この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
一般貨物の許可を取って何年か営業していると、
「トラックは何度か入れ替えた」
「役員も変わった」
「車庫を追加したこともある」
「報告書を毎年出していたか分からない」
ということがあります。
日々の配車や荷主対応をしていると、運輸局への手続きは後回しになりやすいところです。
しかし、一般貨物では、車両、営業所、車庫、役員、管理者などが変わったときに確認する手続きがあります。
さらに、会社に変更がなくても、事業報告書・事業実績報告書は毎年提出します。
「今まで特に何も言われなかったから大丈夫」と判断するのではなく、一度、
- 現在の会社情報
- 現在の車両
- 現在の営業所・車庫
- 現在の管理者
- 過去の申請・届出
- 毎年の報告書
を照らし合わせてみると、手続き漏れを見つけやすくなります。
まず「今の会社」と「届けている内容」が同じか確認する
手続き漏れを確認するときに、最初から過去の制度を全部調べる必要はありません。
まず、現在の会社の状態を書き出します。
たとえば、
| 確認するもの | 現在の状態 |
|---|---|
| 営業所 | どこにあるか |
| 車庫 | 何か所あるか |
| 車両 | 各営業所に何台あるか |
| 会社名・住所 | 現在の登記内容 |
| 代表者・役員 | 現在誰が就任しているか |
| 運行管理者 | 現在誰を選任しているか |
| 整備管理者 | 現在誰を選任しているか |
| 報告書 | 直近分まで提出しているか |
次に、手元にある許可書、認可書、申請書、届出書の控えと比べます。
そこで、
「現在6台なのに、最後の控えでは5台になっている」
「車庫を移したが、その変更書類が見つからない」
「役員変更後の届出をした記憶がない」
といった違いがあれば、詳しく確認します。
トラックの増車・減車・入替が反映されているか
運送会社で特に変更が起きやすいのが車両です。
- トラックを購入した
- 1台売却した
- リース車両を返却した
- 新しい車両へ入れ替えた
- 営業所間で車両を動かした
という場合は、一般貨物側の手続きも確認します。
車検証上の登録を済ませたから、運送業の手続きもすべて終わっているとは限りません。
まず、
「今、各営業所に何台の事業用自動車があるか」
と、
「運輸局へ届けている台数」
を照合します。
増車する前に未提出の報告がないかも確認する
中部運輸局の現行審査基準では、一定の増車など事業規模を拡大する申請について、事業報告書、事業実績報告書、運賃・料金の届出などに義務違反がないことも確認されます。
そのため、
「報告書は昔の話だから、とりあえず増車だけ出す」
では済まない場合があります。
新しいトラックを増やす予定があるなら、現在の車両数だけでなく、直近の報告・届出状況まで一緒に確認しておいた方がよいでしょう。
営業所・車庫の変更を確認する
営業所や車庫も、長く営業していると変わることがあります。
たとえば、
- 本店と一緒に営業所を移した
- 車庫を別の土地へ移した
- 2つ目の車庫を借りた
- 使わなくなった車庫を解約した
- 営業所を追加した
というケースです。
一般貨物では、変更内容によって認可・届出など必要な手続きが異なります。
そのため、
「会社登記を変更した」
「賃貸借契約を結び直した」
だけで終わっている場合は、運送業側の手続きが済んでいるか確認します。
特に営業所・車庫は、移転先や追加先について使用できる場所かという要件確認もあるため、変更した後より変更前に確認する方が安全です。
役員・代表者・会社情報が変わっていないか
車両や施設以外にも、会社情報の変更があります。
たとえば、
- 会社名を変更した
- 本店住所を変更した
- 代表取締役が変わった
- 役員が増えた
- 役員が退任した
という場合です。
法務局で登記を変更していても、一般貨物について別に確認する手続きがあります。
「登記は司法書士に頼んだから全部終わっている」
と考えず、運送業側の変更まで済んでいるか確認します。
役員変更については、代表権の有無などによって手続きの時期も異なるため、変更日と過去の届出控えを照らし合わせます。
運行管理者・整備管理者が現在の人と一致しているか
運行管理者・整備管理者も確認しておきたい項目です。
たとえば、
「前の運行管理者が退職した」
「別の社員へ変更した」
「整備管理者が変わった」
という場合です。
社内では担当者を変えていても、選任・解任に必要な手続きが済んでいなければ、運輸局へ届けている状態と実態が一致しません。
一度、
- 現在の運行管理者
- 現在の整備管理者
- 選任日
- 前任者の解任日
- 届出書の控え
を確認します。
管理者の変更は人事異動だけで終わらせず、運送業側の手続きをセットで管理します。
事業報告書を毎年出しているか
一般貨物では、毎事業年度について事業報告書を提出します。
提出期限は、事業年度終了後100日以内です。
たとえば3月決算の会社なら、
「決算・税務申告が終わった」
ところで安心せず、一般貨物の事業報告書も確認します。
事業報告書には、事業者の経営状況などを記載します。
毎年の決算に合わせて、
決算終了
→事業報告書
までを一つの年間業務にしておくと忘れにくくなります。
事業実績報告書は毎年7月10日まで
事業実績報告書も毎年提出します。
こちらは事業報告書とは期限の考え方が違い、毎年7月10日までです。
事業実績報告書では、前年4月1日からその年の3月31日までの輸送実績などを報告します。
つまり、
事業報告書
=会社ごとの事業年度終了後100日以内
事業実績報告書
=毎年7月10日まで
です。
名前が似ているため、
「決算後に1つ出したから終わり」
と混同しないようにします。
車両管理は台数だけ確認すればよいわけではない
車両管理では、運輸局への増減車手続きだけでなく、実際の車両管理も確認します。
たとえば、
- 車検
- 定期点検
- 日常点検
- 車両台帳
- 整備記録
- 自賠責・任意保険
- 使用する営業所・車庫
などです。
特に、車両を入れ替えたときは、
旧車両を外した
新車両を入れた
という事実だけでなく、現在の車両一覧が正しく更新されているか確認します。
「会社が持っている車両一覧」と「一般貨物として使用している車両一覧」を一致させておくことが重要です。
点呼・教育などの日常記録も確認する
届出書や報告書が出ていても、日常の運行管理記録が不足していれば別の問題になります。
たとえば、
- 点呼記録
- 業務記録
- 運転者台帳
- 指導・監督の記録
- 適性診断
- 健康診断
- 事故記録
- 点検・整備関係の記録
などです。
これらは「何か変更したときに出す届出」とは違います。
毎日の運送事業の中で作成・保存しておくものです。
中部運輸局が公表した行政処分事例でも、整備管理者変更の未届、点呼記録・業務記録の未保存、運行管理者の未選任、事業報告書・事業実績報告書の未提出などが同時に確認された事例があります。
そのため、手続き漏れを点検するなら、
「運輸局へ出す書類」
だけでなく、
「社内に残しておく記録」
も分けて確認します。
漏れがあるか分からないなら直近の控えから確認する
「何年も営業しているので、どこから確認すればいいか分からない」
という場合は、最初からすべての履歴を再現しようとしなくても構いません。
まず現在の状態を確定させます。
- 現在の営業所・車庫を書き出す
- 現在の車両一覧を作る
- 現在の役員を確認する
- 現在の運行管理者・整備管理者を確認する
- 直近の事業報告書・事業実績報告書を確認する
- 手元にある最新の許可・認可・届出控えと比較する
- 差があるところの過去資料を確認する
この順番なら、
「何が合っていて、何が合っていないか」
から調べられます。
「出したはず」で終わらせず控えを残す
手続き漏れを防ぐには、提出した書類の控えを整理しておくことも重要です。
たとえば、
- 車両
- 営業所・車庫
- 役員・会社情報
- 管理者
- 報告書
ごとに分けて保管します。
さらに、
| 手続き | 変更日 | 提出日 | 控え |
|---|---|---|---|
| 増車 | ○月○日 | ○月○日 | あり |
| 車庫変更 | ○月○日 | ○月○日 | あり |
| 役員変更 | ○月○日 | ○月○日 | あり |
| 事業報告書 | ― | ○月○日 | あり |
| 実績報告書 | ― | ○月○日 | あり |
という簡単な一覧を作っておけば、後から「出したか分からない」という状態を減らせます。
今後は「変更前」と「期限前」に確認する
一度現在の状態を整理できたら、その後は毎回全件チェックする必要はありません。
社内で、
「何か変える前」
と
「毎年の期限前」
に確認する仕組みにします。
変更前に確認するものは、
- 車両
- 営業所
- 車庫
- 役員
- 管理者
- 事業内容
です。
期限前に確認するものは、
- 事業報告書
- 事業実績報告書
などです。
「変更した後に行政書士へ聞く」
ではなく、
「変えることが決まった時点で確認する」
ようにすれば、先に契約・登録してから手続き上の問題が分かるリスクも減らせます。
手続き漏れを放置したまま次の変更へ進まない
一般貨物を長く営業していれば、一度くらい、
「これを出したか分からない」
というものが出てくることはあります。
重要なのは、その状態を放置したまま次の増車や営業所変更へ進まないことです。
特に一定の事業規模拡大の申請では、直近の報告・届出義務違反がないことも確認されます。
そのため、
「今度増車するから増車だけ頼む」
のではなく、その前に直近の報告書などが提出されているかを確認した方がよい場合があります。
現在の会社情報と運輸局への届出内容を一度合わせておけば、その後の変更手続きも進めやすくなります。
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「以前の届出を出したか分からない」という場合は、現在の会社情報とお手元の申請書・届出書の控えから整理します。
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出典
国土交通省 中部運輸局|法令・公示、国土交通省 中部運輸局|様式(申請・届出・報告)、国土交通省 中部運輸局|行政処分情報
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
