この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
一般貨物自動車運送事業を営んでいて決算が終わったら、まず確認したいのが事業報告書です。
ただし、運送会社には名前のよく似た「事業実績報告書」もあります。
この2つは、決算が終わったときにまとめて提出する同じ種類の書類ではありません。
事業報告書は、自社の事業年度を基準にして決算後100日以内に提出します。
一方、事業実績報告書は決算月とは関係なく、前年4月1日から当年3月31日までの輸送実績をまとめ、毎年7月10日までに提出します。
つまり、決算が終わった会社が最初に見るべきなのは「自社の決算日」と「今年の7月10日」の2つです。
決算が終わったら事業報告書の期限を確認する
一般貨物自動車運送事業者の事業報告書は、毎事業年度の経過後100日以内に提出します。
会社ごとに決算月が違うため、提出期限も会社ごとに変わります。
たとえば3月31日決算の場合、2026年3月31日に終了した事業年度の事業報告書は、原則として2026年7月9日までとなります。
「決算が終わったから3か月以内」「税務申告と同じ期限」と考えないようにします。
税務上の申告期限とは別に、貨物自動車運送事業の報告期限として100日を数える必要があります。
事業報告書では、主に次の書類を使って会社の経営・財務状況を報告します。
- 事業概況報告書
- 一般貨物自動車運送事業損益明細表
- 一般貨物自動車運送事業人件費明細表
- 貸借対照表
- 損益計算書
そのため、決算書が完成した段階は事業報告書の準備を始めるタイミングでもあります。
事業実績報告書は決算とは別に7月10日まで
もう一つの事業実績報告書は、会社の決算期間を基準にしません。
対象となるのは、前年4月1日から当年3月31日までの輸送実績です。
提出期限は毎年7月10日です。
たとえば12月決算の会社でも、9月決算の会社でも、事業実績報告書については4月1日から3月31日までの期間で集計します。
そのため、
「決算がまだ来ていないから事業実績報告書もまだ先」
とは考えられません。
事業実績報告書では、財務資料ではなく、実際にどれだけ車両を稼働させ、どれだけ運送したかという実績をまとめます。
運転日報や車両関係の記録などを確認しながら、対象期間の数字を集計していくことになります。
事業報告書と事業実績報告書はどちらを出す?
一般貨物自動車運送事業者であれば、「どちらかを選ぶ」という考え方ではありません。
それぞれ対象期間と提出期限が異なる別の報告です。
| 確認項目 | 事業報告書 | 事業実績報告書 |
|---|---|---|
| 主に何を報告するか | 経営・財務状況 | 輸送実績 |
| 対象期間 | 自社の事業年度 | 前年4月1日~当年3月31日 |
| 提出期限 | 事業年度終了後100日以内 | 毎年7月10日 |
| 決算月の影響 | 受ける | 受けない |
| 主な資料 | 決算書など | 運行・車両・輸送実績の記録など |
決算が終わった直後であれば、まず事業報告書の100日以内という期限を確認します。
同時に、7月10日が近い時期なら事業実績報告書の準備状況も確認します。
3月決算の会社は2つの期限がほぼ重なる
特に注意したいのが3月決算の運送会社です。
3月31日決算の場合、事業報告書の提出期限は100日後の7月上旬になります。
事業実績報告書も7月10日までです。
つまり、この時期には、
- 決算資料を基に事業報告書を作る
- 4月から翌年3月までの輸送実績を集計する
- それぞれ別の様式に記載する
という作業がほぼ同時に発生します。
名前も期限も近いため、「事業報告書を出したから今年の報告は終わり」と勘違いしやすいところです。
3月決算の会社では、最初から2本の提出物として管理したほうが分かりやすくなります。
3月決算以外なら提出時期が分かれることがある
たとえば12月決算の会社なら、事業報告書は12月末の事業年度終了後100日以内に提出します。
その後、別途7月10日までに事業実績報告書を提出します。
この場合は提出時期が離れるため、今度は事業実績報告書そのものを忘れやすくなります。
「決算後に一度だけ報告する」と管理するのではなく、
- 決算日から100日
- 毎年7月10日
を別々の年間予定として管理するのが分かりやすい方法です。
決算が終わった今、最初に確認する3つ
決算が終わったばかりなら、いきなり様式へ入力するより、先に次の3点を確認します。
1.今回終了した事業年度の期間
まず自社の事業年度を確認します。
事業報告書は、その事業年度に対応した報告だからです。
決算書に記載された期間と、事業報告書で報告しようとしている期間が一致しているかを確認します。
2.100日後の提出期限
次に、事業年度終了日の翌日から期限を確認します。
特に3月決算では7月10日の事業実績報告書と期限が近いため、2つを混同しないようにします。
3.今年の事業実績報告書を提出したか
決算が終わった時期によっては、事業実績報告書の期限も近づいている可能性があります。
「事業報告書の準備をしているから大丈夫」ではなく、事業実績報告書についても別に提出状況を確認します。
この3点を最初に整理すると、どの報告を今進めるべきか判断しやすくなります。
決算書だけでは事業実績報告書は作れない
2つの報告書を同じものだと思っていると、決算書が完成してから全部作ろうとしてしまうことがあります。
しかし、事業実績報告書で必要になるのは輸送実績です。
決算書だけを見ても、必要な数字をすべて確認できるとは限りません。
運行や車両に関する記録を別に確認する必要があります。
逆に、事業報告書では決算内容に基づく資料が中心になります。
社内でも、
- 経理で管理している資料
- 運行管理側で管理している資料
が分かれている会社では、提出直前に集めようとすると時間がかかります。
2つの報告書は期限だけでなく、元になる資料も分けて考えておくと準備しやすくなります。
決算後100日を過ぎていたら放置しない
この記事を読んだ時点ですでに事業報告書の期限を過ぎている場合は、そのまま次年度まで待つものではありません。
まず、
- どの事業年度が未提出なのか
- 事業報告書だけなのか
- 事業実績報告書にも未提出があるのか
- 過去の提出控えが残っているか
を確認します。
何年分か分からなくなっている場合は、先に過去の提出状況を整理したほうがよいでしょう。
数字を推測して帳尻だけ合わせるのではなく、当時の決算資料や運行記録など、残っている資料を基に整理します。
事業報告書と事業実績報告書を提出するときの順番
決算が終わった会社なら、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 自社の決算日を確認する
- 事業報告書の100日以内の期限を確認する
- 決算書など事業報告書に必要な資料をそろえる
- 今年の事業実績報告書の提出状況を確認する
- 4月1日から3月31日までの輸送実績を集計する
- それぞれ別の報告書として作成する
- 管轄の運輸支局へ提出する
最初から「年次報告」という一つの作業にまとめるより、事業報告書と事業実績報告書の2本に分けて進めたほうが、対象期間や数字の取り違えを防ぎやすくなります。
関連記事
運送業の報告書を出し忘れた|今から提出する?まず何を確認する?
運送会社の手続き、漏れていない?変更届・報告書・車両管理を確認
運送業の報告書作成を整理したい方へ
決算が終わったものの、
「事業報告書をどこまで作ればよいか分からない」
「事業実績報告書を今年出したか確認できない」
「経理資料と運行資料が分かれていて数字をまとめにくい」
という場合は、提出期限が近づく前に対象期間と必要資料を整理しておくことが大切です。
いしかわ行政書士事務所では、運送業の許可後手続きや報告書について、現在の状況を確認したうえで必要な手続きを整理します。
碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に対応しています。
すでに期限を過ぎている場合も、まず未提出の対象期間と手元にある資料から確認します。
お問い合わせはこちら
「運送業新規許可・許可後手続きのお問い合わせ」 ご依頼の流れや料金案内をしております。ご相談だけでも構いませんのでお気軽にお尋ねください
まとめ
決算が終わった運送会社がまず確認するのは、事業報告書です。
事業報告書は自社の事業年度終了後100日以内に提出します。
一方、事業実績報告書は決算とは別に、前年4月1日から当年3月31日までの輸送実績について毎年7月10日までに提出します。
特に3月決算の会社は2つの期限が7月上旬に重なるため、一方だけ提出して終わりにしないよう注意が必要です。
決算日から100日と毎年7月10日。この2つを別々に管理しておくと、年次報告を整理しやすくなります。
出典
国土交通省 中部運輸局「様式(申請・届出・報告)|貨物自動車運送事業(緑ナンバー)」
国土交通省「貨物自動車運送事業法|事業報告書及び事業実績報告書の提出」
国土交通省 近畿運輸局「一般貨物自動車運送事業」
国土交通省「貨物自動車運送事業報告規則」
この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
