兄弟姉妹と疎遠な場合の相続対策|おひとりさまが確認すべきことを解説

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

おひとりさま終活で相談が多い不安の一つに、兄弟姉妹と疎遠な場合の相続があります。

「何年も連絡を取っていない」
「できれば迷惑をかけたくない」
「財産を兄弟姉妹に渡したくない」
「亡くなった後の手続きで困らせないか心配」

このように感じている方は少なくありません。

しかし、兄弟姉妹と疎遠であっても、法律上の相続人になることがあります。

連絡を取っていないことと、相続人になるかどうかは別の問題です。

そのため、おひとりさまが兄弟姉妹と疎遠な場合は、誰が相続人になるのか、財産をどう残すのか、亡くなった後の手続きを誰に頼むのかを生前に整理しておくことが大切です。

この記事では、兄弟姉妹と疎遠な場合に起こりやすい相続の問題と、おひとりさまが生前に確認すべき対策をわかりやすく解説します。

兄弟姉妹と疎遠でも相続人になることがある

独身で子どもがいない方の場合、まず確認したいのは、親が健在かどうかです。

親が健在であれば、親が相続人になることがあります。

親がすでに亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になることがあります。

さらに、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子どもである甥姪が相続人になることがあります。

つまり、本人が「兄弟姉妹とは疎遠だから関係ない」と思っていても、遺言書がなければ、兄弟姉妹や甥姪が相続手続きに関わる可能性があります。

疎遠でも法律上の相続人になる

相続では、普段の付き合いの深さだけで相続人が決まるわけではありません。

何十年も会っていない兄弟姉妹でも、法律上の相続人になることがあります。

連絡先を知らない、関係が悪い、遠方に住んでいるという事情があっても、それだけで相続人から外れるわけではありません。

そのため、兄弟姉妹と疎遠な方ほど、次の点を早めに確認しておく必要があります。

・親は健在か
・兄弟姉妹はいるか
・亡くなっている兄弟姉妹がいるか
・甥姪がいるか
・連絡先が分かる親族はいるか
・財産を兄弟姉妹に残したいのか
・兄弟姉妹以外に財産を残したい人がいるか

相続人を確認しないまま終活を進めると、亡くなった後に思わぬ人が相続手続きに関わることがあります。

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兄弟姉妹と疎遠な場合に困りやすいこと

兄弟姉妹と疎遠な場合、相続で困りやすいのは、財産の多さだけではありません。

むしろ問題になりやすいのは、相続人が手続きを進めるための情報が足りないことです。

連絡先が分からない

兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合、相続手続きでは連絡を取る必要が出てくることがあります。

しかし、疎遠な状態が長いと、住所、電話番号、現在の家族状況が分からないことがあります。

相続手続きでは、戸籍を集めて相続人を確認する必要があります。

相続人が遠方に住んでいる場合や、連絡を取りにくい場合は、手続きに時間がかかることがあります。

遺産分割協議が進みにくい

遺言書がない場合、相続人が複数いれば、遺産分割協議が必要になることがあります。

遺産分割協議とは、相続人全員で、誰がどの財産を引き継ぐかを話し合う手続きです。

兄弟姉妹や甥姪と疎遠な場合、本人の生活状況や財産内容を知らない人同士で話し合うことになります。

そのため、次のような問題が起こりやすくなります。

・誰が手続きを進めるのか決まらない
・財産の内容が分からない
・不動産を売るか残すかで迷う
・相続人全員の署名押印が集まらない
・印鑑証明書の取得や郵送に時間がかかる
・相続人同士が互いをよく知らない

関係が薄い相続人同士で急に話し合うことになるため、心理的な負担も大きくなります。

財産の場所が分からない

おひとりさまの場合、本人以外が預金口座、保険、不動産、借金、契約先を把握していないことがあります。

兄弟姉妹と疎遠であれば、なおさら本人の財産状況を知っている人が少なくなります。

通帳が見つからない、ネット銀行が分からない、保険証券の場所が分からない、不動産の名義が分からないという状態になると、相続手続きが進みにくくなります。

不動産や空き家の管理で困る

自宅や土地を所有している場合、亡くなった後に誰が管理するのかが問題になります。

兄弟姉妹や甥姪が相続人になっても、遠方に住んでいたり、本人と交流がなかったりすると、急に不動産の管理を求められて困ることがあります。

固定資産税、草木の管理、家財整理、売却、相続登記など、現実的な負担が出てきます。

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財産を兄弟姉妹に残したくない場合

兄弟姉妹と疎遠な方の中には、「できれば兄弟姉妹には財産を残したくない」と考える方もいます。

この場合に重要なのが、遺言書です。

遺言書がない場合、法律で決まった相続人が財産を引き継ぎます。

親が亡くなっていて、配偶者も子どももいない場合、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる可能性があります。

兄弟姉妹には遺留分がない

相続では、一定の相続人に最低限の取り分として遺留分が認められることがあります。

しかし、兄弟姉妹には遺留分がありません。

そのため、相続人が兄弟姉妹だけの場合、遺言書によって兄弟姉妹以外の人に財産を残すことを検討しやすい場面があります。

ただし、親が健在の場合は、親には遺留分が関係することがあります。

また、家族関係や財産内容によって注意点は変わります。

「兄弟姉妹には遺留分がない」という部分だけで判断せず、自分の場合の相続人を確認したうえで考えることが大切です。

親族ではない人に財産を残す場合

友人、知人、世話になった人、内縁の相手、支援してくれた人など、親族ではない人に財産を残したい場合は、遺言書を作る必要性が高くなります。

遺言書がなければ、その人は原則として相続人として財産を受け取ることはできません。

口頭で「この人に残したい」と伝えていても、相続手続きでそのまま実現できるとは限りません。

寄付をしたい場合

団体、施設、NPO、自治体、学校などに寄付したい場合も、遺言書を検討します。

寄付先の正式名称、所在地、受け入れ可否、現金で寄付するのか、不動産を含めるのかなどを確認する必要があります。

寄付を希望する場合は、事前に寄付先へ確認しておくと安心です。

遺言書の内容は具体的にする

遺言書を作る場合は、誰に何を残すのかを具体的に書く必要があります。

「世話になった人に財産を渡す」というようなあいまいな表現では、誰のことか分からず手続きで困ることがあります。

預金、不動産、保険、車など、財産を整理したうえで、遺言書の内容を考えましょう。

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親族ではない人に財産を残したい場合は?おひとりさまの遺言書を解説

兄弟姉妹に迷惑をかけたくない場合の対策

兄弟姉妹に財産を残したくないという場合だけでなく、「兄弟姉妹に迷惑をかけたくない」という不安もあります。

疎遠であっても、亡くなった後に相続人として手続きに関わる可能性があるためです。

財産一覧を作る

まず、預金、保険、不動産、車、借金、ローン、クレジットカード、ネット銀行、サブスクなどを一覧にします。

財産の金額を細かく書く必要はありません。

最初は、どこに何があるかが分かる状態にすることが大切です。

財産一覧があるだけで、相続人や手続きをする人の負担を減らせます。

借金やローンも整理する

借金やローンは書きにくい項目ですが、相続では重要です。

借金があるかどうかによって、相続人が相続放棄を検討する必要が出てくることがあります。

住宅ローン、カードローン、車のローン、クレジットカード、連帯保証などは、早めに整理しておきましょう。

遺言書を作る

兄弟姉妹に相続手続きの負担をかけたくない場合も、遺言書を検討します。

遺言書で財産の行き先を明確にしておくと、相続人全員で話し合う負担を減らせることがあります。

ただし、遺言書を書くだけで全ての手続きが自動的に終わるわけではありません。

実際に手続きを進める人を考えておく必要があります。

遺言執行者を指定する

遺言書を作る場合は、遺言執行者を指定することも検討します。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを進める人です。

預金の解約、不動産の手続き、遺贈の手続きなどに関わります。

兄弟姉妹と疎遠な場合、相続人に手続きを任せるのが難しいことがあります。

そのため、遺言書の内容だけでなく、誰が実際に手続きを行うのかを考えることが大切です。

死後事務委任契約を検討する

相続手続きと、亡くなった後の生活まわりの手続きは別です。

葬儀、火葬、納骨、病院や施設への支払い、賃貸住宅の解約、家財整理、公共料金やスマホの解約などは、死後事務として整理することがあります。

兄弟姉妹に死後の手続きを頼みにくい場合は、死後事務委任契約を検討します。

遺言書は財産の行き先を決めるもの。

死後事務委任契約は、亡くなった後の事務手続きを頼むもの。

この2つを分けて考えると整理しやすくなります。

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生前に確認しておきたいこと

兄弟姉妹と疎遠な場合、相続対策は一度に全部進める必要はありません。

まずは、自分の状況を整理することから始めます。

1. 相続人を確認する

自分が亡くなった場合、誰が相続人になるのかを確認します。

親が健在か、兄弟姉妹がいるか、亡くなった兄弟姉妹に子どもがいるかを整理します。

相続人が誰になるかは、戸籍を確認しないと分からないこともあります。

2. 兄弟姉妹との関係を整理する

連絡が取れる兄弟姉妹がいるのか、住所や電話番号が分かるのか、今後連絡を取る予定があるのかを整理します。

連絡を取りたくない場合でも、相続上は関係する可能性があるため、遺言書や死後事務の必要性を考える材料になります。

3. 財産と借金を一覧にする

預金、保険、不動産、車、借金、ローン、ネット銀行、サブスクなどを一覧にします。

財産が少ない場合でも、口座解約や契約解除、相続放棄の判断に必要になることがあります。

4. 財産を誰に残したいか考える

兄弟姉妹に残したいのか、残したくないのか、親族ではない人に残したいのか、寄付したいのかを考えます。

ここが決まると、遺言書の必要性が見えやすくなります。

5. 遺言書の種類を検討する

自筆証書遺言にするのか、公正証書遺言にするのかを検討します。

兄弟姉妹と疎遠な場合や、親族ではない人に財産を残す場合は、内容や保管方法で問題が起きないよう、公正証書遺言を検討することもあります。

6. 死後事務を誰に頼むか考える

葬儀、納骨、家財整理、公共料金やスマホの解約、関係者への連絡などを誰に頼むのかを考えます。

兄弟姉妹に頼みにくい場合は、死後事務委任契約を検討しましょう。

よくある失敗と注意点

兄弟姉妹と疎遠な場合の相続対策で、よくある失敗を整理します。

疎遠だから相続人にならないと思っている

兄弟姉妹と疎遠でも、法律上の相続人になることがあります。

付き合いの有無だけで相続関係は決まりません。

まずは自分の相続人を確認しましょう。

兄弟姉妹に財産を残したくないのに遺言書を書いていない

兄弟姉妹に財産を残したくない場合でも、遺言書がなければ、法律上の相続人として財産を引き継ぐ可能性があります。

希望がある場合は、遺言書で明確にしておく必要があります。

遺言書だけで死後の手続きも済むと思っている

遺言書は、主に財産の行き先を決めるものです。

葬儀、納骨、家財整理、公共料金やスマホの解約などは、死後事務委任契約で整理することがあります。

財産の場所を誰も知らない

預金口座、保険、不動産、借金、ネット銀行などの情報が整理されていないと、相続人や手続きをする人が困ります。

財産一覧を作っておきましょう。

不動産の名義を確認していない

自宅や実家について、自分名義だと思っていても、親の名義のまま、共有名義、相続登記未了ということがあります。

不動産がある場合は、固定資産税通知書や登記事項証明書で確認しましょう。

遺言執行者を考えていない

遺言書を書いても、実際に誰が手続きをするのか決まっていないと、相続人が困ることがあります。

特に兄弟姉妹と疎遠な場合は、遺言執行者の指定を検討しましょう。

まとめ

兄弟姉妹と疎遠な場合でも、法律上の相続人になることがあります。

独身で子どもがいない方の場合、親が亡くなっていれば、兄弟姉妹が相続人になることがあります。

兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、甥姪が相続人になることがあります。

特に確認したいのは、次の点です。

・自分の相続人が誰になるか
・兄弟姉妹や甥姪の有無
・兄弟姉妹に財産を残したいのか、残したくないのか
・親族ではない人に財産を残したいか
・寄付をしたいか
・預金、保険、不動産、借金を整理しているか
・遺言書が必要か
・遺言執行者を誰にするか
・葬儀、納骨、家財整理などの死後事務を誰に頼むか

兄弟姉妹と疎遠な場合の相続対策は、関係を無理に近づけることだけではありません。

自分の希望を整理し、相続人や手続きをする人が困らないように、生前に情報と書類を整えておくことが大切です。

まずは、相続人、財産、借金、財産を残したい相手を確認し、遺言書や死後事務委任契約が必要かを検討しましょう。

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「兄弟姉妹と疎遠で、相続がどうなるか不安」
「兄弟姉妹に財産を残したくない」
「親族ではない人に財産を残したい」
「亡くなった後の手続きを兄弟姉妹に頼みにくい」
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