
運送業を始めたいと思っても、最初に何から準備すればよいのか分からず、不安になる方は少なくありません。
トラックを用意すれば始められるのか。
車庫を借りればよいのか。
運行管理者や資金はどの段階で必要なのか。
実際には、一般貨物自動車運送事業を始めるには、営業所、車庫、車両、人、資金、書類などを順番に準備していく必要があります。
この記事では、運送業を始める前に準備するものを、実務の流れに沿って解説します。
運送業を始めるには許可が必要になる
まず前提として、トラックを使って他人の荷物を有償で運ぶ一般貨物自動車運送事業を始めるには、原則として運送業許可が必要です。
知人の荷物を運ぶだけ、近距離だけ、小さな会社で始めるだけ、という場合でも、事業として他人の荷物を運んで運賃を受け取るのであれば、許可が関係します。
ここで注意したいのは、トラックを買えばすぐ開業できるわけではないという点です。
運送業許可では、次のような内容がまとめて確認されます。
| 準備するもの | 主な確認ポイント |
|---|---|
| 営業所 | 事務所として使える場所か |
| 車庫 | トラックを安全に保管できるか |
| 車両 | 必要台数を確保できるか |
| 人員 | 運行管理者・整備管理者・運転者を置けるか |
| 資金 | 開業後も運営できる資金があるか |
| 書類 | 契約書・図面・残高証明などを準備できるか |
運送業の準備では、どれか一つだけ整っていても足りません。
車両はあるけれど車庫が合わない。
営業所はあるけれど用途地域に問題がある。
資金はあるけれど運行管理者がいない。
このように、一部の準備不足で申請全体が止まることがあります。
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まず営業所と車庫を確認する
運送業を始めるときに、早い段階で確認したいのが営業所と車庫です。
営業所とは、運送事業の事務を行う拠点です。単なる住所だけでなく、事業用の拠点として使える場所であることが必要です。
たとえば、自宅を営業所にしたい場合でも、建物の使用目的、賃貸借契約、用途地域、事務スペースなどを確認する必要があります。
「机と電話があれば大丈夫」という話ではありません。
また、車庫はトラックを置く場所です。
運送業許可の車庫は、普通車の車庫証明とは別の考え方で審査されます。
車両がきちんと収まるか、出入りに支障がないか、前面道路に問題がないか、営業所との距離は問題ないかなどを見ます。
特に注意したいのは、あとから良さそうな物件を探せばよいと考えると、条件に合う場所がなかなか見つからないことです。
運送業では、車庫の広さだけでなく、場所、道路、契約内容、営業所との関係まで確認します。
安いから、空いているから、知り合いの土地だからという理由だけで決めると、申請段階で使えないことがあります。
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車両と人員を準備する
運送業を始めるには、事業用の車両も必要です。
一般貨物自動車運送事業では、原則として一定数以上の車両をそろえる必要があります。
ここでいう車両は、ただ所有していればよいというものではありません。
購入、リース、使用権限、車両の種類、車検証上の内容などを確認する必要があります。
中古トラックで始めることもありますが、車両の状態や契約内容を確認せずに進めると、後から資金計画や書類準備で困ることがあります。
また、運送業は車両だけでは動きません。
運行管理者、整備管理者、運転者など、人の準備も必要です。
運行管理者
運転者の勤務や運行の安全を管理する重要な立場です。資格者を確保できるか、誰が担当するかを早めに考える必要があります。
整備管理者
車両の点検や整備管理に関係する立場です。車両を安全に使い続けるために必要です。
運転者
許可を取っても、実際に運転する人がいなければ事業は始まりません。勤務体制や人数も考える必要があります。
運送業は、トラックを動かす仕事であると同時に、安全管理の仕事でもあります。
そのため、「運転できる人がいる」だけではなく、運行と整備を管理する体制まで準備することが大切です。
資金と残高証明を準備する
運送業を始めるとき、多くの方が不安になるのが資金です。
運送業許可では、開業時に必要なお金だけでなく、開業後しばらく事業を続けられるだけの資金があるかも見られます。
準備する資金には、たとえば次のようなものがあります。
車両に関する費用
トラックの購入費、リース料、保険料、車検や整備費用などです。
営業所・車庫に関する費用
賃料、敷金、保証金、使用料などです。契約内容によって金額が大きく変わります。
人件費
運転者、運行管理者、整備管理者などの人件費を考える必要があります。
保険・税金・その他の運営費
自動車保険、貨物保険、燃料費、通信費、備品費なども必要です。
ここで重要なのは、申請時点で資金計画と残高証明が関係するという点です。
「許可が出たらお金を用意する」では、審査に合わないことがあります。
また、直前に一時的にお金を入れればよいという考え方も危険です。
運送業は、許可取得後すぐに売上が安定するとは限りません。
燃料費、人件費、車両費は先に出ていくことが多いため、開業後の資金繰りまで見て準備する必要があります。
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書類と申請の流れを整理する
営業所、車庫、車両、人員、資金の方向性が見えてきたら、申請書類の準備に入ります。
運送業許可の申請では、申請書だけでなく、営業所や車庫の使用権原を示す書類、図面、資金関係書類、役員や管理者に関する書類などが必要になります。
よくある失敗は、物件や車両を先に決めてから、書類の段階で問題に気づくことです。
たとえば、次のようなケースです。
賃貸借契約書に事業使用が明確に書かれていない
営業所や車庫として使うには、契約上の使用目的が問題になることがあります。
車庫の図面を作ってみたら車両が収まらない
現地では広く見えても、必要な車間や出入口を考えると不足することがあります。
残高証明のタイミングを考えていない
資金要件の確認では、残高証明をいつ取得するかも重要です。
運行管理者の確保が後回しになる
物件や車両の準備が進んでも、人的要件が整わなければ申請は進めにくくなります。
運送業許可は、書類を集めればよいだけの手続きではありません。
書類を作る前に、実際の計画が許可要件に合っているかを確認する必要があります。
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よくある準備不足
運送業を始める準備では、本人は進めているつもりでも、実務上はまだ足りないことがあります。
トラックだけ先に買ってしまう
車両は必要ですが、営業所、車庫、資金、人員と合っていなければ許可申請は進みません。
特に車庫に収まるか、資金計画に入るか、使用権限が説明できるかは確認が必要です。
車庫を広さだけで決めてしまう
車庫は広ければよいわけではありません。
営業所との距離、前面道路、出入口、契約内容、車両の配置まで見ます。
現場では使えそうに見えても、申請上は問題になることがあります。
運行管理者を後で探せばよいと思っている
運行管理者は運送業の安全管理に関わる重要な要件です。
申請直前になってから探すと、予定どおりに進まないことがあります。
資金をギリギリで考えている
運送業は、許可前にも準備費用がかかり、許可後にも固定費が出ます。
売上が入る前に支払いが始まることもあるため、余裕を持った資金計画が必要です。
許可取得までの期間を短く見すぎる
運送業許可は、今日申請してすぐ始められるものではありません。
物件探し、車両準備、人員確保、資金確認、書類作成、申請後の審査まで時間がかかります。
開業希望日から逆算して準備することが大切です。
まとめ
運送業を始めるには、トラックだけでなく、営業所、車庫、車両、人員、資金、書類をまとめて準備する必要があります。
特に一般貨物自動車運送事業では、運送業許可が必要になるため、開業前の計画段階で要件を確認しておくことが大切です。
準備で重要なのは、一つずつ別々に考えるのではなく、全体がつながっているかを見ることです。
営業所が決まっても車庫が合わない。
車庫が見つかっても車両が収まらない。
車両を用意しても運行管理者がいない。
資金が足りず、残高証明で止まる。
このようなことは実際に起こります。
運送業を始めたいと考えたら、まずは「自分の場合、営業所・車庫・車両・人・資金が要件に合うか」を整理するところから始めると安心です。
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