問い合わせください。

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出典

愛知県トラック協会「適正化事業実施機関」
愛知県トラック協会「適正化事業とは?」
国土交通省近畿運輸局「適正化事業の概要」
国土交通省近畿運輸局「地方実施機関による巡回指導の総合評価がD・Eの事業者への対応」

この記事は、2026年8月時点の法令および公的機関の案内をもとに作成しています。巡回指導の通知方法、実施時期、当日に求められる資料は、営業所の状況や地方実施機関の運用によって異なる場合があります。

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