
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
油圧ショベル、ブルドーザー、ロードローラーなどの建設機械を現場へ運ぶときは、低床トレーラーやユニック車が使われます。
このとき確認する許可は、運送業許可だけではありません。
車両と重機を合わせた重量や寸法によっては特殊車両通行許可が必要です。重機が荷台からはみ出す場合は、警察署長の制限外積載許可が必要になることもあります。
「自社の重機だから運送業許可は不要」という場合でも、道路を通行するための許可まで不要になるわけではありません。
結論|運送業許可と特殊車両通行許可は別々に判断する
建設機械や重機を運ぶときは、次の順番で確認します。
- 誰の依頼で、誰の重機を運ぶのか
- 運搬の対価を受け取るのか
- 使用する車両と重機を合わせた重量・寸法はいくつか
- 重機は分割できるか
- 積載物が荷台からどの程度はみ出すか
- 出発地から現場まで、どの道路を通るか
関係する主な許可は次のとおりです。
| 許可・手続き | 確認する内容 | 主な申請・確認先 |
|---|---|---|
| 一般貨物自動車運送事業許可 | 他人の依頼を受け、有償で重機を運ぶか | 地方運輸局・運輸支局 |
| 特殊車両通行許可 | 車両と重機を含む重量・寸法が道路の一般的制限値を超えるか | 道路管理者 |
| 特殊車両通行確認制度 | 登録車両が通行できる経路をオンラインで確認するか | 特殊車両通行確認システム |
| 制限外積載許可 | 重機の大きさや積載方法が道路交通法上の制限を超えるか | 出発地を管轄する警察署 |
| 基準緩和認定 | 車両自体が道路運送車両の保安基準を超える構造か | 地方運輸局・運輸支局 |
| 産業廃棄物収集運搬業許可 | 他社が排出した残土や廃棄物を運ぶか | 都道府県・政令市など |
これらは一つの許可で代用できません。
例えば、運送会社が低床トレーラーで他社所有の油圧ショベルを有償で運ぶ場合、一般貨物自動車運送事業許可を持っていても、重量や寸法が一般的制限値を超えるなら、別に特殊車両通行許可などを確認します。
反対に、建設会社が自社工事で使う自社所有の重機を運ぶため、運送業許可が不要となる場合でも、重量や寸法を超えた状態で公道を走るなら特殊車両通行許可が必要です。
建設業者のダンプ・トラック運搬で注意すべき許可
建設会社が自社のダンプやトラックで資材、機材、重機を運ぶときは、「自社の仕事に伴う運搬」と「他社から請け負った運搬」を分けて考えます。
自社が施工する工事に必要な自社の機材や資材を、自社のために現場へ運ぶ場合は、通常、他人の需要に応じた有償運送には当たりません。
一方、元請会社や別の建設会社から次のような依頼を受ける場合は注意が必要です。
- 他社所有の建設機械を現場まで運ぶ
- 自社は施工せず、車両と運転者だけを提供する
- 運搬距離や回数に応じて代金を受け取る
- 工事請負契約とは別に運搬を受注する
- 重機の回送費として利益を含む代金を受け取る
- 荷積みと荷下ろしだけを担当する
他人の依頼を受け、有償で貨物を運ぶ実態がある場合は、原則として貨物自動車運送事業の許可が必要です。
請求書の項目を「回送費」「車両費」「工事諸経費」「重機損料」などに変えても、それだけで許可が不要になるわけではありません。契約内容、運搬の対価、施工との関係から実質的に判断されます。
また、建設業許可を持っていることと、他人の重機を有償で運べることは別です。建設業許可は、貨物自動車運送事業許可の代わりにはなりません。
ダンプで土砂・残土を運ぶ場合に確認したい許可
ダンプで土砂や残土を運ぶ場合は、運送業許可だけでなく、運搬物が産業廃棄物に該当するかも確認します。
「残土」と呼ばれていても、そのすべてが産業廃棄物になるわけではありません。建設工事から発生した土砂と、がれき類、汚泥、木くずなどが混ざった物では扱いが異なります。
| 運搬する物と状況 | 主な確認事項 |
|---|---|
| 自社工事から出た建設発生土を自社で移動する | 運送業許可の要否、搬出先、自治体の土砂条例など |
| 元請や他社の依頼で土砂を有償運搬する | 貨物自動車運送事業許可の要否 |
| 他社が排出した産業廃棄物を処分場へ運ぶ | 産業廃棄物収集運搬業許可の要否 |
| 土砂にがれき類や汚泥などが混ざっている | 廃棄物の種類と処理方法 |
| ダンプの車両総重量や軸重が制限を超える | 特殊車両通行許可の要否 |
| 土砂を最大積載量以上に積む | 過積載となるため不可 |
特殊車両通行許可は、車検証に記載された最大積載量を超えて積載することを認める制度ではありません。
許可を取得していても、車検証上の最大積載量や許可された車両諸元を超えれば、過積載や無許可通行の問題が生じます。
ダンプで土砂を運ぶときは、積載前の見た目だけで重量を判断せず、土質や含水量も含めて積載量を管理する必要があります。
建設機械を運ぶときに必要な特殊車両通行許可とは?
道路法では、道路の構造を守り、交通上の危険を防ぐため、道路を通行する車両の大きさや重さに一般的制限値を設けています。
主な一般的制限値は次のとおりです。
| 項目 | 一般的制限値 |
|---|---|
| 幅 | 2.5メートル |
| 長さ | 12.0メートル |
| 高さ | 3.8メートル |
| 総重量 | 20.0トン |
| 軸重 | 10.0トン |
| 輪荷重 | 5.0トン |
| 最小回転半径 | 12.0メートル |
指定道路や車種、軸距などによる特例があるため、表の数値だけで最終判断はできません。
ここでいう車両の大きさと重さは、トラックやトレーラーだけではなく、運転者や積載した重機を含む実際の通行状態で確認します。
例えば、車両自体の幅が2.5メートル以内でも、積載した重機を含む幅が2.5メートルを超えれば、特殊車両通行許可の対象となる可能性があります。
国土交通省は、分割できないため一般的制限値を超える建設機械、大型発電機、電柱などを「貨物が特殊」な車両の例として挙げています。
ただし、重機の一部を通常の作業で取り外せる場合は、取り外して制限内に収められないかも確認されます。分割できる資材を一度に大量に積み、重量制限を超えた状態で通行するための制度ではありません。
許可を取れば、どの道路でも通れるわけではない
特殊車両通行許可は、申請した車両が申請した経路を通行できるか、道路管理者が橋、トンネル、交差点、道路幅などを審査する制度です。
許可には、次のような条件が付くことがあります。
- 指定された経路を通行する
- 徐行する
- 誘導車を配置する
- 橋の上で他の車両と同時に通行しない
- 夜間など指定された時間帯に通行する
- 車両の幅・高さ・長さ・重量を許可値以内にする
現場への最短経路が許可されるとは限りません。
工事の受注後に申請を始めると、希望する搬入日に間に合わないことがあります。車両、重機、積載状態、出発地、目的地が決まった段階で申請の準備を始める必要があります。
2022年4月からは、従来の特殊車両通行許可制度に加え、登録した車両について通行可能な経路をオンラインで確認できる特殊車両通行確認制度が運用されています。
従来の許可申請と通行確認制度では、利用条件や通行できる経路の確認方法が異なります。使用車両や運行形態に合う制度を選びます。
ユニック車で建設資材や重機を運ぶときに確認したい許可
ユニック車は、荷物の運搬と積み降ろしを一台で行えるため、建設現場で広く使われています。
ただし、クレーンを備えていることだけで特殊車両通行許可が必要になるわけではありません。車両の構造、積載物、実際の重量と寸法から判断します。
確認する資料は次のとおりです。
- 車検証
- 車両の外観図・諸元表
- クレーン部分を含む車両寸法
- 積載する資材や重機の重量
- 積載後の全長・全幅・全高
- 車軸ごとの軸重
- 積載物のはみ出し量
- 出発地と目的地
- 通行予定経路
特に注意したいのは、重機や資材を載せた後の高さと軸重です。
総重量が一般的制限値以内でも、一つの車軸に重量が集中し、軸重の制限を超えることがあります。重心の位置や積載方法によって軸重が変わるため、車両総重量だけを見て判断できません。
ユニック車で他社の資材や重機を運び、運搬の対価を受け取る場合は、特殊車両通行許可とは別に運送業許可も確認します。
また、荷台から資材や重機が大きくはみ出すときは、道路交通法に基づく制限外積載許可が必要になる場合があります。
愛知県内を出発する場合、制限外積載許可は、原則として出発地を管轄する警察署の交通課窓口またはe-Gov電子申請で手続きを行います。
トレーラーで建設機械を運ぶときに必要な許可
油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダーなどを低床セミトレーラーで運ぶ場合は、トラクター、トレーラー、重機を組み合わせた状態で確認します。
同じトレーラーを使っても、積載する重機が変われば次の数値が変わります。
- 車両総重量
- 軸重
- 全長
- 全幅
- 全高
- 最小回転半径
- 荷物のはみ出し量
そのため、以前に特殊車両通行許可を取得した車両だからといって、別の重機を同じ許可で運べるとは限りません。
許可証や通行回答に記載された車両、積載物、重量、寸法、経路、期間、通行条件を確認します。
トレーラーによる重機運搬では、次の手続きが同時に関係することがあります。
| 状況 | 確認する許可・手続き |
|---|---|
| 他社の重機を有償で運ぶ | 一般貨物自動車運送事業許可 |
| 重機を積んだ状態で一般的制限値を超える | 特殊車両通行許可または通行確認 |
| 積載物の大きさ・積載方法が制限を超える | 制限外積載許可 |
| 車両自体が保安基準を超える構造になっている | 基準緩和認定 |
| 許可条件で誘導車が指定されている | 条件に合う誘導車の手配 |
| 高速道路や有料道路を通行する | 各道路の通行条件・料金区分などの確認 |
工事現場の入口まで許可された経路がつながっているかも確認が必要です。
国道や県道までは経路を確保できても、最後に通る市道が道路情報便覧へ収録されていない場合や、狭い交差点、重量制限のある橋などがある場合は、道路管理者との協議に時間を要することがあります。
制限外積載許可や基準緩和認定も必要になることがある
特殊車両通行許可と制限外積載許可は、似ていますが目的が異なります。
特殊車両通行許可は道路法に基づき、道路や橋などの構造を保全し、交通上の危険を防ぐための手続きです。
制限外積載許可は道路交通法に基づき、分割できない貨物を積むため、積載物の大きさや積載方法の制限をやむを得ず超える場合に受ける許可です。
| 比較項目 | 特殊車両通行許可 | 制限外積載許可 |
|---|---|---|
| 主な根拠 | 道路法 | 道路交通法 |
| 主な判断対象 | 車両と貨物を含む重量・寸法、通行経路 | 積載物の大きさ、はみ出し方など |
| 主な申請先 | 道路管理者 | 出発地を管轄する警察署長 |
| 主な目的 | 道路構造の保全と交通上の危険防止 | 積載状態による交通上の危険防止 |
| 両方必要になるか | 必要になる場合がある | 必要になる場合がある |
例えば、低床トレーラーに載せた重機が車幅より大きくはみ出し、積載状態の総重量も一般的制限値を超える場合は、両方の許可が必要になる可能性があります。
さらに、トレーラーや自走式建設機械の構造自体が道路運送車両の保安基準を超える場合は、基準緩和認定の有無も確認します。
一つの窓口へ申請すればすべて完了するわけではないため、搬入日から逆算して各手続きを並行して進めます。
運搬前に確認したい資料と手順
重機の運搬が決まったら、まず次の資料を集めます。
- トラクターとトレーラーの車検証
- 車両諸元表
- 重機の仕様書・カタログ
- 重機の重量、長さ、幅、高さ
- 積載状態図
- 軸重計算に必要な資料
- 出発地と目的地の住所
- 通行予定経路
- 運搬予定日と時間帯
- 工事請負契約書や運搬依頼書
- 見積書、注文書、請求予定の内訳
- 基準緩和認定書など車両に関する資料
- 現在取得している通行許可証・条件書
次に、次の順序で整理します。
- 自社運搬か、他社から受注した有償運送かを確認する
- 使用する車両と積載する重機を確定する
- 積載状態の重量・寸法・軸重を計算する
- 分割または取り外しが可能な部分を確認する
- 特殊車両通行許可または通行確認の要否を判断する
- 制限外積載許可と基準緩和認定の要否を確認する
- 搬入可能な経路と通行条件を確認する
- 誘導車、通行時間、現場への進入方法を手配する
- 運転者へ許可経路と条件を伝える
現場住所と重機名だけでは、特殊車両通行許可の申請は進められません。
「いつも使っているトレーラー」「以前も通った道路」という理由だけで走行せず、今回の車両、積載物、経路が許可内容に含まれているかを確認してください。
よくある質問
- Q自社所有の重機を自社の現場へ運ぶ場合、運送業許可は必要ですか?
- A
自社が施工する工事に使う自社所有の重機を、自社のために運ぶのであれば、通常は他人の需要に応じた有償運送には当たりません。ただし、重量や寸法が一般的制限値を超える場合は、特殊車両通行許可などを別に確認します。
- Q運送業許可があれば、重機を載せてどの道路でも走れますか?
- A
走れません。運送業許可は有償で貨物を運ぶ事業に関する許可です。車両と重機の重量・寸法が道路の制限を超える場合は、特殊車両通行許可または通行確認が別に必要です。
- Q特殊車両通行許可があれば、他社の重機を白ナンバーで運べますか?
- A
特殊車両通行許可は、白ナンバー車両による有償運送を認める許可ではありません。他社から重機運搬を請け負い、運搬の対価を受け取る場合は、貨物自動車運送事業許可の要否を別に判断します。
- Q重機を積んだ状態で幅2.5メートルを超えたら必ず許可が必要ですか?
- A
一般的制限値を超える車両が道路を通行する場合は、原則として特殊車両通行許可が必要です。積載物の幅やはみ出し方によっては、警察署長の制限外積載許可も必要になることがあります。
- Q重機のアタッチメントを付けたまま申請できますか?
- A
分割できない貨物であることが特殊車両通行許可の前提となる場面があります。通常の作業で取り外せるアタッチメントなどは、取り外した状態で運べないかを先に確認してください。
- Q一度取得した許可を別の重機にも使えますか?
- A
許可内容によります。車両、積載物、重量、寸法、経路、通行期間、条件が今回の運搬と一致しているかを確認します。重機が変わり許可された諸元を超える場合は、そのまま使用できません。
- Q特殊車両通行許可を取れば過積載でも運べますか?
- A
運べません。特殊車両通行許可は、車検証上の最大積載量を超えた積載を認める制度ではありません。車検証、基準緩和認定、通行許可など、それぞれの上限と条件を守る必要があります。
- Q現場へ向かう途中で通行止めがあった場合、別の道へ迂回できますか?
- A
原則として、許可や通行回答で認められていない道路へ任意に迂回できません。通行予定経路に工事や規制がある場合は、運行前に代替経路の許可・回答を確認します。
まとめ
建設機械や重機の運搬では、運送業許可と特殊車両通行許可を分けて確認します。
- 他人の依頼を受け、有償で重機を運ぶ場合は運送業許可を確認する
- 自社の重機を運ぶ場合でも、重量・寸法を超えれば特殊車両通行許可を確認する
- 重機を積んだ実際の状態で全長・全幅・全高・総重量・軸重を計算する
- 分割できる部品やアタッチメントは取り外せないか確認する
- 積載物の大きさやはみ出し方によっては制限外積載許可も確認する
- 車両自体が保安基準を超える場合は基準緩和認定を確認する
- 許可された経路、通行時間、誘導車などの条件を守る
- 工事の搬入日から逆算して手続きを始める
確認が遅れると、重機と車両を手配できていても、予定した日に現場へ搬入できないことがあります。
運搬を受注してから調べるのではなく、車両、重機、経路、搬入予定日が決まった段階で必要な許可を整理することが大切です。
関連記事
建設機械・重機の運搬に必要な許可を整理します
建設機械の搬入日が決まっていても、車両、重機、通行経路によって必要な手続きは異なります。
いしかわ行政書士事務所では、車検証、車両諸元、重機の仕様、積載状態、出発地・目的地を確認し、運送業許可、特殊車両通行許可、制限外積載許可などの必要な手続きを整理します。
特殊車両通行許可では、申請する車両と通行経路を確認し、道路管理者との協議を含めた手続きを進めます。運送業許可が必要な場合は、営業所、車庫、車両、人員、資金などの要件もご案内します。
碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、三河地域・愛知県内の建設会社、重機運搬会社、運送事業者からのご相談に対応しています。
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出典
国土交通省関東地方整備局「道路法に基づく車両の制限とは」
国土交通省関東地方整備局「特殊な車両とは」
国土交通省「特殊な車両の通行の許可に関する事務の具体的処理について」
国土交通省「特殊車両通行許可制度オンライン申請システム操作説明資料」
国土交通省「法令適用事前確認手続 回答書」
愛知県警察「道路使用許可、通行許可等の申請手続き」
警視庁「制限外積載等許可申請手続きについて」
この記事は、2026年8月時点の公的情報をもとに作成しています。道路法、貨物自動車運送事業法、道路交通法、特殊車両通行制度の運用は変更される可能性があるため、実際の運搬時点の情報を確認してください。
