運送会社の役員・代表者・会社名が変わった|どの変更届が必要?

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

運送会社で、

会社名を変えた。

代表取締役が交代した。

新しい取締役が入った。

役員が退任した。

という変更があったとき、法務局で登記を変えただけでは一般貨物自動車運送事業の手続きは終わりません。

運輸支局側にも変更の届出が必要です。

ただし、会社名変更、代表者変更、役員変更のたびに別々の許可を取り直すわけではありません。

一般貨物では、基本的に「住所・名称・役員等変更届出書」で整理します。

最初に分けると、

会社名が変わった
→ 名称変更

代表取締役が変わった
→ 役員変更

取締役などが変わった
→ 役員変更

です。

ただ、会社の変更と同時に本店や営業所、車庫まで動かしている場合は、この届出だけでは終わらないことがあります。

会社名を変えたら「名称変更」

たとえば、

株式会社三河運送
↓
三河物流株式会社

のように、同じ法人のまま商号だけ変えた場合です。

一般貨物自動車運送事業者の名称が変わったときは、名称変更として届け出ます。

会社名を変更したからといって、一般貨物の許可を取り直すわけではありません。

中部運輸局では、一般貨物について「住所・名称・役員等変更届出書」が用意されていますので、新しい名称と以前の名称を整理して届け出ます。

ただし、

会社そのものが別法人へ変わった。

事業を別会社へ移した。

合併・分割を行った。

という場合は、単なる名称変更とは別です。

「名前だけ変わったのか、事業者そのものが変わったのか」は分けて考えます。

会社名変更と営業所名変更は同じではない

たとえば、

株式会社三河運送
↓
三河物流株式会社

なら会社の名称変更です。

一方、

三河営業所
↓
西三河営業所

なら営業所名称の変更です。

一般貨物では、主たる事務所や営業所の名称・位置は事業計画に関する変更として扱われます。

そのため、

会社名を変えた。

営業所名も変えた。

という場合は、会社名の変更だけ届けて終わりとは限りません。

何の名称を変えたのかを確認します。

代表取締役が変わったら「役員変更」

代表取締役が交代した場合も、新しい一般貨物の許可を取るわけではありません。

法人の役員変更として届け出ます。

ただし、代表者の変更と、それ以外の役員変更では届出時期の扱いが違うため、分けて確認します。

代表者が交代した場合

たとえば、

代表取締役A
↓
代表取締役B

となった場合です。

代表者変更は役員変更として整理します。

このときは、単に代表者名だけを見るのではなく、

Aは会社を退任したのか。

Aは取締役として残るのか。

Bは以前から取締役だったのか。

Bが新しく役員になったのか。

まで確認します。

代表権を持つ役員の変更は、変更後遅滞なく届け出る扱いです。

「役員変更は7月末にまとめて出せる」とだけ覚えてしまうと、代表者変更まで後回しにする可能性があるため注意します。

代表者以外の役員が変わった場合

代表取締役は同じでも、

取締役が新しく就任した。

取締役が退任した。

役員構成が変わった。

という場合も役員変更です。

新しく役員になった人がいる場合は、貨物自動車運送事業法の欠格事由に該当しない旨の宣誓書を確認します。

一方、代表権を持たない役員の変更については、前年7月1日から当年6月30日までの変更をまとめ、毎年7月31日までに届け出ることができます。

つまり、

代表取締役の交代
→ 遅滞なく届出

代表権のない取締役等の変更
→ 年1回まとめて届けられる場合あり

という違いがあります。

会社名と代表者が同時に変わったら別々に出す?

会社の組織変更などで、

会社名を変更した。

代表取締役も変わった。

新しい取締役も入った。

ということがあります。

この場合、名称変更用、代表者変更用、取締役変更用と、同じ会社について何通も別々の届出を作るとは限りません。

「住所・名称・役員等変更届出書」の中で、変更した項目を整理できます。

そのため登記変更が終わったら、

会社名。

住所。

代表者。

その他の役員。

のうち、一般貨物の許可取得時から何が変わったのかを一度まとめて確認した方が漏れにくくなります。

会社名・代表者以外も一緒に変わっていないか確認する

会社名や代表取締役を変更するとき、本店所在地まで変更する会社があります。

ここで注意したいのが、

法人登記上の本店

主たる事務所

営業所

車庫

を一緒に考えないことです。

本店住所だけ変わった場合

法人の住所が変わった場合は、一般貨物側でも住所変更の届出を確認します。

ただし、登記上の本店所在地と、一般貨物の営業所が同じ場所とは限りません。

たとえば、

本店だけ別の場所へ移した。

運送業の営業所は今までの場所に残っている。

という会社もあります。

この場合、

「本店移転=営業所移転」

ではありません。

登記簿の住所が変わったことと、一般貨物の事業計画上の施設が変わったことを分けて確認します。

営業所・車庫まで変わった場合

本店変更と同時に、

営業所を移した。

営業所を新設した。

車庫を移した。

車庫を追加した。

休憩・睡眠施設を変更した。

という場合は、住所・名称・役員等変更届だけでは終わりません。

中部運輸局では、営業所の名称・位置、自動車車庫の位置・収容能力、休憩・睡眠施設の位置・収容能力などを、一般貨物の事業計画変更として整理しています。

しかも、変更内容によって、

認可が必要なもの。

事前届出で行うもの。

事後届出となるもの。

が分かれます。

そのため、

「会社の登記を変えたから、住所変更届を出せば全部終わる」

とは考えない方が安全です。

登記が変わったら「一般貨物の許可内容と何が違うか」を見る

会社変更のときに分かりにくくなるのは、登記手続と運送業の手続を同じものとして考えてしまうからです。

整理すると、

変わったもの一般貨物で確認する手続き
会社名名称変更
代表取締役役員変更
その他の役員役員変更
法人住所住所変更
主たる事務所事業計画変更
営業所事業計画変更
車庫事業計画変更
休憩・睡眠施設事業計画変更

法務局で何の登記をしたかだけを見るのではなく、

一般貨物の許可を受けたときの内容と、現在の会社を比べてどこが変わったか

を見る方が必要な手続きを整理しやすくなります。

登記変更をすれば運輸支局にも自動で反映される?

自動的には終わりません。

たとえば代表取締役変更の登記を法務局で済ませても、一般貨物については別途役員変更の届出が必要です。

反対に、運輸支局へ役員変更を届けても、それだけで商業登記が変わるわけでもありません。

会社で変更があったときは、

登記。

運送業。

税務。

社会保険。

銀行。

取引先。

車両関係。

など、それぞれ変更が必要か確認することになります。

この記事では、その中でも一般貨物自動車運送事業の手続きに絞っています。

複数の貨物流通事業をしている会社は一本化できる場合がある

運送会社によっては一般貨物だけでなく、

貨物利用運送事業。

倉庫業。

内航海運業。

など複数の貨物流通事業を営んでいることがあります。

このような会社で名称・住所・役員等を変更すると、それぞれの事業で同じような変更手続きが発生します。

一定の貨物流通事業については「貨物流通事業者の氏名の変更の届出等の一本化した提出の手続」があり、まとめて提出できる仕組みがあります。

複数事業の許可・登録を持っている会社なら、同じ役員変更届をそれぞれ作る前に、一本化届出を利用できるか確認してもよいでしょう。

届出先はどこ?

中部運輸局の一般貨物自動車運送事業に関する手続一覧では、特記がない場合、書類の提出先は管轄する運輸支局の輸送担当とされています。

愛知県内の一般貨物運送会社であれば、基本的には愛知運輸支局の輸送担当が窓口になります。

ただし、複数の貨物流通事業を一本化して届け出る場合など、通常の一般貨物の変更届とは提出方法が異なるケースもあります。

変更届を出すのを忘れていたら?

代表者変更から数か月たっている。

会社名もすでに変わっている。

しかし、運輸支局への変更届を出していなかった。

ということもあります。

名称・住所や代表権を持つ役員の変更は、原則として遅滞なく届け出る手続きです。

届出が遅れていることに気づいたら、そのままにせず、

変更した日。

変更前の内容。

現在の内容。

過去にどこまで届出済みか。

を整理します。

特に役員が何度も入れ替わっていたり、会社名・住所・営業所なども変わっていたりする場合は、今回の変更だけを見るのではなく、一般貨物側に登録されている内容と現在の会社が一致しているかまで確認した方がよいでしょう。

結論|会社名は名称変更、代表者・役員は役員変更

運送会社の会社名が変わった場合は名称変更。

代表取締役が変わった場合は役員変更。

その他の取締役等が変わった場合も役員変更です。

一般貨物では「住所・名称・役員等変更届出書」で整理できます。

代表権を持つ役員の変更は遅滞なく届出。

代表権を持たない役員の変更については、一定期間分をまとめて7月31日までに届けられる扱いがあります。

新しく役員になった人がいるなら、欠格事由に該当しない旨の宣誓書も確認します。

そして、会社変更のときにもう一つ見たいのが、

本店も移したのか。

営業所も動かしたのか。

車庫まで変えたのか。

という点です。

営業所や車庫まで変わっていれば、単なる住所・役員等変更届ではなく、事業計画変更の手続きまで確認する必要があります。

登記で何を変えたかではなく、一般貨物の許可内容と比べて何が変わったかを見る。

この考え方で整理すると、必要な変更届を判断しやすくなります。

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出典

中部運輸局|一般貨物自動車運送事業に関する手続き一覧

中部運輸局|一般貨物自動車運送事業の事業計画変更等に関する公示

e-Gov法令検索|貨物自動車運送事業法施行規則

国土交通省|一般貨物自動車運送事業の申請・届出様式

この記事は、2026年9月時点の国土交通省・中部運輸局・e-Gov法令検索の公開情報を確認して作成しています。

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