この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
一般貨物の運送業を続けることが難しくなったとき、
「もう運送業をやめたい」
「しばらく仕事を止めて、再開できるなら残しておきたい」
「自分はやめるが、会社や事業を他社へ引き継ぎたい」
というケースがあります。
この3つは同じ手続きではありません。
一般貨物の事業そのものを終えるなら廃止、一時的に止めるなら休止、事業を別の事業者へ引き継ぐなら譲渡譲受を検討します。
また、一部の営業所だけを閉じる、一部の車両だけ減らすという場合は、事業全体の廃止・休止とは別の手続きです。
先に「廃止届を出す」と決めるのではなく、
- 今後この許可を使う可能性があるか
- 自分では続けないが事業自体は残したいか
- 全部やめるのか、一部だけ整理するのか
を確認してから手続きを選びます。
完全に運送業をやめるなら廃止を検討する
今後、一般貨物の事業を再開する予定がなく、事業そのものを終了するのであれば廃止を検討します。
一般貨物の事業を廃止しようとするときは、原則として廃止する30日前までに届出が必要です。
そのため、
「今日で営業をやめたので、後から廃止届を出す」
という事後手続きではありません。
廃業する日を決めたら、その日から逆算して準備します。
しばらく止めるだけなら休止を検討する
すぐに廃止するか決められない場合や、事情が落ち着いたら再開したい場合は、休止を検討します。
休止も、事業の全部を止める場合に行う手続きです。
休止しようとするときも、原則として30日前までに届出を行います。
たとえば、
- 当面、運転者を確保できない
- 一時的に事業を続けられない
- 将来再開する可能性を残したい
という場合は、廃止する前に休止が合うか確認します。
休止した後に再開する場合
休止していた一般貨物の事業を再開した場合には、再開したことについて手続きが必要です。
そのため、休止は「何もせず許可を寝かせておく」という意味ではありません。
再開するときには、実際に事業を行える車両・営業所・車庫・人員などの体制も確認する必要があります。
他社に運送事業を残したいなら譲渡譲受を検討する
自社では一般貨物を続けないものの、運送事業そのものを別の会社などへ引き継ぎたい場合は、単純な廃止ではなく譲渡譲受を検討します。
一般貨物の事業の譲渡譲受には認可が必要です。
たとえば、
「自分の会社では運送業から撤退するが、取引先や事業を別会社へ引き継ぎたい」
という場合です。
廃止届を出してから考えるのではなく、事業を残すのであれば先に譲渡譲受の可能性を確認します。
許可だけを売る手続きではない
譲渡譲受は、一般貨物の許可証だけを他社へ渡す手続きではありません。
一般貨物自動車運送事業そのものを譲渡・譲受する手続きです。
譲受側についても、一般貨物を適切に行える事業者であるかなどが確認されます。
そのため、
「緑ナンバーの許可を持っている会社を買えば、そのまま使える」
と単純に考えず、会社・事業をどのように承継するのかに合わせて手続きを確認します。
廃止・休止・譲渡の違いを整理する
迷っている場合は、まず今後その事業をどうしたいかで整理します。
| 今後どうしたいか | 検討する手続き |
|---|---|
| 一般貨物を完全にやめる | 廃止 |
| 一時的に止めて将来再開したい | 休止 |
| 自分はやめるが他社へ事業を引き継ぎたい | 譲渡譲受 |
| 営業所の一部だけ閉じたい | 事業計画変更 |
| 車両を減らしたい | 減車等の変更手続き |
| 法人の合併・分割で引き継ぐ | 合併・分割の認可等を確認 |
| 個人事業主が死亡し相続人が続ける | 相続による継続認可を確認 |
「運送業をやめる」という言葉だけでは、必要な手続きは決まりません。
今ある一般貨物の事業を今後どうするのかを先に決めます。
一部だけやめるなら廃止・休止ではない
注意したいのが、
「営業所を1か所閉めたい」
「車庫を1か所なくしたい」
「10台あるトラックを5台まで減らしたい」
といったケースです。
中部運輸局の処理方針では、事業の休止・廃止は事業全部を休止・廃止する場合の手続きです。
一部の休止や廃止については、事業計画変更の手続きを行います。
そのため、
「○○営業所を閉鎖するから事業廃止」
とは限りません。
会社として一般貨物の事業を続けるのであれば、何をなくすのかに応じた変更手続きを確認します。
会社そのものを閉じる場合は運送業の手続きを先に確認する
法人を解散する、会社を清算するという場合でも、一般貨物の許可を持っているなら運送業側の手続きを確認します。
会社登記だけを進めて、
「会社がなくなったから運送業の許可も自動的になくなる」
と考えない方がよいでしょう。
一般貨物の事業をどうするのかを決め、
- 廃止する
- 他社へ譲渡する
- 合併・分割などで承継する
といった手続きを整理してから会社側の手続きと合わせて進めます。
廃止・休止する前に確認しておきたいこと
運送業を止める場合は、届出書だけを作れば終わりとは限りません。
事業終了に伴って、
- 事業用車両をどうするか
- 緑ナンバーの車両をどうするか
- 営業所・車庫の契約をどうするか
- 運行管理者・整備管理者の扱い
- 従業員への対応
- 取引先との契約
- 未提出の報告書や届出がないか
なども確認します。
特に、以前から変更届や報告書を出していない場合は、現在の届出内容と実態が一致していないことがあります。
休止・廃止の届出だけを見るのではなく、現在の許可内容と会社の状態も一度整理します。
事業を他社へ引き継ぐなら廃止する前に相談する
事業を譲渡する可能性があるなら、廃止届を先に提出しない方がよいケースがあります。
廃止と譲渡では目的が違うからです。
たとえば、
「後継者はいないが、取引先と運送事業を別会社へ引き継いでもらえるかもしれない」
という段階なら、
廃止する
→後から事業を引き継げないか考える
のではなく、
事業を引き継ぐか確認
→譲渡譲受等の方法を確認
→それが難しければ廃止を検討
という順番で考えます。
運送会社を閉じることと、運送事業を消すことは同じではありません。
どの手続きを選ぶか分からないときの確認順
運送業を続けない可能性が出てきたら、次の順番で考えます。
- 一般貨物を今後完全にやめるのか確認する
- 将来再開する可能性があるか確認する
- 他社や後継者へ事業を引き継ぐ可能性があるか確認する
- 全事業を止めるのか、一部だけ整理するのか確認する
- 現在の許可・届出内容を確認する
- 必要な休止・廃止・譲渡譲受・変更手続きを決める
- 車両・営業所・車庫・従業員などの整理と合わせて進める
「会社をやめるから廃止」と先に決めるより、事業を残す可能性がないかまで確認してから手続きを選びます。
廃止・休止は30日前までの届出を考える
一般貨物の事業を休止または廃止する場合は、原則としてその30日前までに届出を行います。
そのため、廃業予定日が決まっているなら早めに準備します。
特に、
- 営業所や車庫の解約日
- 車両の処分・名義変更
- 従業員との雇用関係
- 荷主との契約終了日
などと、一般貨物の休止・廃止日がずれないよう確認します。
先に周辺の契約をすべて終了してしまうのではなく、運送業側の手続きと日程を合わせて整理します。
「今後どうしたいか」で手続きを選ぶ
一般貨物を続けられなくなったとき、必ず廃止を選ぶわけではありません。
完全にやめるなら廃止。
一時的に止めるなら休止。
他社へ事業を残すなら譲渡譲受。
営業所や車両の一部だけ整理するなら事業計画変更などを確認します。
重要なのは、
「どの届出書を出すか」
から考えるのではなく、
「今ある運送事業を今後どうしたいか」
から決めることです。
一度廃止してから事業を残す方法を考えるのではなく、将来再開する可能性や他社へ引き継ぐ可能性まで確認してから手続きを進めます。
関連記事
運送会社の手続き、漏れていない?変更届・報告書・車両管理を確認
運送会社の手続きを外注したい|スポット依頼と継続依頼どちらが合う?
運送業をやめる・休む・引き継ぐ前にご相談ください
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、一般貨物自動車運送事業の許可後手続きについてご相談を承っています。
完全に廃止するのか、しばらく休止するのか、他社へ事業を引き継ぐのか決まっていない段階でも構いません。
現在の事業状況と今後どうしたいのかを確認し、必要な手続きを整理します。
お問い合わせはこちら
「運送業新規許可・許可後手続きのお問い合わせ」 ご依頼の流れや料金案内をしております。ご相談だけでも構いませんのでお気軽にお尋ねください
出典
国土交通省 中部運輸局|貨物自動車運送事業に関する手続き一覧、国土交通省 中部運輸局|法令・公示、国土交通省 中部運輸局|様式(申請・届出・報告)
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
