
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
大型トラックを使って荷物を運ぶ場合、すべての車両に特殊車両通行許可が必要になるわけではありません。
一方で、普段使っている大型トラックでも、車両の大きさ、積み荷の重さ、通行する経路によっては、特殊車両通行許可が必要になるケースがあります。
特に、重量物、長尺物、幅の広い荷物、建設機械、鋼材、大型部材などを運ぶ場合は注意が必要です。
「大型トラックだから当然必要」でもなく、
「運送業許可があるから不要」でもありません。
この記事では、大型トラックで特殊車両通行許可が必要になる主なケースと、運行前に確認すべきポイントを解説します。
大型トラックだから必ず必要とは限らない
まず大切なのは、大型トラック=必ず特殊車両通行許可が必要、というわけではないという点です。
特殊車両通行許可は、車両の種類だけで判断するものではありません。
道路を通行する車両について、幅、長さ、高さ、重さなどが一定の基準を超える場合に必要になる手続きです。
そのため、一般的な大型トラックで、車両の寸法や重量が基準内に収まり、通常の貨物を運ぶだけであれば、特殊車両通行許可が不要なケースもあります。
たとえば、通常のウイング車や箱車で、基準内の荷物を運ぶ場合です。
このような場合は、大型トラックであっても、ただちに特殊車両通行許可が必要になるとは限りません。
ただし、ここで注意したいのは、車両単体ではなく、実際に道路を走る状態で判断するということです。
空車では問題がなくても、荷物を積んだ状態で高さ、幅、長さ、重量が基準を超える場合があります。
つまり、大型トラックで特殊車両通行許可が必要かどうかは、次の3つをセットで確認する必要があります。
・どの車両で走るのか
・どの荷物を積むのか
・どの道路を通るのか
「いつもの大型トラックだから大丈夫」と考えると、積み荷や経路による超過を見落とすことがあります。
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特殊車両通行許可が必要になりやすい大型トラックのケース
大型トラックで特殊車両通行許可が必要になりやすいのは、車両や荷物が通常より大きい、重い、または通行経路に制限がある場合です。
代表的なケースを見ていきます。
重量物を運ぶ場合
大型機械、産業機械、鋼材、コンクリート製品、建設資材など、重い荷物を運ぶ場合は注意が必要です。
車両そのものは基準内でも、荷物を積むことで総重量や軸重が基準を超えることがあります。
特に重量物輸送では、車両全体の重さだけでなく、車軸ごとにかかる重さも問題になります。
荷物の位置によって、特定の軸に重さが偏ることもあります。
そのため、「最大積載量の範囲内だから大丈夫」と考えるだけでは足りません。
特殊車両通行許可では、道路や橋への負担も見るため、積載時の状態を確認する必要があります。
高さが大きくなる荷物を運ぶ場合
重機、機械、コンテナ、特殊な設備などを積むと、車両全体の高さが大きくなることがあります。
高さが問題になると、橋げた、歩道橋、トンネル、架線などとの関係を確認する必要があります。
車両本体の高さは問題なくても、荷物を積んだ状態で高さが基準を超えることがあります。
この場合、車検証だけを見ていても判断できません。
積載後の全高を確認することが重要です。
幅の広い荷物を運ぶ場合
大型機械、建設機械、部材、設備などを運ぶ場合、荷物が横に張り出すことがあります。
車両本体の幅は基準内でも、荷物を含めた全幅が基準を超える場合は、特殊車両通行許可の対象になる可能性があります。
幅が広い車両は、対向車とのすれ違い、交差点、狭い道路、車線幅などに影響します。
そのため、通行経路の確認も重要になります。
長い荷物を運ぶ場合
鉄骨、パイプ、橋梁部材、長尺の建設資材などを運ぶ場合、車両全体の長さが問題になります。
大型トラック単体では基準内でも、荷台から荷物がはみ出したり、全体の長さが大きくなったりすることがあります。
長さが大きくなると、交差点の右左折、カーブ、踏切、狭い道での通行に影響します。
出発地と到着地だけでなく、途中の経路も確認する必要があります。
建設現場や工事現場へ搬入する場合
建設現場や工事現場への搬入では、重機、建設資材、大型部材などを運ぶことがあります。
また、現場周辺は道路が狭かったり、進入経路が限られたりすることもあります。
このような場合、車両や荷物が基準を超えるかどうかだけでなく、現場周辺まで通行できるかを確認する必要があります。
「主要道路は通れるが、最後の現場進入路が厳しい」というケースもあります。
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大型トラックで見落としやすい判断ポイント
大型トラックで特殊車両通行許可を考えるとき、見落としやすいポイントがあります。
特に、普段から大型車を使っている会社ほど、「いつも走っているから大丈夫」と考えやすいので注意が必要です。
車検証だけでは判断できない
車検証には車両の情報が記載されていますが、積み荷を含めた状態までは分かりません。
特殊車両通行許可が必要かどうかは、実際に道路を走る状態で判断します。
そのため、車検証上の寸法や重量だけではなく、荷物を積んだ後の高さ、幅、長さ、重量を確認する必要があります。
最大積載量内でも安心とは限らない
運送現場では、最大積載量を超えないかどうかを強く意識します。
もちろん過積載は避けなければなりません。
しかし、特殊車両通行許可では、過積載かどうかとは別に、道路を通行する車両として基準を超えるかを確認します。
最大積載量の範囲内であっても、車両全体の重量や軸重、寸法が基準を超える場合があります。
荷物の積み方で軸重が変わる
重量物を積む場合、どこに荷物を置くかによって、車軸にかかる重さが変わります。
同じ重量の荷物でも、積む位置が変われば軸重が変わる可能性があります。
総重量だけで判断すると、軸重の問題を見落とすことがあります。
重量物輸送では、荷物の重さだけでなく、積載位置も確認することが大切です。
経路が変わると判断も変わる
特殊車両通行許可は、車両だけでなく通行経路も関係します。
同じ大型トラック、同じ荷物でも、通る道路が変われば確認内容が変わります。
橋、トンネル、交差点、道路幅、高さ制限などは、経路によって異なります。
そのため、過去に似た運搬をしたことがあっても、今回の経路でそのまま通行できるとは限りません。
よくある失敗例
大型トラックで特殊車両通行許可が問題になる場面では、手続きそのものよりも、事前確認の遅れが原因になることが多いです。
運行日が決まってから確認する
元請けや荷主から「特車許可はありますか」と聞かれて、初めて確認を始めるケースがあります。
しかし、特殊車両通行許可は、車両、荷物、経路の情報を整理する必要があります。
運行直前に確認を始めると、資料がそろわなかったり、申請が間に合わなかったりする可能性があります。
荷物の寸法をざっくりで考える
「だいたいこのくらいの大きさ」という情報だけでは、特殊車両通行許可の判断は難しくなります。
幅、高さ、長さ、重量を具体的に確認する必要があります。
特に、高さや幅は少しの違いでも判断に影響することがあります。
出発地と到着地だけで足りると思っている
特殊車両通行許可では、どの経路を通るのかが重要です。
出発地と到着地だけ分かっていても、途中でどの道路を通るのかが決まっていなければ、確認が進みにくいことがあります。
現場搬入の場合は、最後の進入経路まで確認が必要になることがあります。
過去の許可をそのまま使えると思っている
以前取得した特殊車両通行許可があっても、車両、荷物、経路、期間が違えば、そのまま使えるとは限りません。
似たような運搬でも、条件が違えば新たな確認が必要になることがあります。
過去の許可がある場合でも、今回の運搬内容と一致しているかを確認する必要があります。
運送業許可があるから問題ないと思っている
運送業許可は、他人の荷物を有償で運ぶ事業を行うための許可です。
一方、特殊車両通行許可は、一定の大きさや重さを超える車両が道路を通行するための許可です。
見ているポイントが違います。
そのため、運送業許可を持っている会社でも、特殊車両通行許可が別途必要になることがあります。
事前に確認しておきたい資料と情報
大型トラックで特殊車両通行許可が必要か確認するには、車両・荷物・経路の情報を整理する必要があります。
最低限、次のような情報を確認しておくと進めやすくなります。
・車検証
・車両の寸法や重量が分かる資料
・積み荷の寸法
・積み荷の重量
・積載後の高さ、幅、長さ
・出発地
・到着地
・通行予定ルート
・運行予定日
・過去に取得した特殊車両通行許可がある場合はその資料
特に重要なのは、積載後の状態です。
大型トラック本体だけを見ても、実際に運ぶ状態とは違うことがあります。
荷物を積んだ後に、どのくらいの高さになるのか、幅がどの程度になるのか、総重量や軸重がどうなるのかを確認する必要があります。
また、経路についても、出発地と到着地だけでは足りません。
どの道路を通るのか、現場や納品先の周辺道路に問題がないか、迂回が必要になる可能性があるかを確認しておくことが大切です。
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まとめ
大型トラックであっても、必ず特殊車両通行許可が必要になるわけではありません。
しかし、重量物、長尺物、幅の広い荷物、建設機械、大型部材などを運ぶ場合は、特殊車両通行許可が必要になる可能性があります。
判断するときは、次の点を確認します。
・大型トラック本体の寸法や重量
・荷物を積んだ後の高さ、幅、長さ
・総重量、軸重、輪荷重
・通行する経路
・橋、トンネル、交差点、道路幅などの制限
・過去の許可と今回の運搬内容の違い
大型トラックで特殊車両通行許可が必要かどうかは、「車両」だけではなく、「荷物」と「経路」をセットで確認することが重要です。
「大型車だから大丈夫」
「前にも走ったから大丈夫」
「運送業許可があるから問題ない」
このように考えていると、実際には許可が必要だったということがあります。
運行日や搬入日が決まっている場合は、早めに車両情報、積み荷情報、経路情報を整理しておくことをおすすめします。
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