土地を造成したい|雨水浸透阻害行為・盛土規制法・開発許可はどれを確認する?

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

土地を造成しようとすると、

「開発許可が必要?」

「盛土規制法も確認する?」

「雨水浸透阻害行為の500㎡にも引っかかる?」

と、複数の制度が出てきます。

結論からいうと、

雨水浸透阻害行為・盛土規制法・開発許可のどれか1つを選んで確認するのではありません。

同じ造成でも、それぞれ見ているものが違うため、複数の手続が関係することがあります。

大きく分けると、

何のために土地を造成するのか
→ 開発許可

盛土・切土をどの程度行うのか
→ 盛土規制法

造成によって雨水が地面へ浸透しにくくなるのか
→ 雨水浸透阻害行為

という違いがあります。

そのため、造成計画を考えるときは、

用途
区域
造成内容
雨水の流れ

を一緒に確認することが重要です。

まず「造成するから開発許可」とは限らない

都市計画法の開発許可でいう「開発行為」は、単に土地を掘ったり盛ったりする行為すべてではありません。

主として、

建築物の建築や特定工作物の建設のために行う土地の区画形質の変更

が対象です。

たとえば、

土地を造成して店舗を建てる
土地を造成して住宅を建てる
土地を造成して一定の工作物を設置する

といった計画なら、開発許可を確認する必要があります。

一方、

建物を建てる予定がなく、土地を単に整地する

というだけなら、造成したという理由だけで都市計画法上の開発行為になるとは限りません。

ここで重要なのは、

土を動かすかどうかだけではなく、造成の目的を見ること

です。

開発許可が不要でも盛土規制法は残ることがある

ここが制度を1つずつ調べていると見落としやすいところです。

たとえば、

「建物を建てる目的ではないから開発許可ではなさそう」

となったとします。

それで手続確認が終わるわけではありません。

土地が盛土規制法の規制区域内にあり、一定規模以上の盛土・切土等を行うなら、盛土規制法の許可や届出を確認する必要があります。

盛土規制法は、住宅を建てるための宅地造成だけを対象にしている制度ではありません。

農地・森林などを含め、規制区域内で行う一定規模以上の盛土・切土や土石の堆積が対象になります。

つまり、

開発許可が不要
=
造成の許可が全部不要

ではありません。

盛土規制法は土地の用途より「土をどう動かすか」を見る

盛土規制法を確認するときは、

  • 盛土の高さ
  • 切土の高さ
  • 崖ができるか
  • 盛土・切土する面積
  • 土石を一時的に堆積するのか

などを見ます。

たとえば宅地造成等工事規制区域では、一定の高さを超える盛土・切土や、一定面積を超える造成が許可対象になります。

そのため、

「駐車場だから盛土規制法は関係ない」

「資材置場だから宅地ではない」

とは判断できません。

何に使う土地かだけでなく、

実際の造成断面と面積

から確認します。

雨水浸透阻害行為は「盛土量」ではなく雨水の流出を見る

雨水浸透阻害行為は、さらに見方が違います。

愛知県では、新川流域や境川・逢妻川・猿渡川流域などの特定都市河川流域で、一定規模以上の雨水浸透阻害行為を行う場合、許可が必要になります。

愛知県の案内では、

500㎡以上の土地で雨水が浸透しにくくなる行為

について許可対象となる可能性があります。

典型的には、

田畑
↓
駐車場

田畑
↓
建物敷地

未舗装地
↓
舗装

などです。

ここで見るのは、

どれだけ土を盛ったか

ではありません。

造成前より、

雨水が地面へ浸透しにくくなり、外へ流れ出る雨水量が増えるか

です。

盛土をほとんどしなくても雨水浸透阻害行為になることがある

たとえば平坦な畑を、

ほとんど盛土せずにアスファルト駐車場へ変更する

とします。

盛土量が小さければ、盛土規制法の規模要件には該当しない可能性があります。

しかし、

畑だった土地を舗装することで雨水が浸透しにくくなる

のであれば、特定都市河川流域内では雨水浸透阻害行為の確認が必要です。

つまり、

盛土が少ないから雨水対策も不要

とはなりません。

逆に雨水浸透阻害行為でなくても盛土規制法は残ることがある

反対もあります。

すでに宅地化された土地で大きな盛土を行う場合など、

雨水の流出係数が大きく変わらないとしても、

一定規模以上の盛土・切土を行えば盛土規制法の確認は必要です。

つまり、

雨水浸透阻害行為
→ 土地表面と雨水流出

盛土規制法
→ 盛土・切土等の安全性

と、見ているものが違います。

開発許可と盛土規制法が両方必要になりそうならどうする?

たとえば、

土地を造成して建物を建築する。

造成量も盛土規制法の許可対象規模になる。

というケースです。

この場合、

「開発許可と盛土規制法の許可を2本まったく別に取る」

とは限りません。

愛知県では、盛土規制法の許可が必要な工事であっても、都市計画法の開発許可を受ける場合、盛土規制法上の許可を受けたものとみなされる仕組みがあります。

そのため、

開発許可に該当する造成は、盛土規制法との関係まで同時に確認する

ことが重要です。

ただし、盛土規制法の基準を無視できるという意味ではありません。

開発許可申請の中で、盛土規制法との関係を確認することになります。

開発許可を取れば雨水浸透阻害行為も終わる?

ここは別です。

開発許可と盛土規制法には「みなし許可」の関係がありますが、

雨水浸透阻害行為許可まで開発許可に含まれるわけではありません。

たとえば、

特定都市河川流域内
500㎡以上
畑を造成して建物・駐車場を整備

という計画なら、

都市計画法の開発許可

に加えて、

雨水浸透阻害行為許可

も確認する必要があります。

したがって、

開発許可の担当窓口へ相談したから、造成関係の確認がすべて終わった

とは考えない方がよいでしょう。

造成計画では「用途→土工→雨水」の3方向から見る

造成したい土地があるなら、最初から法令名を1つずつ検索するより、次の3方向から見ると整理しやすくなります。

1.何を作るのか

住宅
店舗
倉庫
工場
駐車場
資材置場

など。

建築物や特定工作物を目的とする土地の区画形質変更なら、開発許可を確認します。

2.どれだけ土を動かすのか

盛土
切土
高さ
面積
崖の有無

から盛土規制法を確認します。

3.造成後に雨水がどう変わるのか

畑から舗装
未舗装から駐車場
建物や道路の設置

など、流出雨水量が増えるかを確認します。

この3つを同時に見るのがポイントです。

500㎡という数字が出たら全部同じ制度だと思わない

愛知県では、500㎡という数字が複数の制度で出てくるため混同しやすくなります。

たとえば、

市街化区域内の開発許可

雨水浸透阻害行為

盛土規制法

で、500㎡という面積が判断に関係する場合があります。

しかし、

同じ500㎡でも測っているものと条件が違います。

雨水浸透阻害行為なら、

雨水浸透を妨げる行為の面積

を確認します。

開発許可なら、

開発区域の面積

を確認します。

盛土規制法なら、

盛土・切土を行う土地の面積だけでなく、高さや崖など他の基準もあります。

したがって、

「499㎡だから全部許可不要」

とは判断できません。

造成面積が500㎡未満でも盛土規制法にかかる場合がある

盛土規制法では面積だけでなく、高さも基準になります。

そのため造成面積が500㎡以下でも、

一定の高さを超える盛土で崖が生じる

一定の高さを超える切土で崖が生じる

といった場合には、許可対象になる可能性があります。

つまり、

500㎡だけ測って終わらない

ことが重要です。

平面図だけでなく、造成前後の高さが分かる断面も必要になります。

造成前に確認するなら、最初に区域を重ねる

実務では、最初から申請書を書くのではありません。

まず土地の場所を確認します。

同じ土地について、

  • 市街化区域か市街化調整区域か
  • 盛土規制法の規制区域か
  • 特定都市河川流域か

を重ねて確認します。

ここで関係する制度の候補がかなり絞れます。

たとえば、

市街化調整区域
+
盛土規制区域
+
特定都市河川流域

なら、土地利用そのものから慎重に確認する必要があります。

逆に、

特定都市河川流域外

なら、その土地について雨水浸透阻害行為許可の確認は一段外れます。

市街化調整区域なら開発許可は「面積だけ」で判断しない

市街化区域では、一定規模未満の開発行為が許可不要となる場合があります。

しかし市街化調整区域では、

何を建てるのか、そもそもその建築・開発が認められるのか

が重要です。

したがって、

「400㎡だから開発許可は不要」

と面積だけで判断するのは危険です。

造成の先に建物を予定しているなら、

その土地で予定用途が認められるか

から確認します。

駐車場造成なら開発許可がなくても他2制度を確認する

たとえば、

畑500㎡以上を造成して月極駐車場にしたい

とします。

建築物を建てない駐車場なら、都市計画法上の開発行為に該当しないケースがあります。

しかし、

盛土・切土を一定規模以上行う
→ 盛土規制法

特定都市河川流域内で舗装などにより雨水流出量が増える
→ 雨水浸透阻害行為

という確認は残ります。

つまり、

建物がないから造成許可は何もない

とは限りません。

資材置場も同じように確認する

資材置場も、

建築物を建てないから都市計画法の開発許可だけ見れば終わり

とはなりません。

造成方法によって、

盛土規制法

雨水浸透阻害行為

が関係します。

また、農地であれば農地転用など別の手続もあります。

造成関係の3制度だけで土地利用全体が完結するわけではありません。

申請が複数になるなら図面を別々に考えない

複数制度が関係するときは、

開発許可用図面
雨水許可用図面
盛土用図面

を完全に別々の計画として作るのではなく、

同じ造成計画から整合させる

ことが重要です。

たとえば、

造成高
排水方向
擁壁
調整池
浸透施設
土地利用

が申請ごとに違えば、後で修正が大きくなります。

特に雨水浸透阻害行為では、許可に当たり技術基準に従った雨水貯留浸透施設が必要になる場合があります。

そのため、

造成高さを先に確定してから最後に雨水を考える

と、計画を戻すことがあります。

最初に「造成図」を完成させてから役所へ行くとは限らない

土地利用を決め、

設計者に造成図を完成してもらい、

その後に許可要否を調べる。

この順番では、やり直しになることがあります。

たとえば後から、

雨水貯留施設が必要だった
擁壁計画を変える必要が出た
予定していた盛土高さでは基準に合わない
市街化調整区域で予定用途が難しい

と分かれば、造成計画そのものを変更することになります。

そのため、

区域と許可要否を先に確認し、その条件を造成計画へ戻す

方が進めやすくなります。

土地を造成したいときの確認順序

造成計画がまだ固まっていない段階なら、次の順番が分かりやすくなります。

土地の場所を確認
↓
市街化区域・市街化調整区域を確認
↓
特定都市河川流域か確認
↓
盛土規制法の規制区域を確認
↓
造成後の用途を確認
↓
盛土・切土の高さと面積を仮設定
↓
造成前後の土地利用から雨水流出の変化を確認
↓
必要な許可を並行して整理
↓
許可条件を反映して造成・排水計画を確定

ポイントは、

1つの許可が不要と分かったら終了しないこと

です。

3制度を別々に確認して、最後に重ねます。

3制度を整理するとこうなる

確認する制度主に見るもの代表的な確認
開発許可造成の目的・土地利用建築物等を目的とする区画形質変更か
盛土規制法盛土・切土等規制区域・高さ・面積・崖
雨水浸透阻害行為雨水流出量の増加特定都市河川流域・土地利用変化・500㎡以上か

この3つのうち、

どれが一番重要か

を決める表ではありません。

同じ土地について、

それぞれ別の方向から確認する表

です。

まとめ

土地を造成したいとき、

「開発許可?」
「盛土規制法?」
「雨水浸透阻害行為?」

と1つを選ぶ必要はありません。

それぞれ見ているものが違います。

開発許可は、

何のために土地を造成するのか。

盛土規制法は、

どれだけ盛土・切土等をするのか。

雨水浸透阻害行為は、

造成によって雨水の流出がどれだけ変わるのか。

を見ます。

そのため、

開発許可が不要でも盛土規制法や雨水浸透阻害行為が必要になることがあります。

反対に、開発許可と盛土規制法の両方に該当する場合には、開発許可による盛土規制法上のみなし許可の関係も確認します。

ただし、

開発許可を受ければ雨水浸透阻害行為まで自動的に終わるわけではありません。

造成を考え始めたら、

用途
区域
盛土・切土
雨水

を最初から同時に確認する。

そして、許可要否を確認してから、その条件を造成図・排水計画へ反映する。

これが、後から造成計画を大きくやり直さないための確認順序です。

土地を造成する前に、必要な手続を整理します

土地の造成では、開発許可だけ確認すれば終わるとは限りません。

土地の場所や使い方、盛土・切土の高さ、造成面積、舗装の有無などによって、雨水浸透阻害行為・盛土規制法・開発許可が重なることがあります。

「この土地は何を確認すればいい?」
「駐車場や資材置場にしたい」
「造成図を作る前に許可の要否を整理したい」

という段階からご相談いただけます。

いしかわ行政書士事務所では、土地の所在地・現在の状態・造成後の使い方を確認し、どの制度を先に確認するか整理するところから対応します。

造成計画を固める前に、一度ご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

0566-68-5511

営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)

出典

愛知県|開発許可制度の概要

愛知県|都市計画法に基づく開発許可等

愛知県|雨水浸透阻害行為の許可

愛知県|雨水浸透阻害行為許可等

愛知県|境川・猿渡川流域 雨水浸透阻害行為許可等

愛知県|新川流域 雨水浸透阻害行為許可等

愛知県|盛土規制法 愛知県における規制区域

愛知県|盛土規制法 愛知県における許可申請等の手続

愛知県|盛土規制法に関するよくある質問

国土交通省|盛土規制法の概要

この記事は、2026年9月時点の愛知県・国土交通省等の公的情報をもとに作成しています。

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