この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
河川法の許可が必要だと分かったとき、
「自分で申請できる?」
「行政書士に頼まないと受け付けてもらえない?」
「施工会社から図面をもらえば、自分で提出できる?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、河川法の許可申請は、必ず行政書士へ依頼しなければならない手続ではありません。
申請者本人が、河川管理者と相談しながら申請することもできます。
一方で、河川法の申請は、
申請書に住所や工事内容を書けば終わる
という手続でもありません。
工事によって、
河川法24条
河川法26条
河川法27条
河川法55条
など、必要な許可を先に整理し、
さらに、
河川区域
河川保全区域
土地の権原
工作物の位置
掘削・盛土
占用範囲
施工方法
などを図面で説明する必要があります。
そのため、
「自分で書類を書けるか」ではなく、「申請から許可・工事完了まで行政手続を自分で回せるか」
で考える方が実際的です。
河川法の許可申請は本人でもできる
河川法の申請者は、工事や占用等を行おうとする本人・法人です。
行政書士へ依頼しないと申請資格がないわけではありません。
たとえば、
自分の土地へ排水管を設置したい。
河川保全区域内に建物を建てたい。
河川区域内で土地を掘削したい。
という場合に、自分で管轄する河川管理者へ相談し、必要書類を作成して申請することはできます。
行政書士へ依頼する場合は、本人に代わって申請書類の作成や提出手続などを行う形になります。
したがって、
本人申請か行政書士依頼かは、制度上の必須・任意ではなく、実務負担をどこまで自分で担うかの違い
です。
河川法申請で最初に難しいのは「何条を申請するか」
自分で申請しようとすると、
まず申請書をダウンロードしたくなります。
しかし、その前に確認したいことがあります。
それが、
自分の工事に河川法の何条が関係するか
です。
たとえば、
河川敷地を継続的に使う
→ 24条
河川区域に橋・排水管等を設置する
→ 26条
河川区域の土地を掘削・盛土する
→ 27条
河川保全区域で工作物・造成をする
→ 55条
という違いがあります。
さらに一つの工事で複数が関係する場合もあります。
自分の土地なら24条が不要でも26条が必要。
工作物設置のための掘削なら26条との関係で27条を別に取らない。
というケースもあります。
つまり、
条文の切り分け自体が最初の申請作業
です。
「河川占用許可」と呼ばれていても24条だけとは限らない
実務では、
「河川占用を取りたい」
「河川許可を取ってください」
と一括りに言われることがあります。
しかし実際の計画は、
河川敷地を使う
+
橋を設置する
なら24条・26条。
河川区域の自分の土地へ工作物を設置する
なら26条だけになる可能性。
河川保全区域で擁壁をつくる
なら55条。
というように変わります。
本人申請する場合、
依頼された手続名をそのまま申請書へ書くのではなく、土地・区域・工事内容から条文を整理する
必要があります。
ここで迷う案件ほど、行政書士へ依頼する価値が上がります。
次に必要なのが河川管理者との事前相談
河川法申請では、申請書をいきなり提出するより先に、
河川管理者へ計画を示して相談する
ことが重要です。
愛知県の河川管理窓口でも、工事内容が分かる図面、公図、現況写真などを持って事前相談するよう案内されています。
相談では、
この土地は河川区域か。
河川保全区域か。
24条も必要か。
26条だけか。
工作物の位置は問題ないか。
追加でどの図面が必要か。
などを確認します。
つまり、
申請前にある程度、計画の成立可能性を詰める
工程があります。
自分で申請するなら「役所へ何を聞くか」を整理できるか
事前相談へ行って、
「河川法のことが分からないので全部教えてください」
だけでは話が進みにくくなります。
たとえば、
「○○川の河川区域内です」
「この位置へ排水管を設置します」
「自分所有地ですが26条だけでよいか確認したいです」
「横断図のこの位置が堤防との関係で問題ないか確認したいです」
と説明できれば、相談ポイントが明確です。
行政側が申請者の代わりに工事計画を設計するわけではありません。
本人申請するなら、
自分の計画をある程度説明できる状態まで整理する
必要があります。
河川法申請では図面が重要
河川法申請が難しく感じやすい理由の一つが、図面です。
愛知県の申請案内では、案件に応じて、
- 位置図
- 実測平面図
- 工作物の設計図
- 横断面図
- 面積計算書
- 丈量図
- 公図
- 現況写真
- 工事方法を示す図書
- 工程表
などが必要になります。
単に、
「幅3mの橋を設置します」
と文章で書くだけでは、
河川管理者は、
河川のどこに設置するのか。
堤防からどのくらい離れているのか。
基礎はどこまで入るのか。
洪水時の流れへ影響しないか。
を確認できません。
そのため、
図面が申請内容そのもの
に近い意味を持ちます。
施工会社から図面をもらえば自分で申請できる?
これは一つの境目です。
施工会社や設計者から、
実測平面図
横断面図
構造図
施工方法
工程
までそろっているなら、本人申請の難易度は下がります。
自分で行う主な作業は、
河川管理者との事前相談。
申請条文の整理。
申請書・添付書類の作成。
土地関係資料の収集。
補正対応。
許可後の手続。
などになります。
つまり、
技術資料がすでにそろっている案件ほど本人申請しやすい
と考えられます。
逆に「工事したい」だけならまだ申請段階ではない
たとえば、
川をまたいで出入口を作りたい。
でも、
橋の位置は未定。
幅も未定。
基礎形式も未定。
河川区域も確認していない。
という段階です。
この状態では、
行政書士が申請書だけ作っても手続は進みません。
まず、
河川管理者への確認。
施工会社・設計者による概略計画。
必要な工作物の位置・構造の整理。
が必要です。
つまり、
行政書士へ依頼すれば設計前でもすべて完成する
わけではありません。
行政書士と施工会社・設計者の役割は違う
河川法申請では、役割を分けると分かりやすくなります。
施工会社・設計者は、
工作物の構造。
施工方法。
基礎。
材料。
構造計算。
現場条件に合わせた工事計画。
などの技術面を担当します。
行政書士は、
必要な許認可の整理。
河川管理者との事前相談。
申請書類の作成。
必要資料の整理。
提出手続。
他の行政手続との関係整理。
など、行政手続側を担当します。
案件によっては行政書士が図面作成まで対応する場合もありますが、
構造設計・測量・専門的な土木設計まで誰が行うのかは依頼前に確認
した方がよいでしょう。
行政書士に頼む意味は「申請書を代筆してもらう」だけではない
河川法申請で行政書士へ依頼する意味を、
書類の文字入力
だけで考えると価値が分かりにくくなります。
実際には、
工事内容を確認
↓
必要な条文を整理
↓
管轄する河川管理者を確認
↓
事前相談
↓
必要図面・資料を整理
↓
施工会社・設計者と資料調整
↓
申請
↓
補正対応
↓
許可後手続
という流れがあります。
行政書士へ依頼する意味は、
この行政手続の流れをまとめて管理すること
にあります。
複数の河川法許可が関係する案件は依頼価値が上がる
たとえば、
河川敷地を使って橋を設置する。
という場合です。
土地占用
→ 24条
橋設置
→ 26条
が関係する可能性があります。
愛知県の申請様式では、複数条文の許可を同時に申請する場合の記載にも対応しています。
このような案件では、
申請を別々に考えるのではなく、
一つの工事計画として必要手続をまとめる
必要があります。
自分で条文を切り分けるのが難しい場合は、行政書士へ依頼する意味が大きくなります。
河川法だけで終わらない案件はさらに複雑になる
たとえば、
川沿いの農地を駐車場にしたい。
水路をまたいで出入口を作りたい。
造成して擁壁を設置したい。
という場合です。
河川法以外にも、
農地転用。
道路工事承認。
道路使用。
盛土規制法。
雨水浸透阻害行為。
開発許可。
などが関係する場合があります。
この場合、
河川法26条だけ取れば工事できる
とは限りません。
行政書士へ依頼する意味が大きくなるのは、
一つの許可申請が難しい案件より、複数の行政手続を同時に整理しなければならない案件
でもあります。
自分の土地なら簡単とは限らない
自分所有の土地が河川区域内にある場合、
24条の土地占用許可が不要となる場合があります。
すると、
「自分の土地なら申請も簡単なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、
工作物を設置するなら26条。
土地を掘削・盛土するなら27条。
という許可は別に残ります。
しかも、
土地が本当に自分の権原に基づいて管理されている部分だけなのか。
河川区域界はどこか。
工作物が官地へ出ていないか。
という確認が必要になることもあります。
所有権が単純だから、河川法申請全体も単純とは限りません。
河川保全区域の55条なら比較的簡単?
河川区域の外側にある河川保全区域で、
住宅を建てる。
擁壁を設置する。
造成する。
という場合には55条を確認します。
河川区域内の占用に比べ、
土地そのものは通常の民有地であることが多いため、
「55条だけなら簡単そう」
と思うことがあります。
しかし、
工作物と堤防の距離。
基礎の深さ。
盛土・切土。
断面関係。
などを確認する必要があります。
建築計画や造成計画によっては、行政との事前相談で位置・基礎等の修正が必要になることもあります。
申請条文が一つだから簡単とは限りません。
補正対応を自分でできるかも判断材料
河川法申請は、
提出したらそのまま許可書が届く
とは限りません。
たとえば、
占用面積と図面が一致していない。
河川区域線が入っていない。
横断図から堤防との距離が分からない。
施工方法を追加してほしい。
公図と申請範囲を確認したい。
といった補正が出ることがあります。
この場合、
行政から指摘
↓
施工会社・設計者へ確認
↓
図面修正
↓
申請書修正
↓
行政へ再提出
という調整が必要です。
本人申請するなら、
最初の提出だけでなく、補正を最後まで回せるか
まで考えます。
工事日程が決まっている案件は早めの依頼が向く
河川工事では、
施工会社だけ先に押さえ、
「来月工事します」
となってから許可を確認すると間に合わないことがあります。
愛知県では、河川法24条・26条・27条・55条について標準処理期間を設けています。
ただし実際には、
事前相談。
図面修正。
申請書補正。
他機関との協議。
などが発生する可能性があります。
したがって、
標準処理期間だけを見て工事日から逆算しない
方がよいでしょう。
工事日が動かしにくい案件ほど、早い段階で行政書士や河川管理者へ相談する意味があります。
許可が出た後も手続が残る場合がある
河川法の手続は、
許可書を受け取れば全部終わり
とは限りません。
愛知県では、26条・27条・55条等の工事について、
工事着手。
工事終了。
中止。
廃止。
などの届出様式があります。
工作物によっては完成検査等が関係する場合もあります。
つまり、
許可申請から工事完了まで管理する
必要があります。
自分で申請する場合は、許可後の条件や届出まで自分で確認します。
自分で申請しやすいケース
本人申請に向きやすいのは、
河川法の何条が必要か分かっている。
河川管理者も確認済み。
施工会社・設計者から必要図面がそろっている。
土地・区域関係が単純。
事前相談へ自分で行ける。
行政からの補正に対応できる。
許可後の着手・完了手続も管理できる。
というケースです。
この状態なら、行政書士へ依頼せず本人で進める選択も十分考えられます。
行政書士へ依頼した方がよいケース
一方、次のような場合は行政書士への依頼価値が高くなります。
何条が必要か分からない
24条・26条・27条・55条のどれを使うか整理から必要な場合。
河川区域・河川保全区域の確認から必要
土地の一部が区域に入っているか分からない場合。
事前相談から任せたい
行政との打合せや必要資料の確認を自分で進める時間がない場合。
図面はあるが申請用に整理できない
施工図を河川法申請資料としてどう組み立てるか分からない場合。
複数の許認可が関係する
農地・道路・盛土・雨水・開発許可などが重なる場合。
工事工程が決まっている
補正や行政協議を含めた進行管理が必要な場合。
こうした案件ほど、
単なる書類作成より、行政手続全体を整理する役割
が重要になります。
行政書士へ依頼するときも「全部お任せ」で始めない
依頼時には、
土地の所在地・地番。
河川名。
何をしたいか。
施工会社がいるか。
図面があるか。
工事予定時期。
を伝えます。
すでに図面があるなら、それも見せます。
すると、
河川区域確認から必要。
事前相談から必要。
申請だけでよい。
技術図面を施工会社へ追加依頼する必要がある。
など、対応範囲を分けられます。
どの段階から行政書士へ入ってもらうか
を決めることが、費用と手間のバランスを取りやすくします。
関連記事
河川区域に工作物を設置するときの許可|河川法24条・26条とは
まとめ
河川法の許可申請は、
必ず行政書士へ依頼しなければならない手続ではありません。
申請者本人でも申請できます。
ただし、自分でできるかを、
申請書の書き方が分かるか
だけで判断しない方がよいでしょう。
河川法申請では、
必要な条文の整理。
河川管理者との事前相談。
区域・土地関係の確認。
実測平面図・横断図・設計図等の整理。
補正対応。
許可後の届出。
まで関係します。
施工会社・設計者から必要な技術資料がそろっており、行政との相談から補正・完了まで自分で管理できるなら、本人申請を検討できます。
一方、
何条を申請するか分からない。
区域確認から必要。
複数の許認可が重なる。
施工会社・設計者と行政の間で資料調整が必要。
工事日程に合わせて手続を進めたい。
という場合は、行政書士へ依頼する意味が大きくなります。
つまり、
「自分で提出できるか」ではなく、「河川管理者との事前相談から工事完了まで、自分で行政手続を回せるか」。
そこを本人申請と依頼の境目にすると判断しやすくなります。
三河の河川法許可申請をご相談ください
いしかわ行政書士事務所では、碧南・西尾・高浜・安城・刈谷・岡崎を中心とした三河エリアで、河川法に関する許可申請をサポートしています。
河川区域・河川保全区域や必要条文を整理し、現在お持ちの図面を確認したうえで、河川管理者との事前相談、申請書類の作成・提出、補正対応まで進めます。道路・水路、盛土規制法、雨水浸透阻害行為、農地転用などが重なる場合も、関係手続をあわせて整理します。
施工内容や工事日程を固め切る前の段階からご相談ください。
お気軽にお問い合わせください
0566-68-5511
営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)
出典
この記事は、2026年9月時点の河川法・愛知県・国土交通省・日本行政書士会連合会等の公的・公式情報をもとに作成しています。
