
運送業を始めたあと、仕事が増えてくると「トラックを増やしたい」と考える場面があります。
しかし、運送業許可では、車両を買い足せばそのまま増車できるわけではありません。
増車するときは、車両の手続きだけでなく、その車両を保管できる車庫があるかを確認する必要があります。
「今の車庫にまだ空きがあると思う」
「普段は全車両が戻らないから大丈夫」
「1台くらいなら何とか置けるのでは」
このように考えて進めると、車庫要件でつまずくことがあります。
この記事では、運送業許可で増車すると車庫要件がどうなるのか、注意点を解説します。
増車すると車庫の収容能力も見直しが必要
運送業許可で増車する場合、まず確認したいのは、増車後の車両をすべて収容できる車庫があるかです。
運送業の車庫は、開業時だけ確認すれば終わりではありません。
車両を増やすなら、その増えた車両を含めて、車庫の収容能力が足りているかを考える必要があります。
| 増車時に確認すること | 注意点 |
|---|---|
| 車両台数 | 増車後の全車両が収まるか |
| 車両寸法 | 長さ・幅が既存車庫に合うか |
| 配置 | ぎりぎりの詰め込みにならないか |
| 出入口 | 増車後も安全に出入りできるか |
| 車庫の使用権原 | 契約上、その台数を置けるか |
ここで大切なのは、空きスペースがあるように見えることと、車庫要件を満たすことは別という点です。
車庫の隅に置けそうに見えても、実際には車両同士の間隔が足りない、出入口に支障がある、奥の車両を出せない、契約上その場所を車庫として使えないということがあります。
増車では、車両を増やすことだけに意識が向きがちです。
しかし、運送業許可では、増えた車両を安全に保管できる体制まで見られます。
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今の車庫に置けるかを確認する
増車を考えたとき、最初に確認するのは、今使っている車庫に追加車両を置けるかです。
すでに運送業許可で使っている車庫だからといって、無条件に増車できるわけではありません。
開業時や前回の申請時には問題がなくても、車両が増えれば状況は変わります。
増車後の全車両で考える
増車時は、追加する1台だけを見るのではなく、増車後の全車両をまとめて見ます。
たとえば、現在5台で許可を受けていて、1台増やして6台にする場合は、6台すべてが車庫に収まるかを確認します。
「増やす1台だけ別の隙間に置く」という考え方ではなく、全体の配置として無理がないかが重要です。
車両の大きさを確認する
同じ1台の増車でも、軽トラック、2トン車、4トン車、大型車では必要なスペースが違います。
小さい車両を増やす場合は入るかもしれません。
しかし、大型車や車長の長い車両を増やす場合は、今の車庫では収まらないことがあります。
車両を契約する前に、車両の長さ・幅・高さを確認し、車庫図面に入れて考えることが大切です。
ぎりぎりの配置は避ける
図面上は入っていても、車両同士が近すぎる配置は危険です。
運転者の乗り降り、日常点検、誘導、出庫・帰庫の動きまで考える必要があります。
毎日使う車庫で、毎回ぎりぎりの切り返しが必要になるような配置は、事故や接触の原因になります。
増車後も安全に使える車庫かどうかを確認することが大切です。
車庫を追加・変更する場合の注意点
今の車庫では増車後の車両を収容できない場合、新しい車庫を追加したり、車庫を変更したりすることがあります。
この場合も、単に空いている土地を借りればよいわけではありません。
追加する車庫も、運送業許可の車庫要件に合っている必要があります。
営業所との距離
運送業許可では、営業所と車庫の距離が問題になります。
新しく借りる車庫が広くても、営業所から離れすぎていると使えない場合があります。
「安い土地が見つかったから」と営業所から遠い場所を借りる前に、距離要件を確認する必要があります。
車庫の広さと配置
追加車庫でも、車両が収まるか、車間が取れるか、出入口に支障がないかを確認します。
増車用に1台分だけ借りる場合でも、その1台が安全に保管できるかを見ます。
月極駐車場のように区画が決まっている場所では、トラックの大きさに合っているかも確認が必要です。
前面道路と出入口
車庫は敷地内だけでは判断できません。
前面道路が狭い、大型車が通れない、出入口で大きな切り返しが必要になる場合は、実務上使いにくくなります。
特に増車する車両が大型車や長い車両の場合は、前面道路や出入口の確認が重要になります。
使用権原
借地や月極駐車場を使う場合は、契約書や承諾書などで、車庫として使える権限を説明できる必要があります。
貸主が口頭で「置いていい」と言っているだけでは不十分なことがあります。
契約書の使用目的が、事業用車両の車庫として使える内容になっているかも確認します。
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増車でよくある失敗
増車で多い失敗は、「車両の準備」を先に進めてしまうことです。
トラックを先に契約してしまう
仕事の話が決まりそうになると、急いで車両を探したくなります。
しかし、トラックを先に契約してから車庫を確認すると、車庫に入らない、置ける場所がない、追加車庫が見つからないという問題が起きることがあります。
車両は増やせても、車庫がなければ運送事業として使いにくくなります。
増車では、車両契約の前に車庫の見込みを確認することが大切です。
今の車庫に何とか置けると思ってしまう
現地で見ると、少し詰めれば置けそうに見えることがあります。
しかし、運送業の車庫は、単に車両を押し込む場所ではありません。
日常点検、乗り降り、出庫・帰庫、他の車両との入れ替えまで考える必要があります。
無理な配置は、接触事故や作業効率の低下につながります。
増車後の全体配置を考えていない
追加する1台だけを見ていると、全体の動線を見落とします。
増車後に、奥の車両を出すために毎回手前の車両を動かす必要がある、出入口がふさがる、車庫内で転回できないといった問題が出ることがあります。
車庫図面に全車両を配置して、実際の動きを想像することが大切です。
追加車庫を安さだけで決める
追加車庫は、今の車庫より安い場所を探したくなるかもしれません。
しかし、安い土地でも、営業所から遠い、前面道路が狭い、契約内容が合わない、市街化調整区域や農地が関係するといった問題が出ることがあります。
増車のための車庫は、固定費を抑えるだけでなく、許可要件に合うかを先に確認する必要があります。
車庫変更や追加手続きを見落とす
増車に伴って車庫を追加・変更する場合、車両の手続きだけでは足りないことがあります。
車庫に関する手続きや書類の確認が必要になる場合があります。
「車両を増やす届出だけ」と思っていると、車庫関係の準備が遅れてしまうことがあります。
増車前に確認する順番
増車を考えたら、いきなり車両を探す前に、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 増車する理由と時期を決める
- 増やす車両の種類・大きさを確認する
- 現在の車庫図面に増車後の全車両を配置する
- 車両同士の間隔や出入口に無理がないか見る
- 現在の車庫で足りない場合は追加車庫を探す
- 追加車庫の距離・前面道路・契約内容を確認する
- 増車手続きと車庫関係の手続きを整理する
ここで大切なのは、増車は売上のチャンスである一方、固定費も増えるという点です。
車両を増やせば、車両費、保険料、燃料費、整備費、駐車場代、人件費も増える可能性があります。
車庫が足りずに追加で借りる場合は、毎月の固定費も上がります。
増車は、仕事が増えたからすぐ行うものではなく、車庫・人員・資金・運行管理まで含めて判断する必要があります。
まとめ
運送業許可で増車する場合は、車両を増やす手続きだけでなく、車庫要件の確認が必要です。
特に重要なのは、増車後の全車両を安全に収容できる車庫があるかです。
今の車庫に置けるのか、車両同士の間隔は足りるのか、出入口や前面道路に支障はないのか、契約上その台数を置けるのかを確認します。
今の車庫で足りない場合は、追加車庫や車庫変更も検討する必要があります。
ただし、追加車庫も営業所との距離、広さ、前面道路、使用権原などを確認しなければなりません。
増車は、事業を広げる大切なタイミングです。
しかし、車庫要件を確認せずに車両だけ先に進めると、後から手続きや運用で困ることがあります。
碧南市、西尾市、高浜市、安城市周辺で、運送業の増車や車庫要件の確認に不安がある方は、いしかわ行政書士事務所へご相談ください。
元大型ドライバーとしての現場経験も踏まえ、増車後の車両配置、車庫の収容能力、前面道路、営業所との距離まで確認しながら、手続きをサポートいたします。
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