この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
川沿いの土地で、
「橋を架けたい」
「排水管を入れたい」
「河川敷を使いたい」
「土地を盛土・掘削したい」
「河川保全区域に建物を建てたい」
という場合、河川管理者や行政書士へ相談することになります。
そのとき、
「何を持っていけばいい?」
「まだ図面が完成していなくても相談できる?」
「公図や測量図まで最初から必要?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、最初の相談で、本申請に必要な図面・書類を全部完成させる必要はありません。
まず必要なのは、
どこの土地か
河川との位置関係はどうなっているか
そこで何をしたいのか
が分かる資料です。
そのうえで、
土地を占用したい
→ 占用範囲
工作物を設置したい
→ 工作物の位置・構造
掘削・盛土したい
→ 現況と工事後の高さ
河川保全区域で建築したい
→ 堤防・河川区域との距離や断面
というように、相談内容に応じて資料を追加します。
最初から申請書を作るより「何を確認したいか」を決める
「河川法について相談したい」といっても、相談内容はさまざまです。
たとえば、
河川区域かどうか知りたい。
24条と26条の両方が必要か知りたい。
自分の土地なので24条は不要なのか確認したい。
排水管の位置が認められそうか確認したい。
河川保全区域で住宅を建てられるか確認したい。
では、必要な資料が違います。
最初に、
何について回答が欲しいのか
を整理します。
この時点では、条文まで自分で確定できなくても構いません。
「この川をまたいで敷地への入口をつくりたい」
「川側へ排水管を出したい」
「この土地を50cm盛りたい」
まで分かれば、次に必要な資料を絞れます。
最初に用意したいのは「場所・現況・計画」の3つ
河川法の相談では、まず3種類の情報があると話が進みやすくなります。
土地・工事場所を特定する資料
まず、
所在地
地番
河川名
を確認します。
加えて、
位置図
公図
があると、対象地と河川との位置関係を説明しやすくなります。
特に河川法では、
敷地境界
河川区域
河川保全区域
官民境界
が同じとは限りません。
そのため、
「○○町123番の自分の土地です」
だけでは十分でないことがあります。
どの河川に接しているのか、どの位置で工事するのかが分かるようにします。
現在の状態が分かる資料
次に、
今どうなっているか
です。
現況写真が役立ちます。
たとえば、
河川
堤防
護岸
水路
既存橋
既存排水管
擁壁
道路
敷地
が一緒に写る写真があると、位置関係を説明しやすくなります。
単に工作物だけをアップで撮るより、
河川と計画地を一緒に確認できる写真
の方が相談資料として使いやすくなります。
既存の河川占用許可がある場合は、以前の許可書・図面も用意します。
何をしたいか分かる資料
最後が計画です。
まだ正式な設計図がなくても、
簡単な配置図
施工会社の概略図
手書き図
でも、最初の相談材料になります。
たとえば、
道路
↓
橋3m
↓
自分の土地
と書いてあるだけでも、
「河川をまたぐ工作物を設置したい」
ことが分かります。
排水管なら、
管径
設置位置
河川へ出す場所
が分かるだけでも相談を始めやすくなります。
24条の土地占用を相談したいなら「どこを使うか」が重要
河川法24条は、河川区域内の土地の占用に関する許可です。
そのため相談で重要になるのは、
どの土地を、何㎡、何のために使いたいか
です。
たとえば、
橋台を置く。
通路として使う。
駐車スペースとして使う。
工作物のため継続的に河川敷地を使う。
という場合です。
この相談では、
位置図
実測平面図や概略平面図
公図
占用予定範囲
が特に重要です。
本申請になれば面積計算書・丈量図なども必要になります。
しかし最初の段階では、
占用しようとしている範囲がどこか
が分かれば、24条を確認する入口になります。
26条の工作物なら「構造図だけ」では足りない
橋。
排水管。
通路。
フェンス。
階段。
などを河川区域内へ設置する場合は、河川法26条を確認します。
この場合、施工会社から、
橋の構造図
排水管の製品図
をもらっていても、それだけでは相談しにくい場合があります。
なぜなら河川管理者が確認したいのは、
工作物そのもの
だけではなく、
河川のどこに設置するのか
だからです。
そこで、
平面図
横断面図
構造図
を組み合わせます。
平面図
→ どこへ設置するか
横断図
→ 河川・堤防とどのくらい離れているか
構造図
→ 何をどのような構造で作るか
を見るためです。
つまり、施工会社から構造図だけ受け取った場合は、
河川との位置関係を説明する図面が別に必要か
を相談します。
27条の掘削・盛土相談では断面が重要
河川区域内の土地を、
50cm盛る。
1m掘る。
斜面を削る。
平場に造成する。
という場合は、河川法27条の確認が必要になります。
この場合、
平面図だけでは十分でないことがあります。
たとえば、
「300㎡を造成する」
と書かれていても、
20cm盛るのか。
2m盛るのか。
では工事内容が全く違います。
そのため、
造成前
と
造成後
を比較できる断面図があると話が早くなります。
図面が未完成なら、
現在GL
計画GL
最大盛土高
最大切土深
程度が分かる概略断面でも、最初の相談材料になります。
55条の河川保全区域では「堤防との距離・地下」が重要
河川保全区域で、
住宅を建てる。
擁壁をつくる。
土地を掘削する。
という場合は河川法55条を確認します。
ここでは、
「敷地が河川から何m離れているか」
だけではなく、
工作物・基礎と堤防との位置関係
が重要になります。
そのため、
位置図
公図
実測平面図
横断図
建物・擁壁の構造図
などが相談材料になります。
特に建物なら、
基礎の深さ
杭・地盤改良の有無
擁壁なら、
基礎位置
擁壁高さ
掘削範囲
まで分かると、より具体的に相談できます。
つまり、
地上に見える建物の位置だけでなく、地下へどこまで入るのか
も重要です。
河川区域か河川保全区域か分からないなら、先にそこだけ相談してもよい
まだ工事計画より前に、
「そもそもこの土地は河川区域?」
「河川保全区域に入っている?」
という段階もあります。
この場合は、
所在地・地番
位置図
公図
などから始めます。
正式な工作物図面を作ってからでないと、区域確認できないわけではありません。
むしろ、
区域を確認してから設計を進める
方が手戻りを減らせる場合があります。
河川区域界付近へ建物・擁壁・橋などを計画する場合は、特に早めに確認した方がよいでしょう。
公図は必要だが、公図だけでは足りない
河川法相談では公図がよく使われます。
公図を見ることで、
地番
筆界
周辺土地
を確認できます。
ただし、
公図の線
=
河川区域線
とは限りません。
さらに、
官民境界
河川区域
河川保全区域
が別々の線になる場合もあります。
そのため、公図を持っていく目的は、
土地関係を整理するため
です。
河川区域そのものは、河川管理者の資料と照合して確認します。
土地の登記簿はいつ必要?
初回の単純な位置確認なら、必ずしも登記事項証明書までそろえないと相談できないとは限りません。
ただし、
自分の土地なので24条が不要か確認したい。
土地の権原を確認したい。
複数所有者がいる。
借地である。
という場合には、登記資料が重要になります。
本申請では土地の権原関係を示す資料が必要になる場合があります。
したがって、
所有・権原が相談の論点なら最初から用意
すると話が早くなります。
既存許可があるなら必ず持っていく
古い橋を架け替える。
既存の排水管を交換する。
河川占用を更新する。
という場合です。
この場合は、
前回許可書
以前の申請図面
が重要です。
「昔からあるから許可済みだと思う」
だけでは、
何条で。
どの寸法で。
どの範囲が。
許可されていたか分かりません。
既存許可と今回の計画を比較して、
新規なのか。
変更なのか。
修繕扱いなのか。
を確認します。
資料が残っているなら、最初の相談から持っていきます。
工事予定日が決まっているなら伝える
河川法の申請では、
事前相談
↓
図面整理
↓
正式申請
↓
補正
↓
許可
↓
着工
という流れになります。
愛知県の河川法24条・26条・27条・55条には標準処理期間が設定されていますが、国土交通省等との協議期間や補正期間は別です。
そのため、
「来月工事したい」
という場合は、最初の相談時に伝えます。
行政が急げば必ず間に合うという意味ではなく、
予定工程が現実的か判断するため
です。
工事日を契約で確定してから相談するより、設計・見積段階から確認した方が安全です。
他の許可をすでに相談しているなら、その資料も持っていく
河川沿いの工事では、
河川法だけで終わらないことがあります。
たとえば、
道路から出入口をつくる
→ 道路関係
農地を駐車場にする
→ 農地転用
造成する
→ 盛土規制法
舗装する
→ 雨水浸透阻害行為
などです。
すでに、
道路協議図。
造成図。
農地転用用の土地利用計画図。
開発許可図面。
などがあるなら、それも河川法の相談で利用できます。
同じ工事なのに、
河川法の図面では橋幅3m。
道路側の図面では4m。
となれば後で整合を取る必要があります。
すでに作った行政図面は隠さず見せる
方が進めやすくなります。
「全部の図面を作ってから相談」はむしろやり直しになることがある
本申請には、
位置図
公図
実測平面図
横断図
縦断図
構造図
面積計算
丈量図
工程表
現況写真
など、多くの資料が関係します。
しかし、
許可条文も決まっていない段階から全部作る
必要はありません。
たとえば相談後に、
橋の位置を変えてください。
この断面でもう一度検討してください。
占用範囲を狭くしてください。
基礎位置を変更してください。
となれば作り直しになります。
まず、
判断できるだけの概略資料
で相談し、
その結果を本申請図面へ反映します。
ただし「何も決まっていない」状態では判断できない
反対に、
「川の近くで何かしたい」
だけでは具体的な相談ができません。
少なくとも、
橋をつくりたい。
排水管を入れたい。
建物を建てたい。
50cm盛土したい。
という工事の方向は必要です。
詳細寸法は後でもよいとしても、
何をするか
が決まっていなければ、24条・26条・27条・55条のどれを見るべきか判断できないからです。
最初の相談資料は「質問別」に考えると分かりやすい
整理すると、こうなります。
| 確認したいこと | 最初にあるとよい資料 |
|---|---|
| 河川区域・管理者を確認したい | 所在地・地番・位置図・公図 |
| 土地占用を相談したい | 平面図・占用予定範囲・利用目的 |
| 橋・排水管等を設置したい | 平面図・横断図・構造の概略 |
| 掘削・盛土したい | 平面図・造成前後の断面 |
| 河川保全区域で建築したい | 平面図・横断図・基礎概要 |
| 既存工作物を変更したい | 既存許可書・旧図面・新計画図 |
| 土地権原を確認したい | 公図・登記資料等 |
| 工期を相談したい | 工程・着工希望時期 |
これは、
全部そろえるための持ち物リスト
ではありません。
自分が何について回答を欲しいのかによって、
優先する資料を変える
ための整理です。
三河では河川名から相談先を確認する
愛知県内でも、相談窓口は河川によって変わります。
たとえば県管理河川では、
碧南・刈谷・安城・高浜など
→ 知立建設事務所
岡崎市・幸田町
→ 西三河建設事務所
西尾市
→ 西三河建設事務所西尾支所
が主な県の窓口になります。
ただし国管理河川や市町村管理河川もあります。
そのため、
「土地が岡崎だから必ずこの窓口」
ではなく、
河川名と管理区間から管理者を確認
します。
関連記事
河川区域に工作物を設置するときの許可|河川法24条・26条とは
まとめ
河川占用・河川法の許可を相談するとき、
最初から本申請用の書類・図面一式を完成させる必要はありません。
まず用意したいのは、
土地・工事場所を特定する資料
現在の状態が分かる資料
何をしたいか分かる資料
です。
そのうえで、
24条の土地占用
→ 占用範囲
26条の工作物
→ 平面・断面・構造
27条の掘削・盛土
→ 造成前後の高さ
55条の河川保全区域
→ 堤防との距離・工作物や基礎の断面
というように、相談内容に合わせて資料を追加します。
つまり、
申請に必要な書類を全部集めることが初回相談の目的ではありません。
どの区域で。
何条が関係し。
何を図面で説明する必要があるか。
を先に確定する。
その結果を受けて、本申請図面を仕上げる方が手戻りを減らしやすくなります。
三河の河川占用・河川法手続をご相談ください
いしかわ行政書士事務所では、碧南・西尾・高浜・安城・刈谷・岡崎を中心とした三河エリアで、河川占用・河川法に関する行政手続をサポートしています。
現在お持ちの土地資料・工事図面を確認し、河川管理者や必要な許可を整理したうえで、行政との事前相談、必要資料の整理、申請書類の作成・提出まで対応します。道路・水路、盛土規制法、雨水浸透阻害行為、農地転用などが重なる場合もあわせて整理します。
正式な工事図面や施工内容を固め切る前の段階からご相談ください。
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出典
愛知県|河川占用, 愛知県|河川占用等許可事務手続きについて, 愛知県|河川敷地の占用及び河川区域内における工作物設置許可に関すること, 愛知県|主な様式(河川)のページ, 愛知県|様式のダウンロード(河川)・西三河建設事務所, 愛知県|河川保全区域における行為の許可に関すること, 国土交通省関東地方整備局|河川占用許可の手続き, e-Gov法令検索|河川法施行規則
この記事は、2026年9月時点の愛知県・国土交通省等の公的情報をもとに作成しています。
