この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
西三河で運送会社を経営していると、
「来月トラックを1台増やしたい」
「今の車庫では足りないので、近くにもう1か所借りたい」
「営業所を移転したい」
「新しい会社で一般貨物を始めたい」
といった場面があります。
これらはすべて運送業に関する手続きですが、必要になるのは同じ届出ではありません。
増車なら事前届出で進められる場合がありますが、車庫を増やせば認可が必要になることがあります。営業所の移転も、移転する範囲によって認可と事後届出が分かれます。新しく一般貨物自動車運送事業を始めるなら、新規許可からです。(国土交通省道路部)
そのため最初に「何の様式を使うか」を探すより、
「何を変えたいのか」
「変更後に営業所・車庫・車両をどう配置するのか」
「いつからその状態で営業したいのか」
を決めた方が、必要な手続きを整理しやすくなります。
この記事では、碧南・西尾・高浜・安城・刈谷・岡崎を中心とした西三河で、一般貨物自動車運送事業の新規許可や許可後の変更をするとき、どこから確認すればよいかを整理します。
この記事は2026年9月時点の法令・中部運輸局の公示等をもとに作成しています。
西三河の運送業手続きは「変更後どうなるか」から決める
一般貨物の許可をすでに持っている会社なら、まず現在の事業計画と、変更後の状態を比べます。
中部運輸局の手続一覧では、主な変更は次のように分かれています。(国土交通省道路部)
| やりたいこと | 主な手続き |
|---|---|
| 一般貨物を新しく始める | 経営許可 |
| 通常の増車・減車 | 原則として事前届出 |
| 一定条件に該当する増車 | 事業計画変更認可 |
| 自動車車庫の位置・収容能力を変える | 事業計画変更認可 |
| 営業所を最小行政区域内で移す | 事後届出 |
| 営業所を区域外へ移す・新設・廃止する | 事業計画変更認可 |
| 休憩・睡眠施設の位置・収容能力を変える | 事業計画変更認可 |
実務では、一つだけで終わらないことがあります。
「トラックを3台増やしたい」という話でも、現在の車庫に3台を追加できなければ、増車だけでは進みません。
「営業所を移したい」という話でも、現在の車庫との距離が要件を外れるなら、車庫変更まで考える必要があります。
そのため、手続を一件ずつ切り離して考えるより、変更後の営業所・車庫・車両・人員を一度並べてから必要な申請や届出を分けます。
増車だけなら早く進められても、車庫が足りなければそこで止まる
一般貨物の事業用自動車の台数変更は、原則として事前届出です。
中部運輸局は、認可に該当しない車両数変更について「あらかじめ」届出書を提出することとし、繁忙期などは当日の確認が難しい場合があるため、できる限り実施予定日前に提出するよう求めています。
ただし、増車なら何台でも届出というわけではありません。
増車しようとする台数と直前3か月以内に増加した台数の合計が、3か月前時点の当該営業所の車両数の30%以上となり、その増加台数の合計が10両を超える場合は、認可の審査対象になります。
つまり「30%」だけでも「11両以上」だけでもなく、両方が重なるかを確認します。さらに、行政処分の累積違反点数や巡回指導の評価などによって認可審査となる場合もあります。
ここで台数だけを計算して終わらせないことが重要です。
現在の認可車庫に、その車両を追加して収容できるでしょうか。
中部運輸局の基準では、計画する車両をすべて収容でき、車両相互間と車庫境界との間に50cm以上の間隔を確保する必要があります。
したがって、
「増車届で済む台数だからすぐ登録できる」
とは限りません。
車庫の収容能力が不足するなら、先に車庫をどうするかまで決める必要があります。
車庫を追加・移転するなら、借りてからではなく候補地で確認する
自動車車庫の位置や収容能力を変更する場合は、事業計画変更認可の対象です。(国土交通省道路部)
車庫候補では、単にトラックが置ける面積だけを見ません。
中部運輸局では、原則として営業所への併設を求め、併設できない場合、中部運輸局管内では営業所から直線10km以内としています。
さらに、
- 前面道路の幅員が車両制限令に適合するか
- 都市計画法や農地法など関係法令に抵触しないか
- 計画車両をすべて収容できるか
- 車両同士・車庫境界との間に50cm以上確保できるか
- 土地について必要な使用権原を確保できるか
を確認します。
「空き地が見つかったから契約した。その後で運送業の車庫として使えるか調べる」という順では、条件を満たさないと候補地から探し直すことになります。
特に西三河では、幹線道路沿いから少し入ると農地や市街化調整区域が混在する地域もあります。
増車予定があるなら、
車を買う
↓
置き場所を探す
ではなく、
何台増やすか決める
↓
現在の車庫に入るか確認する
↓
不足するなら車庫候補を確認する
↓
必要な認可手続きを組む
↓
車両登録・稼働日を決める
という方向で考えた方が手戻りを減らせます。
営業所の移転は「近いから届出」ではなく区域で分かれる
営業所変更は、特に手続区分を間違えやすいところです。
中部運輸局の公式手続一覧では、
営業所の名称・位置を最小行政区域内で変更する場合は事後届出、
営業所の新設・廃止や、最小行政区域外への位置変更は認可、
と分けられています。(国土交通省道路部)
そのため「営業所を移す=すべて事業計画変更認可」と一律には扱いません。
ただし、事後届出に当たる位置変更だから、物件を何も確認せず移転してよいわけでもありません。
中部運輸局の処理方針では、指定区域内での営業所位置変更についても、自動車車庫との距離制限に支障がないことが条件です。
たとえば営業所だけを移し、今の車庫をそのまま使いたい場合には、新営業所と既存車庫との位置関係を確認します。
一方、営業所と一緒に車庫も移すのであれば、営業所変更と車庫変更を別々に判定します。
「事務所を引っ越すだけ」と考えていたものが、実際には営業所・車庫・休憩施設・車両配置まで動く計画になることがあります。
営業所を増やすなら「事務所を1か所増やす」だけではない
別の地域に営業所を新設する場合は、単に机と電話を置く場所を増やす話ではありません。
新しい一般貨物の営業所として運営するなら、そこに配置する車両、車庫、運転者、運行管理体制、整備管理体制、休憩・睡眠施設などを含めて事業計画を組みます。
中部運輸局の新規許可基準では、一般貨物について原則として営業所ごと・車両種別ごとに5両以上の事業用自動車を配置することが求められています。運行管理者についても営業所ごとの体制が必要です。
ですから、
「岡崎にも仕事が増えたから小さな事務所を借りたい」
という話と、
「岡崎に一般貨物の営業所を新設し、そこへ車両を配置したい」
という話は同じではありません。
新しい場所にどの機能を持たせたいのかを先に整理すると、不必要な施設変更を避けられる場合があります。
新規許可なら増車や車庫変更とは時間のかかり方が違う
まだ一般貨物自動車運送事業の許可を持っていない場合は、許可後変更ではなく新規の経営許可から始めます。
中部運輸局の現在の許可基準では、営業所、原則5両以上の事業用自動車、車庫、休憩・睡眠施設、運転者、運行管理体制、整備管理体制、資金計画、法令遵守などを確認します。営業所や車庫については使用権原や関係法令への適合も審査対象です。
また、中部運輸局では一般貨物の新規許可等に係る法令試験を実施しており、2026年度の日程も公表されています。(国土交通省道路部)
新規許可の標準処理期間は3~5か月です。
事業計画変更認可は、運輸支局長権限のものが1~3か月、その他が1~4か月とされています。なお、この標準処理期間には申請の補正に要する期間などは含まれません。
ここで重要なのは、
「申請を出す日」
ではなく、
「いつからトラックを走らせたいか」
です。
たとえば半年後に新会社で運送を始めたいのであれば、許可申請だけで3~5か月を見込む必要があります。その前に営業所や車庫の候補、車両、人員、資金を固めなければなりません。
反対に、既存会社で通常の1台増車だけなら、新規許可と同じ時間軸で考える必要はありません。
やりたいことによって、着手すべき時期が大きく変わります。
西三河では運送業の手続きと車両登録の窓口を分けて考える
西三河だから、運送業に関する手続きをすべて西三河自動車検査登録事務所で行うわけではありません。
ここは、増車時に分かりにくいところです。
一般貨物自動車運送事業の許認可・届出を扱うのは愛知運輸支局の輸送担当です。愛知運輸支局は名古屋市中川区にあります。(国土交通省道路部)
一方、自動車登録には車両の使用の本拠ごとの管轄があります。
西三河自動車検査登録事務所は豊田市にあり、三河ナンバーの管轄には岡崎市・碧南市・刈谷市・安城市・西尾市・知立市・高浜市などが含まれています。(国土交通省道路部)
つまり、たとえば碧南市の営業所へ中古トラックを1台増やすなら、
一般貨物側の増車手続き
↓
事業用自動車として登録するための書類を整える
↓
西三河自動車検査登録事務所で自動車登録
↓
緑ナンバーで稼働
という二つの系統をつなぐことになります。
愛知運輸支局の自動車登録案内でも、事業用車両の登録については事前の手続きが必要と案内されています。(国土交通省道路部)
増車では、運送業側の届出だけ終わってもトラックはまだ稼働できません。
反対に、自動車登録の日程だけ販売店と決めても、運送業側の確認が終わっていなければ予定どおり進まないことがあります。
西三河で日程を組むときは、この二つを一つの工程として考えます。
複数の変更が重なるときは一番時間のかかる手続きから逆算する
同じ「トラックを増やしたい」でも、必要な日数は同じではありません。
たとえば次のように分かれます。
| 現在の状況 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 1台増車、今の車庫に余裕がある | 増車が届出か認可か、登録日 |
| 増車すると今の車庫に入らない | 車庫変更認可の可否と時期 |
| 車庫を別の土地へ移す | 候補地の距離・面積・前面道路・関係法令 |
| 営業所だけ移転する | 移転区域と既存車庫との距離 |
| 営業所と車庫を一緒に移す | 営業所と車庫それぞれの手続区分 |
| 新しい営業所を増やす | 車両・車庫・人員を含む新営業所全体 |
| まだ一般貨物許可がない | 新規許可の事業計画 |
この整理をしてから、
「この申請書を書けばいい」
という段階へ進みます。
たとえば納車日まで1か月しかないのに、調べたら新しい車庫の認可が必要だった、という状態では日程の組み直しが必要になる可能性があります。
逆に、現在の車庫に余裕があり、通常の増車届で進められるなら、必要以上に大きな手続きを想定する必要はありません。
運送業の変更は、手続名称より「変更後の状態」で分けた方が判断しやすくなります。
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まとめ
西三河で運送業の手続きをするときは、増車・車庫・営業所・新規許可を別々の書類として探す前に、変更後の事業計画を整理します。
増車は原則として事前届出でも、増車規模や事業者の状況によって認可になる場合があります。現在の車庫に入らなければ車庫変更認可も必要です。
営業所の位置変更は、最小行政区域内か区域外かで手続区分が変わり、車庫との距離や他の施設変更も確認します。
そして西三河では、一般貨物側の許認可・届出と、車両の自動車登録を別の窓口・別の工程としてつなぐ必要があります。
「何の手続きか分からない」ときは、現在の営業所・車庫・車両数と、何月何日から何を変えたいのかを並べるところから始めると、必要な手続きが見えやすくなります。
西三河で増車・車庫・営業所変更を進める前にご相談ください
いしかわ行政書士事務所では、碧南・西尾・高浜・安城・刈谷・岡崎を中心とした三河エリアで、一般貨物自動車運送事業の新規許可から許可後の変更手続きまで対応しています。
増車だけで済むのか、車庫変更や営業所変更まで必要になるのか分からない段階でも、現在の許可内容と変更後の計画から必要な手続きを整理します。
車庫や営業所を契約する前、トラックの購入・納車日を決める前にご相談いただくことで、認可・届出・車両登録までの順番を確認しながら進めることができます。
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出典
貨物自動車運送事業に関する手続き一覧|国土交通省 中部運輸局
法令・公示|貨物自動車運送事業(緑ナンバー)|国土交通省 中部運輸局
様式(申請・届出・報告)|貨物自動車運送事業(緑ナンバー)|国土交通省 中部運輸局
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の申請事案の処理方針について|国土交通省 中部運輸局
一般貨物自動車運送事業等の標準処理期間について|国土交通省 中部運輸局
