この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダーなどの建設機械を別の現場へ運びたい。
このとき最初に確認したいのは、
「自社の重機だから運べるか」
だけではありません。
建設機械・重機の運搬では、主に次の2つを別々に判断します。
- 誰の依頼で、誰の重機を運ぶのか
- 重機を載せた状態で、その道路を通れる大きさ・重さか
他社から依頼を受け、運搬の対価を受け取って重機を運ぶ場合は、一般貨物自動車運送事業の許可を確認します。
一方、自社の工事で使用する自社重機を運ぶため、運送業許可が不要な場合でも、重機を載せたトレーラーの重量や寸法が道路の一般的制限値を超えれば、特殊車両通行許可などが必要になることがあります。
さらに、積載した重機が荷台から大きくはみ出す場合は、制限外積載許可など別の手続きが関係することもあります。
つまり、
運送業許可があるか
と
その車両・重機・経路で公道を走れるか
は別の問題です。
重機を運びたいときは最初に5つ確認する
運搬日が決まったら、まず次を確認します。
- 誰の重機を運ぶのか
- 運搬の対価を受け取るのか
- 何の車両に載せるのか
- 重機を載せた状態の重量・寸法はいくつか
- どこからどこまで、どの道路を通るのか
この5つが分からないと、必要な許可を判断できません。
たとえば同じ油圧ショベルでも、
- 自社現場へ自社重機を運ぶ
- 他社の重機を有償で運ぶ
では運送業許可の判断が変わります。
さらに同じ低床トレーラーでも、載せる重機が変われば、
- 総重量
- 軸重
- 全長
- 全幅
- 全高
が変わるため、特殊車両通行許可の内容も変わる可能性があります。
自社の重機を自社の現場へ運ぶなら運送業許可は原則不要
一般貨物自動車運送事業は、他人の需要に応じ、有償で貨物を自動車で運ぶ事業です。
そのため、
- 自社所有の油圧ショベル
- 自社所有のブルドーザー
- 自社所有のロードローラー
- 自社所有の建設機械
を、自社が施工する現場へ自社のために運ぶだけなら、通常は一般貨物自動車運送事業には当たりません。
ただし、ここで確認が終わるわけではありません。
自社重機でも、低床トレーラー等へ載せた状態で道路の重量・寸法制限を超えるなら、特殊車両通行許可などを確認します。
他社の重機を運んで料金を受け取る場合は運送業許可を確認する
扱いが変わるのが、
「この重機を別の現場へ運んでほしい」
と他社から頼まれる場合です。
たとえば、
- 他社所有の油圧ショベルを現場間で回送する
- 元請所有の重機を運ぶ
- 重機運搬だけを請け負う
- 1台○万円で低床トレーラーを出す
- 距離や回数に応じて運搬料金を受け取る
というケースです。
このように、他人から依頼を受け、運搬の対価を受け取る場合は、一般貨物自動車運送事業の許可を確認します。
建設業許可を持っていることと、他社の重機を有償で運べることは別です。
工事と一緒に他社所有の重機・資材を運ぶ場合は?
他社所有のものを運ぶ場合でも、必ず運送業許可が必要になるわけではありません。
自社が請け負った建設工事と運搬が密接不可分で、
- 自社が施工する
- 施工と運搬を一貫して行う
- 運送そのものの対価を受け取っていない
という状態なら、建設工事に付帯する運搬として整理できる場合があります。
したがって、
「他社所有=必ず緑ナンバー」
ではなく、
重機運搬そのものを独立した仕事として請け負っているのか
を確認します。
運送業許可があっても特殊車両通行許可は別に必要
一般貨物自動車運送事業の許可を持っている運送会社でも、重機を積んでそのままどの道路でも走れるわけではありません。
道路には、車両の重量・寸法について一般的制限値があります。
主なものは次のとおりです。
| 項目 | 一般的制限値 |
|---|---|
| 幅 | 2.5m |
| 長さ | 12.0m |
| 高さ | 3.8m |
| 総重量 | 20.0t |
| 軸重 | 10.0t |
| 輪荷重 | 5.0t |
| 最小回転半径 | 12.0m |
ただし、指定道路や車両構造などによる特例があるため、この数値だけで最終判断はできません。
大切なのは、トレーラーだけの数値ではなく、
重機を実際に載せた状態
で確認することです。
重機を載せた後の重量・寸法を見る
たとえば低床トレーラー自体は制限内でも、油圧ショベルを載せることで、
- 幅2.5mを超える
- 高さ3.8mを超える
- 総重量20tを超える
- 軸重10tを超える
ということがあります。
そのため運搬前には、
- トラクター
- トレーラー
- 積載する重機
を一つの組み合わせとして考えます。
特に重機運搬では、総重量だけでなく軸重も確認します。
重量の載り方によっては、総重量が大きくなくても一つの車軸へ重量が集中することがあります。
特殊車両通行許可が必要になるのはどんな場合?
道路の一般的制限値を超える車両は、原則としてそのまま道路を通行できません。
ただし、車両の構造や積載する貨物が特殊で、社会・経済上通行する必要がある場合には、道路管理者が条件を付けて通行を認める特殊車両通行制度があります。
建設機械や大型発電機など、分割できない貨物を運ぶ車両は代表的な対象です。
したがって、
「重機だから特車申請」
ではなく、
今回の車両+今回の重機+今回の積載状態が一般的制限値を超えるか
を確認します。
アタッチメントを付けたまま運べる?
油圧ショベルなどでは、
- バケット
- ブレーカー
- その他のアタッチメント
を付けたまま運びたいことがあります。
しかし、特殊車両通行制度は、分割できないため制限値を超える貨物などを対象とする制度です。
通常の作業で取り外せる部分があるなら、
「取り外せば制限内で運べないか」
を先に確認します。
許可が取れるから付けたまま運ぶ、という順番ではありません。
特殊車両通行許可と通行確認制度のどちらを使う?
現在は、従来の特殊車両通行許可制度に加えて、特殊車両通行確認制度があります。
通行確認制度では、事前に登録した車両について、道路情報が電子化された道路を対象に、出発地・目的地から通行可能経路をオンラインで確認できます。
一方、道路情報が十分に電子化されていない経路などでは、従来の特殊車両通行許可が必要になることがあります。
重機を運びたい場合は、
- 使用車両
- 通行頻度
- 出発地・目的地
- 通る予定の道路
から、どちらを使うか確認します。
許可を取れば好きな道路を通れるわけではない
特殊車両通行許可では、通行経路も審査されます。
許可には、
- 指定経路を通行する
- 徐行する
- 夜間に通行する
- 誘導車を配置する
- 橋上で他車と同時に通行しない
などの条件が付くことがあります。
そのため、
「現場への最短ルート」
で走れるとは限りません。
国道・県道までは問題なくても、最後に入る市道や現場入口に、
- 狭い交差点
- 重量制限のある橋
- 高さ制限
- 道路情報未収録区間
などがあれば、確認に時間がかかる場合があります。
「前にも同じ道を通った」は判断材料にならない
以前、同じトレーラーで同じ現場へ行ったことがあっても、今回そのまま通れるとは限りません。
たとえば、
- 載せる重機が違う
- 重機の重量が違う
- アタッチメントが違う
- 許可期間が切れている
- 通行条件が違う
ということがあります。
現在持っている許可証や通行回答の、
- 車両
- 積載物
- 重量
- 寸法
- 経路
- 期間
- 条件
と今回の運搬を照合します。
重機が荷台からはみ出すなら制限外積載許可も確認する
特殊車両通行許可と制限外積載許可は別の制度です。
重機をトレーラーへ載せた結果、
- 積載物の幅
- 長さ
- 高さ
- はみ出し方
が道路交通法上の積載制限を超える場合は、警察署長の制限外積載許可を確認します。
つまり、
特殊車両通行許可
= 道路の構造や通行経路
制限外積載許可
= 積載物の大きさ・積み方
という違いがあります。
一つを取ればもう一つが不要になる制度ではありません。
車両そのものが大きいなら基準緩和認定も確認する
重機ではなく、トレーラー等の車両自体が道路運送車両の保安基準を超える構造になっている場合は、基準緩和認定の確認も必要です。
したがって重機運搬では、
- 一般貨物自動車運送事業許可
- 特殊車両通行許可・通行確認
- 制限外積載許可
- 基準緩和認定
が同時に関係することがあります。
それぞれ目的と申請先が違います。
ユニック車で重機を運ぶ場合
ユニック車で小型の建設機械や資材を運ぶ場合も考え方は同じです。
クレーンが付いているから特殊車両になるわけではありません。
確認するのは、
- ユニック車の車検証
- 車両寸法
- 重機の重量
- 重機の幅・高さ・長さ
- 積載後の重量・寸法
- 軸重
- はみ出し量
です。
他社の重機を運んで運搬料金を受け取る場合は、特殊車両通行許可とは別に、運送業許可も確認します。
低床トレーラーで運ぶ場合
油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダーなどを低床トレーラーで運ぶ場合は、
- トラクター
- トレーラー
- 重機
を組み合わせて確認します。
同じトレーラーでも、重機を変えれば重量・寸法は変わります。
そのため、運搬する重機が決まった時点で、
- 重機の仕様書
- 車検証
- 車両諸元
- 積載状態
を確認します。
特殊車両通行許可があれば過積載してもいい?
できません。
特殊車両通行許可は、車検証に記載された最大積載量を超えて積載してよいという許可ではありません。
たとえば、積載能力10トンの車両へ15トンの重機を積み、
「特車許可を取れば走れる」
ということにはなりません。
車両の最大積載量、基準緩和認定、特殊車両通行許可など、それぞれの条件を守ります。
重機を運ぶ前に集める資料
運搬の話が決まったら、まず次を集めます。
- トラクターの車検証
- トレーラーの車検証
- 車両諸元表
- 重機の仕様書・カタログ
- 重機の重量
- 重機の長さ・幅・高さ
- 積載状態が分かる資料
- 出発地
- 目的地
- 運搬予定日
- 現在持っている特車許可証
- 基準緩和認定書等
- 他社依頼なら注文書・見積書等
「重機は0.7クラスです」
「いつものトレーラーです」
だけでは、必要な手続きを正確に判断できません。
搬入日が決まったらこの順番で確認する
実際に重機を運びたいなら、次の順番です。
- 自社重機か、他社から頼まれた重機か確認する
- 有償運送なら運送業許可を確認する
- 運搬する重機を確定する
- 使用車両を確定する
- 積載状態の重量・寸法・軸重を確認する
- アタッチメント等を外せないか確認する
- 特殊車両通行許可・通行確認の要否を確認する
- 制限外積載許可の要否を確認する
- 基準緩和認定を確認する
- 通行経路と条件を確認する
- 誘導車・通行時間等を手配する
- 運転者へ許可条件を伝える
重機が決まっていても、経路が決まっていなければ特殊車両通行許可を進められない場合があります。
逆に現場が決まっていても、どのトレーラーでどの重機を運ぶか分からなければ判断できません。
今回の重機を運べるかチェックする
- □ 誰の重機か確認した
- □ 自社工事に使うのか、他社から運搬だけ頼まれたのか確認した
- □ 運搬料金を受け取るか確認した
- □ 使用する車両を決めた
- □ 重機の重量・寸法を確認した
- □ 積載後の全長・全幅・全高を確認した
- □ 総重量・軸重を確認した
- □ 最大積載量を超えていない
- □ 取り外せるアタッチメントを確認した
- □ 特殊車両通行許可・通行確認を確認した
- □ 制限外積載許可を確認した
- □ 基準緩和認定を確認した
- □ 出発地から現場までの許可経路を確認した
- □ 許可条件・誘導車・通行時間を確認した
一つでも分からない項目がある場合は、現場へ向かう前に確認します。
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まとめ
建設機械・重機を運びたい場合は、最初に運送業許可と道路を通行するための許可を分けて確認します。
自社の工事で使う自社重機を自社のために運ぶだけなら、通常は一般貨物自動車運送事業の許可は必要ありません。
一方、他社から重機運搬を頼まれ、運搬料金を受け取る場合は、一般貨物自動車運送事業の許可を確認します。
そのうえで、自社重機・他社重機にかかわらず、重機を積んだ状態の、
- 全長
- 全幅
- 全高
- 総重量
- 軸重
が道路の一般的制限値を超えるなら、特殊車両通行許可または通行確認制度を確認します。
さらに、積載物の大きさ・はみ出し方によっては制限外積載許可、車両自体の構造によっては基準緩和認定が必要になることがあります。
「自社の重機だから大丈夫」
「運送業許可があるから大丈夫」
「前にも同じ道を通ったから大丈夫」
ではなく、
今回の車両・今回の重機・今回の積載状態・今回の経路
で判断することが重要です。
建設機械・重機を運ぶ前に必要な許可を確認したい方へ
「来週、油圧ショベルを別現場へ運びたい」
「低床トレーラーはあるが、この重機で今の特車許可を使えるか分からない」
「他社から重機運搬を頼まれたが、運送業許可まで必要か確認したい」
という場合は、まず今回使用する車両・重機・経路を整理します。
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、建設機械・重機運搬に関する特殊車両通行許可や一般貨物自動車運送事業の手続きを取り扱っています。
車検証、重機の仕様書、積載状態、出発地・目的地、搬入予定日などを確認し、今回の運搬で必要になる手続きを整理します。
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出典
この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
