
この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
雨水浸透阻害行為の許可申請では、申請書や計算書だけでなく、計画地の現況、土地利用の変更、排水経路、雨水貯留浸透施設などを示す図面が必要です。
「建築確認や造成工事の図面はあるが、そのまま使えるのか」
「平面図だけあれば申請できるのか」
「行政書士へ依頼する場合、どこまで図面を準備すればよいのか」
という疑問を持つ方もいるでしょう。
愛知県の技術指針では、許可申請に使用する図書として、主に次のものが示されています。
- 行為区域位置図
- 行為区域区域図
- 現況地形図
- 求積図(現況)
- 土地利用計画図
- 排水施設計画平面図
- 対策工事の位置図
- 求積図(計画)
- 対策工事の計画図
重要なのは、図面をそれぞれ独立して作ることではありません。
現況の土地利用面積、計画後の土地利用面積、雨水の流出量、必要な雨水対策施設の規模と、図面に記載された数値・範囲を一致させる必要があります。
この記事では、愛知県の雨水浸透阻害行為許可申請で必要になる主な図面と、それぞれ何を示すのかを整理します。
雨水浸透阻害行為の許可申請で必要になる主な図面
愛知県の技術指針では、許可申請図書について次のように整理されています。
| 図面 | 主に示す内容 |
|---|---|
| 行為区域位置図 | 計画地がどこにあるか |
| 行為区域区域図 | 行為区域、地番、土地の形状など |
| 現況地形図 | 行為前の土地利用、区域、面積など |
| 求積図(現況) | 現況土地利用ごとの面積の算出根拠 |
| 土地利用計画図 | 行為後の土地利用、区域、面積など |
| 排水施設計画平面図 | 排水施設、排水系統、集水区域、吐口、放流先 |
| 対策工事の位置図 | 雨水貯留浸透施設の位置や区域 |
| 求積図(計画) | 計画後の土地利用面積や施設規模の算出根拠 |
| 対策工事の計画図 | 雨水貯留浸透施設の構造の詳細 |
計画内容によって必要な図面や表示事項は変わります。
また、一つの図面で複数の内容を明確に示せる場合と、図面を分けた方が分かりやすい場合があります。
「図面が何枚必要か」ではなく、「審査に必要な内容が図面から確認できるか」で考えることが重要です。
現況地形図では工事前の土地利用を示す
現況地形図は、工事を行う前の土地がどのような状態になっているかを示す図面です。
愛知県の技術指針では、主に、
- 行為区域の境界
- 集水区域の境界
- 流出係数の区分ごとの土地利用形態
- 土地利用形態ごとの面積
を表示するものとされています。
愛知県が実務上の目安として示している縮尺は、1/100~1/500程度です。
たとえば現在、
- 田畑
- 宅地
- 道路
- 未舗装の駐車場
- 締め固められた土地
などが混在している場合、それぞれの範囲を整理します。
雨水浸透阻害行為の面積は、この現況土地利用と計画後の土地利用を比較して算定するため、最初の基礎になる図面です。
現況の区分を間違えると、その後の雨水浸透阻害行為面積や流出量の計算にも影響します。
土地利用計画図では工事後に土地がどう変わるかを示す
土地利用計画図は、工事後の土地利用を示す図面です。
愛知県の技術指針では、
- 行為区域の境界
- 集水区域
- 流出係数の区分ごとの土地利用形態
- 土地利用形態ごとの面積
などを表示します。
たとえば駐車場造成であれば、
- アスファルト舗装部分
- 透水性舗装部分
- 建物部分
- 緑地部分
- その他の土地利用
などを区分します。
この土地利用計画図と現況地形図を比較することで、
「どの部分で雨水が浸透しにくくなるのか」
が分かります。
そのため、雨水浸透阻害行為の500㎡判定とも直接つながる図面です。
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求積図は面積の根拠を示す
現況図や土地利用計画図に、
「舗装部分500㎡」
「緑地200㎡」
と数字を書くだけでは、その面積をどのように算出したのか分かりません。
そこで使用するのが求積図です。
求積図(現況)では、行為前の土地利用形態ごとの面積の算出根拠を示します。
求積図(計画)では、
- 行為後の土地利用形態ごとの面積
- 雨水貯留浸透施設の規模
などの算出根拠を示します。
したがって、
現況地形図
→ 現況求積図
→ 土地利用別面積集計表
土地利用計画図
→ 計画求積図
→ 土地利用別面積集計表
の数字が一致している必要があります。
雨水申請では、図面と計算書を別々に作るのではなく、同じ面積を異なる資料で確認できる状態にすることが重要です。
排水施設計画平面図では雨水がどこへ流れるかを示す
排水施設計画平面図では、主に、
- 排水施設の位置
- 排水系統
- 集水区域の境界
- 吐口の位置
- 放流先の名称
を示します。
愛知県の技術指針では、実務上の縮尺の目安として1/100~1/300程度が示されています。
単に側溝やますの位置を書くのではなく、
「この区域に降った雨が、どの経路を通って、どこへ流れるのか」
を読み取れるようにします。
複数の集水区域がある場合には、それぞれの区域と排水経路を区別する必要があります。
雨水貯留浸透施設を設置する場合には、その施設へどこから雨水が流入し、最終的にどこへ放流されるのかも計画全体として確認します。
対策工事の位置図では雨水対策施設をどこにつくるか示す
雨水浸透阻害行為の許可が必要になる場合、増加する雨水流出量を抑えるための対策工事が必要です。
対策工事の位置図では、
- 雨水貯留浸透施設を設置する位置
- 計画区域
- 集水区域
- 雨水貯留浸透施設の形状
などを示します。
愛知県の技術指針では、実務上の縮尺の目安として1/100~1/300程度が示されています。
たとえば、
- 駐車場の地表面を利用した貯留
- 地下貯留施設
- 浸透ます
- 浸透トレンチ
- 透水性舗装
などを採用する場合、その設置場所が計画全体のどこにあるのかを確認できるようにします。
対策工事の計画図では平面図・縦断面図・横断面図などで構造を示す
雨水貯留浸透施設については、「ここに設置します」という位置だけでは足りません。
法令上の計画図では、雨水貯留浸透施設の形状を平面図、縦断面図、横断面図によって示し、さらに施設構造の詳細を示すこととされています。
たとえば貯留施設であれば、
- 平面的な形状
- 底面や天端の高さ
- 貯留できる深さ
- 流入口
- 放流口
- オリフィス
- 必要な構造
などを確認できるようにします。
施設の種類によって必要になる構造図は異なります。
重要なのは、施設の形だけではなく、計算上確保した貯留量や浸透能力が、図面上の施設でも確保されていることです。
法令上の縮尺と愛知県の実務上の目安は分けて考える
図面の縮尺については少し注意が必要です。
特定都市河川浸水被害対策法施行規則では、計画図について、
- 現況地形図 1/2,500以上
- 土地利用計画図 1/2,500以上
- 排水施設計画平面図 1/2,500以上
- 対策工事の位置図 1/2,500以上
- 雨水貯留浸透施設の形状を示す図面 1/2,500以上
- 雨水貯留浸透施設の構造詳細 1/500以上
という基準があります。
一方、愛知県の技術指針では、実際の許可申請図書について、
- 現況地形図 1/100~1/500程度
- 土地利用計画図 1/100~1/500程度
- 排水施設計画平面図 1/100~1/300程度
- 対策工事の位置図 1/100~1/300程度
と、より詳細に確認できる縮尺の目安を示しています。
したがって、「法律上1/2,500ならよい」とだけ考えるのではなく、実際の計画内容を確認できる図面を作成する必要があります。
建築図面や造成図面をそのまま使えるとは限らない
建物新築や駐車場造成を計画している場合、すでに設計事務所や工事会社が作成した図面があることがあります。
既存図面は雨水申請にも利用できる可能性があります。
ただし、建築確認用や施工用の図面と、雨水浸透阻害行為許可で確認する内容は同じではありません。
雨水申請では、
- 現況と計画後の土地利用区分
- 各区分の面積
- 集水区域
- 排水経路
- 放流先
- 雨水対策施設
- 計算に使用した施設規模
などを確認します。
既存図面に必要な情報が不足している場合には、雨水申請用として追記・整理する必要があります。
逆に、必要な情報がすでにそろっているのであれば、最初からすべて描き直す必要があるとは限りません。
図面と計算書の数字が合っているかが重要
雨水浸透阻害行為の図面作成で特に確認したいのが、他の申請資料との整合です。
たとえば、
土地利用計画図では舗装部分600㎡
↓
求積図では580㎡
↓
土地利用別面積集計表では590㎡
となっていれば、どの数字が正しいのか確認できません。
同様に、
計算書では100立方メートルの貯留容量が必要
↓
施設図から確認できる容量は90立方メートル
という状態でも整合が取れません。
確認したいのは、
- 土地利用図と求積図
- 求積図と面積集計表
- 面積集計表と流出量計算
- 流出量計算と必要施設規模
- 必要施設規模と対策工事計画図
が一つの計画としてつながっているかです。
図面作成そのものより、この整合確認が雨水浸透阻害行為の申請では重要になります。
自分で用意できる図面と専門的な設計が必要な部分を分ける
すべての計画で、申請者が一から専門図面を作る必要があるわけではありません。
すでに、
- 測量図
- 配置図
- 造成計画図
- 排水計画図
- 建築図面
- CADデータ
などがある場合、それらを申請資料として利用できる可能性があります。
一方で、
- 現況高さが分からない
- 正確な敷地面積が分からない
- 複雑な造成がある
- 擁壁など構造物の設計が必要
- 地下貯留施設を設計する
- 排水施設そのものの技術設計が必要
といった場合には、測量・土木・建築などの専門家が作成した資料が必要になることがあります。
行政書士へ相談する場合も、「全部の図面を一から作ってもらう」と考えるより、
現在ある図面
→ 雨水申請に必要な内容
→ 不足している図面・数値
→ 誰が作成するべき部分か
を切り分けると進めやすくなります。
愛知県公式の技術指針で実際の図面内容を確認できる
愛知県は、雨水浸透阻害行為許可のための設計・施工技術指針を公開しています。
2026年1月1日以降に市町の窓口へ提出する申請には、改訂後の技術指針が適用されています。
技術指針には、許可申請図書の種類、各図面に記載する内容、施設設計などがまとめられています。
図面を準備する場合は、過去の申請資料だけを参考にせず、現在適用されている技術指針を確認してください。
愛知県公式:2026年1月以降の雨水貯留浸透施設設計・施工技術指針を見る
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愛知県三河の雨水浸透阻害行為の図面・申請についてご相談ください
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、土地利用に関する許認可手続きのご相談を受けています。
「建築や造成の図面はあるが雨水申請に使えるか分からない」
「申請に必要な図面のうち何が不足しているか確認したい」
「図面・面積・雨水計算をまとめて整理したい」
という場合は、まず現在お持ちの図面や計画資料を確認し、雨水浸透阻害行為の許可申請に必要な資料との差を整理します。
測量や専門的な構造設計など他の専門家による対応が必要な部分については、申請書作成業務と切り分けて確認します。
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出典
愛知県公式:雨水浸透阻害行為許可等、愛知県公式:雨水浸透阻害行為の技術基準・設計資料、愛知県公式:雨水浸透阻害行為許可等の申請様式集、e-Gov法令検索:特定都市河川浸水被害対策法施行規則
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
