この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
土地を舗装したり、駐車場を作り直したりするとき、
「ここは昔から駐車場だから、雨水浸透阻害行為の許可はいらない?」
「今すでに駐車場なら、過去が田畑だったかは関係ない?」
「砕石駐車場をアスファルトにするだけでも許可が必要?」
と迷うことがあります。
雨水浸透阻害行為の許可では、
現在その土地が何に使われているかだけで判断するとは限りません。
愛知県の2026年適用の技術指針では、土地利用区分について、
特定都市河川流域の指定時点と申請時点の土地利用
を、登記書類・現地写真・航空写真などから総合的に判断することとされています。
愛知県のセルフチェック表では「過去」の基準日として、
- 新川流域:2006年1月1日
- 境川・猿渡川流域:2012年4月1日
が示されています。
つまり、
「10年前から駐車場だから大丈夫」
というだけでは判断できない場合があります。
一方、その基準時点からすでに舗装された駐車場で、今回も同程度の舗装状態のままであれば、雨水の流出係数が増えず、雨水浸透阻害行為に該当しない可能性があります。
この記事では、昔から駐車場だった土地について、雨水浸透阻害行為の許可が必要になるかを、過去の土地利用・現在の舗装状態・今回の工事内容から整理します。
「今が駐車場」だけでは判断できない
雨水浸透阻害行為とは、土地の利用方法を変えることで、雨水が土地へ浸透しにくくなり、流出雨水量を増加させる行為です。
愛知県では、特定都市河川流域内で500㎡以上の雨水浸透阻害行為を行う場合、原則として許可が必要になります。
典型的な例として、
- 田畑 → 宅地
- 田畑 → 駐車場
- 原野 → 未舗装の資材置場
- 未舗装の資材置場 → 舗装駐車場
などがあります。
このとき重要なのは、
工事直前の見た目だけを見るわけではない
という点です。
愛知県の最新技術指針では、土地利用区分について、
- 特定都市河川流域指定時点
- 申請時点
の土地利用を確認します。
そのため、現在駐車場でも、その駐車場がいつから存在していたのかが判断材料になることがあります。
公式資料
過去の土地利用を見る基準日は流域によって違う
愛知県のセルフチェック表では、「現況(過去)」の土地利用を確認するときの基準日が示されています。
新川流域
2006年1月1日
境川・猿渡川流域
2012年4月1日
です。
例えば2026年現在、
「この土地は2018年から駐車場です」
という場合でも、
新川流域
→ 2006年1月1日時点
境川・猿渡川流域
→ 2012年4月1日時点
では別の土地利用だった可能性があります。
そのため、
現在:駐車場
過去の基準時点:田畑
という土地では、
「昔から駐車場だから現在の駐車場を基準にすればよい」とは限りません。
まず対象流域と基準時点の土地利用を確認します。
公式資料
本当に昔から舗装駐車場なら許可不要になる可能性がある
例えば、新川流域の土地について、
2006年1月1日
→ すでにアスファルト舗装駐車場
現在
→ アスファルト舗装駐車場
今回
→ 古い舗装を撤去して再舗装
というケースです。
この場合、過去の基準時点からすでに雨水が浸透しにくい舗装地だったのであれば、今回の工事によって流出係数が増加しない可能性があります。
国土交通省の雨水浸透阻害行為に関する参考資料でも、
すでに舗装されている土地で行う行為
については、適用除外となる行為として整理されています。
したがって、
「既存舗装駐車場を同程度の舗装駐車場として使い続ける」
のであれば、雨水浸透阻害行為の許可が不要となる可能性があります。
ただし、
- 駐車場の範囲を拡張する
- 未舗装部分も新たに舗装する
- 隣接する田畑まで一体利用する
場合は、その増加部分について改めて確認します。
公式資料
「駐車場」でも舗装か未舗装かで扱いが違う
一口に駐車場といっても、雨水浸透阻害行為では同じ土地利用として扱われるとは限りません。
例えば、
アスファルト・コンクリート舗装
雨水が地中へ浸透しにくい土地です。
砕石敷・砂利敷の駐車場
愛知県の技術指針では、一般に「締め固められた土地」などの区分で判断します。
愛知県の最新技術指針では、砕石敷について、
ローラー等で締め固められた土地(土・砕石)
として扱う例が示されています。
さらに「未舗装駐車場」は、不浸透性材料に覆われていない状態をいい、砕石舗装も未舗装駐車場に含まれる取扱いが示されています。
そのため、
現在:砕石駐車場
↓
計画:アスファルト駐車場
であれば、
同じ「駐車場」でも土地利用区分の流出係数が増加する
可能性があります。
公式資料
砕石駐車場をアスファルト舗装すると許可対象になることがある
例えば、現在800㎡の砕石駐車場があるとします。
今回、
800㎡すべて
↓
アスファルト舗装
に変更するとします。
愛知県の土地利用区分では、
砕石等で締め固められた土地
と
アスファルト・コンクリート等の不浸透性材料で舗装された土地
は別の区分です。
そのため、
「前から駐車場だったから土地利用変更ではない」
とは判断できません。
雨水流出量を増加させる土地利用変更となる面積を整理し、その面積が500㎡以上となれば、雨水浸透阻害行為の許可が必要になる可能性があります。
愛知県の対象行為の具体例でも、
未舗装の資材置場 → 舗装駐車場
が雨水浸透阻害行為の例として示されています。
駐車場という用途名ではなく、
地表面がどのように変わるのか
を見る必要があります。
公式資料
過去は田畑、現在は駐車場の場合は注意する
例えば、
2006年1月1日:田
2018年:砕石駐車場へ変更
2026年:アスファルト舗装予定
という新川流域の土地を考えます。
現在だけを見れば、
砕石駐車場
↓
アスファルト駐車場
です。
しかし愛知県の技術指針では、土地利用区分を、
特定都市河川流域指定時点と申請時点
から総合的に判断します。
セルフチェック表でも、
「現況(過去)の土地利用」
を判別するよう示されています。
そのため、
「2018年に駐車場になっているから、2026年は砕石駐車場を出発点に考えればよい」
と単純に判断しない方が安全です。
2006年時点の土地利用や、2018年に駐車場へ変更した際の雨水浸透阻害行為の手続・経緯も確認する必要があります。
特に、
- 過去の許可の有無
- 雨水対策施設の有無
- 現地標識の有無
などがある場合は、愛知県も事前相談を求めています。
公式資料
過去の駐車場利用をどう証明する?
「昔から駐車場だった」
という事実は、口頭説明だけでなく資料で確認します。
愛知県の技術指針では、土地利用区分について、
- 登記書類
- 現地写真
- 航空写真
などから総合的に判断するとしています。
航空写真については、
- 国土地理院
- その他のウェブサイトで閲覧できるもの
も利用可能とされています。
例えば、
「2006年の航空写真を見ると全面舗装駐車場だった」
「2012年の写真ではまだ畑だった」
といった確認ができます。
このほか、
- 都市計画基本図
- 固定資産関係資料
- 建築確認資料
- 過去の開発許可資料
などが判断材料になる場合があります。
公式資料
過去に建物が建っていた土地は宅地として扱える場合がある
現在は駐車場でも、
「以前は店舗が建っていた」
という土地もあります。
愛知県の技術指針では、現況で建物がなくても、
過去に建物が建っていたことを証明できる場合
は、現在建物がある場合と同様に宅地の範囲を設定する取扱いがあります。
過去の建物を証明する資料として、
- 航空写真
- 都市計画基本図
- 登記簿
- 固定資産証明書
- 建築確認台帳の記載事項証明書
などが例示されています。
例えば、
以前:店舗+店舗駐車場
現在:建物を撤去し駐車場として利用
計画:再び店舗を建設
という土地では、
単純に、
「現在は駐車場だから全域を駐車場として計算」
とは限りません。
過去の建物・宅地範囲まで確認して要否判断を行います。
公式資料
舗装駐車場の一部に建物を建てる場合も確認する
現在すでに舗装駐車場で、その一部に店舗・事務所等を建築する場合があります。
この場合、
舗装駐車場
↓
建物
という変更だけを見ると、すでに流出係数の高い土地から宅地への変更なので、雨水流出量が増えない部分もあります。
一方、
- 建築敷地を拡張する
- 未舗装部分まで整備する
- 隣接する土地を一体利用する
- 外構・駐車場を新たに舗装する
場合は、工事区域全体から雨水浸透阻害行為面積を整理します。
愛知県の最新指針では、建物を計画する場合、
工事区域と建築敷地のうち面積の大きい方
を宅地の範囲とする考え方も示されています。
建物部分だけを見て500㎡未満と判断しないようにしてください。
公式資料
500㎡は駐車場全体の面積とは限らない
雨水浸透阻害行為では、
敷地面積
または
駐車場面積
が500㎡を超えたら即許可、というわけではありません。
最終的には、
雨水流出量を増加させる土地利用変更となる部分
の面積を整理します。
例えば900㎡の土地について、
現況
- 舗装駐車場 400㎡
- 砕石駐車場 300㎡
- 畑 200㎡
計画
- 全面舗装駐車場 900㎡
とします。
この場合、すでに舗装されている400㎡は、計画後も同等の舗装であれば流出係数が増加しない可能性があります。
一方、
- 砕石部分
- 畑部分
については土地利用区分が変わります。
どの部分が雨水浸透阻害行為に当たり、その合計が500㎡以上になるかを確認します。
公式資料
「昔から駐車場」のいつからかが重要
今回の判断を整理すると、
「昔から」
という言葉だけでは足りません。
例えば2026年現在、
1995年から舗装駐車場
新川流域の基準となる2006年1月1日時点でも舗装駐車場だった可能性があります。
2010年から舗装駐車場
新川流域では2006年の土地利用を確認する必要があります。
2015年から駐車場
境川・猿渡川流域では2012年4月1日時点の土地利用を確認する必要があります。
つまり、
「何年前から駐車場か」ではなく、「流域指定時点で何だったか」
が一つの重要な基準になります。
駐車場の再舗装でも一部拡張なら確認する
既存の舗装駐車場を再舗装するだけであれば、土地利用自体が変わらず、雨水浸透阻害行為にならないケースがあります。
しかし、
既存舗装駐車場 400㎡
+
隣接する畑 300㎡
を一体化して700㎡の舗装駐車場にする場合は別です。
既存400㎡については流出量が増えなくても、
畑300㎡
↓
舗装駐車場
という雨水浸透阻害行為があります。
この300㎡だけなら500㎡未満でも、
- 他の一体的な工事がある
- 隣接地も同時・連続して整備する
などの場合には行為区域の一連性も確認します。
愛知県の最新指針では、隣接する複数の工事について、
- 行為者
- 隣接性
- 工事時期
- 開発目的
- 構造の共有
- 開発後の権利関係
などから一連の開発かを判断する考え方が示されています。
公式資料
過去の駐車場化で許可を受けている場合は過去の資料を確認する
現在すでに駐車場で、
「以前の所有者が造成した」
という土地もあります。
この場合、過去に、
- 雨水浸透阻害行為許可
- 雨水貯留施設
- 浸透施設
- 調整池
などが設けられている可能性があります。
愛知県のセルフチェック表でも、
すでに雨水浸透阻害行為の許可書や現地標識があるなど、何らかの対策経緯がある場合は事前相談
するよう案内しています。
過去に設置された雨水施設がある土地では、
今回の舗装変更
だけ
ではなく、
既存許可・既存施設との関係
も確認します。
公式資料
土地を買ったばかりでも過去の土地利用は引き継いで確認する
最近購入した土地で、
「自分が買ったときから駐車場だった」
という場合もあります。
しかし、雨水浸透阻害行為の判断は、
現在の所有者が土地を取得した日
を基準にする制度ではありません。
その土地自体について、
- 特定都市河川流域指定時点
- 現在
- 過去の造成・許可状況
を確認します。
そのため土地購入前に、
「現在駐車場だから、そのまま全面舗装できる」
と判断するのは避けた方がよいでしょう。
特に500㎡以上の事業用駐車場・資材置場などでは、購入前に土地利用履歴を確認する意味があります。
過去の土地利用を確認するときに用意したい資料
行政へ相談するときは、次の資料があると整理しやすくなります。
- 土地の住所・地番
- 公図
- 現況図・測量図
- 現在の現地写真
- 過去の航空写真
- 登記事項証明書
- 過去の建築確認・開発許可資料
- 過去の雨水浸透阻害行為許可書
- 今回の造成・舗装計画
- 工事予定日
特に、
「いつから駐車場だったか」
を説明できる資料があると判断しやすくなります。
昔から駐車場だった土地の判断順
許可要否は次の順番で確認すると整理しやすくなります。
STEP1 特定都市河川流域か
マップあいち等で対象流域を確認します。
STEP2 どの流域か確認する
新川流域か、境川・猿渡川流域かで過去土地利用の基準日が異なります。
STEP3 基準日時点の土地利用を確認する
新川流域
→ 2006年1月1日
境川・猿渡川流域
→ 2012年4月1日
の土地利用を確認します。
STEP4 現在の土地利用を確認する
- 舗装駐車場
- 砕石駐車場
- 土の駐車場
- 宅地
- 畑
などに分けます。
STEP5 今回の計画を整理する
再舗装なのか、全面舗装なのか、建物を建てるのか、隣地まで拡張するのかを確認します。
STEP6 流出係数が増える部分を確認する
過去・現在と計画後の土地利用を比較します。
STEP7 雨水浸透阻害行為面積を算定する
該当面積が500㎡以上か確認します。
この順番で見れば、
「駐車場だから不要」
という判断を避けられます。
こんな場合は着工前に確認した方がよい
特に次のケースは、行政へ事前確認した方がよいでしょう。
- いつから駐車場か分からない
- 基準日の航空写真で土地利用が判別しにくい
- 昔は農地だった可能性がある
- 現在は砕石駐車場
- 今回アスファルト舗装する
- 500㎡前後の工事
- 隣接地も一体利用する
- 過去の許可の有無が不明
- 雨水施設がすでに設置されている
- 過去に建物が建っていた
愛知県も、許可要否が明確でない場合は、市町または建設事務所へ問い合わせるよう案内しています。
公式資料
「昔から駐車場」だけで工事を始めない
昔から駐車場として使われている土地でも、
- いつから駐車場か
- 基準日時点では何だったか
- 舗装か未舗装か
- 今回どの範囲を舗装するか
- 過去に雨水対策をしているか
によって判断が変わります。
特に、
砕石駐車場をアスファルト化する場合
は、同じ駐車場という用途でも、雨水浸透のしやすさが変わるため注意が必要です。
逆に、
流域指定時点からすでに全面舗装駐車場で、今回も同程度の舗装状態を維持するだけ
なら、雨水流出量を増加させる行為にならず、許可不要となる可能性があります。
「駐車場だったか」だけでなく、
その駐車場がいつ、どの状態で存在していたのか
まで確認してください。
昔から駐車場だった土地の許可要否で迷ったらご相談ください
雨水浸透阻害行為では、現在の土地利用だけでなく、過去の土地利用が判断に関係する場合があります。
特に愛知県では、
新川流域
→ 2006年1月1日
境川・猿渡川流域
→ 2012年4月1日
の土地利用を確認することがあります。
そのため、
「購入したときから駐車場だった」
だけでは判断できないケースがあります。
いしかわ行政書士事務所では、三河地域を中心に、
- 対象流域の確認
- 過去・現在の土地利用確認
- 航空写真等の確認
- 工事区域の整理
- 雨水浸透阻害行為面積の確認
- 許可要否の整理
- 必要な場合の許可申請
についてご相談を受けています。
駐車場の舗装・再舗装・拡張を予定している場合は、工事契約・着工前に確認してください。
お気軽にお問い合わせください
0566-68-5511
営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)
出典
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
愛知県「雨水浸透阻害行為許可等」、愛知県「雨水浸透阻害行為に関するセルフチェック表」、愛知県「雨水浸透阻害行為許可等 技術基準」、愛知県「新川流域 雨水浸透阻害行為許可等/対象となる開発行為」、国土交通省「雨水浸透阻害行為の事務に関する参考資料」
