事業報告書・事業実績報告書を出したい|提出前に何を集める?

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

一般貨物自動車運送事業者が毎年提出する「事業報告書」と「事業実績報告書」は、名前は似ていますが、作成するときに集める資料が違います。

事業報告書は、主に決算や会社の状況に関する資料から作ります。

事業実績報告書は、車両の稼働や走行距離、輸送量など、実際の運送実績を集計して作ります。

そのため、提出期限が近くなってから「とりあえず決算書を出せば作れる」と考えると、途中で資料が足りなくなることがあります。

最初に、

  • 事業報告書用の資料
  • 事業実績報告書用の資料

を分けて集めるところから始めます。

まず前年度の提出控えを探す

新しく報告書を作り始める前に、前年度の提出控えが残っているか確認します。

前年の控えがあれば、

  • どの営業所を記載していたか
  • 車両数をどのように集計していたか
  • 運送事業以外の事業をどのように区分していたか
  • 利用運送を記載していたか
  • 前年の数値と今年の数値に大きな変化がないか

を確認できます。

前年と数字が違うこと自体は問題ではありません。

ただし、車両を増やしていないのに車両数が大きく変わっているなど、理由の分からない差がある場合は、集計範囲を間違えていないか確認できます。

前年度の控えが見つからなくても作成はできますが、まず社内の書類やデータを確認しておくと、その後の作業が進めやすくなります。

事業報告書を出したいなら決算関係の資料を集める

事業報告書は、毎事業年度終了後100日以内に提出します。

提出するのは、主に次の書類です。

  • 事業概況報告書
  • 一般貨物自動車運送事業損益明細表
  • 一般貨物自動車運送事業人件費明細表
  • 貸借対照表
  • 損益計算書

したがって、まず会社の決算資料をそろえます。国土交通省の資料でも、これらが事業報告書の報告書類として示されています。

決算書

最初に用意したいのは、その事業年度の貸借対照表と損益計算書です。

事業報告書は事業年度単位で作るため、対象となる決算期のものを用意します。

複数年分の決算書が並んでいる場合は、今回報告する事業年度と一致しているか確認します。

会社・役員・株主に関する情報

事業概況報告書を作るため、会社の基本情報も確認します。

役員や株主に変更があった会社では、前年の報告書をそのまま写すのではなく、今回の報告時点で記載すべき内容を確認します。

登記事項証明書、株主名簿、社内の役員情報など、現在の会社情報を確認できる資料を用意しておくと整理しやすくなります。

人件費を確認できる資料

一般貨物自動車運送事業人件費明細表を作るには、人件費の内容を確認する必要があります。

会社によって管理方法は異なりますが、

  • 賃金台帳
  • 給与データ
  • 法定福利費を確認できる資料
  • 人員数を確認できる資料

などを準備します。

決算書に「人件費」としてまとまった数字が載っていても、報告書で必要になる区分まで分けられない場合があります。

経理担当者だけで判断せず、給与関係の資料まで確認できるようにしておきます。

運送業以外の売上がある会社は区分できる資料も確認する

ここは、決算書を用意しただけでは止まりやすいところです。

一般貨物自動車運送事業以外の事業も行っている会社では、会社全体の売上や費用と、運送事業に関する数字がそのまま一致しない場合があります。

たとえば、

  • 倉庫業
  • 自動車整備
  • 販売事業
  • その他の兼業

などを行っている会社です。

この場合、会計データや部門別集計などから、どこまで運送事業分を確認できるかを見ます。

「決算書があるから事業報告書もすぐ作れる」とは限りません。

兼業がある会社では、どの数字を運送事業として集計するか確認できる状態にすることが先になります。

事業実績報告書を出したいなら運行関係の資料を集める

事業実績報告書は、前年4月1日から当年3月31日までの実績について、毎年7月10日までに提出します。

会社の決算期とは別です。

事業実績報告書では、たとえば次のような実績を報告します。

  • 車両数
  • 実働車両数
  • 走行キロ
  • 実車キロ
  • 輸送量
  • 営業収入
  • 利用運送量
  • 事故件数

国土交通省が公開している事業実績報告書のデータ項目にも、延実在車両数、延実働車両数、走行キロ、実車キロ、実運送量、利用運送量、営業収入、交通事故件数などが含まれています。(国土交通省)

そのため、決算書だけではなく、実際の運行記録を集めます。

車両数を確認できる資料

まず、対象期間中に事業用自動車として使用していた車両を確認します。

たとえば、

  • 車両台帳
  • 車検証情報
  • 増車・減車の控え
  • 営業所別の車両管理表

などです。

現在の車両数だけを見るのではなく、報告対象期間中にどの車両を使用していたかを確認する必要があります。

年度途中で増車・減車・入替をしている会社は特に注意します。

走行キロ・実車キロを確認できる資料

事業実績報告書では、単に「何台持っているか」だけではなく、実際の運行実績を集計します。

そのため、

  • 運転日報
  • デジタコの記録
  • 運行管理システムのデータ
  • 配車・運行記録

など、走行実績を確認できる資料を用意します。

ここで確認したいのが、走行キロと実車キロを分けて集計できるかです。

「年間で何キロ走ったか」という総走行距離だけしか記録していない場合、報告書に必要な区分をそのまま出せないことがあります。

提出時期になって初めて気付くより、集計できるデータが残っているかを先に確認します。

輸送量を確認できる資料

運送した貨物の数量についても集計します。

会社によって使える資料は異なりますが、

  • 運送伝票
  • 配送実績
  • 請求データ
  • 配車システム
  • 輸送管理システム

などから確認します。

荷主ごとの請求額だけ管理していて、輸送トン数を集計していない会社もあります。

この場合は、どの記録から報告対象となる輸送量を確認できるかを先に整理します。

利用運送をしている会社は自社運送と分けて確認する

自社のトラックですべて運んでいる会社と、他の運送会社へ運送を委託している会社では、集計する内容が変わります。

利用運送をしている場合は、

  • 自社車両で運んだもの
  • 他社へ委託したもの

を区別できる資料を用意します。

請求書や配車データだけでは区分が分かりにくい場合は、傭車・外注先への支払記録なども確認します。

全部を同じ「運送実績」として集計してしまわないようにします。

事故件数も忘れずに確認する

事業実績報告書では、交通事故件数についても記載します。

売上や走行距離だけ集計して終わりではありません。

事故記録や社内の事故報告書などから、対象期間中の事故について確認します。

「事故はなかったと思う」で記入するのではなく、対象期間の記録を確認してから判断します。

提出前に集めるものを一覧にするとこうなる

確認する資料事業報告書事業実績報告書
前年度の提出控え○○
貸借対照表○
損益計算書○
会計データ○○
役員・株主情報○
賃金台帳・給与資料○
車両台帳○
増車・減車の記録○
運転日報○
デジタコ・運行データ○
輸送記録○
売上・請求データ○○
利用運送・外注の資料△○
事故記録○

この表を見て資料がそろっていれば、実際の報告書作成に進みやすくなります。

反対に、一部の数字を確認できない場合は、先に「どの資料からその数字を出すか」を決めます。

資料を集めるときは対象期間をそろえる

資料そのものがそろっていても、期間が違っていると数字が合いません。

特に注意したいのが、

事業報告書は自社の事業年度、

事業実績報告書は4月1日から翌年3月31日、

という違いです。

たとえば12月決算の会社では、事業報告書は1月から12月の決算資料を使うことがありますが、事業実績報告書は4月から翌年3月までの実績を集計します。

同じ会社でも集計期間がずれます。

経理データをそのまま流用するときは、どちらの期間を集計している数字なのか確認します。

資料が全部そろわないときは、足りない数字を先に特定する

報告書を作ろうとして、

「運転日報が全部そろっていない」

「輸送トン数を集計したことがない」

「利用運送の数字が分かれていない」

ということもあります。

この場合、最初からすべての資料を集め直すのではなく、報告書の各項目について、

  • 今ある資料で確認できる
  • 別のデータから集計できる
  • 社内の別担当者が持っている
  • 現状では確認できない

と分けます。

不足している項目が分かれば、探す資料も絞れます。

「何となく書類が足りない」という状態のまま探し続けるより、報告書の項目から逆算したほうが早く整理できます。

まずこの順番で集める

これから事業報告書・事業実績報告書を作るなら、次の順番で進めます。

  1. 前年度の提出控えを確認する
  2. 今回提出する報告書と対象期間を確認する
  3. 決算書を用意する
  4. 役員・株主・人件費関係の資料を用意する
  5. 車両台帳と増減車の記録を用意する
  6. 運転日報やデジタコの記録を用意する
  7. 輸送量・走行距離を確認できるデータを用意する
  8. 利用運送があれば委託分を分ける
  9. 事故記録を確認する
  10. 不足している項目だけ追加で資料を探す

先にこの状態まで整理してから様式へ入力すると、途中で何度も資料探しに戻るのを減らせます。

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まとめ

事業報告書と事業実績報告書では、提出前に集める資料が違います。

事業報告書なら、まず決算書、会社情報、人件費関係の資料を確認します。

事業実績報告書なら、車両台帳、運転日報、輸送記録、走行距離、利用運送、事故記録などを確認します。

最初から様式へ書き始めるより、「どの項目をどの資料から集計するか」を決めてから作成したほうが手戻りを減らせます。

特に、運送業以外の事業も行っている会社、車両の増減が多い会社、利用運送を行っている会社は、数字の集計方法まで先に確認しておくと進めやすくなります。

事業報告書・事業実績報告書を作りたい方へ

報告書そのものを書く前に、必要な数字をどこから集めるか整理する必要があります。

「決算書はあるが、どこまで資料が必要か分からない」

「走行距離や輸送量をどの資料から出せばよいか分からない」

「過去の報告書も含めて提出状況を整理したい」

といった場合は、まず手元にある資料と不足している数字を確認します。

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、一般貨物自動車運送事業の許可後手続きに対応しています。

手元にある決算資料や運行資料を確認しながら、事業報告書・事業実績報告書の作成に必要な資料を整理します。

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出典

国土交通省 中部運輸局|様式(申請・届出・報告)|貨物自動車運送事業(緑ナンバー)

国土交通省 関東運輸局|事業報告書、事業実績報告書の提出について

国土交通省 近畿運輸局|事業計画等を変更する場合の諸手続及び報告書類の提出について

この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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