Gマーク取得が難しい運送会社の特徴|巡回指導の結果との関係

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

Gマークを申請する予定なら、最初に確認したいのが巡回指導の結果です。

Gマークの評価項目Ⅰ「安全性に対する法令の遵守状況」は、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が行う巡回指導の結果をもとに採点されます。

2026年度は40点満点中32点以上が必要です。巡回指導で指摘を受けた項目は、改善報告を提出すればすべて得点へ戻るわけではありません。

そのため、申請書を作り始める前に、巡回指導時点の判定と不足点を確認する必要があります。

Gマーク取得が難しい運送会社の特徴

Gマークを取得しにくいのは、特別な安全設備を導入していない会社だけではありません。

日常業務は行っていても、実施状況を帳票から確認できない会社や、届出内容と営業所の実態が一致していない会社も取得が難しくなります。

会社の状態Gマーク申請への主な影響
点呼や運転者教育を実施しているが記録がない巡回指導で「適」と判断されず、評価項目Ⅰの得点を失う可能性がある
点呼記録・運転日報・デジタコの時刻が一致しない実際の運行管理が適正か確認できない
初任運転者などへの特別指導や適性診断が不足している法令遵守状況で指摘を受ける可能性がある
健康診断を受診させていない運転者がいる健康管理に関する項目で評価へ影響する
運行管理者・整備管理者の変更届などが未提出認可申請・届出が適正であるという認定要件を満たさない可能性がある
事業報告書や事業実績報告書に未提出がある報告事項が適正に行われているか問題になる
社会保険・労働保険の加入対象者が未加入社会保険等への適正加入という認定要件へ影響する
重大事故や行政処分がある評価項目Ⅱ「事故や違反の状況」の得点へ影響する
安全会議や研修を申請直前だけ行っている必要な実施期間・回数・挙証資料を満たせない可能性がある
Gマーク申請を担当者一人へ任せている運行・整備・労務・届出の情報が集まらず、不足を見落としやすい

帳票の様式をそろえるだけでは十分ではありません。

例えば、点呼記録簿が保管されていても、酒気帯び確認、健康状態、睡眠不足、指示事項などが実際の点呼に沿って記録されていなければ、適正な点呼を実施した証明にはなりません。

反対に、点呼や教育を実際に行っていても、記録が残っていなければ巡回指導で確認できないことがあります。

Gマーク申請前に巡回指導の結果を確認すべき理由

2026年度の評価項目Ⅰでは、2025年7月1日から2026年10月31日までに行われた巡回指導の結果が使われます。

この対象期間中に複数回の巡回指導を受けた場合は、原則として1回目の結果が採用されます。

評価項目Ⅰの計算では、巡回指導結果が「適」の項目に所定の点数が加算され、「否」の項目には加算されません。書類不備などにより判定できなかった項目も、原則として得点できません。

巡回指導結果を確認する際は、総合評価だけでなく、個別項目の判定を確認してください。

確認する内容は次のとおりです。

  • どの項目が「否」と判定されたか
  • 「否」の項目が何点分に当たるか
  • 評価項目Ⅰで32点以上を確保できるか
  • 改善報告を求められた項目は何か
  • 認可申請・変更届・報告書に未処理がないか
  • 社会保険等の加入について指摘がないか
  • 対象期間中に巡回指導を複数回受けていないか
  • Gマーク申請後に巡回指導を受ける予定か

巡回指導の総合評価が高くても、Gマークで使われる個別項目の点数を確認しなければ、32点を確保できるか判断できません。

反対に、一部に指摘があっても、直ちに申請できないと決まるわけではありません。指摘項目と配点を確認し、ほかの認定要件も含めて判断します。

巡回指導で指摘があるとGマーク申請に影響する?

巡回指導で指摘を一つ受けただけで、必ずGマークが不認定になるわけではありません。

ただし、巡回指導時に「否」と判定された項目は、その項目に設定された点数を得られないため、指摘の数と内容によっては評価項目Ⅰの基準点である32点を下回ります。

特に、次のような管理は複数の帳票や実際の運用に関係するため、申請直前の書類整理だけでは解決できないことがあります。

  • 点呼を一部の運行で実施していない
  • 酒気帯び確認を適切に行っていない
  • 運転日報に必要事項が記録されていない
  • 拘束時間や休息期間を適切に管理していない
  • 初任運転者などへの特別指導を行っていない
  • 対象となる適性診断を受診させていない
  • 健康診断を未受診の運転者がいる
  • 日常点検や定期点検の記録が不足している
  • 運行管理者・整備管理者の選任状況と届出内容が一致しない
  • 運輸安全マネジメントの計画・実施・評価・改善を確認できない

2026年度の評価では、巡回指導後に改善しても、巡回指導時に「否」だった項目へさかのぼって点数が加算されるわけではありません。

ここは、通常の巡回指導に対する改善報告と、Gマークの得点計算を分けて考える必要があります。

改善報告には、指摘された法令違反や管理方法を是正する意味があります。今後の適正な事業運営にも必要です。しかし、改善報告を提出したからといって、今回のGマーク評価ですべて「適」に置き換わるとは限りません。

改善報告を提出しても認定が難しい場合

巡回指導後に改善報告を提出しても、次のような場合は、その年度のGマーク取得が難しくなる可能性があります。

巡回指導時点の点数が32点未満だった場合

評価項目Ⅰは、巡回指導時の判定をもとに採点されます。

指摘事項を改善していても、巡回指導時に「否」とされた項目へ後から加点されないため、評価項目Ⅰが32点未満であれば個別の基準点を満たしません。

過去の実績を後から補えない場合

初任運転者への特別指導、適性診断、健康診断などは、対象となる時期に実施する必要があります。

未実施だった教育や診断を、過去に実施したように記録してはいけません。現在から適正な運用を始め、次回申請へ向けて実績を積み重ねます。

未提出の届出や報告書が残っている場合

Gマークでは点数だけでなく、法に基づく認可申請・届出・報告事項が適正に行われていることも認定要件です。

役員、営業所、車庫、車両、運行管理者、整備管理者などの変更や、事業報告書・事業実績報告書の提出状況を確認してください。

社会保険等の加入が適正でない場合

健康保険、厚生年金保険、労働保険などについて、加入が必要な事業所や従業員が適正に加入していることも確認されます。

手続き中であることと、申請年度の認定要件を満たすことが同じとは限りません。指摘を受けた場合は、地方実施機関から示された期限と必要書類を確認します。

事故・行政処分の点数が不足する場合

巡回指導の評価項目Ⅰで基準点を満たしても、評価項目Ⅱ「事故や違反の状況」が21点未満であれば認定されません。

Gマークは、次のすべてを満たす必要があります。

評価項目配点基準点
Ⅰ.安全性に対する法令の遵守状況40点32点
Ⅱ.事故や違反の状況40点21点
Ⅲ.安全性に対する取組の積極性20点12点

このほか、合計80点以上、評価項目Ⅲの4グループすべてからの得点、認可申請・届出・報告の適正な実施、社会保険等への適正加入が必要です。

巡回指導の点数だけを見て「取得できる」と判断することはできません。

次回のGマーク申請に向けて見直すこと

巡回指導の結果から今年度の基準点に届かないと分かった場合でも、書類だけを取り繕うのではなく、次回申請へ向けて管理方法を直すことができます。

まず、次の順番で確認します。

  1. 巡回指導結果の個別項目と点数を確認する
  2. 指摘事項について期限内に改善報告を提出する
  3. 点呼記録・運転日報・デジタコ・勤務表の内容を照合する
  4. 運転者台帳、教育記録、適性診断、健康診断を対象者別に確認する
  5. 日常点検・定期点検・整備管理の記録を確認する
  6. 変更届・認可申請・事業報告書・事業実績報告書の提出状況を確認する
  7. 社会保険等の加入状況を確認する
  8. 安全会議や研修など、評価項目Ⅲの取組を年間計画へ組み込む

Gマークのためだけに帳票を作るのではなく、日々の点呼、運行、教育、健康管理、車両管理と同時に記録が残る仕組みへ変えることが大切です。

担当者が休んだときや交代したときにも同じ運用を続けられるよう、記録方法、保存場所、確認担当者まで決めておくと、次回の巡回指導やGマーク申請で慌てずに済みます。

よくある質問

Q
巡回指導で指摘を一つ受けるとGマークは取得できませんか?
A

指摘が一つあるだけで、直ちに取得できないとは限りません。ただし、その項目は加点されない可能性があるため、評価項目Ⅰで32点以上を確保できるか確認する必要があります。

Q
改善報告を出せば、巡回指導の点数も修正されますか?
A

2026年度のGマーク評価では、巡回指導時に「否」と判定された項目は、巡回指導後に改善しても加点されません。改善報告は必要ですが、今回の得点がさかのぼって修正されるとは限りません。

Q
巡回指導を2回受けた場合は、改善後の結果が使われますか?
A

2026年度の対象期間中に複数回の巡回指導を受けた場合は、原則として1回目の結果が使われます。自社で都合のよい結果を選べるわけではありません。

Q
巡回指導の総合評価がAならGマークを取得できますか?
A

総合評価だけでは判断できません。Gマーク用の評価項目Ⅰの点数に加え、事故・行政処分、安全への積極的な取組、届出・報告、社会保険等の認定要件も確認する必要があります。

Q
書類がなかった場合、巡回指導後に作成すれば加点されますか?
A

巡回指導時に書類不備などで判定できなかった項目は、原則として加点されません。実施していない点呼や教育を後から実施済みとして作成することもできません。

Q
巡回指導で指摘を受けたことと行政処分は同じですか?
A

同じではありません。巡回指導で改善を求められただけで直ちに行政処分となるわけではありません。ただし、重大な法令違反や改善されない状態については、監査などにつながる場合があります。

Q
2026年度のGマーク申請はまだできますか?
A

2026年度の申請期間は2026年7月1日から7月14日までで、すでに終了しています。次回申請を検討する場合は、次年度の申請案内が公表された後、対象期間と評価基準を改めて確認してください。

まとめ

Gマークの取得が難しい運送会社には、次のような特徴があります。

  • 点呼・運転日報・教育・健康診断などの記録が不足している
  • 帳票同士の内容と実際の運行が一致していない
  • 変更届や報告書に未提出がある
  • 社会保険等の加入状況に問題がある
  • 事故や行政処分により評価項目Ⅱの点数が不足する
  • 安全への積極的な取組を申請直前に始めている
  • 改善報告を提出すれば巡回指導の得点も戻ると考えている

巡回指導で指摘を受けたことだけを理由に、Gマークを諦める必要はありません。

まずは個別項目の判定と点数を確認し、今回の申請が可能か、次回申請へ向けた改善が必要かを分けて整理してください。

関連記事

Gマーク申請前に巡回指導結果と管理状況を整理します

巡回指導で指摘を受けた場合、改善報告を提出するだけでなく、Gマークの評価項目Ⅰで何点になるのか、届出や報告書に未処理がないかまで確認する必要があります。

いしかわ行政書士事務所では、巡回指導結果、改善報告書、点呼記録、運転日報、教育・健康管理の記録、変更届・報告書の提出状況を確認し、現在の不足点と次回申請までに整える内容を整理します。

碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、三河地域・愛知県内の運送会社からのご相談に対応しています。

Gマークの取得を検討している場合は、直近の巡回指導結果と改善報告書、現在使用している帳票をご用意のうえお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

「運送業新規許可・許可後手続きのお問い合わせ」 ご依頼の流れや料金案内をしております。ご相談だけでも構いませんのでお気軽にお尋ねください

出典

全日本トラック協会「2026年度貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)新規申請・更新申請」
全日本トラック協会「安全性優良事業所認定制度」
国土交通省「Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)」
東京都トラック協会「Gマーク認定に向けて」

この記事は、2026年8月時点の公的情報をもとに作成しています。評価項目、対象期間、点数の計算方法、申請期間は年度ごとに変更される可能性があるため、申請年度の案内を確認してください。

トップへ戻る