
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
大型機械、建設機械、鋼材、コンクリート製品、産業設備などを運ぶときに注意したいのが、特殊車両通行許可です。
重量物輸送では、車両そのものは普段使っているトラックやトレーラーでも、荷物を積んだ状態で重量の基準を超えることがあります。
そのため、単に「最大積載量の範囲内だから大丈夫」と考えるのは危険です。
特殊車両通行許可では、過積載かどうかだけでなく、道路や橋に与える負担も確認されます。
この記事では、重量物輸送で特殊車両通行許可が必要になるケースと、事前に確認すべき注意点を解説します。
重量物輸送では特殊車両通行許可が必要になることがある
重量物輸送で特殊車両通行許可が必要になるかどうかは、運ぶ荷物の名前だけでは決まりません。
判断の基本は、車両に荷物を積んだ状態で、道路を通行する基準を超えるかどうかです。
たとえば、次のような荷物を運ぶ場合は注意が必要です。
・大型機械
・産業機械
・建設機械
・鋼材
・鉄骨
・コンクリート製品
・大型設備
・発電機や変圧器などの重量設備
・橋梁部材や大型部材
これらの荷物は、単に重いだけでなく、長さ・幅・高さも大きくなることがあります。
そのため、重量物輸送では、重量だけでなく、寸法もあわせて確認する必要があります。
特に重要なのは、車両単体ではなく、積載後の状態で判断することです。
空車では基準内でも、荷物を積むことで総重量や軸重が基準を超えることがあります。
また、同じ荷物でも、どの車両に載せるか、どの位置に載せるかによって、道路や橋にかかる負担が変わります。
重量物輸送では、「いつもの車両だから大丈夫」ではなく、今回の車両・今回の荷物・今回の経路で確認することが大切です。
関連記事:
特殊車両通行許可とは?必要になるケースをわかりやすく解説
最大積載量内でも安心とは限らない
重量物輸送で誤解しやすいのが、最大積載量の範囲内なら特殊車両通行許可は不要と考えてしまうことです。
もちろん、最大積載量を超える過積載は避けなければなりません。
しかし、特殊車両通行許可で見られるのは、過積載かどうかだけではありません。
道路を通行する車両として、一定の重量や寸法の基準を超えていないかが問題になります。
代表的な重量の基準としては、次のようなものがあります。
・総重量
・軸重
・輪荷重
・隣接軸重
総重量とは、車両本体、乗員、燃料、荷物などを含めた全体の重さです。
重量物を積む場合、この総重量が大きくなりやすくなります。
軸重とは、車軸ごとにかかる重さです。
重量物を積む位置によって、前軸や後軸、トレーラー側の軸にかかる重さが変わります。
輪荷重とは、タイヤ1輪にかかる重さです。
橋や道路への負担を考えるうえで、総重量だけでなく、タイヤや車軸にどのように重さがかかっているかも重要になります。
つまり、重量物輸送では、単に「何トンの荷物を積むか」だけでは足りません。
どの車両に、どの位置で積み、どの軸にどれだけ重さがかかるかまで確認する必要があります。
この点を見落とすと、総重量は大丈夫だと思っていても、軸重などで問題になる可能性があります。
関連記事:
特殊車両通行許可が必要な車両とは?寸法・重量の基準を解説
重量物輸送で許可が必要になりやすいケース
重量物輸送で特殊車両通行許可が必要になりやすいのは、車両と荷物を合わせた状態で、重量や寸法が大きくなるケースです。
代表的な例を見ていきます。
大型機械を運ぶ場合
工場設備、産業機械、大型装置などを運ぶ場合、荷物自体の重量が大きくなることがあります。
見た目はそれほど大きくなくても、重量が集中している機械もあります。
この場合、総重量だけでなく、積む位置によって軸重が問題になることがあります。
建設機械を運ぶ場合
ショベルカー、ブルドーザー、ローラー、その他の建設機械を運ぶ場合も注意が必要です。
建設機械は重量が大きいだけでなく、高さや幅も大きくなりやすい荷物です。
そのため、重量と寸法の両方で特殊車両通行許可の確認が必要になることがあります。
鋼材や鉄骨を運ぶ場合
鋼材や鉄骨は、重量に加えて長さも問題になりやすい荷物です。
長尺物を積むと、車両全体の長さが大きくなり、交差点やカーブでの通行にも影響します。
また、荷物の積み方によっては、特定の軸に重さが偏ることがあります。
コンクリート製品を運ぶ場合
コンクリート製品は、見た目以上に重量が大きくなることがあります。
プレキャスト製品、大型ブロック、橋梁部材などを運ぶ場合は、総重量や軸重の確認が重要です。
現場搬入の場合、最後の進入路や現場周辺の道路が狭いこともあるため、経路確認も必要になります。
トレーラーで重量物を運ぶ場合
重量物輸送では、トレーラーを使うケースも多くあります。
トレーラーの場合、トラクタとトレーラーを連結した状態で全体を確認します。
車両の組み合わせ、荷物の位置、軸数、軸距によって、重量のかかり方が変わります。
そのため、トレーラーで重量物を運ぶ場合は、通常の大型トラック以上に慎重な確認が必要です。
関連記事:
トレーラーに特殊車両通行許可は必要?判断ポイントを解説
経路によって通行できるかが変わる
重量物輸送では、車両と荷物の確認だけでなく、通行する経路も重要です。
特殊車両通行許可は、単に車両に対して出るものではありません。
基本的には、どの車両が、どの荷物を積んで、どの経路を通るのかを確認する手続きです。
特に重量物輸送では、橋への負担が問題になります。
同じ車両、同じ荷物でも、通る道路が変われば、通行できるかどうかが変わることがあります。
たとえば、次のような場所では注意が必要です。
・橋
・高架道路
・トンネル
・狭い道路
・急なカーブ
・交差点
・踏切
・工場や現場周辺の進入路
主要道路は通行できても、最後の納品先や現場周辺で問題になることがあります。
特に建設現場への搬入では、現場ごとにルートが変わります。
「前回も似たような重量物を運んだから大丈夫」と考えるのではなく、今回の経路で確認することが重要です。
また、重量物輸送では、迂回路を使う場合にも注意が必要です。
許可された経路と実際に走る経路が違えば、許可内容と合わなくなる可能性があります。
そのため、出発地と到着地だけでなく、実際に走る予定の道路を早めに整理しておくことが大切です。
よくある失敗と事前に確認すべきこと
重量物輸送で多い失敗は、運行日や搬入日が近づいてから特殊車両通行許可の必要性に気づくことです。
重量物輸送は、車両、荷物、経路の情報がそろわないと判断しにくい手続きです。
早い段階で次の点を確認しておく必要があります。
荷物の重量があいまい
「だいたい何トンくらい」という情報では、判断が難しくなります。
重量物輸送では、正確な重量が重要です。
特に、機械や設備では、付属品や架台を含めた重量を確認する必要があります。
積載位置を考えていない
同じ重さの荷物でも、どの位置に載せるかで軸重が変わります。
重量物を前寄りに積むのか、後ろ寄りに積むのか、中心に載せるのかによって、車両にかかる負担が変わります。
総重量だけでなく、軸重を意識することが大切です。
高さや幅を見落とす
重量物輸送では、重さに意識が向きがちです。
しかし、建設機械や大型機械では、積載後の高さや幅が基準を超えることがあります。
高さが問題になると、橋げた、歩道橋、トンネル、架線などとの関係を確認する必要があります。
経路を後回しにする
特殊車両通行許可では、経路の確認が重要です。
車両と荷物の情報がそろっていても、通行ルートが決まっていなければ、申請準備が進みにくくなります。
特に、現場搬入や工場搬入では、最後の進入経路まで確認する必要があります。
元請けから言われて初めて準備する
建設現場や重量物輸送では、元請けや荷主から「特車許可は取れていますか」と確認されることがあります。
その段階で準備を始めると、運行予定に間に合わない可能性があります。
受注や配車の段階で、特殊車両通行許可の要否を確認しておくことが大切です。
事前に確認しておきたい資料は、次のとおりです。
・車検証
・車両諸元表
・トレーラーの場合はトラクタとトレーラーの情報
・荷物の寸法
・荷物の正確な重量
・積載後の高さ、幅、長さ
・積載位置が分かる資料
・出発地
・到着地
・通行予定経路
・運行予定日
・過去に取得した特殊車両通行許可がある場合はその資料
重量物輸送では、情報が不足していると、申請そのものよりも事前確認で時間がかかります。
早めに資料をそろえることが、運行スケジュールを守るうえで重要です。
まとめ
重量物輸送では、特殊車両通行許可が必要になることがあります。
判断するときは、荷物の重さだけでなく、車両に積んだ状態、軸重、輪荷重、寸法、通行経路をあわせて確認する必要があります。
特に注意したいのは、次の点です。
・最大積載量内でも特殊車両通行許可が必要になることがある
・総重量だけでなく、軸重や輪荷重も確認する
・荷物の積載位置によって重量のかかり方が変わる
・重量物は高さや幅も問題になりやすい
・橋や現場周辺の道路など、経路によって通行可否が変わる
・運行日が近づいてからでは申請準備が間に合わないことがある
重量物輸送の特殊車両通行許可は、「何トンの荷物か」だけでなく、「どの車両に、どう積んで、どの道路を通るか」を確認する手続きです。
重量物を運ぶ予定がある場合は、車両や荷物の手配を進める段階で、早めに確認しておくことをおすすめします。
関連記事:
大型トラックで特殊車両通行許可が必要になるケースを解説
特殊車両通行許可の経路選定とは?通れる道路の考え方を解説
特殊車両通行許可でお困りの方へ
いしかわ行政書士事務所では、重量物輸送、大型トラック、トレーラー、建設機械運搬などに関する特殊車両通行許可のご相談を承っています。
「この重量物で特車許可が必要か分からない」
「総重量や軸重の考え方が不安」
「元請けから特車許可を確認された」
「運行日までに申請準備を進めたい」
このような場合は、早めにご相談ください。
愛知県三河地域を中心に、運送業許可や関連手続きとあわせて、事業者の実務に合ったサポートをご案内します。
