この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
白ナンバーダンプで仕事をしていて、
「元請から緑ナンバーにしてほしいと言われた」
「今後も他社の残土や砕石を有償で運びたい」
「白ナンバーでは受けられない仕事が増えてきた」
という場合、一般貨物自動車運送事業の許可を取って緑ナンバーへ移ることを検討します。
ただし、緑ナンバーは、
今の白いナンバープレートを緑色へ交換するだけの手続きではありません。
一般貨物自動車運送事業の許可を受け、その事業用自動車として登録することで緑ナンバーになります。
そのため、最初に確認するのは、
- 今の仕事に本当に一般貨物の許可が必要か
- 原則5台以上の車両を確保できるか
- 営業所・車庫を確保できるか
- 運転者・運行管理者・整備管理者等の体制を作れるか
- 必要資金を確保できるか
- 法令試験へ対応できるか
です。
まず、今の仕事に一般貨物の許可が必要か確認する
白ナンバーダンプを使っているからといって、必ず一般貨物へ移らなければならないわけではありません。
たとえば、
- 自分・自社所有の土砂や砕石を自分で運ぶ
- 自分・自社が施工する工事に必要な資材を運ぶ
- 自社工事で発生した残土を、その工事に付帯して運ぶ
などでは、一般貨物の許可が不要となる場合があります。
一方、
- 自分は工事をせず、他社の残土を処分場まで運ぶ
- 他社の砕石を現場へ届ける
- ダンプ1台1日○万円で運搬だけを請け負う
- 複数の会社から運搬そのものを仕事として受ける
のであれば、一般貨物自動車運送事業の許可を確認します。
緑ナンバー取得を考える前に、今後も「運ぶこと」自体を事業にするのかを決めます。
一般貨物では原則5台以上の車両が必要
通常の一般貨物自動車運送事業では、営業所ごとに配置する事業用自動車は原則5両以上必要です。
そのため、
「今持っているダンプ1台だけを緑ナンバーにしたい」
という希望は、通常の新規許可ではそのまま実現できません。
一般貨物へ移るなら、
- 現在所有している車両
- 今後購入する車両
- リース等で使用権原を確保する車両
などを含め、事業開始時に必要な車両を確実に確保できる計画を作ります。
5台そろえれば自動的に許可されるわけではありませんが、車両数は最初に確認する大きな条件です。
車両を増やす前に車庫を確認する
白ナンバーで1台だけ使っていた人が、一般貨物へ移る場合に見落としやすいのが車庫です。
5台以上の車両を配置するなら、その計画車両をすべて収容できる車庫が必要です。
車庫では、
- 計画車両をすべて収容できる広さ
- 車両と境界の間隔
- 車両同士の間隔
- 他用途との区画
- 使用権原
- 都市計画法等への適合
- 前面道路
などを確認します。
国交省の処理方針では、車両と車庫境界・車両相互間に50cm以上を確保し、計画車両すべてを収容できることなどが示されています。
そのため、
ダンプを先に5台そろえてから車庫を探す
より、
今後置く車両の大きさを決めてから車庫候補を確認する
方が手戻りを減らせます。
営業所も必要になる
一般貨物自動車運送事業では営業所も必要です。
営業所では、
- 使用権原
- 都市計画法等への適合
- 事業を行うための施設として使用できるか
などを確認します。
個人事業主の場合、自宅を営業所候補にすることもあります。
ただし、
「個人事業主だから自宅をそのまま営業所にできる」
とは限りません。
賃貸物件なら賃貸借契約上、事業用途として使えるかも確認します。
休憩・睡眠施設も確認する
一般貨物では、運転者の休憩・睡眠施設についても確認します。
原則として営業所または車庫に併設し、必要な場合には適切な広さを確保します。
現在一人でダンプを運転していると、
「事務所だけあればよい」
と思いやすいですが、運送事業として必要な施設全体を見ます。
運転者も事業規模に合わせて確保する
現在ダンプ1台を自分一人で運転している場合でも、一般貨物へ移って5台以上を配置するなら、実際の運行を行えるだけの運転者を確保する必要があります。
5台の車両を用意しても、
「運転するのは自分一人」
では、事業計画として現実的かを確認する必要があります。
つまり、一般貨物へ移るということは、
一人でダンプを運転する仕事から、複数の車両・人を管理する事業へ変わる
可能性があります。
運行管理者・整備管理者等の体制を作る
一般貨物では、必要な運行管理・整備管理体制を整えます。
運輸局の案内でも、
- 運行管理者
- 整備管理者
- 必要な運転者
を確保することが許可条件として示されています。
現在の人員で対応できるのか、資格者を採用するのか、今後資格を取得するのかを確認します。
「ダンプを5台そろえればよい」ではなく、管理する人まで含めて事業体制を作ることが必要です。
必要資金を計算する
一般貨物の許可では、事業を開始し継続できるだけの資金も確認されます。
たとえば、
- 車両購入・リース費
- 人件費
- 燃料費
- 営業所・車庫賃料
- 保険料
- 税金
- その他の事業開始費用
などです。
1台で仕事をしていた人が5台以上へ広げる場合、必要な資金規模は大きく変わります。
そのため、
「緑ナンバー取得費用はいくらか」
ではなく、
一般貨物として運輸開始し、その後も維持できる資金があるか
で考えます。
法令試験に合格する必要がある
一般貨物の新規許可申請では法令試験があります。
個人申請なら申請者本人、法人なら所定の常勤役員が受験します。
中部運輸局では2026年度の試験日程と過去問題が公開されています。
法令試験は、行政書士へ許可申請を依頼しても本人の代わりに受験してもらえるものではありません。
そのため、
- 物件探し
- 車両確保
- 人員確保
- 資金準備
と並行して試験対策も進めます。
許可申請前に車両・車庫を全部契約してよい?
慎重に進めた方がよいところです。
たとえば、
「緑ナンバーを取る」
と決めてから先に、
- ダンプを5台購入
- 車庫を長期契約
- 営業所を契約
したものの、後から許可要件に問題が見つかると負担が大きくなります。
車庫なら、
- 前面道路
- 面積
- 土地利用
- 営業所との位置関係
などを先に確認します。
車両・施設を契約する順番も含めて事業計画を組んだ方が安全です。
一般貨物の許可申請から緑ナンバーまでの流れ
大まかな流れは次のようになります。
- 今後の運送事業の内容を決める
- 車両・営業所・車庫・人員の候補を決める
- 許可基準を満たすか確認する
- 必要資金を計算する
- 一般貨物自動車運送事業の許可申請を行う
- 法令試験を受験する
- 審査・補正へ対応する
- 許可を受ける
- 運行管理・整備管理等の体制を整える
- 車両を事業用自動車として登録する
- 緑ナンバーを取り付ける
- 必要な運輸開始手続きを行う
- 運送事業を開始する
つまり、緑ナンバー取得は許可取得後の一工程です。
許可が出たらすぐ運送の仕事を始められる?
許可通知を受け取っただけで、すぐに一般貨物の営業を開始するわけではありません。
許可後にも、
- 必要な管理者関係の手続き
- 事業用自動車としての登録
- 緑ナンバー化
- 運輸開始に必要な手続き
などがあります。
「許可取得」と「実際に緑ナンバーで仕事を開始する日」は分けて考えます。
白ナンバーの今の仕事は許可が出るまで続けられる?
現在白ナンバーで適法に行える、
- 自家運送
- 建設業務に付帯する運搬
であれば、その範囲で仕事を続けられる場合があります。
一方、一般貨物の許可が必要な有償運送を、
「申請中だから」
という理由で白ナンバーのまま続けてよいわけではありません。
許可申請を出したことと、許可を受けたことは別です。
元請に緑ナンバーを求められた場合は、取得までの期間も確認する
元請から、
「来月から緑ナンバーで」
と言われた場合は、一般貨物の許可取得には準備・審査が必要なことを踏まえます。
確認したいのは、
- いつから緑ナンバー必須なのか
- 許可取得まで待ってもらえるのか
- 許可取得後も継続発注してもらえるのか
- どれくらいの仕事量を見込めるのか
です。
一般貨物へ移るために車両・人員を増やしても、仕事が十分にないなら経営として合わない場合があります。
1台の仕事から5台規模へ広げる価値があるか
現在一人でダンプ1台を使っている場合、これが最も重要な判断です。
一般貨物へ移るためだけに、
- 車両を増やす
- 運転者を雇う
- 広い車庫を借りる
- 管理者を確保する
のであれば、固定費・管理負担が大きくなります。
現在の売上がダンプ1台でちょうどよいのであれば、
「緑ナンバーを取れるか」より、「5台規模へ広げても採算が合うか」
を先に考えた方がよいでしょう。
緑ナンバー取得後は運送会社としての管理が始まる
許可取得後は、仕事を受けられる範囲が広がる一方、運送事業者として継続管理が必要になります。
たとえば、
- 点呼
- アルコールチェック
- 運転者教育
- 適性診断
- 健康管理
- 車両点検
- 運転者台帳
- 事業報告書
- 事業実績報告書
- 増減車
- 営業所・車庫等の変更手続き
などです。
白ナンバーから緑ナンバーへ移るということは、
できる仕事を増やすだけでなく、運送会社として管理責任を持つ
ということです。
一般貨物への移行が向いている場合
次のような場合は、具体的に許可取得を検討する意味があります。
- ダンプ運搬を今後の主力事業にしたい
- 他社の土砂・砕石等を有償で運びたい
- 複数の元請から運搬仕事を受けたい
- 主要な取引先が緑ナンバー限定になっている
- 原則5台以上の車両を確保できる
- 車庫・人員・資金を用意できる
- 許可後も十分な仕事量を確保できる見込みがある
白ナンバーのまま続ける方が合う場合
一方、
- 自分の商品を運ぶことが中心
- 自社の建設工事に付帯してダンプを使う
- 運搬だけの仕事は受けない
- 一般貨物の規模まで事業を広げる予定はない
のであれば、白ナンバーで適法にできる範囲を整理して続ける方法もあります。
緑ナンバーを取ること自体が目的ではありません。
一般貨物へ移る前のチェックリスト
- □ 今の仕事に一般貨物の許可が本当に必要
- □ 今後も運搬そのものを仕事として続けたい
- □ 原則5台以上の車両を確保できる
- □ 計画車両を収容できる車庫がある
- □ 営業所を確保できる
- □ 必要な運転者を確保できる
- □ 運行管理・整備管理体制を作れる
- □ 必要資金を確保できる
- □ 法令試験へ対応できる
- □ 許可後の仕事量を見込める
- □ 許可後の管理業務も続けられる
最後の2つは許可基準そのものではありませんが、経営判断として重要です。
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まとめ
白ナンバーダンプを緑ナンバーに変えるには、単にナンバープレートを交換するのではなく、一般貨物自動車運送事業の許可を取得する必要があります。
通常の一般貨物では、
- 原則5台以上の車両
- 営業所
- 車庫
- 運転者
- 運行管理・整備管理体制
- 必要資金
- 法令試験
などを確認します。
許可後に対象車両を事業用自動車として登録し、緑ナンバーへ変更して、必要な運輸開始手続きを進めます。
ただし、白ナンバーダンプで仕事をしている人すべてが一般貨物へ移る必要があるわけではありません。
自家運送や自社工事に付帯する運搬として白ナンバーで適法に行える仕事もあります。
そのため、
今の仕事に本当に一般貨物の許可が必要か
↓
必要なら5台以上の体制を作れるか
↓
許可後も運送事業として採算が合うか
の順番で考えます。
白ナンバーから緑ナンバーへの変更は、車の変更というより、
建設業・一人親方の働き方から、一般貨物運送事業へ事業形態を広げる判断
です。
白ナンバーダンプから一般貨物へ移りたい方へ
「元請から緑ナンバーを求められた」
「今後も他社の残土・砕石を運ぶ仕事を続けたい」
「現在は1台だが、一般貨物へ移るには何をそろえる必要があるか知りたい」
という場合は、まず現在の仕事内容と許可要否から確認します。
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、白ナンバーダンプから一般貨物自動車運送事業へ移行する場合の許可条件・申請手続きを整理しています。
現在の車両、営業所・車庫候補、人員、資金、今後の仕事量などから、一般貨物へ移る準備ができるかを確認します。
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出典
国土交通省 東北運輸局|普通自動車(貨物)を使用して運送事業を始めたい場合の手続き
この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
