運送業の車庫を移す・追加したい|新しい車庫を借りる前に確認すること

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

一般貨物の運送会社を営業していると、

「今の車庫が手狭になったので広い土地へ移したい」

「増車するために2か所目の車庫を借りたい」

「営業所はそのままで、車庫だけ近くへ移したい」

ということがあります。

このとき、新しい土地が見つかったからといって、先に賃貸借契約を結ぶのは避けたいところです。

一般貨物の車庫は、単にトラックを置ける土地であればよいわけではありません。

新しい車庫について、

  • 営業所との距離
  • 全車両を置ける広さ
  • 車両同士・境界との間隔
  • 前面道路
  • 都市計画法や農地法などとの関係
  • 使用権原

を確認します。

さらに、車庫の「位置及び収容能力」の変更は、一般貨物の事業計画変更として認可の対象です。中部運輸局の手続一覧でも、自動車車庫の位置・収容能力は認可事項として整理されています。(wwwtb.mlit.go.jp)

そのため、

土地を借りる
→トラックを移す
→後から車庫変更を出す

という順番ではなく、

候補地を確認する
→車庫として使えることを確認する
→必要な変更認可を進める
→実際に車庫を移す・追加する

という順番で考えます。

まず「移す」のか「追加する」のか決める

車庫変更といっても、会社がやりたいことによって内容が違います。

たとえば現在の車庫Aについて、

AをやめてBへ移す
→車庫の移転

Aを残してBも使う
→車庫の追加

Aの敷地を広げる
→収容能力の変更

という違いがあります。

最初に、

  • 現在の車庫を残すのか
  • 新しい車庫へ完全に移すのか
  • 2か所以上で使うのか
  • 増車も同時に行うのか

を整理します。

この違いによって、変更後に必要な車庫面積や車両配置も変わります。

新しい車庫は営業所との距離を確認する

一般貨物の車庫は、原則として営業所に併設します。

中部運輸局管内では、営業所に併設できない場合、営業所から直線距離10km以内であることが基準です。(wwwtb.mlit.go.jp)

そのため、

「会社から車で15分だから近い」

「同じ市内だから問題ない」

という判断ではありません。

営業所と新しい車庫候補との直線距離を確認します。

現在の車庫が基準内でも、新しく借りる車庫が基準内とは限りません。

特に営業所と車庫を別々に移転する予定がある場合は、最終的な営業所所在地との距離で考えます。

増車のために追加するなら「何台置くか」を先に決める

車庫を追加する理由として多いのが増車です。

たとえば現在、

車庫A:5台

で営業していて、3台増車したいため車庫Bを追加する場合です。

このとき、新しい車庫Bについて、

「3台置けそうな土地だから借りる」

だけでは判断できません。

どの車両をAに置き、どの車両をBに置くのかを決めます。

新しい車庫だけでなく全体の配置を考える

中部運輸局の基準では、車両と車庫境界、車両相互間にそれぞれ50cm以上を確保し、計画する車両をすべて容易に収容できることが必要です。(wwwtb.mlit.go.jp)

そのため、

車庫Aに5台
車庫Bに3台

とするのであれば、それぞれの車庫で実際に予定する車両を配置できるか確認します。

単純に土地の㎡数だけを見るのではなく、車両の長さ・幅まで使って判断します。

車庫を追加してから増車する順番になる場合がある

今の車庫に追加車両が入らないから新しい車庫を借りるのであれば、増車だけ先に進めても車庫不足は解消しません。

その場合は、

新しい車庫候補を確認
→車庫変更の認可
→増車手続き
→車両登録

という順番を考えます。

「増車届を出してから駐車場を探す」のではなく、増車できる車庫体制を先に整えることになります。

前面道路は新しい車庫ごとに確認する

現在の車庫で大型トラックを使用できているからといって、新しい車庫でも同じとは限りません。

中部運輸局の現行基準では、車庫出入口の前面道路の幅員が車両制限令に適合することが必要です。(wwwtb.mlit.go.jp)

確認するのは、

  • 前面道路の幅
  • 使用する車両
  • 出入口
  • 道路管理者
  • 必要に応じた道路幅員証明

などです。

「トラックが通っている道路だから大丈夫」

だけでは判断しません。

特に現在より大型の車両を置くために車庫を追加する場合は、予定車両に合わせて確認します。

市街化調整区域や農地は契約前に確認する

広い車庫を探すと、

  • 市街化調整区域
  • 田・畑
  • 資材置場
  • 空き地

などが候補になることがあります。

しかし、一般貨物の車庫は、都市計画法・農地法などの関係法令に抵触しないことが必要です。(wwwtb.mlit.go.jp)

そのため、

「現地ではすでに砂利敷きになっている」

「貸主がトラックを置いていいと言っている」

だけでは決めません。

候補地の所在地・現況・法令上の扱いを確認します。

特に農地を車庫として使用する場合は、農地転用など別制度が関係する可能性があります。

車庫変更の手続きだけを見ず、土地を実際に車庫として使える状態にできるかまで確認します。

賃貸契約は車庫として使える内容か確認する

土地自体に問題がなくても、賃貸借契約の内容を確認します。

見るのは、

  • 一般貨物の車庫として使えるか
  • 借主が申請者と合っているか
  • 使用期間を確保できるか
  • 対象となる土地の範囲が明確か

です。

中部運輸局の許可基準では、車庫について使用権原があることも必要です。(wwwtb.mlit.go.jp)

貸主から口頭で、

「トラックを置いていいですよ」

と言われただけで進めるのではなく、申請時に使用権原を確認できる契約内容にしておきます。

今の車庫を先に解約しない

車庫を移すときに特に注意したいのが、現在の車庫の解約時期です。

たとえば、

今の車庫Aを解約
↓
新しい車庫Bを契約
↓
Bについて調べたら運送業の車庫として使えない

となると、車両を置く場所そのものに困ります。

そのため、

新しい車庫候補を確認
→必要な認可の見通しを確認
→切替日を決める
→現在の車庫を解約

という順番にします。

家賃が二重になる期間をできるだけ短くしたいとしても、先に旧車庫をなくしてしまうより、安全に切り替えられる日程を組む方が重要です。

車庫を追加するならどの車両を置くか社内でも決める

複数車庫になる場合は、許可手続きだけでなく、実際の運用も考えます。

たとえば、

  • 大型車は車庫B
  • 小型車は車庫A
  • 夜間運行車両は営業所に近い車庫

というように配置することがあります。

その場合、

「空いている場所にその日の都合で置く」

というより、事業計画と実際の車両管理がずれないよう管理します。

社内の車両一覧でも、

  • 車両番号
  • 配置営業所
  • 使用車庫

を整理しておくと、その後の増車・減車・入替でも確認しやすくなります。

車庫の移転・追加は増車届だけではできない

増車をきっかけに新しい車庫を借りる場合、

「増車届に新しい車庫を書けばいい」

と思うかもしれません。

しかし、中部運輸局の手続一覧では、

事業用自動車の数の変更
→事前届

自動車車庫の位置・収容能力の変更
→認可

として別の手続きになっています。(wwwtb.mlit.go.jp)

つまり、

「車両を増やすこと」

と

「その車両を置く車庫を追加すること」

は別々に確認します。

増車届だけでは、新しい車庫を一般貨物の事業計画へ追加したことにはなりません。

車庫変更は使い始めてから出す手続きではない

車庫の位置・収容能力の変更は認可事項です。

そのため、

新しい土地を借りる
↓
トラックを置き始める
↓
後から変更届

という手続きではありません。

車庫として使用を開始する前に、必要な認可を受ける前提で進めます。中部運輸局の手続一覧でも、車庫の位置・収容能力は認可として整理されています。(wwwtb.mlit.go.jp)

この点は、車両数変更が原則事前届であることとの大きな違いです。

新しい車庫を借りる前に確認する順番

車庫を移す・追加するときは、次の順番で確認すると手戻りを減らせます。

  1. 現在の車庫を残すのか廃止するのか決める
  2. 追加・移転後に何台をどこへ置くか決める
  3. 新しい車庫候補と営業所の距離を確認する
  4. 使用車両を必要な間隔で収容できるか確認する
  5. 前面道路を確認する
  6. 都市計画法・農地法などとの関係を確認する
  7. 賃貸借契約の内容を確認する
  8. 車庫変更の認可手続きを進める
  9. 増車を伴うなら増車手続きを進める
  10. 車庫の使用開始・車両配置を切り替える
  11. 旧車庫を廃止する場合は解約・整理する

特に重要なのは、契約と解約を先に確定しすぎないことです。

「広くて近い」だけでは車庫を決めない

一般貨物の新しい車庫を探すときは、

「営業所に近い」

「広い」

「家賃が安い」

という条件だけで決めない方がよいでしょう。

実際に必要なのは、

営業所からの距離
+予定車両の収容能力
+50cm以上の間隔
+前面道路
+関係法令
+使用権原

を満たせる場所です。

そして、その土地を事業計画上の車庫へ変更する認可を受けてから使用します。

新しい土地を借りる前にここまで確認しておけば、

「契約したが使えない」

「増車する車両の納車日が来たのに車庫変更が終わらない」

という手戻りを減らせます。

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まだ新しい車庫を契約していない段階でも構いません。

現在の営業所・車庫、使用車両、追加予定台数、新しい車庫候補などを確認し、車庫として使えるか、どの手続きを先に進めるか整理します。

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出典

国土交通省 中部運輸局|一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の申請事案の処理方針について、国土交通省 中部運輸局|貨物自動車運送事業に関する手続き一覧、国土交通省 中部運輸局|様式(申請・届出・報告)

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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