この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
2026年になって、
「運送業の法律がまた変わったらしい」
「契約書を作らないといけない?」
「再委託ができなくなった?」
「白ナンバーの会社へ頼むと荷主側も罰則になる?」
と気になっている運送会社もあるでしょう。
2026年の改正で特に確認したいのは、次の内容です。
- 2026年1月から、取引内容によって中小受託取引適正化法(取適法)が関係する
- 2026年4月から、再委託を2回以内とする努力義務が始まった
- 違法な白ナンバートラックの利用について荷主等への規制が強化された
- 貨物利用運送事業者にも、書面交付・実運送体制管理簿などの義務が広がった
- 一定規模以上の運送事業者には、物流効率化法による中長期計画・定期報告などが始まった
ただし、
「2026年からすべての運送会社が新しく契約書を作らなければならなくなった」
という整理は正確ではありません。
運送契約締結時の書面交付などは、一般貨物自動車運送事業者については2025年4月からすでに始まっています。
まず、
2025年から対応済みのこと
と、
2026年から新たに変わったこと
を分けます。
まず確認|2026年4月から新しく変わった主なこと
2026年4月1日に施行されたトラック適正化二法による主な変更は、次の3つです。
- 再委託を原則2回以内に抑える努力義務
- 違法な白ナンバートラック利用への荷主等の規制強化
- 貨物利用運送事業者にも書面交付・実運送体制管理簿などの規制を拡大
特に一般貨物の運送会社が確認したいのは、1と2です。
「うちは貨物利用運送事業をしていないから関係ない」
という会社でも、他社へ運送を再委託しているなら委託次数の確認が必要です。
また、自社で車両が足りないときに白ナンバーの会社や個人へ有償運送を頼んでいる場合も、2026年の規制強化と関係します。
再委託は2回までしかできなくなった?
2026年4月から、トラック運送事業者や貨物利用運送事業者が元請として運送を引き受ける場合、再委託の回数を2回以内に制限するよう努めることになりました。
イメージすると、
荷主
↓
元請
↓
1次委託
↓
2次委託
までに抑える方向です。
ただし、現時点では「3次以降へ委託したら直ちに違法」という全面禁止ではありません。
2回以内に抑える努力義務です。
それでも、これまで、
「荷物を受けたら、空いている会社へ流す」
という形で委託先をあまり把握していなかった会社は、一度確認したほうがよいでしょう。
自社が元請になることがある会社は再委託の流れを確認する
たとえば荷主から自社が運送を受けたものの、自社車両だけでは足りずA運送へ依頼したとします。
A運送がさらにB運送へ依頼。
ここまでは、
自社
↓
A運送
↓
B運送
という2段階の委託です。
さらにB運送からC運送へ流れると、委託次数が深くなります。
自社では直接A運送しか知らなくても、その先で何段階にも再委託されていることがあります。
2026年改正をきっかけに、
- 自社が誰へ委託しているか
- 委託先がさらに再委託しているか
- 最終的にどの運送会社が運んでいるか
を把握できる仕組みを確認します。
実運送体制管理簿は2026年から始まった制度ではない
ここは混同しやすいところです。
実際に貨物を運ぶ運送事業者の名称などを記載する「実運送体制管理簿」は、一般貨物自動車運送事業者については2025年4月の改正ですでに義務化されています。
2026年4月から新しくなったのは、これらの規制が貨物利用運送事業者にも広がったことです。
そのため、一般貨物の運送会社が、
「2026年4月から初めて実運送体制管理簿を作ればよい」
ということではありません。
すでに対象となっていた会社は、現在の運用が適切かを確認します。
運送契約の書面化も2025年から始まっている
運送契約締結時の書面交付も、一般貨物自動車運送事業者では2025年4月から始まっています。
荷主とトラック事業者の間で、
- 運送サービスの内容
- 運賃
- 料金
- 附帯業務
- その他必要事項
などを明確にするためのものです。
メールなど電磁的方法による交付も可能です。
したがって2026年の記事を見て、
「今年から書面を作ればよい」
ではなく、
2025年からの書面交付が自社で定着しているか
を見直すタイミングと考えます。
荷待ちや荷役を口約束で追加されていないか
書面化で実務上重要なのは、運賃だけではありません。
たとえば荷主先へ行ってから、
「ついでに降ろして」
「パレットも片付けて」
「今日は2時間待って」
という業務が日常的に追加されている場合です。
契約内容と実際の作業がずれていると、必要な料金を収受できないだけでなく、ドライバーの労働時間にも影響します。
2026年改正だけを見るのではなく、
- 運送契約
- 附帯業務
- 待機
- 荷役
- 料金
が現在どのように決まっているか確認します。
違法な白ナンバートラックを頼む側にも規制が強化された
2026年4月改正で特に注意したいのが、いわゆる「白トラ」です。
貨物自動車運送事業の許可等を受けず、白ナンバー車で他人の荷物を有償運送する行為は以前から問題でした。
2026年4月からは、その違法な白トラを利用することについて荷主等への規制が強化されています。
つまり、
「運んでいる会社が無許可なら、その会社だけの問題」
と考えないほうがよくなりました。
車両が足りないときに誰へ頼んでいるか確認する
特に確認したいのは繁忙期です。
たとえば、
「今日は自社車両が足りない」
「知り合いの建設会社がダンプを持っている」
「個人の白ナンバー車に1日いくらで運んでもらう」
という運用です。
相手が必要な許可を持っているか確認せずに、有償運送を依頼することは避けます。
今後は委託先を決めるときに、
- 一般貨物自動車運送事業者か
- 貨物軽自動車運送事業者か
- 必要な許可・届出があるか
- 実際に誰が運ぶか
を確認する仕組みを作ったほうがよいでしょう。
建設会社などから運搬だけ頼まれる会社も注意する
白トラ規制は、運送会社だけの問題ではありません。
たとえば建設会社が自社の白ナンバーダンプで、
「他社の残土を1台○万円で運ぶ」
「資材運搬だけを請け負う」
という場合にも、貨物自動車運送事業法の許可要否が問題になります。
また、運送会社側がそのような無許可事業者へ再委託することも避ける必要があります。
委託先の許可状況まで確認することが、2026年以降はさらに重要になっています。
貨物利用運送事業者は2026年から対応が大きく増えた
自社ではトラックを持たず、他の運送会社を利用して貨物を運ぶ貨物利用運送事業者には、2026年4月から新たな義務が広がっています。
一般貨物自動車運送事業者ですでに導入されている、
- 真荷主との運送契約書面の相互交付
- 委託先への発注適正化
- 一定規模以上の場合の運送利用管理規程
- 運送利用管理者
- 実運送体制管理簿
などが貨物利用運送事業者にも適用されるようになりました。
自社が、
「運送会社でもあり、利用運送も行っている」
場合は、どの立場でどの荷物を扱っているのか整理しておいたほうがよいでしょう。
150台以上保有する会社は物流効率化法も確認する
2026年4月からは、物流効率化法の「特定事業者制度」も始まっています。
貨物自動車運送事業者等の場合、年度末の保有事業用自動車が150台以上となる事業者は、「特定貨物自動車運送事業者等」の指定対象です。
指定された場合には、
- 中長期計画
- 定期報告
などが義務になります。
150台未満の会社がすべて対象外という意味ではありません。
物流効率化のための取組については、すべての貨物自動車運送事業者等に努力義務が設けられています。
ただし、中長期計画・定期報告という追加義務は、一定規模以上の事業者を対象とする制度です。
小規模な運送会社は2026年改正と関係ない?
そうとは限りません。
たとえば車両20台の会社なら、150台以上を対象とする特定貨物自動車運送事業者には通常該当しません。
それでも、
- 荷主との契約
- 他社への再委託
- 白トラの利用
- 取引先への支払い
は2026年改正と関係する可能性があります。
「大手だけの法律」と考えるのではなく、自社の取引方法で判断します。
2026年1月から取適法も始まっている
2026年1月1日には、中小受託取引適正化法、いわゆる「取適法」も施行されています。
旧下請法が改正されたもので、新たに「特定運送委託」が適用対象取引へ追加されました。
一定の要件を満たす取引で、運送会社へ運送を委託する場合などに、
- 発注内容等の明示
- 支払期日の設定
- 取引記録の作成・保存
- 遅延利息
などが関係します。
また、2026年1月以降の対象取引では手形による支払いも禁止されています。
荷主として運送を委託している会社は支払い条件も確認する
運送会社は「運送を受ける側」だけとは限りません。
自社が元請として別の中小運送会社へ仕事を出すこともあります。
その場合、取引規模等によって取適法が適用されるなら、自社は委託事業者側になります。
確認したいのは、
- 発注内容を書面等で明示しているか
- 支払期日を適切に設定しているか
- 取引記録を保存しているか
- 手形払いをしていないか
です。
荷主からの入金サイトだけを見て、
「荷主から入金された後で下請会社へ払う」
という運用をしている会社は、自社の支払条件を一度確認したほうがよいでしょう。
「許可更新制」は2026年4月からではない
2026年の法改正情報で特に誤解しやすいのが、一般貨物自動車運送事業の許可更新制です。
トラック適正化二法では、
- トラック事業者の許可更新制度
- 国が定める適正原価を下回る運賃・料金の制限
も新設されています。
ただし、これらは2026年4月1日に施行された制度ではありません。
トラック適正化二法が公布された2025年6月11日から3年以内に施行される予定です。
したがって現在、
「2026年から一般貨物の許可は5年ごとに更新しなければならない」
などと考えて手続きを始める必要はありません。
今後の施行日・具体的な制度設計を確認していく段階です。
適正原価もすでに全面適用されているわけではない
同じく「適正原価」も今後施行される制度です。
将来的には、国土交通大臣が定める適正原価を下回る運賃・料金について規制する仕組みが予定されています。
しかし、2026年9月現在、
「国が決めた適正原価を下回る運賃で受注したら直ちに違法」
という制度がすでに全面施行されているわけではありません。
2026年4月に始まった制度と、今後始まる制度を分けて見ておくことが重要です。
2026年に自社で確認したいこと
一般貨物の運送会社なら、一度次を確認します。
荷主との契約
- □ 運送内容を書面または電磁的方法で明確にしている
- □ 運賃と料金を分けて確認している
- □ 荷役・附帯業務の内容を明確にしている
- □ 口約束だけの取引が残っていない
他社へ運送を頼んでいる場合
- □ 委託先の許可・届出を確認している
- □ 違法な白ナンバー車へ頼んでいない
- □ 委託先がさらに誰へ出しているか確認できる
- □ 再委託が何段階になっているか把握している
- □ 必要な実運送体制管理簿を作成・保存している
支払い
- □ 自社が取適法の委託事業者に当たる取引を確認した
- □ 発注内容を適切に明示している
- □ 支払期日を確認した
- □ 手形払いを残していない
- □ 必要な取引記録を保存している
物流効率化法
- □ 自社の保有車両台数を確認した
- □ 150台以上なら特定事業者関係を確認した
- □ 中長期計画・定期報告の対象か確認した
- □ 荷待ち・荷役時間削減などの物流効率化を見直している
何から直せばいい?
すべての改正事項を一度に調べる必要はありません。
まず自社を3つに分けます。
| 自社の状態 | 最初に確認 |
|---|---|
| ほぼ自社便だけ | 荷主との書面・物流効率化 |
| 他社へよく再委託する | 委託次数・実運送体制・委託先許可 |
| 貨物利用運送も行う | 2026年から拡大した義務 |
| 150台以上保有 | 特定貨物自動車運送事業者等 |
| 中小運送会社へ発注する | 取適法 |
| 白ナンバー事業者も使う | すぐ委託方法を確認 |
特に、
白ナンバー事業者への有償運送委託
がある会社は、優先して見直したほうがよいでしょう。
2025年からの対応も一緒に点検する
2026年改正だけに対応しても、2025年改正への対応ができていなければ不十分です。
今回を機会に、
- 運送契約の書面交付
- 健全化措置
- 実運送体制管理簿
- 荷待ち・荷役関係の管理
など、2025年から始まっている制度も一緒に確認します。
「いつ改正された制度か」を覚えることより、
現在、自社が必要なことを実施できているか
が重要です。
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まとめ
2026年の運送業関連の改正では、4月から特に、
- 再委託を2回以内に抑える努力義務
- 違法な白ナンバートラック利用への規制強化
- 貨物利用運送事業者への書面交付・実運送体制管理簿等の義務拡大
が始まりました。
さらに物流効率化法では、150台以上の事業用自動車を保有する一定規模以上の貨物自動車運送事業者等について、中長期計画・定期報告などの制度が始まっています。
2026年1月からは取適法も施行され、一定の運送委託取引について、発注内容、支払期日、記録保存、支払方法などの確認が必要です。
一方、
- 運送契約の書面交付
- 実運送体制管理簿
など、一般貨物自動車運送事業者について2025年から始まっている制度もあります。
また、
- 許可更新制
- 適正原価
は法改正に盛り込まれていますが、2026年4月に全面施行された制度ではありません。
改正情報を見たら、
「新しく何が始まったか」
だけでなく、
自社の荷主との取引、再委託、支払い、保有台数のどこに関係するのか
まで確認します。
2026年改正で自社の対応が必要か確認したい方へ
「再委託しているが、何次まで行っているか分からない」
「運送契約の書面化ができているか不安」
「協力会社に白ナンバー車がいる」
「2026年改正で新しい届出が必要なのか確認したい」
という場合は、改正内容を全部読む前に、自社の現在の取引・運送体制から整理します。
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、一般貨物自動車運送事業の許可後手続きに対応しています。
現在の運送契約、再委託、車両・営業所・車庫、報告・変更届などを確認し、2026年の制度変更に関連して行政手続き上確認が必要な部分を整理します。
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出典
国土交通省|R8改正トラック法Q&A(2026年3月31日時点)
国土交通省 近畿運輸局|トラック適正化二法 2026年4月1日施行内容
国土交通省|改正貨物自動車運送事業法(2025年4月1日施行)
この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
