
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
事業の拡大に伴い、営業所や車庫が増えると、車両を空いている車庫へ置くだけでは管理できなくなります。
一般貨物自動車運送事業では、営業所、営業所に配置する車両数、その営業所で使用する車庫の位置・収容能力などが事業計画に含まれます。
そのため、社内では同じ会社の施設であっても、許可上は「どの営業所に、何台を配置し、どの車庫で保管するか」を分けて確認しなければなりません。
複数の車庫・営業所を使う場合のポイントは、施設の数ではなく、営業所・車両・車庫の対応関係を崩さないことです。
複数の車庫・営業所は許可上どのように管理するのか
営業所と車庫を複数使用する運送会社は、少なくとも次の内容を営業所単位で整理します。
| 管理項目 | 営業所ごとに確認する内容 |
|---|---|
| 営業所 | 名称、所在地、連絡先、使用権原 |
| 配置車両 | 車両番号、車台番号、車両種別、台数 |
| 車庫 | 所在地、面積、収容能力、営業所からの距離 |
| 休憩・睡眠施設 | 所在地、利用する乗務員、施設の広さ |
| 運行管理 | 運行管理者、補助者、点呼場所、連絡方法 |
| 整備管理 | 整備管理者、日常点検・定期点検の管理 |
| 届出控え | 認可書、届出書、図面、契約書、車両一覧 |
営業所と車庫が離れている場合は、距離の要件を満たすだけでは足りません。
営業所と車庫が常時連絡でき、点呼や運行指示を確実に行える体制も必要です。点呼を営業所と車庫のどちらで行うのか、運行管理者や運転者がどのように移動するのかも整理します。
複数の車庫がある場合、中部運輸局が公開する申請様式では、営業所から最も遠い車庫までの距離を記載する形になっています。
複数の車庫を使う運送会社が確認したい届出と管理のポイント
一つの営業所で複数の車庫を使用すること自体は可能です。
ただし、空いている土地を一時的な置き場として使い始めるのではなく、使用する車庫を事業計画へ反映させる必要があります。
車庫を追加・移転したり、面積や収容能力を変更したりする場合は、原則として事業計画変更の手続きを先に確認します。
複数車庫を管理するときは、次のような一覧を作っておくと、増車や車両入替の際に現在の状態を確認しやすくなります。
| 営業所 | 使用する車庫 | 届出済み収容能力 | 配置車両数 | 使用状況 |
|---|---|---|---|---|
| 本社営業所 | 本社車庫 | 8台 | 7台 | 1台分空き |
| 本社営業所 | 第二車庫 | 5台 | 5台 | 空きなし |
| 西三河営業所 | 西三河車庫 | 6台 | 6台 | 空きなし |
この例では、会社全体では19台分の車庫があります。しかし、本社営業所の増車だからといって、西三河営業所の車庫の空きを自由に使えるとは限りません。
増車する営業所、車両を配置する車庫、届出済みの収容能力を一組として確認します。
また、車庫の収容能力は台数だけでは判断できません。車両と車庫の境界、車両同士の間隔を確保し、配置する全車両を収容できる必要があります。
大型車やトレーラーを導入すると、台数が変わらなくても従来の配置図では収まらないことがあります。
営業所ごとに車庫を分ける必要はある?
すべての営業所に車庫を併設しなければならないわけではありません。
車庫は営業所への併設が原則ですが、併設できない場合は、営業所からの距離、常時連絡できる体制、確実に点呼を行える体制などの条件を満たす必要があります。
そのうえで、どの営業所がどの車庫を使用するのかを事業計画上で明確にします。
「会社が所有している車庫だから、どの営業所の車両を置いてもよい」という管理にはできません。
特に注意したいのが、車両を営業所間で移動させる場合です。
国土交通省の処理方針では、自社の営業所間における車両融通は、短期間であっても、それぞれの営業所で増車・減車の手続きを行うものとされています。繁忙期の車両移動については特別な取扱いがありますが、通常の車両移動へ一律に使えるものではありません。
たとえば、本社営業所の車両1台を別の営業所へ移す場合、会社全体の保有台数は変わりません。
それでも、許可上は本社営業所の減車と、移動先営業所の増車として整理する必要があります。
同じ車庫を複数営業所で使える?
一つの車庫を複数の営業所で使いたい場合は、自己判断で共通車庫として扱わないようにします。
同じ敷地内であっても、少なくとも次の点を確認する必要があります。
- 各営業所が使用する範囲を区分できるか
- 各営業所に配置する車両をすべて収容できるか
- 車両同士や敷地境界との間隔を確保できるか
- 各営業所から車庫までの距離要件を満たすか
- 点呼、連絡、運行指示を確実に行えるか
- 車庫の共同使用に関する事業計画上の整理ができているか
- 土地の所有者や貸主との契約で使用が認められているか
国土交通省の処理方針では、事業用自動車、車庫、休憩・睡眠施設などを共同使用する場合、協定書等の提示を求めて内容を確認するとされています。
したがって、複数営業所の車両を同じ敷地に置いているという事実だけで、適法な共同使用になるわけではありません。
営業所ごとの使用範囲、収容能力、管理責任、点呼体制を整理したうえで、事前に管轄窓口へ確認する必要があります。
車庫の貸主から使用承諾が得られない場合の運送業手続きの注意点
借りている土地を車庫として使用する場合は、その土地を事業用自動車の車庫として使える権利が必要です。
単に賃料を支払っているだけではなく、契約内容から次のことを確認します。
- 借主が運送会社になっているか
- トラックの車庫として使用できるか
- 使用する範囲が図面と一致しているか
- 契約期間や更新条件を確認できるか
- 貸主や所有者が実際の権利者と一致しているか
- 転貸や又貸しになっていないか
- 車両の出入りや事業利用が契約で禁止されていないか
賃貸借契約書に「駐車場として使用する」としか書かれておらず、事業用トラックの車庫として使用できるか判断できない場合は、契約の補足や貸主の承諾を求められることがあります。
貸主が承諾しない場合、承諾書だけを別の方法で代用するのではなく、そもそも運送業の車庫として使用できる権利があるかを見直さなければなりません。
土地の契約を先に済ませてから使用権原を確認すると、車庫として使えず、別の土地を探し直す可能性があります。新しい車庫を借りるときは、契約前に使用目的、面積、前面道路、営業所からの距離を確認してください。
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複数の車庫・営業所で必要になる認可・届出
複数の施設を使用していると、社内では小さな変更に見えても、運送業の事業計画変更に当たることがあります。
| 変更内容 | 主に確認する手続き |
|---|---|
| 営業所を新設する | 事業計画変更認可申請 |
| 営業所を移転する | 移転先や指定区域により認可または届出を確認 |
| 車庫を追加・移転する | 車庫の位置・収容能力に関する事業計画変更 |
| 車庫の使用範囲を広げる・縮小する | 収容能力を含めて事業計画変更を確認 |
| 営業所間で車両を移す | 移動元の減車と移動先の増車 |
| 一つの営業所で増車する | その営業所の配置台数と車庫の収容能力を確認 |
| 車庫を共同使用する | 協定内容、使用範囲、収容能力、管理体制を確認 |
| 営業所・車庫の名称だけを変える | 名称変更に関する届出区分を確認 |
営業所の位置変更は、地方運輸局長が指定する区域内で、車庫との距離制限に支障がない場合に事後届出として扱われることがあります。
一方、営業所の新設や車庫の追加・変更を、名称変更と同じような簡単な届出と考えるのは危険です。
物件を借りる前、車両を移す前、増車する前に、変更内容が認可と届出のどちらに当たるかを確認します。
車両・車庫・営業所の対応を崩さない管理方法
複数拠点の管理では、一つの表だけにすべての情報を詰め込むより、次の3つを連動させると管理しやすくなります。
- 営業所・車庫一覧
- 営業所別の車両一覧
- 認可書・届出書の管理表
車両一覧には、少なくとも次の項目を記録します。
- 配置営業所
- 使用車庫
- 車両番号
- 車台番号
- 車両種別
- 所有者・使用者
- 増車日
- 減車日
- 届出控えの保存場所
営業所や車庫を変更したときは、社内一覧だけでなく、過去の認可書・届出控えと照合します。
担当者が作成したExcelだけを書き換え、運輸支局への手続きを忘れると、社内の一覧と事業計画が一致しなくなります。
また、次のような運用は手続き漏れにつながりやすいため注意が必要です。
| よくある運用 | 起こりやすい問題 |
|---|---|
| 空いている車庫へ車両を移す | 届け出た営業所・車庫との対応が崩れる |
| 営業所間で一時的に車両を貸す | 増車・減車の手続きを見落とす |
| 車庫の契約だけ先に済ませる | 距離、前面道路、使用権原の問題が後から分かる |
| 台数だけで収容能力を判断する | 大型車やトレーラーを配置できない |
| 同じ敷地を共通車庫として使う | 使用範囲や管理責任が不明確になる |
| 担当者ごとに届出控えを保管する | 現在の許可内容を確認できない |
| 車両登録だけ変更する | 運送業側の配置営業所が変更されない |
車両の実際の保管場所を変更したら、車検証だけを確認して終わらせず、運送業側の事業計画との整合も確認してください。
よくある質問
- Q一つの営業所で車庫を2か所以上使えますか?
- A
使用できます。ただし、それぞれの車庫について、位置、収容能力、使用権原、前面道路、営業所からの距離などを確認し、事業計画へ反映させる必要があります。
- Q同じ会社なら、別の営業所の車庫へ一時的に車両を置いても問題ありませんか?
- A
同じ会社でも、営業所ごとの配置車両と車庫は事業計画で管理されます。営業所間の車両移動は、短期間であっても原則として移動元の減車と移動先の増車を確認します。
- Q一つの車庫を複数の営業所で共同使用できますか?
- A
共同使用の可能性はありますが、自由に共通車庫として扱えるわけではありません。各営業所の使用範囲、収容能力、距離、点呼・連絡体制、管理責任、協定内容を整理し、事業計画変更の要否を確認します。
- Q車庫を追加すれば、その分だけすぐに増車できますか?
- A
車庫を借りただけでは増車できません。車庫の事業計画変更を終え、増車後の収容能力と営業所別の最低車両台数などを確認してから、増車手続きを進めます。
- Q営業所を移転しても車庫が同じなら、届出だけで済みますか?
- A
移転先が指定区域内にあるか、営業所と車庫の距離要件に支障がないかなどによって扱いが変わります。物件を契約する前に、認可と届出のどちらに当たるかを確認してください。
- Q車庫の貸主から承諾書をもらえない場合でも申請できますか?
- A
書類の名称だけでなく、事業用トラックの車庫として使用する権利を証明できるかが問題になります。賃貸借契約書の使用目的や使用範囲で証明できない場合は、契約の補足や貸主の承諾、別の車庫の確保を検討します。
- Q営業所ごとに5台以上必要ですか?
- A
一般貨物自動車運送事業では、原則として営業所ごと、車両種別ごとに5両以上を配置する基準があります。一部の事業には例外があるため、営業所の新設や営業所間の車両移動前に確認が必要です。
まとめ
複数の車庫・営業所を使う運送会社では、会社全体の車両数や車庫面積だけを見ても、正確な管理はできません。
営業所ごとに、次の内容を対応させる必要があります。
- 営業所に配置する車両
- その車両を保管する車庫
- 車庫の位置と収容能力
- 営業所と車庫の距離
- 点呼・連絡・運行管理の体制
- 車庫を使用できる権利
- 認可書・届出書と現在の使用状況
特に、営業所間の車両移動、車庫の追加、同一車庫の共同使用は、社内だけの変更で終わらない可能性があります。
車両や施設を動かす前に、現在の事業計画と認可・届出控えを確認することが、手戻りを防ぐ近道です。
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営業所や車庫が増えると、社内の車両一覧だけでは、現在の許可内容と一致しているか判断しにくくなります。
いしかわ行政書士事務所では、現在の認可書・届出控え、営業所別の車両一覧、車庫図面などを確認し、必要な事業計画変更、増減車手続き、管理方法を整理します。
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出典
国土交通省「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請等の処理について」
e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法施行規則」
中部運輸局「様式(申請・届出・報告)|貨物自動車運送事業(緑ナンバー)」
この記事は、2026年8月時点の法令、国土交通省の処理方針、中部運輸局の申請・届出様式をもとに作成しています。事業計画変更の認可・届出区分、車庫の距離基準、提出様式または営業所間の車両移動に関する取扱いが変更された場合は、記事内容を見直してください。
