土地区画整理地なら雨水浸透阻害行為の許可は不要?完了後30年が判断の境

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

土地を駐車場や事業用地として利用しようとしたとき、

「ここは土地区画整理された土地だから、雨水浸透阻害行為の許可はいらない?」

「区画整理が終わった土地なら、もう宅地扱いでは?」

「30年前に終わった区画整理でも同じ?」

と迷うことがあります。

愛知県の雨水浸透阻害行為の判断では、

土地区画整理事業区域だから一律に許可不要になるわけではありません。

重要になるのが、

その土地区画整理事業が現在事業中か、完了してから何年経過しているか

です。

愛知県の2026年1月1日以降の申請に適用される技術指針では、

土地区画整理事業中
または
完了年度から30年未満

であれば、原則として「既着手行為の宅地」として扱い、雨水浸透阻害行為の許可申請は不要とする判断フローが示されています。

一方、

土地区画整理事業の完了年度から30年以上経過している場合は、現在の土地利用形態から改めて許可の要否を判断します。

つまり、

「昔、区画整理された土地」

というだけでは判断できません。

この記事では、愛知県で土地区画整理地を造成・舗装するとき、雨水浸透阻害行為の許可が必要になるかを「完了後30年」という境を中心に整理します。

まず「土地区画整理地なら許可不要」ではない

雨水浸透阻害行為の許可は、特定都市河川流域内で、

  • 田畑を宅地にする
  • 原野を資材置場にする
  • 未舗装の資材置場を舗装駐車場にする

など、雨水が土地へ浸透しにくくなる行為を一定規模以上行う場合に問題になります。

愛知県の新川流域や境川・逢妻川・猿渡川流域では、500㎡以上の雨水浸透阻害行為について許可が必要になる場合があります。

ただし、許可要否を判断する途中で、

その土地が土地区画整理事業区域内か

を確認します。

ここで区画整理区域内だったからといって、すぐに「許可不要」と決まるわけではありません。

次に、

事業中か、完了してから30年未満か、30年以上か

を確認します。

公式資料

愛知県|雨水浸透阻害行為許可等

愛知県|雨水浸透阻害行為の許可

土地区画整理事業中なら「既着手行為の宅地」として扱われる

愛知県の技術指針では、工事を行う土地が土地区画整理事業区域内で、その土地区画整理事業が現在も事業中である場合、

既着手行為の「宅地」

として扱う判断が示されています。

この場合、雨水浸透阻害行為の許可申請は不要となります。

特定都市河川浸水被害対策法の流域指定前から、

  • 都市計画事業
  • 土地区画整理事業
  • 市街地再開発事業

としてすでに施行認可を受けていたものなどは、「既着手行為」として許可を要しない考え方があります。

そのため、

「現在も区画整理事業が進行中の区域内である」

という事実は、許可要否の判断で大きなポイントになります。

公式資料

愛知県|雨水貯留浸透施設設計・施工技術指針

区画整理完了後30年未満も原則として許可不要

さらに愛知県の最新技術指針では、

土地区画整理事業完了年度から30年未満

の場合も、既着手行為の「宅地」として許可不要とする判断フローになっています。

例えば、

区画整理によって道路・宅地・公園などが整備された
↓
事業が完了
↓
その後20年経過
↓
区画整理区域内の土地を駐車場として利用

という場合です。

この土地については、区画整理前の田畑などまでさかのぼって、

「昔は田だったから、今回の舗装で雨水が浸透しにくくなる」

と判断するのではなく、一定期間は区画整理によってすでに宅地化されたものとして扱う仕組みです。

ただし、

区画整理区域に入っていること
と
完了年度から30年未満であること

の両方を確認する必要があります。

公式資料

愛知県|雨水貯留浸透施設設計・施工技術指針

30年以上経過すると現況の土地利用から判断する

ここが今回の記事の重要な境です。

愛知県の2026年適用の技術指針では、

土地区画整理事業完了年度後、30年以上経過しているか

を確認します。

30年未満
→ 既着手行為の「宅地」として許可不要

30年以上
→ 現況土地利用形態から許可要否を判断

という分岐です。

つまり、完了から30年以上経過した区画整理地では、

「昔区画整理されたから宅地扱いのまま」ではありません。

現在その土地が、

  • 宅地
  • 田
  • 畑
  • 原野
  • 未舗装資材置場
  • 舗装された土地

など、どの土地利用になっているかを確認します。

その現況から計画後の土地利用へ変更したときに、雨水流出量を増加させる部分が500㎡以上になるかを判断します。

公式資料

愛知県|雨水貯留浸透施設設計・施工技術指針

「30年」はいつから数える?

30年の起算点も重要です。

愛知県の最新技術指針では、

土地区画整理事業が完了した年度の末日

を基準としています。

技術指針には、

「完了した年度の末日」

と明記され、完了年度の次年度4月1日の状態を基準とする考え方が示されています。

愛知県のセルフチェック表では、完了年度について、

換地処分が行われた年度末

と説明されています。

したがって、

「工事そのものが終わった日」
「道路が使えるようになった日」
「自分の土地を取得した日」

から30年を数えるわけではありません。

まず、その土地区画整理事業の正式な完了年度を確認します。

公式資料

愛知県|雨水浸透阻害行為に関するセルフチェック表

愛知県|雨水貯留浸透施設設計・施工技術指針

例えば1995年度に完了した区画整理ならどう考える?

例えば、土地区画整理事業が1995年度に完了したとします。

1995年度の末日は、

1996年3月31日

です。

その次の日である、

1996年4月1日

から見れば、2026年4月1日で30年となります。

最新技術指針の、

30年未満
と
30年以上

という整理で考えれば、

30年以上経過した後は、現況土地利用による通常の要否判断へ移る

ことになります。

ただし、実際には事業の正式な完了年度、換地処分年度などを確認する必要があります。

「だいたい30年前だったと思う」

では判断せず、市町の区画整理資料や登記関係資料などで確認してください。

県資料には「30年以内」と「30年未満」の表現がある

ここは注意したいところです。

愛知県が公開しているセルフチェック表では、

事業中もしくは完了年度から30年以内

という表現が使われています。

一方、2026年1月1日以降の申請に適用される最新の設計・施工技術指針では、

30年未満
と
30年以上

で判断するフローになっています。

したがって、ちょうど30年となる境界時点については、古い資料だけを見て自己判断しない方が安全です。

2026年現在の申請では最新技術指針を確認したうえで、特に30年の境界年度に当たる案件は、開発地を担当する市町・建設事務所へ事前確認してください。

公式資料

愛知県|雨水浸透阻害行為に関するセルフチェック表

愛知県|技術基準等

30年以上経過したら必ず許可が必要になるわけではない

ここも誤解しやすいところです。

区画整理完了から30年以上経過したからといって、

自動的に雨水浸透阻害行為の許可が必要になるわけではありません。

30年以上経過すると、

「区画整理地だから既着手宅地として許可不要」

という特別な判断から外れ、

現在の土地利用を基準に通常の要否判定をする

という意味です。

例えば現在すでに宅地・舗装地として扱われる土地を、そのまま同程度の流出係数の土地利用へ変更するのであれば、雨水浸透阻害行為面積が500㎡に達しないことがあります。

反対に、

現在:田・畑
↓
計画:舗装駐車場

などであれば、雨水が浸透しにくくなる面積を算定し、500㎡以上になれば許可が必要になる可能性があります。

つまり、

30年は「許可が必要になる境」ではなく、「区画整理による宅地扱いを使えるかどうかの境」

と考える方が正確です。

公式資料

愛知県|雨水貯留浸透施設設計・施工技術指針

500㎡以上でも区画整理30年未満なら許可不要になることがある

通常、愛知県の対象流域では、

500㎡以上の雨水浸透阻害行為

が許可判断の基準になります。

例えば、

800㎡の土地を舗装駐車場にする

という計画だけを見ると、

「500㎡を超えているから許可が必要」

と思うかもしれません。

しかし許可要否は、

工事区域面積
だけ

では決まりません。

まず、

  • 特定都市河川流域か
  • 土地区画整理事業区域か
  • 区画整理事業中または完了30年未満か

を確認します。

区画整理による既着手宅地として扱われれば、800㎡の工事であっても雨水浸透阻害行為許可が不要となる場合があります。

そのため、

500㎡を超えたら即申請

という判断も正確ではありません。

公式資料

愛知県|雨水浸透阻害行為許可等

逆に工事区域500㎡以上でも「阻害行為面積」が500㎡未満の場合がある

土地区画整理事業完了後30年以上で通常判断に戻った場合も、

工事区域全体
=
雨水浸透阻害行為面積

とは限りません。

例えば1,000㎡の土地について、

既に700㎡が宅地
残り300㎡が田

で、今回全体を駐車場にする場合です。

雨水浸透阻害行為面積の算定では、

現況土地利用
と
計画土地利用

を比較します。

このため、土地利用の変化によって雨水流出が増加する部分を整理した結果、500㎡未満となれば許可対象にならないことがあります。

愛知県の技術指針も、

  1. 現況土地利用を判別
  2. 計画土地利用を判別
  3. 土地利用ごとの面積を集計
  4. 雨水浸透阻害行為面積を算出

という流れを示しています。

公式資料

愛知県|雨水貯留浸透施設設計・施工技術指針

土地区画整理事業の完了年度はどこで確認する?

まず、土地が土地区画整理事業区域に含まれているかを確認します。

愛知県の技術指針では、

市・町役場で確認できる

としています。

さらに事業が、

  • 現在事業中
  • 既に完了

のどちらかを確認します。

完了している場合は、正式な完了年度を確認します。

技術指針では、市・町役場または登記簿による確認が示されています。

確認するときは、

「この土地は区画整理されたことがありますか」

だけでなく、

「何という土地区画整理事業で、完了年度はいつですか」

まで確認することが重要です。

土地を買う前にも確認した方がよい

雨水浸透阻害行為は、土地を購入した後に初めて問題になることがあります。

例えば、

「1,000㎡の土地を買って駐車場にしたい」

と考えて土地を購入した後、

  • 特定都市河川流域だった
  • 500㎡以上の阻害行為になった
  • 区画整理完了から30年以上経過していた
  • 雨水貯留浸透施設が必要になった

と分かるケースです。

雨水浸透阻害行為の許可が必要になると、許可申請だけでなく、雨水貯留浸透施設の設計・設置が必要になる場合があります。

愛知県も、500㎡以上の雨水浸透阻害行為について、許可にあたって技術的基準に従った雨水貯留浸透施設の設置が必要と案内しています。

そのため、

駐車場・資材置場などへの利用を前提に土地を取得する場合は、購入前に許可要否を確認する

ことも検討してください。

公式資料

愛知県|新川流域 雨水浸透阻害行為許可等

愛知県|境川・猿渡川流域 雨水浸透阻害行為許可等

区画整理地で確認する順番

土地区画整理地で雨水浸透阻害行為の許可が必要か確認するときは、次の順番で整理すると分かりやすくなります。

STEP1 特定都市河川流域か

マップあいち等で、新川・境川(逢妻川)・猿渡川などの対象流域に入るか確認します。

STEP2 工事区域の規模を確認する

500㎡以上の工事区域かを確認します。

建物を建築する場合は、建築確認の敷地範囲も行為区域の判断に関係します。

STEP3 土地区画整理事業区域か

市町の区画整理資料などで確認します。

STEP4 事業中か完了済みか

現在事業中なら、既着手行為の宅地として許可不要となる判断があります。

STEP5 完了済みなら完了年度を確認する

完了年度から30年未満か、30年以上かを確認します。

STEP6 30年未満

既着手行為の「宅地」として扱い、許可不要となる判断です。

STEP7 30年以上

現況土地利用と計画土地利用を比較します。

STEP8 雨水浸透阻害行為面積を算定する

500㎡以上となれば、許可が必要になる可能性があります。

この順番で確認すれば、

「区画整理地だから不要」
または
「500㎡以上だから必要」

という早すぎる判断を避けられます。

許可不要でも確認記録を残す

愛知県の最新技術指針では、土地区画整理事業による既着手行為として許可不要となる場合について、

今回の工事着手日に関する記録を本人で保管する

よう示しています。

また、愛知県のセルフチェック表でも、許可申請不要の場合であっても、県による「許可申請不要」の確認が必要になる場合があるとされています。

そのため、

「区画整理だから不要だった」

と口頭確認だけで終わらせず、

  • 区画整理事業名
  • 完了年度
  • 工事着手予定日
  • 許可不要と判断した資料
  • 行政との相談記録

などを残しておく方がよいでしょう。

公式資料

愛知県|雨水浸透阻害行為に関するセルフチェック表

愛知県|雨水貯留浸透施設設計・施工技術指針

過去に雨水対策をしている土地は別途確認する

区画整理地だからという理由だけで判断できないケースもあります。

例えば、

  • 過去に雨水浸透阻害行為許可を受けている
  • 調整池が設置されている
  • 雨水貯留施設がある
  • 現地に雨水浸透阻害行為の標識がある

といった土地です。

愛知県のセルフチェック表でも、既に許可書・現地標識など何らかの対策経緯がある場合は事前相談するよう案内しています。

このような土地では、

現在の計画だけでなく、

過去の許可・対策施設との関係

も確認する必要があります。

公式資料

愛知県|雨水浸透阻害行為に関するセルフチェック表

「30年」を自己判断しない方がよいケース

特に次のような場合は、着工前に行政へ確認した方がよいでしょう。

  • 完了年度が正確に分からない
  • ちょうど30年の境界年度に当たる
  • 換地処分時期と事業完了時期が分からない
  • 複数の区画整理区域に関係している
  • 区画整理後も農地として長期間利用されている
  • 過去の雨水浸透阻害行為許可がある
  • 行為区域が500㎡前後
  • 現況土地利用の区分が判断しにくい

特に2026年現在、愛知県の資料には「30年以内」と「30年未満/30年以上」という表現が併存しています。

境界年度の案件では、最新技術指針だけでなく、担当窓口へ工事着手予定日まで伝えて確認する方が安全です。

関連記事

雨水浸透阻害行為は500㎡以上なら必ず許可が必要?面積の考え方を解説

土地区画整理地の雨水浸透阻害行為で迷ったらご相談ください

土地区画整理地だからといって、雨水浸透阻害行為の許可が一律に不要になるわけではありません。

愛知県では、

土地区画整理事業中
または
完了年度から30年未満
↓
既着手行為の宅地として許可不要

完了年度から30年以上
↓
現況土地利用から通常の許可要否を判断

という考え方が示されています。

そのため確認したいのは、

  • 特定都市河川流域か
  • 土地区画整理事業区域か
  • 事業名
  • 完了年度
  • 現在の土地利用
  • 計画後の土地利用
  • 雨水浸透阻害行為面積
  • 過去の雨水対策の有無

です。

いしかわ行政書士事務所では、三河地域を中心に、雨水浸透阻害行為の許可要否確認・申請手続きについてご相談を受けています。

「区画整理された土地だから不要だと思っていた」
「30年以上前の区画整理かもしれない」
「駐車場にする予定だが500㎡を超えている」

という場合も、まず現在の土地と区画整理事業の履歴から整理します。

お気軽にお問い合わせください

0566-68-5511

営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)

出典

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

愛知県「雨水浸透阻害行為許可等」、愛知県「雨水浸透阻害行為の許可」、愛知県「雨水浸透阻害行為許可等 技術基準」、愛知県「雨水浸透阻害行為に関するセルフチェック表」、国土交通省「雨水浸透阻害行為の事務に関する参考資料」

トップへ戻る