この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
この記事は行政書士が監修しています。いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
特定技能1号で外国人をトラックドライバーとして雇いたい場合、外国人本人が試験に合格していれば、そのまま採用できるわけではありません。
運送会社側にも準備が必要です。
特に確認したいのは、
- 自社が特定技能外国人を受け入れられる運送事業者か
- 働きやすい職場認証またはGマークを取得しているか
- 自動車運送業分野特定技能協議会へ加入しているか
- 1号特定技能外国人の支援を自社で行うか、登録支援機関へ委託するか
- 雇用条件を特定技能の基準に合わせているか
- 外国人本人が試験・日本語・運転免許の要件を満たしているか
- 実際に乗務を始めるまでの運行管理を準備できているか
です。
「採用する人を探してから会社側の準備をする」より、先に自社の受入れ条件を確認したほうが進めやすくなります。
最初に会社が特定技能ドライバーを受け入れられるか確認する
自動車運送業分野では、特定技能1号による外国人ドライバーの受入れが認められています。
トラック事業者の場合、受入れ事業者側にも要件があります。
まず、自社が一般貨物自動車運送事業など必要な自動車運送事業を適法に行っていることを前提に、特定技能制度固有の条件を確認します。
特に重要なのが、
- 働きやすい職場認証制度
- Gマーク制度
です。
トラック事業者については、これらのいずれかの認証取得等が受入れ事業者の要件として示されています。
Gマークがないと採用できない?
Gマークだけが唯一の方法ではありません。
トラック事業者の場合は、
「働きやすい職場認証制度」
または
「Gマーク制度」
の認証取得等で要件を確認します。
そのため、
「Gマークを持っていないから特定技能ドライバーを絶対に採用できない」
とは限りません。
一方、どちらの認証も取得していない場合は、外国人本人の採用手続きを進める前に、会社側の認証取得から考える必要があります。
外国人候補者を決めてから認証が必要だと気づくと、実際の乗務開始まで時間がかかります。
自動車運送業分野特定技能協議会へ加入する
特定技能で外国人ドライバーを受け入れる会社は、自動車運送業分野特定技能協議会への加入も確認します。
国土交通省では、受入事業者である特定技能所属機関向けに加入届出の受付を行っています。
加入届出が受理されると、協議会構成員資格証明書が発行されます。
ここは採用スケジュールを考えるうえで注意したいところです。
国土交通省は、届出内容の確認には1か月程度を要する見込みとしており、不備があればさらに時間がかかる可能性があると案内しています。
そのため、
「外国人の入社日が決まってから加入すればよい」
ではなく、受入れを具体的に考え始めた段階で準備します。
外国人本人の要件も会社側で確認する
会社の準備だけ整っても、候補者本人が特定技能トラックの要件を満たしていなければ乗務できません。
主に確認するのは、
- 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)
- 日本の第一種運転免許
- 日本語能力
- 特定技能1号としての在留資格
です。
トラック区分の日本語については、現在、日本語能力試験N4または日本語基礎テストなど、A2.2相当以上の日本語能力が基準として示されています。
ただし、試験に合格していることと、会社のトラックへ実際に乗務できることは別です。
日本の免許区分と担当車両も確認します。
第一種免許があればどのトラックでも乗れるわけではない
特定技能トラックの人材基準では、日本の第一種運転免許が求められます。
しかし、
「第一種免許を持っている」
だけで大型トラックまで運転できるわけではありません。
たとえば本人が普通免許しか持っていなければ、普通免許で運転できる範囲を超えるトラックには乗せられません。
会社側では、
- 普通
- 準中型
- 中型
- 大型
- けん引
など、本人の免許区分を確認し、担当させる車両の車検証と照合します。
特定技能の要件確認と、実際の配車判断は分けて行います。
日本の運転免許をまだ持っていない外国人を採用する場合
海外から採用する外国人など、日本の運転免許をまだ取得していない場合があります。
自動車運送業分野では、日本の運転免許取得などの準備を行うための「特定活動」が設けられています。
トラック運転者の場合、この準備期間は最長6か月とされています。
この期間に、
- 日本の運転免許取得
- 外国免許から日本免許への切替
- 必要な準備
を進めます。
ただし、この準備期間に入国したからといって、特定技能トラックドライバーとしてすぐ営業運行できるわけではありません。
会社側では、
「採用日」
「日本免許を取得する日」
「特定技能として乗務を開始する日」
を分けて予定します。
雇用条件を先に決める
特定技能外国人を受け入れる場合は、雇用契約の内容も基準を満たす必要があります。
会社側では、
- 担当する業務
- 勤務場所
- 所定労働時間
- 賃金
- 休日
- 社会保険
- 各種手当
- 退職に関する事項
などを整理します。
特定技能外国人だから日本人より安い賃金で雇うという制度ではありません。
従事する業務や経験などを踏まえ、日本人が同等の業務へ従事する場合と比較して適切な報酬となるよう確認します。
トラック運転以外に何をさせられる?
自動車運送業分野のトラック区分では、主な業務として運行業務と荷役業務が示されています。
そのため、トラックを運転するだけでなく、運送業務に付随する荷役等も対象となります。
ただし、
「運送会社で雇ったから会社の仕事を何でもさせてよい」
ということではありません。
実際の担当業務が特定技能の自動車運送業分野で認められる範囲かを確認し、雇用契約書にも実際の仕事内容を反映します。
1号特定技能外国人支援計画を作る
特定技能1号の外国人を受け入れる会社には、外国人が日本で安定して働き、生活できるよう支援する義務があります。
そのため「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。
支援計画は在留関係の申請時に提出する必要があります。
主な支援には、
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居確保・生活契約の支援
- 生活オリエンテーション
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援が必要となる場合の対応
- 定期的な面談
などがあります。
「会社で雇って仕事を教えれば終わり」ではありません。
生活面まで含めた支援体制を準備します。
支援は自社でやる?登録支援機関へ頼む?
特定技能外国人の支援は、自社で行う方法と登録支援機関へ委託する方法があります。
ここは採用前に決めておきたいところです。
自社で支援する場合
会社自身で支援するなら、
- 支援責任者
- 支援担当者
- 外国人が理解できる言語での対応
- 相談対応
- 定期面談
- 生活支援
- 各種記録管理
などを実施できる体制が必要です。
小規模な運送会社では、配車や運行管理をしながら外国人支援まで自社で行うことが負担になる場合があります。
登録支援機関へ委託する場合
支援計画の全部を登録支援機関へ委託する方法もあります。
全部を登録支援機関へ委託した場合、支援体制について一定の要件を満たすものとして扱われます。
ただし、登録支援機関へ頼めば会社側が何もしなくてよいわけではありません。
運送会社としての雇用管理、運行管理、安全教育などは会社側で行います。
登録支援機関を選ぶときは「外国人支援」だけで決めない
登録支援機関は全国に多数あります。
選ぶときは、
- 対応できる言語
- 対応地域
- 支援料金
- 緊急時の対応
- 自動車運送業分野への理解
- 運送会社との連絡方法
- 面談や生活支援の実施方法
などを確認します。
特に外国人ドライバーの場合、一般的な工場勤務などとは違い、
- 早朝・深夜勤務
- 長距離運行
- 点呼
- 労働時間規制
- 交通事故
- 免許更新
など運送業特有の事情があります。
登録支援機関側にも、トラック事業の働き方を理解してもらう必要があります。
在留手続きだけ終わっても乗務開始できない
特定技能の在留資格が認められたら、すぐトラックへ乗せられるとは限りません。
運送会社として通常行うドライバーの乗務前準備も必要です。
たとえば、
- 健康診断
- 初任運転者に該当するかの確認
- 必要な初任運転者教育
- 初任診断
- 運転者台帳
- 運転記録証明書等による事故歴確認
- 点呼体制
- 車両・運行ルートの教育
- 労働時間管理
などです。
外国人だから別の運行管理制度になるわけではありません。
日本人ドライバーと同じ運送業の安全管理に、在留資格・支援の確認が加わると考えます。
日本語試験に合格していても、業務指示を理解できるか確認する
特定技能の日本語基準を満たしていても、
「自社の運行指示を問題なく理解できる」
とは限りません。
実際の仕事では、
- 点呼での健康状態確認
- 運行指示
- 荷主の指示
- 積込み・荷下ろし
- 道路標識
- 事故時の連絡
- 故障時の対応
- 労働時間・休憩の指示
などを理解する必要があります。
採用時には試験結果だけでなく、実際の業務で必要になる日本語コミュニケーションを確認します。
必要であれば、
- 写真入りマニュアル
- やさしい日本語
- 多言語資料
- 指示内容の復唱
など、会社側の伝え方も整えます。
住居も採用前に考えておく
海外から外国人を採用する場合、日本へ来てから住む場所が必要です。
支援内容には住居確保や生活に必要な契約の支援も含まれます。
会社で、
- 社宅を用意する
- 会社名義で借りる
- 賃貸契約の保証を支援する
など、どの方法を取るか決めます。
営業所から遠すぎる住居にすると、早朝点呼や通勤方法が問題になることもあります。
外国人の生活支援だけではなく、実際の運行勤務まで考えて住居を決めます。
採用日と乗務開始日を分けて予定する
特定技能外国人ドライバーの採用では、
「4月1日採用=4月1日からトラックに乗れる」
とは限りません。
たとえば、
- 候補者を決める
- 本人の試験・日本語要件を確認する
- 会社側の認証を確認する
- 協議会へ加入する
- 支援体制を決める
- 雇用契約を締結する
- 在留関係の手続きを進める
- 必要なら日本免許を取得する
- 健康診断・教育・適性診断等を行う
- 担当車両を決める
- 乗務開始
という順番になります。
外国人本人の状況によって必要な期間が大きく変わります。
「人が足りないから来月から乗ってほしい」と考える前に、乗務開始までの工程を確認します。
会社側で準備するものを一覧にすると
| 分野 | 確認すること |
|---|---|
| 運送事業 | 適法に事業を運営しているか |
| 認証 | 働きやすい職場認証またはGマーク |
| 協議会 | 自動車運送業分野特定技能協議会への加入 |
| 外国人本人 | 評価試験・日本語・在留資格 |
| 運転免許 | 日本の第一種免許・担当車両との一致 |
| 雇用条件 | 業務・賃金・労働時間等 |
| 支援 | 1号特定技能外国人支援計画 |
| 支援方法 | 自社支援または登録支援機関 |
| 住居・生活 | 住居、生活契約、生活説明 |
| 乗務準備 | 健康診断・教育・適性診断・運転者台帳 |
| 運行管理 | 点呼・労働時間・安全教育 |
| 採用後 | 在留期限、免許期限、各種届出 |
全部を同時に始めるのではなく、まず会社側で受入れ要件を満たせるか確認します。
採用を決める前のチェックリスト
- □ 働きやすい職場認証またはGマークを確認した
- □ 自動車運送業分野特定技能協議会へ加入済み、または加入準備中
- □ 候補者の特定技能評価試験を確認した
- □ 日本語要件を確認した
- □ 日本の運転免許を確認した
- □ 担当車両と免許区分を照合した
- □ 雇用条件を決めた
- □ 支援計画を作成する体制を決めた
- □ 自社支援か登録支援機関への委託か決めた
- □ 住居・生活支援を考えた
- □ 初任教育・適性診断等の要否を確認した
- □ 採用日と実際の乗務開始日を分けて予定した
- □ 採用後の在留期限・免許期限の管理方法を決めた
チェックが多く付かない状態なら、外国人候補者を先に確定するより、会社側の受入れ準備から始めたほうが進めやすくなります。
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まとめ
特定技能で外国人トラックドライバーを雇う場合は、外国人本人だけでなく会社側にも準備が必要です。
まず、
- 働きやすい職場認証またはGマーク
- 自動車運送業分野特定技能協議会への加入
- 外国人本人の評価試験・日本語・日本の運転免許
- 雇用条件
- 1号特定技能外国人支援計画
- 自社支援か登録支援機関への委託
を確認します。
さらに、在留資格が整った後も、健康診断、初任運転者教育、適性診断、点呼など、運送会社として通常必要な乗務前準備があります。
特定技能外国人の採用では、
「外国人を採用できる日」
と
「実際にトラックへ乗せられる日」
を分けて考えることが重要です。
人手不足になってから急いで始めるより、会社側の認証・協議会加入・支援体制を先に整えておくと採用を進めやすくなります。
特定技能外国人ドライバーの受入れ準備を確認したい方へ
「Gマークはあるが、次に何をすればよいか分からない」
「協議会や登録支援機関をいつ準備すればよいか分からない」
「候補者はいるが、いつからトラックへ乗せられるか整理できない」
という場合は、会社側の受入れ条件と候補者側の条件を分けて確認します。
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、外国人ドライバーを雇用する前の確認・整理に対応しています。
当事務所の対応は、在留資格・運転免許・運送会社側の準備事項を整理するところが中心です。
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出典
国土交通省|自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて
出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について
この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
