運送業許可が取れないのはどんな場合?申請前に確認したい要件

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

一般貨物の運送業を始めようとして、

「トラックを5台そろえれば許可は取れるのか」

「営業所と車庫は決めたが、このまま申請して大丈夫なのか」

「どんな場合に許可が取れないのか」

と気になることがあります。

一般貨物自動車運送事業の許可は、一つの条件だけで決まるものではありません。

営業所、車庫、車両、人員、資金、法令遵守などを含めた事業計画全体が許可基準を満たしている必要があります。

そのため、

「車両は5台あるが車庫に入らない」

「営業所を借りたが運送業に使えない」

「資金はあると思っていたが、所要資金を計算すると足りない」

といった場合には、そのまま申請を進められません。

大切なのは、申請してから問題を見つけるのではなく、契約や大きな支払いをする前に、どこが許可の障害になるか確認することです。

運送業許可は一つでも条件を満たさなければ進めない

一般貨物の許可で確認する主な項目は次のとおりです。

確認する項目申請前に見ること
営業所運送業の営業所として使用できるか
車両原則として必要な台数を確保できるか
車庫全車両を収容でき、距離や道路の条件も満たせるか
休憩・睡眠施設必要な施設を確保できるか
人員運転者・運行管理者・整備管理者を確保できるか
資金所要資金以上の自己資金を確保できるか
法令関係法令試験や法令遵守の条件を満たせるか
損害賠償能力必要な保険などを確保できるか

「8項目のうち6項目満たせばよい」というものではありません。

申請する事業計画に必要な条件をすべて整える必要があります。

まず、自分の計画のどこがまだ決まっていないか確認します。

営業所として使えない物件を借りている

営業所候補があるからといって、その場所を一般貨物の営業所にできるとは限りません。

一般貨物では、営業所について使用権原があり、関係法令に抵触しないことなどを確認します。

たとえば、

  • 賃貸借契約上、運送事業に使えない
  • 都市計画法などとの関係で確認が必要
  • 法人で申請するのに契約名義が合っていない
  • 継続して使用できる契約になっていない

といった状態では、そのまま営業所として計画を進められない場合があります。

「事務所利用可」と書かれた物件でも、一般貨物の営業所に使えるかは別に確認します。

特に避けたいのは、物件を本契約してから調べることです。

営業所候補が見つかった段階で所在地と契約条件を確認します。

車庫が広くても許可要件を満たさないことがある

車庫についても、

「トラックが置ける土地がある」

だけでは足りません。

一般貨物では、営業所との位置関係、収容能力、車両同士や境界との間隔、前面道路などを確認します。

全車両を収容できない

一般貨物では、事業計画に入れるすべての事業用自動車を容易に収容できる車庫が必要です。

中部運輸局では、車両同士や車両と車庫境界との間に50cm以上の間隔を確保します。

土地だけを見ると5台入りそうでも、使用予定車両の長さと幅で配置すると足りないことがあります。

営業所から離れすぎている

車庫は原則として営業所に併設します。

併設できない場合、中部運輸局管内では営業所から直線距離10km以内であることを確認します。

「車で短時間だから大丈夫」ではなく、営業所と車庫の位置関係を基準に合わせて確認します。

前面道路に問題がある

車庫前面道路についても、使用する車両との関係で確認が必要です。

土地が十分に広くても、大型トラックなどを出入りさせる前面道路が条件に合わなければ、別の車庫を検討することがあります。

車庫は、

「土地の広さ」
だけではなく、
「営業所との距離+車両配置+前面道路+関係法令」

まで確認して決めます。

トラックを5台そろえられない

通常の一般貨物では、原則として営業所ごとに5両以上の事業用自動車を配置する計画が必要です。

そのため、

「現在4台しかなく、5台目をどうするか決まっていない」

という状態なら、車両計画を固める必要があります。

ただし、5台すべてを申請前に現金で購入しなければならないという意味ではありません。

所有車両だけでなく、購入予定や一定の条件を満たすリース車両などを含めて使用権原を確認します。

問題になるのは、

「許可を取った後に考えるので、申請時は4台で出す」

という計画です。

まず一般貨物として使用する車両を決め、必要台数を確保できる見通しを立てます。

5台あるのに人が足りない

トラックを5台確保できても、運転する人や管理する人がいなければ事業は動きません。

一般貨物では、事業計画を遂行できる運転者のほか、必要な運行管理者・整備管理者を確保します。

たとえば、

  • トラック5台はあるが運転者が足りない
  • 運行管理者資格者がいない
  • 整備管理者の資格要件を満たす人がいない
  • 資格者はいるが実際にその営業所で勤務できない

という状態なら、人員計画を見直します。

特に運行管理者や整備管理者は、名前だけ置けばよい人ではありません。

実際に管理業務を行える勤務体制まで確認します。

申請直前になって資格者を探すのではなく、営業所や車庫を決める段階から候補者を確認しておく方がよいでしょう。

資金が足りない

一般貨物の資金要件には、

「最低○○万円」

という全事業者共通の金額はありません。

車両、営業所、車庫、人員など、自分の事業計画から所要資金を計算します。

その結果、必要になる所要資金以上の自己資金を確保できなければ、資金計画を見直す必要があります。

たとえば、

「預金が1,000万円あるから大丈夫」

と思っていても、

  • 車両費
  • 人件費
  • 燃料費
  • 修繕費
  • 営業所・車庫
  • 保険料
  • 税金
  • その他費用

を計算した所要資金が1,500万円になれば、1,000万円では足りません。

先に手持ち資金から判断するのではなく、事業計画から必要額を計算します。

また、自己資金は申請日に一時的に確保すればよいわけではありません。

許可までの資金管理も考えて、大きな車両購入や物件契約の時期を決めます。

休憩・睡眠施設を確保できない

営業所と車庫を確保しても、必要な休憩・睡眠施設を準備できなければ事業計画として不足します。

特に小さな営業所を借りる場合には、

「事務所として使う場所はあるが、乗務員が使う施設を確保できない」

ということがあります。

営業所を探す段階で、

  • 営業所
  • 休憩施設
  • 必要な場合の睡眠施設

をどこへ配置するのか確認します。

物件契約後にスペース不足が分かると、営業所そのものを探し直す可能性があります。

必要な損害賠償能力を確保できない

一般貨物では、事故が発生した場合に備えた損害賠償能力も確認します。

そのため、車両本体を用意できれば終わりではありません。

事業用自動車について、必要な保険を確保できる計画か確認します。

車両を購入する前に、

「5台分の車両価格」

だけでなく、

「5台分の保険料まで含めて開業できるか」

を見る必要があります。

保険料は資金計画にも影響するため、使用予定車両が決まったら見積りを取っておくと資金計算を具体化できます。

法令試験に合格できない

一般貨物の新規許可申請では法令試験があります。

2026年度も中部運輸局で実施されています。

現在の中部運輸局の法令試験は30問で、8割以上が合格基準です。

初回で合格できなかった場合には再試験がありますが、再試験でも合格基準に達しなければ、現在の申請は原則として却下されます。

営業所・車庫・車両・資金をすべて準備できても、法令試験を通過できなければ許可には進めません。

申請してから初めて試験内容を見るのではなく、申請準備と並行して過去問を確認しておきます。

申請者が欠格事由に該当する場合がある

一般貨物の許可には、事業計画とは別に法律上の欠格事由があります。

申請者や関係する役員などが貨物自動車運送事業法に定められた欠格事由に該当する場合には、許可を受けられません。

たとえば、一定の刑を受けてから所定期間を経過していない場合や、貨物自動車運送事業の許可取消しとの関係など、法律上確認が必要な事項があります。

営業所や車庫などの施設要件とは性質が違うため、

「物件も車両もそろっているから大丈夫」

とは判断できません。

申請者・法人・役員についても、申請前に確認します。

一つ足りないからすぐ諦める必要はない

ここまでの項目の中に、

「まだ満たしていない」

ものがあっても、それだけで一般貨物を諦める必要はありません。

申請前なら、計画を変更できる場合があります。

たとえば、

現在の問題検討すること
車両が4台しかない追加購入・リースなどを検討
車庫が狭い車両配置を確認し、別候補も検討
営業所が使えない契約前なら別物件を探す
運行管理者がいない資格者確保・資格取得予定を確認
整備管理者候補がいない資格・実務経験等を満たす人を確認
資金が足りない車両取得方法・物件・開業時期などを見直す

大切なのは、

「何となく大丈夫そうだから申請する」

ことではなく、

「どこが不足していて、何を変えれば申請できるか」

を申請前に把握することです。

申請前にこの順番で確認する

一般貨物を始めたい場合は、次の順番で確認すると不足を見つけやすくなります。

  1. 自分が始める仕事に一般貨物の許可が必要か確認する
  2. 営業所候補を確認する
  3. 使用予定車両と台数を決める
  4. 車庫候補を確認する
  5. 休憩・睡眠施設を確認する
  6. 運転者・運行管理者・整備管理者を確認する
  7. 所要資金を計算する
  8. 保険などを確認する
  9. 申請者・役員などの法令上の条件を確認する
  10. 法令試験を含めた申請後の予定を確認する

中部運輸局も新規許可の申請様式とともに申請チェックシートを公開しています。

申請書を作り始める前に、

「自分の計画でチェック項目を埋められるか」

を確認すると、不足している部分を見つけやすくなります。

契約する前が一番計画を直しやすい

一般貨物の許可で困りやすいのは、条件を知らなかったことそのものより、条件を確認する前に契約してしまうことです。

たとえば、

営業所を契約した
→運送業に使えない

車庫を契約した
→車両が入らない

トラックを買った
→車庫が決まらない

という順番になると、計画変更に費用がかかります。

これから一般貨物を始める段階なら、

「許可が取れない理由を探す」

のではなく、

「まだ契約していない段階で、許可を取れる計画に直す」

という考え方で進める方がよいでしょう。

営業所・車庫・車両を契約する前に全体を一度確認しておくと、手戻りを減らせます。

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まだ営業所・車庫・トラックを契約していない段階でも構いません。

現在考えている営業所、車庫、車両、人員、資金などを確認し、許可申請へ進むために不足している条件を整理します。

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出典

国土交通省 中部運輸局|法令・公示、国土交通省 中部運輸局|様式(申請・届出・報告)、国土交通省 中部運輸局|法令試験

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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