巡回指導の通知が来た|まず何を確認して、いつまでに準備する?

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

運送会社に巡回指導の通知が届いたら、最初から点呼簿や運転日報を一冊ずつ見直す必要はありません。

まず確認するのは、通知書に書かれている実施日、対象営業所、準備する関係帳票です。

そこから、

  • 届出内容と現在の営業所の状態が合っているか
  • 日常的に作成している帳票が残っているか
  • 運行管理・整備管理・労務管理に抜けがないか
  • 実施日までに確認できるものと、すぐには直せないものは何か

を分けていきます。

巡回指導のためだけに帳票を作るのではなく、現在の管理状況を一度棚卸しするという考え方で進めると整理しやすくなります。

通知が来たら最初に実施日と対象営業所を見る

最初に通知書を確認します。

特に見るのは、

  • 巡回指導の実施日
  • 実施される営業所
  • 当日の時間
  • 準備を求められている帳票
  • 当日の対応方法や連絡事項

です。

複数営業所がある会社では、どの営業所が今回の対象なのかを先に確認します。

本社にすべての帳票を置いている会社でも、巡回指導の対象となる営業所について確認できるよう準備する必要があります。

「会社全体として管理しているから大丈夫」ではなく、対象営業所についてどこまで説明・確認できるかを見ることが大切です。

いつまでに準備すればいい?

基本的には、通知書に記載された巡回指導の実施日までです。

全国一律に「通知から○日以内に準備する」という期限があるものとして考えるのではなく、届いた通知書に記載された日から逆算します。

ただし、前日になって一気に帳票を集めるのは避けたいところです。

書類を確認すると、

「運行管理者を変更したのに届出を確認できない」

「車両を増やした後の事業計画が合っているか分からない」

「点呼記録はあるが、抜けている日がある」

「初任運転者の教育記録が見つからない」

といった問題が途中で見つかることがあるからです。

通知が届いたら、その日のうちに全てを完成させる必要はありません。

まず全体を確認し、実施日までに何を確認・整理する必要があるかを決めます。

最初の確認は「許可・届出」と現在の状態が合っているか

帳票を見る前に確認したいのが、現在の会社の状態と許可・届出内容です。

巡回指導では、事業計画等についても確認されます。

たとえば、

  • 営業所の名称・位置
  • 営業所に配置する事業用自動車の数
  • 車庫の位置や収容能力
  • 休憩・睡眠施設
  • 役員などの届出事項
  • 運行管理者
  • 整備管理者

などです。

実際の会社の状態が変わっているのに、必要な認可・届出をしていない場合は、帳票だけ整理しても問題は解消しません。

最近、

  • 車両を増やした・減らした
  • 車庫を移した・追加した
  • 営業所を移転した
  • 運行管理者が変わった
  • 整備管理者が変わった
  • 役員が変わった

という会社は、先に変更手続きの状況を確認します。

次に運行管理関係の帳票があるか確認する

許可・届出関係を確認したら、日常の運行管理に進みます。

愛知県トラック協会では、巡回指導関係の資料とともに、運行管理関係の帳票例として、

  • 運転者台帳
  • 点呼記録簿
  • 運転日報
  • 運行指示書
  • 安全教育実施計画表
  • 指導教育記録簿
  • 初任・適齢・事故惹起運転者に対する教育記録
  • 運行管理規程
  • 事故の記録

などを公開しています。

ここで重要なのは「様式があるか」だけではありません。

実際に必要な期間について記録が続いているかを確認します。

たとえば点呼簿を用意していても、未記入の日が大量にあるなら、帳票を持っていることと適切に管理していることは別です。

点呼は先に確認しておきたい

巡回指導前の確認では、点呼関係を後回しにしないほうがよいでしょう。

国土交通省の通達では、点呼の実施記録が全く保存されていない場合や、帳簿はあっても実施記録が全く記載されていない場合は、地方実施機関から運輸支局等への速報対象となり得ます。

そのため、

  • 点呼を実施しているか
  • 記録が保存されているか
  • 記載が継続しているか
  • アルコール確認など必要事項を記録しているか

を確認します。

一部の書き間違いと、そもそも点呼を行っていない状態は同じではありません。

まず自社がどの状態なのかを把握します。

整備管理関係も車両ごとに確認する

次に車両関係です。

愛知県トラック協会では、整備管理関係として、

  • 整備管理者の選任・解任届
  • 日常点検表
  • 整備管理規程
  • 定期点検整備実施計画表
  • 点検整備記録簿

などの帳票例を公開しています。

特に確認したいのは、現在保有している車両だけではありません。

巡回指導で確認される期間中に使用していた車両について、必要な点検・整備の記録を確認できるかを見ます。

国土交通省の通達では、定期点検の記録が全く保存されていない場合なども、悪質性の高いケースとして運輸支局等への速報対象になり得ます。

点呼と同じように、「ファイルがあるか」ではなく「実際の記録が残っているか」を確認します。

運転者ごとの教育・健康管理も確認する

車両の帳票だけでは巡回指導の準備は終わりません。

運転者についても確認します。

たとえば、

  • 運転者台帳
  • 健康診断
  • 適性診断
  • 初任運転者教育
  • 高齢運転者等に必要な対応
  • 年間の指導教育
  • 指導した記録

などです。

ここでは全員を一括して「教育済み」と見るのではなく、運転者ごとに確認したほうが分かりやすくなります。

特に最近採用した運転者がいる会社では、

「入社したことは分かっているが、初任運転者として何を実施したか分からない」

という状態になりやすいため、対象者を先に洗い出します。

事業報告書・事業実績報告書も提出状況を見る

巡回指導の準備というと、点呼・運転日報・整備関係ばかりに目が向きやすいですが、定期的な報告も確認します。

一般貨物自動車運送事業者には、

  • 事業報告書
  • 事業実績報告書

があります。

「毎年何かは提出している」ではなく、両方について直近の提出控えがあるかを確認します。

決算後の事業報告書と、毎年の事業実績報告書は別の報告です。

提出控えが見つからない場合は、本当に未提出なのか、控えだけが社内で見つからないのかを分けて確認します。

社会保険や労務関係も確認する

巡回指導では、運行管理だけでなく労務関係も確認対象になります。

たとえば、

  • 就業規則
  • 36協定
  • 社会保険
  • 労働保険
  • 健康診断
  • 労働時間管理

などです。

社内の担当が、

「運行関係は運行管理者」

「給与・社会保険は経理」

「就業規則は社労士」

のように分かれている会社では、巡回指導の直前に初めて資料を集めようとすると時間がかかります。

通知が届いた段階で、誰がどの資料を持っているかを確認しておきます。

最初から全部の記録を細かく読む必要はない

通知が届いた日に、何年分もの点呼記録や運転日報を一行ずつ確認する必要はありません。

先に、

分野最初に見るもの
許可・届出最近変更した事項がないか
運行管理点呼・運転日報などの記録が存在するか
運転者台帳・健康診断・教育・適性診断
整備管理日常点検・定期点検・整備記録
報告事業報告書・事業実績報告書の控え
労務就業規則・36協定・保険関係
安全管理事故・苦情・指導教育等の記録

という単位で「ある・ない・分からない」に分けます。

資料があることを確認できたら、その次に内容を見ます。

この順番なら、実施日までの時間が限られていても、どこから確認すべきか判断しやすくなります。

不足している書類が見つかったらどうする?

巡回指導前に不足を見つけても、過去に実施していないことを実施したように記録するのは避けなければなりません。

国土交通省の巡回指導に関する通達でも、法令上保存が必要な記録簿について改ざんが疑われるケースは、地方実施機関から運輸支局等への相談対象とされています。

過去の記録がない場合と、届出を忘れている場合では対応が違います。

たとえば、

  • 必要な変更届をまだ出していない
  • 報告書を提出していない
  • 選任手続きをしていない

という場合は、現在からできる手続きを確認します。

一方、

  • 過去の点呼をしていなかった
  • 当時の記録そのものが残っていない
  • 必要な教育を実施していなかった

という場合は、後から過去の事実を作ることはできません。

「何が不足しているか」と「今から何ができるか」を分ける必要があります。

実施日までに全部直らなかったら?

通知を受けて確認した結果、実施日までにすべてを是正できない場合もあります。

その場合でも、分からない数字を作ったり、実施していない記録を作成したりする方向には進めません。

まず、

  1. 不足しているものを特定する
  2. 今から是正できる手続きを進める
  3. 今後の管理方法を決める
  4. 巡回指導当日に現在の状況を説明できるようにする

という順番で整理します。

巡回指導で指摘を受けた場合には、その後に改善結果の報告を求められることがあります。

また、総合評価がD・Eとなった営業所については巡回指導が重点化されており、改善指導に対応しない場合には運輸支局等の監査につながる仕組みもあります。

だからこそ、通知が来てから目指すのは「指摘をゼロに見せること」ではなく、現在の状態を正確に把握して、直せる部分を実施日までに整理することです。

通知が来たらこの順番で準備する

巡回指導の通知が届いたら、次の順番で進めます。

  1. 通知書の実施日と対象営業所を確認する
  2. 通知書に記載された準備帳票を確認する
  3. 最近の車両・車庫・営業所・管理者等の変更を確認する
  4. 点呼・運転日報など運行管理記録の有無を確認する
  5. 運転者台帳・教育・適性診断・健康診断を確認する
  6. 日常点検・定期点検など整備記録を確認する
  7. 事業報告書・事業実績報告書の提出控えを確認する
  8. 労務・社会保険関係の資料の所在を確認する
  9. 足りないものを「今から対応できるもの」と「過去の不足」に分ける
  10. 実施日までに可能な是正・整理を進める

通知が届いた時点で、最初から完璧に帳票をそろえている必要があるという意味ではありません。

まず全体を棚卸しして、どこに問題があるのかを把握するところから始めます。

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まとめ

巡回指導の通知が届いたら、まず通知書に記載された実施日、対象営業所、準備する帳票を確認します。

そのうえで、許可・届出、運行管理、運転者、整備管理、報告、労務の順に「資料があるか」「内容に不足がないか」を見ていきます。

実施日までにすべてを確認できない場合でも、記録を後から作るのではなく、不足しているものと今から対応できるものを分けることが大切です。

通知が来たら、最初から帳票を一冊ずつ読むのではなく、まず会社全体の管理状況を棚卸しするところから始めます。

巡回指導の通知が届いて準備に迷っている方へ

「通知は来たが、何から確認すればいいか分からない」

「書類が多く、どこまでそろっているか分からない」

「車両や管理者を変更したが、届出まで確認できていない」

という場合は、巡回指導の日までに会社の現在の状態と帳票を整理する必要があります。

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、一般貨物自動車運送事業の許可後手続きに対応しています。

巡回指導の通知書や現在の許可・届出状況を確認し、変更届・報告書など行政書士が対応できる手続きと、社内で確認すべき帳票を整理するところからサポートします。

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出典

一般社団法人 愛知県トラック協会|各種帳票類ダウンロード

一般社団法人 愛知県トラック協会|適正化事業実施機関

国土交通省 近畿運輸局|適正化事業の概要・巡回指導の指導項目

公益社団法人 全日本トラック協会|地方貨物自動車運送適正化事業実施機関からの悪質性の高い営業所に係る巡回指導結果の報告等の強化について

この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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