河川占用許可に必要な図面とは?平面図・縦断図・横断図を解説

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

河川占用許可の準備を始めると、「実測平面図」「縦断面図」「横断面図」「工作物の設計図」など、いくつもの図面が必要書類として出てきます。

名前だけを見ても、「手元にある工事図面で足りるのか」「新しくどの図面を作ればよいのか」が分かりにくいところです。

愛知県知立建設事務所では、河川占用の申請必要書類として、工作物設置に係る土地の実測平面図、縦断面図、横断面図、工作物の設計図などを挙げています。ただし、案件によって省略できる書類や追加で必要になる書類があるため、すべての申請で同じ図面を一律に提出するわけではありません。 (愛知県公式サイト)

まず大まかに整理すると、

  • 平面図:上から見て、どこに何を設置するかを示す
  • 横断図:河川を横に切って、河川・堤防と工作物の高さや距離を示す
  • 縦断図:縦方向の高さや勾配の変化を示す
  • 構造図・設計図:工作物そのものの構造や寸法を示す

という違いがあります。

この記事では、それぞれの図面が何を確認するために使われるのか、手元の施工図面を利用できるのか、自分の工事ではどの図面が必要になりそうかを整理します。

河川占用許可ではなぜ図面が必要なのか

河川区域内の土地を排他的・継続的に使用する場合には河川法第24条、河川区域内で工作物を新築・改築・除却する場合には第26条第1項、掘削や盛土など土地の形状を変更する場合には第27条第1項の許可が関係することがあります。

また、河川保全区域内で土地の形状変更や工作物の新築・改築を行う場合には、第55条第1項の許可が関係することがあります。 (国土交通省CBRシステム)

申請書に「橋を設置する」「排水管を設置する」と書くだけでは、河川管理者は具体的な工事内容を把握できません。

図面によって、

  • 工作物をどこに置くのか
  • 河川区域とどのような位置関係になるのか
  • 堤防からどの程度離れているのか
  • 地上・地下にどのような構造物が入るのか
  • どの範囲を占用するのか

などを確認できるようにします。

つまり、図面は単に工作物の形を見せる資料ではなく、「その工事をその場所で行った場合に河川管理上どのような関係になるのか」を説明する資料です。

河川占用許可の平面図とは

平面図は、申請場所を上から見た状態で表す図面です。

河川、堤防、道路、敷地などに対して、申請する工作物がどこに配置されるのかを確認します。

国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所の作成要領では、平面図について、申請箇所周辺の状況が十分把握できる範囲を示し、堤防や道路、申請工作物、関連施設などの平面的な配置が分かるようにする例が示されています。

平面図では何を見るのか

案件によって異なりますが、主に次のような点を確認します。

  • 工作物の設置位置
  • 工作物の幅・長さ
  • 河川や堤防との位置関係
  • 道路や周辺敷地との位置関係
  • 河川区域との位置関係
  • 河川保全区域との位置関係
  • 河川の流れる方向
  • 横断図を作成した位置

国土交通省の作成例では、河川区域線や河川保全区域線、河川の流水方向、横断図を作成する位置などを平面図に明示するよう案内しています。

たとえば河川に橋を架けて敷地への出入口を設ける場合、橋だけを描いた製品図では、その橋が河川のどこに設置されるのか分かりません。

平面図では、橋そのものと周辺の河川・敷地・道路との位置関係まで確認できる必要があります。

河川占用許可の横断図とは

横断図は、河川を横方向に切った断面を示す図面です。

平面図では分かりにくい、高さ・深さ・距離などを確認するために使います。

国土交通省中部地方整備局の作成要領では、申請工作物について、基礎や浄化槽などの地下構造を含め、堤防との位置関係、河川区域からの距離、現地盤面からの深さ・高さなどが分かる横断図を作成するよう示しています。

横断図では何を見るのか

  • 河川・堤防の位置
  • 工作物の位置
  • 河川区域から工作物までの距離
  • 工作物の高さ
  • 基礎などの深さ
  • 現地盤面との関係
  • 河川区域線・河川保全区域線
  • 地下に入る工作物の位置

たとえば、地上に見えている工作物が河川から十分離れていても、基礎や杭が地下へ深く入る場合があります。

そのため、建物や橋の外形だけではなく、地下構造まで確認できる図面が必要になることがあります。

国土交通省の作成要領でも、横断図の作成位置や枚数は申請工作物や現地の状況によって変わるため、平面図などを持参して事前相談するよう案内しています。

河川占用許可の縦断図とは

縦断図は、対象となる場所を縦方向に切り、高さや勾配の変化を表す図面です。

排水管など、ある地点から別の地点まで高さが変わる工作物では、平面図だけではその勾配や高さ関係を確認できません。

愛知県知立建設事務所では、河川占用の申請必要書類として縦断面図を挙げています。 (愛知県公式サイト)

ただし、縦断図を含め、必要となる図面は申請内容によって変わります。

「河川占用なら平面図・縦断図・横断図の3種類を必ず作る」と考えるのではなく、その工事について、どの方向から高さや位置を説明する必要があるのかを確認することが重要です。

平面図・縦断図・横断図の違い

図面見る方向主に確認する内容
平面図上から工作物の配置、占用範囲、河川との位置関係
横断図河川を横に切る工作物と河川・堤防の距離、高さ、深さ
縦断図縦方向に切る高さや勾配の変化

一つの図面ですべてを説明するわけではありません。

平面図では高さが分かりませんし、横断図だけでは工作物が敷地のどこに設置されるのか分かりません。

必要に応じて複数の図面を組み合わせることで、工作物と河川との関係を確認できるようにします。

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構造図・設計図は平面図や断面図と何が違う?

平面図・横断図・縦断図とは別に、工作物そのものの構造を示す図面が必要になることがあります。

国土交通省の作成要領では、構造図について、建物の基礎伏図・基礎断面図・杭・浄化槽など、構造が把握できる図面を添付するよう案内しています。特に地下構造物については、図面を添付するよう示されています。

整理すると、

平面図・断面図
→ 河川と工作物との位置関係を見る

構造図
→ 工作物そのものの構造を見る

という違いがあります。

そのため、施工会社から構造図をもらっていても、それだけで河川占用申請に必要な図面が全部そろっているとは限りません。

施工会社からもらった図面はそのまま使える?

すでに工事の設計を進めていれば、施工会社や設計会社から、

  • 配置図
  • 平面図
  • 断面図
  • 構造図
  • 基礎図
  • 製品図

などを受け取っていることがあります。

それらを申請資料として利用できる場合もあります。

ただし、確認したいのは「図面があるか」ではなく、「河川法の申請で確認する情報がその図面から読み取れるか」です。

たとえば、

  • 河川区域との位置関係が分からない
  • 堤防までの距離が分からない
  • 基礎の深さが分からない
  • 横断図を切った位置が分からない
  • 占用範囲が分からない

という状態なら、既存図面への追記や別図面の作成が必要になることがあります。

国土交通省の作成要領でも、申請書に記載した工作物の数値、延長、径、深さなどを図面から確認できるようにすることが求められています。

「CADで作られた図面だから使える」「施工会社が作った図面だから使える」と判断するのではなく、申請内容を図面から説明できるかを見ることが大切です。

実際の図面例は国土交通省の公式資料で確認できる

平面図や横断図について文章で説明されても、実物を見なければ分かりにくいことがあります。

国土交通省中部地方整備局の木曽川上流河川事務所では、河川法の申請様式だけでなく、「記載例及び添付図書」を公開しています。

土地の占用、工作物の新築等、土地の形状変更、河川保全区域内の工作物の新築等など、手続きごとの記載例を確認できます。 (国土交通省CBRシステム)

実物を確認したい場合は、次の公式資料を参考にできます。

国土交通省中部地方整備局 木曽川上流河川事務所「河川法関係 申請様式のダウンロード」

ただし、公開されている図面はあくまで記載例です。

国土交通省の資料自体も、図面作成例は代表的な一事例であり、申請内容によって例にない書類や記載を求める場合があるとしています。

公式例と同じ形にすれば必ず申請できるという意味ではありません。

自分の場合、どの図面が必要か判断するには

図面を作り始める前に、まず次の内容を整理します。

1.どこで工事をするのか

住所や地番だけでなく、どの河川・水路に関係する工事なのかを確認します。

なお、見た目が水路であっても、すべてが河川法の適用を受ける河川とは限りません。愛知県も、道路法や河川法の適用を受けない里道・水路などを法定外公共物として案内しています。 (愛知県公式サイト)

2.何をするのか

  • 土地を占用する
  • 橋などの工作物を設置する
  • 排水管を設置する
  • 掘削する
  • 盛土する
  • 基礎や杭を施工する

など、実際の工事内容を整理します。

工事内容によって関係する河川法上の許可が変わります。 (国土交通省CBRシステム)

3.手元にどの図面があるのか

施工会社や設計者から受け取っている図面を確認します。

平面配置、高さ、深さ、構造、河川との位置関係など、どこまで説明できるかを見ます。

4.不足している情報を整理する

たとえば、

「配置図はあるが河川区域が書かれていない」

「構造図はあるが河川との距離が分からない」

「平面図はあるが地下基礎が分からない」

といった不足部分を整理します。

5.図面を完成させる前に申請先へ確認する

必要図面は工事内容によって変わります。

愛知県も、必要書類一覧について、省略できる書類や別途必要となる書類があるため担当へ問い合わせるよう案内しています。 (愛知県公式サイト)

そのため、最初からすべての図面を完成させてから相談するより、工事概要と手元の資料を整理した段階で確認した方が、作り直しを減らせる場合があります。

「図面を作ること」より先に確認したいこと

河川占用許可で図面が必要だと分かると、すぐに平面図や断面図を作り始めたくなります。

しかし、先に確認したいのは、

「どの許可が必要なのか」

「河川管理者は誰なのか」

「どの工事内容を図面で説明する必要があるのか」

です。

ここが決まっていないまま図面を作ると、必要な断面位置が違ったり、河川区域との位置関係を追加したりして、作り直すことがあります。

図面作成は申請準備の最初ではなく、申請条件を整理した後に行う作業と考えた方が進めやすくなります。

まとめ

河川占用許可では、実測平面図、縦断面図、横断面図、工作物の設計図などが必要になることがあります。

それぞれ、

  • 平面図:どこに設置するか
  • 横断図:河川と工作物の高さ・距離・深さ
  • 縦断図:縦方向の高さや勾配
  • 構造図:工作物そのものの構造

を確認する役割があります。

ただし、すべての案件で同じ図面を提出するわけではありません。

工事場所、工作物の種類、掘削や盛土の有無、河川区域・河川保全区域との位置関係などによって必要図面は変わります。

施工会社などから図面を受け取っている場合は、まず既存図面で何を説明できるのかを確認し、不足する情報を整理します。

そのうえで公式の図面作成例も参考にしながら、申請先へ必要な図面を確認してから仕上げると、手戻りを減らしやすくなります。

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河川占用許可の申請・図面についてご相談ください

河川占用許可では、工事の内容によって必要になる許可や図面が変わります。

施工会社から図面を受け取っていても、「この図面をそのまま使えるのか」「何を追加すればよいのか」「どこへ事前相談すればよいのか」が分かりにくい場合があります。

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、愛知県内の河川占用許可に関するご相談に対応しています。

工事場所、設置予定の工作物、現在お持ちの図面などを確認し、必要な申請や準備する資料を整理します。

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出典

愛知県知立建設事務所「河川占用」国土交通省中部地方整備局 木曽川上流河川事務所「河川法の許可が必要な行為」国土交通省中部地方整備局 木曽川上流河川事務所「河川法関係 申請様式のダウンロード」国土交通省中部地方整備局 庄内川河川事務所「河川法第55条第1項許可申請書作成要領」

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の様式をもとに作成しています。

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