未婚で身寄りが少ない人の終活|今からできる備えを解説

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

未婚で身寄りが少ない方にとって、終活は「亡くなった後のこと」だけではありません。

入院したとき、認知症になったとき、施設へ入るとき、亡くなった後の葬儀や納骨、家財整理、スマホや通帳の整理まで、誰が対応するのかを考えておく必要があります。

「頼れる家族が近くにいない」
「兄弟姉妹や親族と疎遠になっている」
「自分が動けなくなった後の手続きが不安」
「亡くなった後、周りに迷惑をかけたくない」

このような不安がある場合は、元気なうちに少しずつ準備しておくことが大切です。

この記事では、未婚で身寄りが少ない人が今からできる終活の備えを、遺言書、任意後見、死後事務委任、財産整理などに分けてわかりやすく解説します。

未婚で身寄りが少ない人の終活で大切なこと

未婚で身寄りが少ない人の終活で大切なのは、「誰かが何とかしてくれるだろう」と考えず、必要な手続きを先に整理しておくことです。

家族が多い場合でも相続や死後の手続きは大変ですが、身寄りが少ない場合は、さらに次のような不安が出やすくなります。

・入院や施設入所の手続きを誰に頼むのか
・認知症になった後、財産管理を誰がするのか
・亡くなった後、葬儀や納骨を誰が行うのか
・賃貸住宅の解約や家財整理を誰がするのか
・スマホ、公共料金、サブスク、ネット口座を誰が解約するのか
・預金、不動産、保険、車などの財産を誰が整理するのか
・自分の財産を誰に残すのか

終活というと、エンディングノートを書くことや、葬儀の希望を残すことを思い浮かべる方も多いです。

もちろん、それも大切です。

しかし、未婚で身寄りが少ない方の場合は、希望を書くだけでは足りないことがあります。

実際に手続きをしてくれる人、財産管理を任せる人、亡くなった後の手続きを頼む人を、制度や契約で準備しておくことが重要です。

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まず整理したい5つの不安

未婚で身寄りが少ない方の終活では、いきなり遺言書や契約書を作る前に、不安を5つに分けて整理すると進めやすくなります。

1. 入院・施設入所の不安

病気やけがで入院するとき、病院から緊急連絡先や身元保証人を求められることがあります。

また、施設へ入所する場合も、契約手続き、費用の支払い、連絡先の確保などが必要になります。

身近に頼める親族がいない場合は、誰に連絡してもらうのか、誰が契約や支払いを確認するのかを考えておく必要があります。

2. 認知症になった後の不安

判断能力が低下すると、預金の管理、施設費用の支払い、介護サービスの契約、不動産の管理などが難しくなります。

本人の意思確認ができない状態になると、周囲が簡単に手続きできないことがあります。

このような場合に備える制度として、任意後見契約や財産管理委任契約があります。

3. 亡くなった後の手続きの不安

亡くなった後には、死亡届、葬儀、火葬、納骨、役所関係の手続き、公共料金や賃貸住宅の解約、家財整理などが必要になります。

これらは、遺言書だけでは対応しきれないことがあります。

亡くなった後の事務手続きを頼むには、死後事務委任契約を検討します。

4. 相続・財産の行き先の不安

未婚で子どもがいない場合、財産が誰に相続されるのかを確認しておく必要があります。

親が亡くなっている場合は、兄弟姉妹や甥姪が相続人になることがあります。

親族と疎遠な場合や、世話になった人に財産を残したい場合は、遺言書の作成を検討します。

5. ペットや生活まわりの不安

猫や犬などのペットを飼っている場合、自分に万一のことがあった後、誰が引き取るのか、飼育費用をどうするのかも大切です。

また、鍵、通帳、保険証券、スマホ、パソコン、SNS、ネット銀行、サブスクなどの整理も必要です。

身寄りが少ない方ほど、生活まわりの情報を分かる形で残しておくことが重要になります。

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今からできる具体的な備え

未婚で身寄りが少ない方の終活は、一度にすべてを完成させる必要はありません。

まずは、できるところから整理していくことが大切です。

財産を一覧にする

最初に取り組みやすいのは、財産の整理です。

預金口座、証券口座、生命保険、不動産、車、借金、ローン、クレジットカード、ネット銀行、電子マネーなどを一覧にしておきます。

ここで大切なのは、金額を細かく正確に書くことよりも、どこに何があるか分かる状態にすることです。

財産の場所が分からないと、亡くなった後の相続手続きや解約手続きが進みにくくなります。

緊急連絡先を決める

病気や事故のときに、誰へ連絡してほしいかを整理します。

親族、友人、知人、専門家、近所の人など、現実に連絡がつく人を考えます。

ただし、緊急連絡先にしただけで、その人が財産管理や死後事務を当然に行えるわけではありません。

連絡先と、実際に手続きを頼む人は分けて考える必要があります。

遺言書を検討する

未婚で子どもがいない方は、遺言書の必要性が高くなることがあります。

特に、次のような場合は遺言書を検討した方がよいです。

・兄弟姉妹や甥姪と疎遠である
・親族ではない人に財産を残したい
・世話になった人に感謝を形にしたい
・寄付をしたい
・相続人同士の負担を減らしたい
・財産の行き先を自分で決めたい

遺言書がない場合、法律で決まった相続人が財産を引き継ぐことになります。

「身寄りが少ないから相続人はいない」と思っていても、戸籍をたどると兄弟姉妹や甥姪が相続人になることがあります。

任意後見契約を検討する

任意後見契約とは、将来、認知症などで判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ支援してくれる人を決めておく契約です。

お金の管理、施設入所の契約、介護サービスの手続きなどが不安な場合に検討します。

身寄りが少ない方にとっては、「判断能力がある今のうちに、将来の支援者を決めておく」という意味があります。

死後事務委任契約を検討する

死後事務委任契約とは、亡くなった後の事務手続きを第三者に頼む契約です。

たとえば、次のような手続きが関係します。

・葬儀や火葬に関する手続き
・納骨や永代供養に関する手続き
・病院や施設への支払い
・賃貸住宅の解約
・家財整理
・公共料金やスマホ、サブスクの解約
・関係者への連絡

遺言書は主に財産の承継を決めるものです。

一方、死後事務委任契約は、亡くなった後の生活まわりの手続きを頼むためのものです。

身寄りが少ない方は、遺言書と死後事務委任契約をセットで考えることが多くなります。

生活情報をメモに残す

いきなり契約書を作るのが不安な場合でも、生活情報を整理するだけで大きな備えになります。

たとえば、次のような情報です。

・かかりつけ医
・服薬情報
・親族や友人の連絡先
・預金口座
・保険契約
・年金関係
・不動産や賃貸契約
・スマホの契約
・公共料金
・サブスク
・ペットの情報
・葬儀や納骨の希望

このメモは、エンディングノートでも構いません。

ただし、エンディングノートだけでは法的な効力が弱い部分があります。

財産の行き先や、死後事務を実際に頼む内容は、遺言書や契約書で整えることを検討しましょう。

後回しにすると困りやすいこと

未婚で身寄りが少ない方の終活でよくある失敗は、「まだ元気だから大丈夫」と後回しにしてしまうことです。

終活は、亡くなる直前にするものではありません。

判断能力があり、自分の意思をはっきり伝えられるうちに準備することが大切です。

認知症になってからでは契約が難しくなる

任意後見契約、財産管理委任契約、死後事務委任契約、遺言書の作成などは、本人の意思確認が重要です。

判断能力が低下してからでは、希望どおりの契約や遺言書作成が難しくなることがあります。

「困ってから考える」では遅い場合があります。

親族に頼めると思っていたが実際は難しい

兄弟姉妹や甥姪がいても、遠方に住んでいる、疎遠である、高齢である、関係が薄いという場合があります。

法律上の相続人であっても、入院時の対応や死後の事務をスムーズにしてくれるとは限りません。

「相続人がいること」と「実際に動いてくれる人がいること」は分けて考える必要があります。

財産や契約先が分からず手続きが止まる

預金口座、保険、スマホ、ネット銀行、サブスク、クレジットカードなどが分からないと、亡くなった後の手続きが進みにくくなります。

身寄りが少ない場合、情報を探してくれる人自体がいないこともあります。

最低限、どこに何があるかを整理しておくことが大切です。

葬儀や納骨の希望が伝わらない

葬儀はどうするのか、納骨先はどこにするのか、お墓をどうするのかを決めていないと、亡くなった後に周囲が困ることがあります。

希望がある場合は、メモだけでなく、死後事務委任契約や葬儀社との生前契約なども検討します。

ペットの行き先が決まっていない

猫や犬を飼っている場合、自分に万一のことがあった後、ペットの世話を誰がするのかを決めておく必要があります。

「誰かが引き取ってくれるだろう」と考えていると、実際には引き取り先が見つからないことがあります。

ペットの情報、かかりつけ動物病院、性格、食事、引き取り候補者、飼育費用を整理しておきましょう。

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相談前に整理しておくとよいこと

専門家に相談する前に、すべてを完璧に準備する必要はありません。

むしろ、最初は不安や状況を整理するところからで大丈夫です。

相談前には、次の点をメモしておくと話が進めやすくなります。

・現在の家族関係
・頼れそうな親族や知人の有無
・親族と疎遠かどうか
・預金、不動産、保険、車など主な財産
・借金やローンの有無
・ペットの有無
・入院や施設入所で不安なこと
・認知症になった後に不安なこと
・亡くなった後に頼みたいこと
・葬儀や納骨の希望
・財産を残したい相手
・寄付をしたい団体の有無
・今すぐ決めたいこと
・まだ迷っていること

特に大切なのは、自分が何に一番不安を感じているかです。

財産の行き先が不安なのか、認知症になった後が不安なのか、亡くなった後の手続きが不安なのかで、必要な準備が変わります。

遺言書、任意後見契約、財産管理委任契約、死後事務委任契約は、それぞれ役割が違います。

自分に必要なものを整理してから準備することで、無駄な不安を減らしやすくなります。

まとめ

未婚で身寄りが少ない方の終活では、亡くなった後のことだけでなく、入院、施設入所、認知症、財産管理、死後事務まで幅広く考える必要があります。

特に注意したいのは、次の点です。

・身寄りが少ない場合は、誰が手続きをするのかを早めに整理する
・緊急連絡先と実際に手続きする人は別に考える
・財産一覧を作り、どこに何があるか分かる状態にする
・財産の行き先を決めたい場合は遺言書を検討する
・認知症後の財産管理や契約が不安なら任意後見契約を検討する
・亡くなった後の葬儀、納骨、解約、家財整理は死後事務委任契約を検討する
・ペット、スマホ、サブスク、公共料金など生活まわりも整理する
・判断能力があるうちに準備することが大切

未婚で身寄りが少ない人の終活は、「不安をなくすため」だけでなく、「自分の希望を形にして、周りの負担を減らすため」の準備です。

いきなりすべてを決める必要はありません。

まずは、自分が不安に感じていること、頼れる人がいること・いないこと、財産や契約の状況を整理するところから始めましょう。

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「認知症になった後の財産管理が心配」
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