この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
川沿いにある土地を、
「月極駐車場にしたい」
「会社の車両置場にしたい」
「建設資材や重機の置場として使いたい」
ということがあります。
このとき、
「川の横だから河川法の許可が必要?」
「自分の土地なら自由に使える?」
「建物を建てない資材置場なら河川法は関係ない?」
と迷いやすいところです。
結論からいうと、川沿いにあるというだけでは河川法の許可が必要とは決まりません。
最初に確認するのは、その土地が、
河川区域内なのか
河川保全区域内なのか
どちらにも入っていないのか
です。
さらに、駐車場・資材置場にするために、
土地を継続使用する。
盛土・切土する。
舗装する。
フェンスや排水管を設置する。
資材を積んでおく。
出入口を新しくつくる。
といった行為を分けて確認します。
つまり、
「駐車場だから何条」「資材置場だから何条」ではなく、土地の区域と実際に行う行為から河川法を整理する
ことが重要です。
「川沿い」だけでは河川法の区域は分からない
見た目では川のすぐ横にある土地でも、河川区域外の場合があります。
反対に、
「川から少し離れている」
と思っていても、堤防や河川管理施設を含めて河川区域・河川保全区域に入っている場合があります。
河川法上の河川区域は、単に水が流れている部分だけではありません。
流水が継続して存在する土地。
河川管理施設の敷地。
河川管理上、一体として管理する必要がある土地。
などが含まれます。
そのため、現地で川岸から距離を測るだけではなく、
河川名
河川管理者
河川区域界
河川保全区域の有無
を確認します。
河川区域なら駐車場・資材置場の使い方を細かく分ける
河川区域内だった場合は、何をするかによって河川法の条文が変わります。
大きく分けると、
| 行為 | 主に確認する河川法 |
|---|---|
| 河川管理者が権原を持つ土地を継続使用 | 第24条 |
| フェンス・排水管・橋などを設置 | 第26条 |
| 盛土・切土・掘削・造成 | 第27条 |
| 資材等を堆積・設置 | 第29条の確認 |
| 河川保全区域で造成・工作物設置 | 第55条 |
一つの駐車場計画で、複数が関係することもあります。
河川敷を駐車場として使うなら24条?
河川区域内の土地を排他的・継続的に使用する場合には、河川法24条の土地占用許可が問題になります。
ただし24条には重要な例外があります。
対象となるのは、
河川区域内の土地のうち、河川管理者以外の者が権原に基づいて管理する土地を除いたもの
です。
つまり、
河川管理者が管理する河川敷地
と、
河川区域内にある自分の民有地
では扱いが違います。
河川区域内の自分の土地なら24条が不要な場合がある
たとえば登記上も自分の土地で、自分が権原に基づいて管理している土地が河川区域に含まれている場合。
24条の土地占用許可の対象から外れることがあります。
しかし、
24条が不要=河川法が何もかからない
ではありません。
駐車場にするため盛土するなら27条。
フェンスや排水設備等を設置するなら26条。
資材等を置く行為なら29条。
と、別の規制は残ります。
自分の土地かどうかで大きく変わるのは、主に24条です。
河川管理者の土地なら「許可を取れば駐車場にできる」とは限らない
ここは重要です。
河川敷地は公共用物です。
国土交通省の河川敷地占用許可準則では、治水・利水・環境への支障がなく、河川の自由使用をできるだけ妨げないことなどが占用許可の前提になっています。
さらに通常の河川敷地占用では、公共性・公益性のある利用などが中心です。
駐車場についても、
許可された施設に付随して必要な利用者用駐車場
として認められる仕組みなどはありますが、
「空いている河川敷を自社の月極駐車場にする」
「自社車両の専用駐車場として使う」
という利用が、申請すれば当然認められるわけではありません。
民間営業利用については、河川空間のオープン化など特別な仕組みもあります。
したがって、
24条が必要か
だけでなく、
そもそもその用途で占用が認められる可能性があるか
を早い段階で確認します。
資材置場は「建物がないから26条・27条だけ見ればいい」ではない
資材置場では、さらに別の論点があります。
たとえば河川区域内の土地へ、
鋼材
木材
建設資材
ブロック
パレット
などを継続的に置く場合です。
工作物を固定して設置していなければ、
「26条の工作物ではないから河川法は関係ない」
と思うかもしれません。
しかし河川法29条では、河川管理上支障を及ぼすおそれがある行為として、
土石・竹木その他の物件の堆積・設置
が許可対象になる仕組みがあります。
そのため資材置場では、
24条
26条
27条
だけではなく、
何をどのように置くのか
まで河川管理者へ確認します。
資材を「置くだけ」でも河川では意味が違う
一般の民有地なら、
土地を造成せず、建物も建てず、資材を置くだけ
という使い方があります。
しかし河川区域では、
洪水時に流される。
流水を阻害する。
河川管理施設へ衝突する。
維持管理の妨げになる。
といった問題があります。
そのため、
「地面を触らないから河川法の工事ではない」
という考え方だけでは足りません。
置く物そのものが河川管理上問題にならないか
を見る必要があります。
駐車場でも車を置くだけなら必ず自由とは限らない
河川区域内では、河川管理者が指定した土地への自動車等の乗入れが制限される場合があります。
そのため、
舗装しない。
盛土もしない。
工作物も置かない。
単に車を止めるだけ。
という場合でも、
その場所へ車両を乗り入れて継続利用できるか
は河川管理者へ確認した方がよいでしょう。
特に河川敷では、洪水時に車両を迅速に撤去できることも重要になります。
駐車場をつくるため盛土・切土するなら27条
川沿いの土地が低いため、
土を50cm入れる。
斜面を削って平らにする。
砂利敷きにするため地盤を整える。
といった工事をする場合です。
河川区域内の土地で、
掘削
盛土
切土
その他土地の形状変更
を行う場合は、河川法27条を確認します。
ここでは、
駐車場か資材置場か
ではなく、
土地そのものをどう変えるのか
が問題になります。
自分の民有地で24条が不要でも、27条は別に必要になることがあります。
アスファルト舗装する場合は27条だけでなく工作物等も確認する
駐車場をつくる場合には、
盛土
路盤
アスファルト舗装
側溝
集水ます
排水管
車止め
フェンス
などが一体となることがあります。
土地を盛る・削る部分は27条。
排水設備・フェンスなどの工作物は26条。
河川管理地を使用するなら24条。
というように分かれる可能性があります。
そのため、
「アスファルト舗装だから27条」
と一つだけに決めない方がよいでしょう。
フェンスを置くだけでも26条を確認する
資材置場では、
周囲へフェンスを設置する。
門扉をつける。
照明柱を設ける。
排水管を入れる。
といった工事がよくあります。
河川区域内で工作物を新築・改築・除却する場合は、土地の権原を問わず河川法26条の許可を確認します。
つまり、
自分の土地だからフェンスは自由
とも限りません。
土地所有者であっても、河川区域内の工作物規制は別にかかります。
出入口をつくるなら河川法以外も関係する
駐車場・資材置場として利用するには、車両の出入口が必要です。
たとえば、
道路
↓
水路・河川
↓
計画地
という配置なら、
橋や床版を設置するための河川法手続。
水路占用。
道路の乗入口をつくるための道路工事承認。
道路使用許可。
などが関係する場合があります。
土地そのものの許可だけ取れても、
車が出入りできなければ駐車場・資材置場として使えません。
そのため、入口まで含めて確認します。
河川保全区域なら駐車場にするだけで55条?
河川区域の外側でも、
河川保全区域
に指定されている場合があります。
河川保全区域では、河川法55条により、
土地の掘削・盛土・切土等。
工作物の新築・改築。
について許可を確認します。
そのため、
川沿いの土地を駐車場にするため盛土する。
アスファルト舗装のため土地を造成する。
擁壁をつくる。
フェンス等の工作物を設置する。
という計画なら55条が関係する可能性があります。
一方、
既存の平坦な土地をそのまま使用し、
土地の形を変えず、工作物も新設しない
という場合は、55条の対象行為があるのかから確認します。
河川保全区域に入っているだけで、土地利用そのものを一律禁止する制度ではありません。
河川区域でも河川保全区域でもなければ河川法は原則一段外れる
川沿いでも、
河川区域外。
河川保全区域外。
であれば、その民地を駐車場・資材置場として使うことについて、河川法24・26・27・55条は通常は直接の対象から外れます。
ただし、
排水管を河川区域へ入れる。
河川をまたぐ出入口をつくる。
河川区域内で護岸工事をする。
という工事を行えば、その部分について河川法が関係します。
つまり、
土地が区域外か
だけでなく、
工事が河川区域へ入らないか
まで確認します。
「川沿いの自分の土地」を3つに分けると判断しやすい
たとえば同じ自分名義の土地でも、次のように変わります。
| 土地の位置 | 駐車場・資材置場で主に確認すること |
|---|---|
| 河川区域内の河川管理地 | 24条+工事内容により26・27・29条 |
| 河川区域内の民有地 | 26・27・29条等を確認。24条は権原関係で変わる |
| 河川保全区域 | 造成・工作物なら55条 |
| 区域外 | 河川区域へ及ぶ工事がなければ河川法は原則一段外れる |
これを先に分けると、
「駐車場だから占用?」
「資材置場だから27条?」
という混乱を減らせます。
駐車場・資材置場なら他の土地手続も確認する
河川法だけ確認して終わるとは限りません。
たとえば農地を駐車場・資材置場へ変えるなら、
農地転用
を確認します。
盛土・切土を伴うなら、
盛土規制法
が関係する可能性があります。
特定都市河川流域内で舗装等により雨水流出量が増えるなら、
雨水浸透阻害行為
も確認します。
道路から新しい乗入口をつくるなら、
道路工事承認
が関係する場合があります。
つまり、
河川法が不要だったから、
そのまま駐車場工事を始めてよい
とは限りません。
駐車場と資材置場では河川法上の問題が少し違う
同じ土地利用でも、確認の中心が違います。
駐車場では、
車両の出入り。
土地の舗装・造成。
車止め・フェンス・排水施設。
洪水時の車両撤去。
などが問題になります。
資材置場では、
土地の造成。
フェンス・門扉。
資材そのものの堆積・設置。
洪水時に資材が流出しないか。
などを確認します。
つまり、
資材置場は「建物がない簡単な土地利用」とは限りません。
河川区域内では、置く資材そのものまで確認対象になる可能性があります。
河川法の許可が取れれば駐車場・資材置場にできる?
ここも分けて考えます。
河川法上、
許可が必要
と分かったことと、
その用途で許可される
ことは別です。
特に河川管理者が管理する河川敷地の占用は、公共用物としての性質から利用目的が制限されています。
国土交通省も、河川敷地占用は治水・利水上支障がなく、自由使用をできる限り妨げず、周辺環境を損なわないことなどを求めています。
民間の営業利用も一定の特例がありますが、
「会社の資材置場として便利だから」
「月極駐車場として収益化したいから」
という理由だけで河川敷地を占用できるわけではありません。
そのため、
申請図面を作る前に、予定用途がそもそも占用可能かを相談する
ことが重要です。
土地を買う前なら河川区域を先に確認する
川沿いの土地を、
「安いから駐車場にしよう」
「資材置場にちょうどよさそう」
と購入する場合は特に注意が必要です。
購入後に、
河川区域だった。
河川管理者の土地が含まれていた。
盛土が認められない。
フェンス等の設置条件が厳しい。
資材置場として占用できない。
と分かれば、予定していた使い方ができない可能性があります。
そのため購入前なら、
所有者
河川区域
河川保全区域
予定用途
造成内容
出入口
まで確認してから判断する方が安全です。
相談するときは「駐車場にしたい」だけで終わらせない
河川管理者へ相談するときは、
「駐車場にしたいです」
だけではなく、
土地の所在地・地番。
所有者。
河川区域との位置関係。
駐車する車両の種類。
盛土・切土の有無。
舗装するか。
フェンス等を設置するか。
出入口はどこか。
を伝えます。
資材置場なら、
何を置くのか
どの程度の量か
固定するのか
洪水時に移動できるのか
も重要になります。
申請書を先に作るより、計画の成立可能性を確認する方が先です。
関連記事
河川区域に工作物を設置するときの許可|河川法24条・26条とは
まとめ
川沿いの土地を駐車場・資材置場にしたい場合、
川沿いだから河川法の許可が必要
とも、
自分の土地だから河川法は関係ない
とも一律には判断できません。
まず、
河川区域
河川保全区域
区域外
のどこに土地があるかを確認します。
河川区域なら、
河川管理地を継続使用する
→ 24条
フェンス・排水管等を設置する
→ 26条
盛土・切土・掘削をする
→ 27条
資材等を堆積・設置する
→ 29条の確認
というように、実際の行為を分けます。
河川保全区域なら、造成・工作物設置について55条を確認します。
そして特に河川管理者が管理する土地では、
許可申請が必要かだけでなく、その駐車場・資材置場という用途自体が河川敷地占用として認められるか
を先に確認することが重要です。
駐車場・資材置場という完成後の用途から条文を決めるのではなく、
土地の区域と、そこで何をするのかを一つずつ分解する。
そこから必要な河川法手続を整理します。
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いしかわ行政書士事務所では、碧南・西尾・高浜・安城・刈谷・岡崎を中心とした三河エリアで、川沿いの土地利用に伴う行政手続をサポートしています。
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出典
国土交通省|河川敷地占用について, 国土交通省中部地方整備局|河川の利用・手続きについて, 愛知県|土地占用の許可, 愛知県|河川区域内における工作物の新築等の許可, 愛知県|河川占用, 愛知県|河川管理上支障のある行為の許可等, e-Gov法令検索|河川法
この記事は、2026年9月時点の河川法・国土交通省・愛知県等の公的情報をもとに作成しています。
