自分の土地でも河川法の許可が必要?河川区域・河川保全区域の確認方法

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

川沿いに自分名義の土地があると、

「自分の土地なら自由に造成できる?」

「登記簿上は自分名義なのに河川法の許可が必要?」

「河川区域や河川保全区域はどこで確認する?」

と疑問に思うことがあります。

結論からいうと、自分の土地でも河川法の許可が必要になることがあります。

河川法では、

誰が土地を所有しているか

と、

その土地が河川法上どの区域に入っているか

を別々に考えます。

自分名義の土地でも、

河川区域内で工作物をつくる
河川区域内で盛土・切土する
河川保全区域内で一定の造成や工作物設置をする

場合には、河川管理者の許可を確認する必要があります。

一方、

「河川区域内の自分の土地だから、河川法24条の占用許可も必ず必要」

というわけでもありません。

24条には、河川管理者以外の者が権原に基づいて管理する土地を対象から除く規定があります。

つまり、

自分の土地かどうかで変わる手続もあれば、自分の土地でも必要になる手続もある

ということです。

最初にやるべきなのは、

「誰の土地?」

だけではなく、

どの河川の、どの区域に、土地のどの部分が入っているか

を確認することです。

自分の土地でも河川法がかかる理由

河川区域は、国や県が所有する土地だけで構成されているとは限りません。

私有地が河川区域に含まれていることがあります。

河川は洪水を安全に流し、堤防や護岸などを守る必要があります。

そのため、

土地の所有者が誰かにかかわらず、

工作物をつくる。

土地を掘る。

盛土する。

切土する。

といった行為によって河川管理へ影響する場合は規制されます。

たとえば自分名義の土地でも、

河川区域内へ擁壁をつくる
→ 河川法26条

河川区域内を盛土する
→ 河川法27条

河川保全区域内へ住宅を建てる
→ 河川法55条の確認

といった手続が関係する可能性があります。

所有権があることと、河川法上自由に工事できることは別です。

ただし24条は「自分の土地か」が重要になる

ここは分けて考える必要があります。

河川法24条は、

河川区域内の土地を占用する場合

の許可です。

ただし条文では、

河川管理者以外の者がその権原に基づいて管理する土地

を対象から除いています。

そのため、

自分が所有し、自分の権原に基づいて管理している河川区域内の土地を自分で使う場合には、24条の土地占用許可が不要となるケースがあります。

しかし、

24条が不要だから河川法の手続が全部不要

とはなりません。

その土地へフェンス・排水管・橋などをつくるなら26条。

盛土・切土・掘削するなら27条。

という確認は残ります。

この違いは重要です。

「自分の土地だから河川法不要」ではなく「何条が必要か変わる」

たとえば河川区域内に自分名義の土地があり、

現在の状態のまま使用するだけ

なら、24条の土地占用許可が問題にならない場合があります。

しかし、

そこを50cm盛土して駐車場にする。

フェンスを設置する。

排水管を河川側へ設置する。

となれば、

27条
26条

などが関係する可能性があります。

つまり、

自分の土地であることは、河川法を外す条件ではなく、必要手続を切り分ける一つの条件

です。

まず確認するのは「河川区域」か「河川保全区域」か

川沿いの土地なら、最初に次の3つへ分けます。

河川区域

河川そのものや堤防など、河川管理の中心となる区域です。

河川保全区域

河川区域の外側で、河岸や堤防などの河川管理施設を守るために指定された区域です。

どちらにも入っていない土地

河川法24条・26条・27条・55条の直接の対象からは原則一段外れます。

ただし土地自体が区域外でも、

排水管を河川区域へ入れる。

川をまたいで出入口をつくる。

護岸に工作物を設置する。

という工事をすれば、その部分について河川法が関係します。

河川区域とはどこまで?

河川区域というと、

「水が流れているところ」

だけを想像しやすいですが、それだけではありません。

河川法上は、

流水が継続して存在する土地。

河川管理施設の敷地。

河川管理者が河川管理上一体として管理する必要があるとして指定した土地。

などが含まれます。

堤防がある河川では、

水面だけを見て河川区域を判断することはできません。

「川から10m離れている」

というだけでも判断できません。

まず正式な河川区域を確認します。

河川保全区域は川沿い全部にあるわけではない

河川保全区域は、

河川区域に隣接する土地を河川管理者が指定して初めて生じる区域

です。

そのため、

川沿いだから必ず河川保全区域

ではありません。

愛知県でも河川によって指定状況が違います。

たとえば知立建設事務所が管理する河川では、境川・逢妻川に河川保全区域の指定があります。

西三河建設事務所が管理する乙川でも、一定区間について河川区域から18mの河川保全区域が指定されています。

一方、すべての河川・すべての区間が同じ18mというわけではありません。

河川名と区間ごとに確認する

必要があります。

「愛知県は18m」と一律に考えない

愛知県内では「河川区域から18m」という河川保全区域が見られます。

しかし、

愛知県の川沿い=全部18m

という意味ではありません。

指定されていない河川もあります。

同じ河川でも指定区間が限定される場合があります。

また、国が直接管理する河川であれば、国土交通省の河川事務所が確認先になる場合があります。

したがって、

18m測れば確認終了

ではなく、

まずその河川に河川保全区域の指定があるか

を確認します。

河川区域・河川保全区域を確認する最初の手順

確認するときは、土地から調べるより、

川から調べる

方が進みやすいことがあります。

1.河川名を確認する

土地の横を流れている川の正式名称を確認します。

普段呼ばれている通称と河川法上の名称が違う場合もあります。

2.河川管理者を確認する

一級河川の国直轄区間なら国土交通省。

県管理区間や二級河川なら都道府県。

準用河川なら市町村。

というように、管理者が異なります。

同じ市内でも、河川によって相談先が違います。

3.河川区域を確認する

管理する河川事務所・建設事務所等で、

対象地が河川区域に入っているか確認します。

4.河川保全区域の指定を確認する

河川区域外だった場合でも、河川保全区域の指定がないか確認します。

この順番です。

Googleマップだけでは河川区域を確定できない

Googleマップや航空写真は、

川とのおおよその位置関係を見るには便利です。

しかし、

河川区域の正式な境界確認には使えません。

地図上の水色部分と河川区域が一致するとは限らないからです。

同じように、

「堤防からこのくらい離れているから大丈夫」

という目測だけでも判断できません。

河川管理者が管理している区域・指定区域を確認します。

ハザードマップでも河川区域は分からない

洪水ハザードマップを見ると、

浸水想定区域が表示されています。

しかし、

洪水浸水想定区域
と
河川区域
と
河川保全区域

は別の制度です。

浸水想定区域に入っているから河川区域というわけではありません。

反対に、浸水想定区域の表示が薄いから河川法の区域外とも限りません。

河川法の許可を確認するときは、

河川区域・河川保全区域を直接確認します。

公図を見れば河川区域が分かる?

公図は土地の筆界や地番関係を確認するための重要な資料です。

しかし、

公図だけで河川法上の規制区域まで確定できるとは限りません。

公図で、

自分の土地
河川側の土地

の位置関係を確認することはできます。

しかし、

河川区域の指定線がどこか。

河川保全区域が何m指定されているか。

は別に確認する必要があります。

つまり、

公図=所有・土地関係を確認する資料

河川管理資料=河川法上の区域を確認する資料

と役割を分けます。

登記簿で「宅地」なら河川区域ではない?

これも違います。

登記簿上の地目が、

宅地
雑種地
田
畑

のどれであっても、河川区域に入っている可能性があります。

河川区域は、

土地の地目を変更して指定する制度ではありません。

そのため、

「宅地だから河川法は関係ない」

とは判断できません。

同様に、

所有者欄が自分名義だから区域外

とも限りません。

本当に境界ぎりぎりなら「区域確認」と「土地境界」を分ける

ここからが実務では重要です。

たとえば計画している擁壁が、

河川区域界から数十cm離れているのか。

区域内へ数十cm入っているのか。

で手続が変わることがあります。

この場合、

「だいたいこの辺」

という参考図では足りません。

さらに、

河川区域の確認
と
河川管理者が管理する土地と民地の境界確認

も別の問題になる場合があります。

愛知県では、県が管理する道路・河川などの公共用財産と民地との境界を確定するため、土地境界確定の手続を案内しています。

工事位置が境界に近い場合は、

河川管理担当と相談し、

必要に応じて境界資料や測量まで確認します。

「区域図で外に見える」だけで工事を始めない

河川区域・河川保全区域の図面をウェブ上で公開している管理者もあります。

ただし、こうした図面には、

参考図であり、正確な区域は管理事務所へ確認

とされているものがあります。

したがって、

ウェブ地図を見る
↓
区域外に見える
↓
工事開始

とはしない方がよいでしょう。

特に、

擁壁
建物基礎
盛土
切土

が境界近くまで来る場合は、事前に河川管理者へ確認します。

河川区域内だった場合に確認する条文

自分の土地が河川区域に入っていたら、

次は、

そこで何をするか

を確認します。

行為主に確認する手続
河川管理地を継続的に占用河川法24条
工作物を新築・改築・除却河川法26条
掘削・盛土・切土等河川法27条
土石等を採取河川法25条

自分が権原に基づいて管理する私有地では24条が不要となる場合があります。

しかし26条・27条は別です。

河川保全区域内なら55条を確認する

河川区域ではなかったものの、

河川保全区域に入っている。

その場合は、

河川法55条

を確認します。

対象となるのは、

土地の掘削
盛土
切土
その他土地形状変更

と、

工作物の新築・改築

です。

たとえば、

住宅建築
擁壁設置
土地造成

などが関係します。

ただし、河川法施行令には一定の許可不要行為もあります。

そのため、

河川保全区域内だった
↓
必ず55条申請

とも限りません。

行為内容まで見ます。

同じ自分の土地でも区域によってこう変わる

たとえば自分名義の土地を造成したい場合です。

河川区域内

盛土・切土
→ 27条を確認

擁壁設置
→ 26条を確認

土地占用
→ 土地の権原関係によって24条を確認

河川保全区域

盛土・切土・工作物設置
→ 55条を確認

区域外

その土地自体の工事について24・26・27・55条は原則一段外れる

という違いがあります。

「自分の土地」という条件は全部同じでも、

河川法上の区域で答えが変わります。

土地が区域外でも排水管だけ河川へ入るケース

たとえば住宅敷地そのものは河川保全区域外。

しかし、

敷地から河川へ雨水を流すために排水管を設置したい。

という場合です。

排水管の先端や工事部分が河川区域へ入れば、

河川法26条などを確認する必要があります。

つまり、

土地が区域外=計画全体が河川法対象外

とは限りません。

土地だけではなく、

工作物・工事範囲まで確認します。

道路から土地へ入るため河川をまたぐ場合も同じ

道路と自分の土地の間に水路・河川があり、

出入口のため橋・床版を設置したい。

という場合もあります。

自分の土地そのものが河川区域外でも、

橋を設置する部分が河川区域なら、河川法手続が関係します。

さらに道路側で、

道路工事承認
道路使用許可

などが必要になる場合もあります。

「自分の土地の規制」だけでなく、そこへどう接続するか

まで見る必要があります。

土地を買う前なら区域確認を先にする

川沿いの土地を、

住宅用地
駐車場
資材置場
店舗用地

として購入しようとしているなら、購入前に確認する意味があります。

購入後に、

土地の一部が河川区域だった。

河川保全区域内で基礎計画に制約が出た。

擁壁位置を変える必要が出た。

予定していた盛土が難しい。

と分かると、土地利用計画そのものが変わる可能性があります。

特に、

河川区域界の近くへ建物・擁壁を配置する予定

なら、購入前・設計初期で確認した方がよいでしょう。

河川保全区域は「指定の有無」まで確認する

「川から18m以内だから河川保全区域だろう」

と考えるのではなく、

まず、

その河川に河川保全区域の指定があるか

を確認します。

愛知県でも、

指定河川
指定区間
指定幅

がそれぞれ決められています。

たとえば東三河建設事務所では、梅田川の全区間、音羽川の一定区間について河川区域の境界から18m以内を河川保全区域として案内しています。

同じ「愛知県の川」でも、指定内容は河川ごとに違います。

三河ではどこへ確認すればいい?

三河でも、河川管理者は一律ではありません。

碧南・刈谷・安城・知立・高浜を流れる多くの県管理河川は、知立建設事務所が管理しています。

西三河建設事務所は岡崎市・幸田町の県管理河川を担当し、西尾市は西尾支所の管轄があります。

ただし、

国が管理する河川。

市町村が管理する準用河川。

普通河川。

などもあります。

したがって、

「岡崎だから西三河建設事務所」

と所在地だけで決めるのではなく、

河川名から管理者を確認

するのが確実です。

相談するときに用意すると話が早い資料

区域確認だけなら、最初から詳細な設計図一式を完成させる必要はありません。

まず、

所在地・地番
位置図
公図
現況写真

などで対象地を特定します。

すでに工事計画があるなら、

建物配置図
造成平面図
横断面図
擁壁図

なども用意します。

河川保全区域での事前相談について、愛知県では実測平面図・横断面図・公図・現況写真などを準備するよう案内している例があります。

特に重要なのは、

河川側と工事位置の関係が図面から分かること

です。

自分で調べるなら「区域を推測する」ところまでにする

ウェブ上の地図。

航空写真。

公図。

登記簿。

自治体の河川一覧。

これらを使えば、

どの河川が近いか。

どの管理事務所へ聞けばよいか。

河川保全区域の指定がありそうか。

までは自分でかなり絞れます。

ただし、

最終的な工事位置が区域内か区域外か

で許可要否が変わる案件なら、管理者へ確認します。

自己調査の目的は、

「自分で許可不要と確定すること」

ではなく、

どこへ何を聞けばよいかを絞ること

と考えた方がよいでしょう。

関連記事

河川占用許可とは?河川区域で工事するときに必要な手続き

河川区域に工作物を設置するときの許可|河川法24条・26条とは

まとめ

自分名義の土地でも、

河川区域・河川保全区域に入っていれば河川法の許可が必要になることがあります。

ただし、

「自分の土地なら許可不要」

も、

「河川区域内なら24条も必ず必要」

も正確ではありません。

自分が権原に基づいて管理する河川区域内の土地では、24条の土地占用許可が不要となる場合があります。

一方、

工作物をつくる
→ 26条

盛土・切土・掘削する
→ 27条

という規制は別に残ります。

河川保全区域なら、土地の形状変更や工作物の新築・改築について55条を確認します。

そして区域を確認するときは、

自分の土地か
だけではなく、

河川名
河川管理者
河川区域
河川保全区域の指定
工事位置

まで確認します。

公図や登記簿は土地関係を確認する資料として重要ですが、それだけで河川区域・河川保全区域まで確定できるとは限りません。

特に境界近くで、

建物
擁壁
盛土
切土

を計画しているなら、

設計を固める前に河川管理者へ区域と工事位置を確認する

ことが重要です。

三河の河川区域・河川法手続をご相談ください

いしかわ行政書士事務所では、碧南・西尾・高浜・安城・刈谷・岡崎を中心とした三河エリアで、川沿いの土地に関する河川法手続をサポートしています。

土地の所在地・河川名・公図・計画図面等を確認し、河川管理者や河川区域・河川保全区域を整理したうえで、必要に応じて行政との事前相談、河川法24条・26条・27条・55条等の申請書類作成・提出まで対応します。

盛土規制法・開発許可・雨水浸透阻害行為・道路や水路の手続が重なる場合も、計画全体から必要手続を整理します。

土地購入や建物・擁壁の配置を決め切る前にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

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営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)

出典

国土交通省関東地方整備局|河川の利用案内, 国土交通省中部地方整備局|河川法の許可が必要な行為, 国土交通省関東地方整備局|河川法第24条の占用許可を要しないもの, 愛知県|河川区域内の土地の掘削等の許可, 愛知県|河川保全区域内の行為の許可, 愛知県|河川保全区域における行為の許可に関すること, 愛知県|知立建設事務所 管理河川, 愛知県|知立建設事務所維持管理課, 愛知県|西三河建設事務所 河川管理について, e-Gov法令検索|河川法

この記事は、2026年9月時点の河川法・国土交通省・愛知県等の公的情報をもとに作成しています。

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