運送業の営業所変更・新設手続きとは?必要な届出を解説

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

一般貨物自動車運送事業の営業所を移転したり、新しい営業所を設けたりするときは、運輸支局への手続きが必要です。

「近くへ移すだけだから届出でよい」「本店住所を変える手続きと同じ」と考えていると、必要な認可を受けないまま新しい営業所を使い始めてしまう可能性があります。

中部運輸局では、営業所の位置変更が最小行政区域内か区域外かによって、事後届出と変更認可に分かれます。営業所の新設・廃止や、車庫・休憩睡眠施設の変更を伴う場合は、原則として事前の認可が必要です。

物件を契約する前に、移転先の要件と必要な手続きを確認しましょう。

営業所の変更は認可と届出のどちらになる?

一般貨物自動車運送事業の営業所は、運送業許可の事業計画に記載される施設です。

そのため、営業所の名称や所在地を変えるときは、変更内容に応じて事業計画変更認可申請または事業計画変更届出を行います。

中部運輸局の手続一覧では、次のように整理されています。

変更内容基本となる手続き手続きの時期
営業所の名称変更事業計画変更届出変更後、遅滞なく
最小行政区域内での位置変更事業計画変更届出変更後、遅滞なく
最小行政区域外への位置変更事業計画変更認可移転前
営業所の新設事業計画変更認可営業開始前
営業所の廃止事業計画変更認可廃止前
車庫の位置・収容能力の変更事業計画変更認可変更前
休憩・睡眠施設の位置・収容能力の変更事業計画変更認可変更前

ここでいう最小行政区域内とは、中部運輸局の手続一覧で使われている区分です。単に「同じ愛知県内」「同じ愛知運輸支局管内」という意味ではありません。

具体的な住所が最小行政区域内の変更として扱われるか判断しにくい場合は、変更前に管轄の運輸支局へ確認します。

また、営業所だけを最小行政区域内で移転する場合でも、同時に車庫や休憩・睡眠施設を変更するのであれば、その部分について変更認可が必要になることがあります。

営業所だけを見て「事後届出でよい」と決めず、移転によって変わる施設を一つずつ確認してください。

主たる事務所と営業所は同じものではない

運送業の手続きでは、「主たる事務所」と「営業所」を区別します。

主たる事務所は、会社全体を管理する本店などの事務所です。営業所は、車両を配置し、運行管理や点呼などを行う運送事業上の拠点です。

本店と営業所が同じ住所になっている会社もありますが、制度上は別の項目です。

例えば、本店だけを移転し、運送業の営業所は現在地に残す場合は、主たる事務所や事業者住所の変更手続きを確認します。

一方、本店移転と同時に、点呼や配車を行う営業所も新住所へ移す場合は、営業所の位置変更として届出・認可の判定が必要です。

登記事項証明書の本店住所を変更しただけで、運送業側の営業所も自動的に変更されるわけではありません。

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営業所を移転するときに確認する要件

営業所の移転では、届出書や申請書を作る前に、移転先を運送業の営業所として使えるか確認します。

主な確認項目は次のとおりです。

確認項目確認する内容
使用権原自社所有か、申請者名義で借りているか
賃貸借契約運送業の営業所として使用できる契約内容か
関係法令都市計画法、建築基準法、農地法などに抵触しないか
営業所の規模事務作業や運行管理を行える広さがあるか
車庫との位置関係移転後も営業所と車庫の距離基準を満たすか
休憩・睡眠施設必要な施設を引き続き確保できるか
管理体制運行管理者・整備管理者が勤務できる体制か
点呼体制営業所や車庫で適切に点呼を実施できるか

不動産会社や貸主から「事務所として使える」と説明されていても、運送業の営業所として認められるとは限りません。

特に市街化調整区域にある建物や、住居専用の賃貸借契約になっている物件は、契約前に市役所等の関係部署へ確認する必要があります。

営業所と車庫が離れている場合は、営業所を移転したことで、現在の車庫が距離基準を外れる可能性もあります。

この場合、営業所の手続きだけでは完了せず、車庫の変更認可も必要になることがあります。

運送業の営業所を新設するときの手続き

現在の営業所を残したまま、別の場所に新しい営業所を設ける場合は、営業所の新設に当たります。

営業所の新設は、事業計画変更認可の対象です。認可を受ける前に、新しい営業所で運送事業を始めることはできません。

新設する営業所では、主に次の項目を準備します。

  • 営業所として使用できる建物
  • 営業所に配置する事業用自動車
  • 事業用自動車を収容できる車庫
  • 休憩・睡眠施設
  • 必要な人数の運転者
  • 運行管理者と運行管理補助者
  • 整備管理者
  • 点呼や運行管理を行う設備
  • 営業所と車庫を結ぶ管理体制

一般貨物自動車運送事業では、原則として営業所ごとに5台以上の事業用自動車を配置する計画が必要です。

現在の営業所から車両を移す場合は、既存営業所が最低車両台数を下回らないかも確認します。新しい営業所へ5台を移した結果、元の営業所が4台になってしまうような計画は、そのままでは進められません。

新設に伴って増車する場合は、営業所の新設認可と車両登録の順番も整理する必要があります。

運行管理者や整備管理者についても、現在の営業所と新しい営業所の両方で必要な管理体制を確保しなければなりません。同じ人を形式上だけ両方の営業所へ配置することはできないため、勤務実態を含めて検討します。

営業所変更・新設で準備する主な書類

必要書類は、移転・新設・廃止の別や、車庫・休憩睡眠施設の変更を伴うかによって変わります。

営業所の移転・新設で準備する主な書類は次のとおりです。

  • 事業計画変更認可申請書または事業計画変更届出書
  • 新旧の事業計画を確認できる書類
  • 移転先・新設先の案内図
  • 営業所の見取図・平面図・求積図
  • 営業所の外観・内部の写真
  • 不動産登記事項証明書
  • 賃貸借契約書または使用承諾書
  • 都市計画法等の関係法令に抵触しない旨の宣誓書
  • 運行管理体制を確認する書類
  • 営業所と車庫の距離を確認できる書類
  • 車庫や休憩・睡眠施設を変更する場合の関係書類
  • 事業用自動車の配置変更に関する書類

賃貸物件の場合は、借主が運送事業者本人になっているか、使用目的が運送事業に対応しているか、契約期間や更新条件に問題がないかを確認します。

法人が営業所を借りるにもかかわらず、賃貸借契約の借主が代表者個人になっている場合は、法人が使用できることを示す追加書類を求められることがあります。

写真は、営業所の外観だけでなく、内部の広さや設備が分かるように撮影します。図面と写真の位置関係が分からないと、追加説明や撮り直しを求められる可能性があります。

物件契約から営業開始までの進め方

営業所の移転・新設は、次の順に進めると手戻りを防ぎやすくなります。

  1. 移転・新設する住所を決める
  2. 主たる事務所と営業所のどちらを変更するか整理する
  3. 最小行政区域内の変更か区域外の変更か確認する
  4. 営業所・車庫・休憩睡眠施設の要件を調べる
  5. 市役所等で都市計画法や建築基準法上の使用可否を確認する
  6. 使用権原や賃貸借契約の内容を確認する
  7. 変更認可または変更届出の書類を準備する
  8. 認可が必要な場合は、認可後に移転・新設する
  9. 運行管理者・整備管理者、車両登録等の関連手続きを行う
  10. 旧営業所の廃止や車庫変更がある場合は併せて完了させる

認可が必要な移転・新設では、物件の使用開始日と認可の時期が食い違わないよう注意が必要です。

先に解約できない賃貸借契約を締結すると、認可を受けられない物件だった場合にも賃料や解約費用が発生します。

契約前に要件を調査し、必要に応じて「運送業の変更認可を受けられなかった場合」の取扱いを契約条件へ入れられるか、貸主や不動産会社と相談してください。

中部運輸局では、事業計画変更認可申請・届出の共通様式が公開されています。また、一般貨物自動車運送事業の変更認可・届出は、e-Govによるオンライン申請の対象にもなっています。

ただし、提出方法がオンラインになっても、営業所や車庫の要件が緩和されるわけではありません。図面、写真、使用権原、関係法令の確認資料などをそろえる必要があります。

営業所の契約前に手続きを整理したい方へ

営業所の移転・新設では、住所だけを見ても、届出で済むのか変更認可が必要なのかを判断できないことがあります。

特に、車庫や休憩・睡眠施設も変更する場合、新しい営業所へ車両を移す場合、複数の営業所を残す場合は、変更事項が重なります。

いしかわ行政書士事務所では、移転・新設の内容を確認し、必要な認可・届出、物件要件、車庫や車両の手続きを整理します。

物件を正式に契約する前の段階でもご相談いただけます。

碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、三河地域・愛知県内の運送会社からのご相談に対応しています。

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よくある質問

Q
同じ市内で営業所を移転する場合も認可が必要ですか?
A

中部運輸局の手続一覧では、最小行政区域内での営業所の位置変更は事後届出、最小行政区域外への位置変更は事前の変更認可として整理されています。ただし、車庫や休憩・睡眠施設も変更する場合は、その部分について変更認可が必要になることがあります。具体的な新旧住所をもとに、変更前に確認してください。

Q
営業所を移転するときは、車庫も一緒に移転しなければなりませんか?
A

必ずしも一緒に移転する必要はありません。現在の車庫を残す場合は、移転後の営業所との距離、点呼方法、運行管理体制を確認します。距離基準を満たさない場合や管理上の問題が生じる場合は、車庫の変更も必要です。

Q
営業所を新設してトラック1台だけを配置できますか?
A

一般貨物自動車運送事業では、原則として営業所ごとに5台以上の事業用自動車を配置する必要があります。既存営業所から車両を移す場合は、新旧両方の営業所が必要な台数を満たすか確認してください。

Q
自宅を新しい営業所にできますか?
A

自宅であることだけを理由に認められないわけではありません。ただし、使用権原、用途地域、建物の使用条件、事務作業を行える広さ、車庫との位置関係などの要件を満たす必要があります。賃貸住宅の場合は、事業利用が契約上認められているかも確認します。

Q
先に物件を契約してから申請してもよいですか?
A

申請には使用権原を示す書類が必要ですが、要件を調べずに解約できない契約を結ぶのは避けたほうが安全です。用途地域や市街化調整区域、契約名義、使用目的などを先に確認し、必要に応じて認可を受けられなかった場合の契約条件を相談してください。

Q
営業所の移転後は車検証の変更も必要ですか?
A

事業用自動車の使用の本拠の位置が変わる場合は、車検証の変更や事業用自動車等連絡書など、車両側の手続きが必要になることがあります。運送業の営業所変更だけで完了すると決めず、車両ごとに使用の本拠の位置を確認してください。

Q
営業所の変更手続きはオンラインで提出できますか?
A

一般貨物自動車運送事業の事業計画変更認可申請・届出は、e-Govによるオンライン申請の対象です。添付書類や提出先の選択が必要になるため、利用時点の対象手続きと提出方法を確認してください。

まとめ

運送業の営業所変更は、「同じ運輸支局管内だから届出でよい」と判断するものではありません。

中部運輸局では、営業所の位置変更が最小行政区域内か区域外かによって、事後届出と変更認可に分かれます。

営業所の新設・廃止、車庫の位置や収容能力の変更、休憩・睡眠施設の変更は、原則として事前の変更認可が必要です。

営業所を移転・新設するときは、次の点を確認してください。

  • 主たる事務所と営業所のどちらを変更するのか
  • 最小行政区域内か区域外か
  • 営業所として使用できる物件か
  • 現在の車庫をそのまま使えるか
  • 休憩・睡眠施設も変更するか
  • 車両台数と管理者を確保できるか
  • 車検証等の車両側の変更が必要か
  • 変更認可を受ける前に使用を始めていないか

物件契約後に要件を満たさないことが分かると、移転予定や車両の稼働にも影響します。住所を決めた段階で、必要な認可・届出と関連手続きを整理しておきましょう。

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出典

中部運輸局「様式(申請・届出・報告)|貨物自動車運送事業(緑ナンバー)」
中部運輸局「貨物自動車運送事業に関する手続き一覧」
中部運輸局「貨物自動車運送事業に係る申請におけるチェックシート」
e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法」
e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法施行規則」
国土交通省「自動車運送事業におけるオンライン申請の概要」

この記事は、2026年8月時点の貨物自動車運送事業法・施行規則、中部運輸局の手続一覧・申請様式・チェックシートをもとに作成しています。営業所の位置変更に関する指定区域、認可・届出の区分、オンライン申請の対象手続きが変更された場合は、記事内容を見直してください。

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