
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
運送会社やトラック事業者の方から、よくある疑問の一つが、
「運送業許可があれば、産業廃棄物も運べるのか」
というものです。
結論からいうと、運送業許可があるだけでは、他人の産業廃棄物を自由に運べるわけではありません。
運送業許可と産業廃棄物収集運搬許可は、どちらも「トラックで運ぶ」場面に関係します。
しかし、許可の目的も、対象になるものも、申請先も違います。
この記事では、運送業許可と産業廃棄物収集運搬許可の違い、両方の許可が必要になるケース、よくある誤解をわかりやすく解説します。
運送業許可と産業廃棄物収集運搬許可は別の許可
まず押さえておきたいのは、運送業許可と産業廃棄物収集運搬許可は別の制度ということです。
どちらもトラックを使う仕事に関係しますが、見ているポイントが違います。
運送業許可は、他人の貨物を有償で運ぶための許可です。
正式には、一般貨物自動車運送事業許可などがこれに当たります。
荷主から依頼を受けて、商品、資材、部品、製品などの貨物を運ぶ場合に問題になります。
一方、産業廃棄物収集運搬許可は、他人の産業廃棄物を収集し、処分場や中間処理施設などへ運ぶための許可です。
こちらは、運ぶものが通常の貨物ではなく、産業廃棄物である場合に問題になります。
つまり、同じトラックを使っていても、
・通常の荷物を運ぶのか
・産業廃棄物を運ぶのか
によって、必要になる許可が変わります。
「青ナンバーを持っているから大丈夫」
「運送会社だから何でも運べる」
という考え方は危険です。
運送業許可は、産業廃棄物収集運搬許可の代わりにはなりません。
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産業廃棄物収集運搬許可とは?必要になるケースをわかりやすく解説
運送業許可で運べるもの・産廃許可が必要になるもの
運送業許可で主に想定されているのは、他人の「貨物」を有償で運ぶ仕事です。
たとえば、次のようなものです。
・製品
・部品
・建設資材
・機械
・食品
・日用品
・原材料
・荷主の商品
これらは、通常、荷主の貨物として目的地まで運ぶものです。
一方で、産業廃棄物収集運搬許可が問題になるのは、事業活動に伴って発生した廃棄物を運ぶ場合です。
たとえば、次のようなものです。
・建設現場のがれき類
・廃プラスチック類
・金属くず
・木くず
・汚泥
・廃油
・ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず
・工場や事業所から出る廃棄物
ここで重要なのは、見た目だけで貨物か産業廃棄物かを判断しないことです。
たとえば、金属くずでも、資源として売買される有価物なのか、廃棄物として処理されるものなのかで考え方が変わることがあります。
また、建設資材を現場へ運ぶ場合は通常の貨物でも、工事後に出た廃材を処分場へ運ぶ場合は産業廃棄物として扱われる可能性があります。
同じトラック、同じ運転者でも、行きは資材、帰りは廃材というケースでは、必要な許可の確認が変わることがあります。
運送業許可を持っている会社ほど、通常の貨物と同じ感覚で産業廃棄物の運搬を受けてしまうことがあるため注意が必要です。
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産業廃棄物収集運搬許可が必要な業者とは?判断ポイントを解説
両方の許可が必要になるケース
運送業許可と産業廃棄物収集運搬許可は別の許可です。
そのため、仕事内容によっては、両方の許可が必要になることがあります。
代表的なのは、運送会社が他社から依頼を受けて、産業廃棄物を有償で運ぶケースです。
たとえば、次のような場面です。
建設現場の廃材を処分場へ運ぶ場合
建設会社や元請けから依頼を受け、現場から出たがれき類、木くず、金属くず、廃プラスチック類などを処分場へ運ぶ場合です。
この場合、他人の産業廃棄物を運ぶことになるため、産業廃棄物収集運搬許可が必要になる可能性があります。
さらに、それを有償で運送事業として行う場合には、運送業許可との関係も確認が必要です。
工場から出る廃棄物を運ぶ場合
工場や事業所から出る廃油、汚泥、金属くず、廃プラスチック類などを、外部の運送会社が処分先へ運ぶ場合です。
通常の商品を運ぶ場合とは違い、廃棄物を運ぶ仕事になるため、産業廃棄物収集運搬許可の確認が必要です。
取引先から「産廃も運んでほしい」と頼まれた場合
運送会社が、これまで通常の貨物を運んでいた取引先から、追加で廃棄物の運搬を頼まれることがあります。
この場合、「いつもの取引先だから」「同じトラックで運ぶだけだから」と考えるのは危険です。
運ぶものが産業廃棄物に当たる場合、通常の貨物運送とは別に確認が必要です。
建設業者が他社の廃棄物を運ぶ場合
建設業者が、自社の工事で出た廃棄物を自社で運ぶ場合と、他社や元請けから依頼されて廃棄物を運ぶ場合では、許可の考え方が変わります。
他人の産業廃棄物を業として運ぶ形になる場合は、産業廃棄物収集運搬許可が必要になる可能性が高くなります。
このように、両方の許可が関係するかどうかは、運ぶもの、契約内容、報酬の有無、誰の廃棄物かを見て判断します。
産廃許可があれば運送業許可はいらないのか
反対に、産業廃棄物収集運搬許可を持っていれば、運送業許可が不要になるのかという疑問もあります。
これも、単純に「不要」とは言えません。
産業廃棄物収集運搬許可は、産業廃棄物を収集運搬するための許可です。
通常の貨物運送を行うための許可ではありません。
そのため、産業廃棄物収集運搬許可を持っている会社が、他人の一般貨物を有償で運ぶ場合には、別途、運送業許可が必要になる可能性があります。
たとえば、
・資材を現場へ運ぶ
・製品を倉庫へ運ぶ
・荷主の商品を配送する
・他社の一般貨物を継続して運ぶ
このような仕事は、産業廃棄物ではなく通常の貨物運送として考える必要があります。
産廃許可は、一般貨物運送事業許可の代わりにはなりません。
つまり、整理すると次のようになります。
通常の貨物を有償で運ぶ場合
運送業許可が問題になります。
他人の産業廃棄物を運ぶ場合
産業廃棄物収集運搬許可が問題になります。
他人の産業廃棄物を有償で運送事業として運ぶ場合
運送業許可と産業廃棄物収集運搬許可の両方を確認する必要があります。
どちらか一方の許可があれば、もう一方の許可もカバーできるという関係ではありません。
よくある失敗と注意点
運送業許可と産業廃棄物収集運搬許可の違いでよくある失敗は、現場の感覚だけで判断してしまうことです。
青ナンバーだから産廃も運べると思っていた
運送業許可を持っている会社が、通常の貨物と同じ感覚で産業廃棄物の仕事を受けてしまうケースです。
しかし、産業廃棄物を運ぶには、産業廃棄物収集運搬許可が必要になることがあります。
青ナンバーであることと、産業廃棄物を運べることは別問題です。
産廃許可があるから何でも運べると思っていた
産業廃棄物収集運搬許可を持っていても、通常の貨物運送を自由に行えるわけではありません。
他人の貨物を有償で運ぶ場合は、運送業許可が問題になります。
また、産廃許可にも品目があります。
許可を持っていても、運ぼうとしている産業廃棄物の品目が含まれていなければ運べません。
運ぶものが廃棄物か確認していない
取引先から「これを処分場へ持って行ってほしい」と言われた場合、通常の荷物ではなく、産業廃棄物の運搬になる可能性があります。
「荷物を運ぶだけ」と考えるのではなく、処分目的なのか、売買される有価物なのか、廃棄物として扱われるものなのかを確認する必要があります。
積む県と降ろす県を確認していない
産業廃棄物収集運搬許可は、どこで積み、どこで降ろすかが重要です。
会社所在地の県だけでなく、実際の積込場所と運搬先の都道府県を確認します。
たとえば、愛知県で積んで岐阜県の処分場へ運ぶ場合、関係する都道府県の許可を確認する必要があります。
通過するだけの県については、通常、積み降ろしがなければ許可の対象とは考えませんが、運搬内容は事前に整理しておくと安心です。
契約前に確認していない
産業廃棄物の運搬は、仕事を受けてから許可の必要性に気づくと困ります。
許可がなければ、自社で運べず、別の許可業者に依頼しなければならないこともあります。
元請けや取引先から許可証の提示を求められることもあるため、契約前に確認しておくことが大切です。
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産業廃棄物と一般廃棄物の違いとは?収集運搬許可との関係を解説
仕事を受ける前に確認すべきポイント
運送業許可がある会社が、産業廃棄物の運搬を検討する場合は、次の順番で確認すると分かりやすくなります。
1. 運ぶものは通常の貨物か、廃棄物か
まず、運ぶものが商品・資材・製品なのか、廃棄物として処理されるものなのかを確認します。
処分場や中間処理施設へ運ぶ場合は、産業廃棄物に当たる可能性があります。
2. 産業廃棄物に当たるか
廃棄物であっても、産業廃棄物なのか、一般廃棄物なのかで必要な許可が変わります。
産業廃棄物収集運搬許可を持っていても、一般廃棄物を自由に運べるわけではありません。
3. 誰の廃棄物を運ぶのか
自社で出した廃棄物なのか、他人の廃棄物なのかを確認します。
他人の産業廃棄物を業として運ぶ場合は、産業廃棄物収集運搬許可が必要になる可能性が高くなります。
4. どこで積み、どこで降ろすのか
積込場所と運搬先の都道府県を確認します。
会社所在地の許可だけで足りるとは限りません。
5. 許可品目に含まれているか
産業廃棄物収集運搬許可には、許可品目があります。
廃プラスチック類、金属くず、がれき類、汚泥、廃油など、実際に運ぶ品目が許可に含まれているかを確認します。
6. 運送業許可との関係も確認する
他人の貨物または産業廃棄物を有償で運ぶ場合、運送業許可との関係も確認します。
産廃許可だけ、運送業許可だけで足りると決めつけず、実際の仕事の内容で判断することが重要です。
まとめ
運送業許可があっても、他人の産業廃棄物を自由に運べるわけではありません。
運送業許可は、他人の貨物を有償で運ぶための許可です。
一方、産業廃棄物収集運搬許可は、他人の産業廃棄物を収集・運搬するための許可です。
特に注意したいのは、次の点です。
・運送業許可と産業廃棄物収集運搬許可は別の許可
・青ナンバーがあっても産業廃棄物を自由に運べるわけではない
・産廃許可があっても通常の貨物運送を自由にできるわけではない
・他人の産業廃棄物を運ぶ場合は産廃許可が必要になりやすい
・有償で運送事業として行う場合は運送業許可との関係も確認する
・積む県、降ろす県、許可品目を確認する
運送業許可と産業廃棄物収集運搬許可は、「トラックで運ぶ」という点では似ていますが、対象とするものが違います。
産業廃棄物の運搬を仕事として受ける場合は、契約前に、運ぶもの、廃棄物の種類、積込場所、運搬先、許可品目を確認しておくことをおすすめします。
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