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いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

「50cmくらい土を入れるだけなら許可はいらない?」
「500㎡を超える造成は盛土規制法の対象になる?」
盛土規制法では、高さと面積の両方に基準があります。
ただし、「500㎡以上なら許可」「1m以上盛ったら許可」という一つの数字だけでは判断できません。
確認するのは、
- 土地がどの規制区域に入っているか
- 盛土なのか切土なのか
- 崖が生じるか
- 盛土・切土の高さは何mか
- 工事をする土地の面積は何㎡か
- 土石を一時的に積む工事なのか
です。
特に愛知県では、宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域で許可対象となる規模が異なります。
この記事では、盛土規制法の許可が何㎡・何mから必要になるのかを、愛知県の基準をもとに整理します。
まず確認するのは土地がどの規制区域にあるか
盛土規制法では、規制区域が大きく次の2種類に分かれています。
- 宅地造成等工事規制区域
- 特定盛土等規制区域
愛知県では2025年5月9日に規制区域を指定し、盛土規制法の運用を開始しました。
同じ高さ・同じ面積の盛土でも、どちらの区域にあるかによって「許可」「届出」「手続不要」の判断が変わることがあります。
そのため、最初に高さや面積を測るだけではなく、計画地がどちらの区域に入っているかを確認します。
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宅地造成等工事規制区域で許可が必要になる高さ・面積
宅地造成等工事規制区域では、盛土・切土について次のいずれかに該当すると、原則として許可対象になります。
| 工事内容 | 許可対象となる規模 |
|---|---|
| 盛土によって崖ができる | 高さ1m超の崖 |
| 切土によって崖ができる | 高さ2m超の崖 |
| 盛土と切土を同時に行う | 高さ2m超の崖 |
| 崖を生じない盛土 | 高さ2m超 |
| 上記以外の盛土・切土 | 面積500㎡超 |
ここでいう「崖」は、単に段差がある場所という意味ではありません。
盛土規制法では、地表面が水平面に対して30度を超える角度をなす土地で、一定の硬岩盤を除くものを崖としています。
したがって、
「1m土を入れる=必ず許可」
という意味ではありません。
盛土によって1mを超える崖が生じるのか、それとも崖を生じない盛土なのかによって基準が変わります。
「500㎡超」の基準には30cmも関係する
面積基準については、500㎡という数字だけを見ると誤解しやすいところです。
宅地造成等工事規制区域では、盛土または切土をする土地の面積が500㎡を超える場合が許可対象の一つになっています。
ただし、愛知県の許可申請等の手引では、この面積判定について、
高さが2m以下で、かつ、盛土等をする前後の地盤面の標高差が30cm以下となる範囲
は除くとされています。
つまり、
「敷地が600㎡だから必ず盛土規制法の許可が必要」
ということではありません。
実際にどの範囲で30cmを超える盛土・切土を行うのかまで確認します。
例えば600㎡の土地を造成する場合でも、工事内容によって許可対象面積の判断が変わる可能性があります。
高さは一番高く土を入れる場所だけを見るのか
盛土の高さについても注意が必要です。
愛知県の手引では、盛土等の高さは、盛土等を行った部分の最下端と最上端の差によって確認するとしています。
また、「標高の差」は、同じ地点における工事前と工事後の地盤の高さの差を指します。
この2つは同じものではありません。
例えば、
敷地全体の高低差
と
その地点で何cm土を盛るか
は別の数字です。
盛土規制法の許可要否を確認するときは、
- 盛土全体の高さ
- 崖の高さ
- 工事前後の標高差
- 盛土・切土をする面積
を分けて整理する必要があります。
特定盛土等規制区域では許可基準が大きくなる
特定盛土等規制区域では、許可対象となる規模が宅地造成等工事規制区域より大きく設定されています。
盛土・切土については、次の規模が許可対象です。
| 工事内容 | 許可対象となる規模 |
|---|---|
| 盛土によって崖ができる | 高さ2m超の崖 |
| 切土によって崖ができる | 高さ5m超の崖 |
| 盛土と切土を同時に行う | 高さ5m超の崖 |
| 崖を生じない盛土 | 高さ5m超 |
| 上記以外の盛土・切土 | 面積3,000㎡超 |
ただし、「この数字未満なら何の手続きもいらない」と判断しないようにします。
特定盛土等規制区域では許可未満でも届出が必要になる
特定盛土等規制区域では、許可対象規模より小さい盛土等でも、一定規模を超えると届出が必要になります。
届出対象となる主な規模は、
- 盛土で高さ1m超の崖
- 切土で高さ2m超の崖
- 盛土と切土を同時に行い高さ2m超の崖
- 崖を生じない盛土で高さ2m超
- 盛土または切土の面積500㎡超
です。
つまり、特定盛土等規制区域で1,000㎡の造成をする場合、
「許可基準の3,000㎡以下だから何もしなくてよい」
とは限りません。
許可ではなく届出の対象になる可能性があります。
盛土規制法では、「許可が必要か」だけでなく「届出が必要か」まで確認することが重要です。
土砂・残土の一時的な堆積にも高さ・面積基準がある
盛土規制法は、土地を恒久的に造成する場合だけを対象としていません。
ストックヤードや工事現場外で残土を一時的に置く「土石の堆積」も対象になることがあります。
宅地造成等工事規制区域では、
| 土石の堆積 | 許可対象 |
|---|---|
| 高さ2m超 | かつ面積300㎡超 |
| 上記以外 | 面積500㎡超 |
特定盛土等規制区域では、
| 土石の堆積 | 許可対象 |
|---|---|
| 高さ5m超 | かつ面積1,500㎡超 |
| 上記以外 | 面積3,000㎡超 |
となっています。
土石の堆積についても、特定盛土等規制区域では、これより小さい一定規模の工事が届出対象になります。
また、愛知県の手引では、土石の堆積について許可期間を5年以内としています。
「一時的に置くだけだから盛土規制法は関係ない」と判断しないことが重要です。
500㎡以下に工事を分ければ許可不要になるわけではない
工事を複数回に分けた場合にも注意が必要です。
愛知県の手引では、許可対象規模未満の盛土等を繰り返した場合でも、それぞれの盛土等に一体性が認められ、全体として許可対象規模を超えるときは許可が必要になるとしています。
一体性は、
- 事業者の同一性
- 物理的一体性
- 機能的一体性
- 時期的近接性
などから総合的に判断されます。
時期的近接性について、愛知県は概ね1年を目安として示しています。
したがって、
「今回は400㎡」
「半年後に隣の400㎡」
というように分ければ必ず許可対象外になるわけではありません。
同じ事業として行う工事や、隣接・近接して行われる工事では、全体を一体として判断される可能性があります。
具体例で許可要否の考え方を確認する
例1 600㎡の駐車場造成で50cm盛土する
宅地造成等工事規制区域内で、600㎡の範囲について工事前後の地盤面に50cmを超える標高差が生じる盛土を行う場合は、500㎡超の面積基準に該当する可能性があります。
高さが1m・2mに達していなくても、面積基準から許可対象になることがあります。
例2 200㎡の土地で高さ1.5mの崖ができる盛土
宅地造成等工事規制区域で、盛土によって高さ1mを超える崖が生じるのであれば、面積が500㎡以下でも許可対象になる可能性があります。
「面積が小さいから大丈夫」とは判断できません。
例3 特定盛土等規制区域で1,000㎡を造成する
面積3,000㎡超という許可基準には達していなくても、500㎡超という届出対象規模には該当する可能性があります。
このケースでは、「許可不要」と「手続不要」を区別する必要があります。
許可が必要か確認するときはこの順番で見る
自分の工事が盛土規制法の対象になるか確認するときは、次の順番で整理します。
| 順番 | 確認すること |
|---|---|
| 1 | 計画地が規制区域内か |
| 2 | 宅地造成等工事規制区域か特定盛土等規制区域か |
| 3 | 盛土・切土・土石の堆積のどれか |
| 4 | 崖が生じるか |
| 5 | 高さは何mか |
| 6 | 工事前後の標高差は何cmか |
| 7 | 工事をする土地の面積は何㎡か |
| 8 | 周辺・過去の工事と一体として扱われないか |
| 9 | 許可・届出のどちらが必要か |
愛知県は、盛土規制法の許可要否を確認するための判定チェックシートを公開しています。
愛知県公式:盛土規制法の許可要否判定チェックシートを確認する
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愛知県三河の盛土規制法の許可要否についてご相談ください
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、盛土規制法を含む土地利用に関する許認可手続きのご相談を受けています。
「500㎡を超える造成だが許可が必要か分からない」
「盛土は1m未満だが面積が大きい」
「許可ではなく届出になるのか確認したい」
「駐車場造成の計画段階で必要な手続きを整理したい」
という場合は、計画地、造成範囲、工事前後の高さ、盛土・切土の内容などを確認しながら整理します。
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出典
愛知県公式:盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)、愛知県公式:愛知県における規制区域、愛知県公式:愛知県における許可申請等の手続、国土交通省公式:盛土規制法総合窓口
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
