車庫・営業所を複数使いたい|追加できる?距離や管理方法を確認

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

一般貨物の運送会社を続けていると、

「今の車庫だけでは足りないので2か所にしたい」

「営業エリアを広げるため、営業所をもう1つ作りたい」

「営業所は1か所のまま、離れた場所にも車庫を借りたい」

ということがあります。

一般貨物では、営業所や車庫を複数設けること自体はできます。

ただし、空いている駐車場や事務所を自由に追加して、会社全体でまとめて使えばよいわけではありません。

確認したいのは、

  • どの営業所にどの車庫を組み合わせるのか
  • 営業所と各車庫の距離を満たすか
  • どの車両をどの営業所へ配置するのか
  • 営業所ごとの最低車両数を満たすか
  • 運行管理者・整備管理者をどう配置するか
  • 点呼をどこで行うか
  • 営業所・車庫の追加に必要な変更手続きを行っているか

です。

「場所を増やす」より先に、変更後の運送会社をどのような形で管理するのかを決めます。

1つの営業所で車庫を複数使うことはできる

営業所は1か所のままで、車庫を複数にすることがあります。

たとえば、

営業所A
├ 車庫1:5台
└ 車庫2:3台

という形です。

中部運輸局の一般貨物申請様式でも、複数の車庫を設ける場合を想定しており、営業所と車庫の距離については最も遠い車庫との距離を記載する形になっています。

そのため、

「1営業所につき車庫は1か所まで」

というわけではありません。

ただし、追加する車庫についても一般貨物の車庫要件を満たす必要があります。

複数車庫でも営業所との距離をそれぞれ確認する

一般貨物の車庫は原則として営業所に併設します。

併設できない場合、中部運輸局管内では営業所から直線距離10km以内であることを確認します。

たとえば、

営業所A
→車庫1:3km
→車庫2:8km

なら、どちらも距離基準内かを確認します。

一方、

車庫1が営業所から3kmだから、
車庫2は車庫1から10km以内ならよい

という考え方ではありません。

基本になるのは営業所との位置関係です。

車庫を追加するときは、新しい車庫候補と営業所との距離を改めて確認します。

複数車庫にするときは車両をどこへ置くか決める

新しい車庫を追加するときは、

「会社全体で8台あり、2つの車庫へ適当に置く」

のではなく、どの車両をどの車庫で管理するか整理しておいた方がよいでしょう。

たとえば、

車庫1
・大型車3台
・4トン車2台

車庫2
・2トン車3台

という形です。

それぞれの車庫で、予定車両をすべて収容できる必要があります。

また、車両と車両、車両と車庫境界との間には50cm以上の間隔を確保します。

車庫を2か所に分ければ総面積が足りればよいというより、それぞれの車庫で実際の配置が成立するか確認します。

車庫が離れるほど点呼・運行管理も考える

複数車庫で見落としやすいのが、点呼や運行管理です。

営業所と車庫が離れている場合には、申請書でも、

  • 営業所と車庫の連絡方法
  • 点呼をどこで行うか
  • 運行管理者や補助者の移動方法
  • 営業所と車庫間の所要時間

などを確認します。

つまり、

「距離が10km以内だから車庫として使える」

だけでは管理計画は完成しません。

点呼を営業所で行う場合

車庫から運転者が営業所へ移動して点呼を受けるのであれば、

車庫
→営業所で点呼
→車庫へ戻って出庫

といった実際の動線が成立するか考えます。

毎日運用できる距離・時間なのかも重要です。

車庫側で点呼する場合

車庫で点呼を行う体制にするのであれば、運行管理者や補助者がどのように対応するのかを決めます。

営業所と離れた車庫を追加する場合は、

「土地として使えるか」

だけでなく、

「毎日の運行管理をどう行うか」

まで決めてから追加します。

営業所を複数にする場合は考え方が変わる

車庫を増やすのではなく、営業所そのものを追加する場合は確認事項が増えます。

たとえば、

営業所A
→車庫A

営業所B
→車庫B

という2営業所体制です。

この場合、新しい営業所Bは単なるサブオフィスではありません。

一般貨物の営業所として、

  • 車両
  • 車庫
  • 運転者
  • 運行管理者
  • 整備管理者
  • 休憩・睡眠施設
  • 運行管理体制

を考える必要があります。

営業所ごとに原則5台以上を確認する

一般貨物では、原則として営業所ごとに5両以上の事業用自動車を配置します。

そのため、営業所を2か所に増やす場合、

会社全体で5台あればよい

という考え方ではありません。

たとえば現在、

営業所A:10台

の会社が営業所Bを新設し、

Aから5台をBへ移す

のであれば、

営業所A:5台
営業所B:5台

となります。

一方、営業所Aに7台しかないのに5台をBへ動かせば、

営業所A:2台
営業所B:5台

となり、A側が原則の最低車両数を満たせなくなります。

新営業所だけではなく、既存営業所も含めて確認します。

2営業所で車両を自由に行き来させる前に確認する

複数営業所になると、

「今日はA営業所が忙しいからBのトラックをAで使う」

といった運用を考えることがあります。

会社としては同じトラックでも、一般貨物では営業所ごとの配置車両として事業計画を管理しています。

そのため、恒常的に配置を変更するのであれば、

「会社全体では台数が変わらないから問題ない」

とは考えません。

どの営業所へ配置する車両なのかを明確にし、必要な車両数変更の手続きを確認します。

日々の配車上どの仕事を行うかと、事業計画上どの営業所へ車両を配置しているかは分けて管理します。

1つの車庫を複数営業所で共同利用したい場合は先に確認する

営業所を2か所にすると、

「広い車庫が1つあるので、A営業所とB営業所の両方で使えばよいのでは」

と考えることがあります。

ここは自己判断で進めない方がよいところです。

一般貨物では、営業所・車庫・配置車両・運行管理体制を組み合わせて事業計画を作ります。

そのため、一つの土地を複数営業所の車庫として共用したい場合は、

  • どの営業所にひも付く車庫なのか
  • どの営業所の車両を何台置くのか
  • 車庫面積をどのように区分するのか
  • 点呼・運行管理をどう行うのか

まで整理したうえで、事前に確認してから計画します。

単に土地が広いことだけで判断しないようにします。

営業所を増やすなら運行管理者も営業所ごとに確認する

一般貨物では、営業所ごとの車両数などに応じて運行管理者を配置します。

営業所Aに運行管理者がいるからといって、営業所Bを作った後もその1人だけで何も確認しなくてよいとは限りません。

新しい営業所について、

  • 配置車両数
  • 運転者数
  • 運行時間
  • 点呼体制
  • 必要な運行管理者数

を確認します。

整備管理者についても同様に、営業所・使用の本拠・車両数などから必要な体制を確認します。

営業所追加は、

「場所を1つ増やす」

ではなく、

「管理単位を1つ増やす」

と考えた方が分かりやすくなります。

複数営業所なら休憩・睡眠施設もそれぞれ確認する

営業所を追加するときには、乗務員の休憩・睡眠施設も考えます。

現在の営業所Aに十分な休憩施設があっても、新しく営業所Bを作ったらAの施設だけでよいとは限りません。

営業所Bの運行形態や車庫との位置関係から、必要な施設を確保します。

物件を決めるときは、

営業所スペース
+管理体制
+休憩・睡眠施設

まで入るか確認します。

車庫だけ増やすか営業所も増やすか迷ったら

事業が大きくなってくると、

「2つ目の営業所を作るべきか」

「営業所は今のままで、車庫だけ増やせばよいか」

迷うことがあります。

この判断は、単に車両数だけでは決まりません。

車庫だけ追加する方向を検討しやすい場合

たとえば、

  • 現在の営業所から追加車庫まで距離基準内
  • 今の営業所で運行管理を続けられる
  • 事務所機能を増やす必要がない
  • 車両を置く場所だけ不足している

という場合です。

この場合は、営業所を増やさず車庫追加で対応できないか検討します。

営業所追加を検討する場合

一方、

  • 別地域を新たな運行拠点にしたい
  • 新しい地域に車両・運転者をまとまって配置したい
  • 現営業所からでは日常管理がしにくい
  • 新たな営業拠点として独立して管理したい

という場合は、営業所追加を検討することになります。

「車庫が足りない=営業所を増やす」ではありません。

何を増やしたいのかから決めます。

複数車庫・営業所の違いを整理する

やりたいこと主に確認すること
営業所は1つ、車庫を2か所にする各車庫との距離・収容能力・点呼方法
車庫だけ追加して増車する車庫変更認可→増車の順番
営業所を2か所にする営業所ごとの車両・車庫・人員
既存営業所から車両を新営業所へ移す両営業所の最低車両数
2営業所間で車両配置を変える営業所ごとの車両数変更
離れた車庫を使う距離+日常の点呼・運行管理
同じ土地を複数営業所で使いたい車庫・車両・管理区分を事前確認

場所の数だけで判断せず、

営業所 → 車庫 → 車両 → 人員 → 管理

の組み合わせで考えます。

車庫・営業所を増やす前に管理図を作る

複数拠点にする場合は、簡単な図を作ってみると分かりやすくなります。

たとえば、

営業所A
├ 車庫A1:5台
└ 車庫A2:3台
 運行管理者:○○
 整備管理者:○○

営業所B
└ 車庫B1:5台
 運行管理者:△△
 整備管理者:△△

という形です。

ここまで書くと、

  • どこに車両が足りないか
  • 車庫との距離に問題がないか
  • 管理者が不足していないか
  • 車庫だけ増やせばよいのか
  • 営業所まで追加する必要があるのか

が見えやすくなります。

複数拠点では「住所一覧」ではなく「管理単位の図」を作ることがポイントです。

追加する前にこの順番で確認する

車庫・営業所を複数にしたい場合は、次の順番で整理します。

  1. 何が不足しているのか確認する
  2. 車庫だけ追加するのか営業所も追加するのか決める
  3. 変更後の営業所数を決める
  4. 各営業所へ何台配置するか決める
  5. 各車庫へどの車両を置くか決める
  6. 営業所と各車庫の距離を確認する
  7. 各車庫の収容能力・道路・関係法令を確認する
  8. 営業所ごとの運転者・管理者を確認する
  9. 点呼をどこで行うか決める
  10. 必要な営業所・車庫・車両の変更手続きを整理する
  11. 認可・届出の順番を決める
  12. 物件契約・車両移動・増車へ進む

先に空いている土地や事務所を借りるのではなく、変更後の形を決めてから場所を選びます。

複数拠点は「何か所使えるか」より「管理できるか」で決める

一般貨物では、営業所も車庫も複数設けることができます。

しかし、数を増やすほど、

  • どの車両がどこに所属するか
  • どこで点呼するか
  • 誰が管理するか
  • どの車庫をどの営業所で使うか
  • どの変更手続きが必要か

という管理も増えます。

そのため、

「2か所目を借りられるか」

だけでなく、

「2か所になった後も、許可内容と実際の運用を一致させて管理できるか」

まで考えます。

車庫だけ追加すれば目的を達成できるのか。

新しい営業所を設ける必要があるのか。

変更後の車両・人員・点呼体制まで図にしてから決めると、不要な拠点追加や手続きのやり直しを減らせます。

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「車庫を増やせばよいのか、営業所も作るべきか分からない」という段階でも構いません。

現在の営業所・車庫・車両・人員と、追加したい拠点の場所を確認し、変更後の事業計画と必要な手続きを整理します。

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出典

国土交通省 中部運輸局|一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の申請事案の処理方針について、国土交通省 中部運輸局|貨物自動車運送事業に係る申請におけるチェックシート、国土交通省 中部運輸局|様式(申請・届出・報告)

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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