この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
一般貨物の運送業を始めるために車庫を探していて、
「トラックが5台置ければ大丈夫なのか」
「営業所から少し離れていても使えるのか」
「前の道路が狭いけれど問題ないのか」
と迷うことがあります。
運送業の車庫は、土地が広いだけでは決められません。
予定しているすべての車両を必要な間隔を空けて収容できることに加え、営業所との距離、前面道路、土地の使用権原、都市計画法や農地法なども確認します。
そのため、
「広くて家賃も安いから先に借りる」
のではなく、
「この土地を一般貨物の車庫として使えるか確認してから契約する」
という順番で進めることが重要です。
車庫候補を見つけたら契約前に確認する
一般貨物の車庫を決めるときは、少なくとも次の点を確認します。
- 営業所からの距離
- 予定する全車両を収容できる広さ
- 車両同士や境界との間隔
- 車庫前面道路の幅員
- トラックが出入りできる出入口
- 都市計画法や農地法などとの関係
- 車庫として使用できる契約になっているか
- 継続して使用できる期間があるか
どれか一つだけ確認すればよいわけではありません。
土地が広くても前面道路で使えないことがあります。
道路に問題がなくても、営業所から離れすぎている場合があります。
車庫として借りられる土地でも、関係法令との確認が必要になる場合があります。
候補地が見つかったら、条件を一つずつ確認してから契約へ進みます。
営業所から離れた車庫でも使える?
一般貨物の車庫は、原則として営業所に併設します。
営業所に近接し、通常徒歩で連絡できる場所も、営業所に併設されたものとして扱われます。
併設できない場合、中部運輸局管内では営業所から直線距離で10km以内が基準です。
そのため、
「車で10分だから大丈夫」
「道路を走れば8kmだから大丈夫」
という判断ではありません。
見るのは営業所と車庫の直線距離です。
営業所とは別に車庫を探す場合は、候補地を契約する前に所在地を確認し、距離基準を満たすか確認します。
また、営業所と車庫を離す場合は、両者が常時密接に連絡でき、点呼を確実に実施できる体制も必要です。
単に10km以内なら終わりではなく、実際の運行管理まで考えて車庫を決めます。
車庫は5台入ればよいわけではない
一般貨物では、計画する事業用自動車をすべて容易に収容できる車庫が必要です。
ただし、トラックを隙間なく並べて5台入ればよいわけではありません。
車両同士と境界から50cm以上空ける
中部運輸局の基準では、
- 車両と車庫の境界
- 車両と車両の間
について、それぞれ50cm以上の間隔を確保します。
そのため、土地の面積だけで判断するのではなく、使用予定車両の長さと幅を使って配置してみる必要があります。
たとえば5台置けそうな土地でも、実際の車両寸法で配置すると必要な間隔を確保できないことがあります。
中部運輸局の申請チェックシートでも、必要に応じて各車両の長さ・幅などを記載した車両諸元明細によって、すべて収容できるか確認するとされています。
自家用車や資材置場と一緒に数えない
車庫のうち、事業用自動車を置く部分は他の用途に使う部分と明確に区分します。
たとえば、
- 従業員の自家用車を置く部分
- 資材置場
- その他の用途に使う土地
まで含めて「全部で十分な面積がある」と判断しないようにします。
一般貨物の事業用車両を配置する部分として、必要な広さを確保できるか確認します。
前面道路は道路幅だけを見ない
車庫候補で特に注意したいのが前面道路です。
「大型トラックが実際に通っているから大丈夫」
「道路幅が○mあるから使える」
と自己判断するのではなく、計画する車両との関係で確認します。
一般貨物の車庫では、出入口の前面道路の幅員が車両制限令に適合する必要があります。
国道の場合は原則として適合しているものとして扱われますが、それ以外では道路幅員証明書などによって確認することがあります。
道路幅員証明書が必要になる場合がある
中部運輸局の申請チェックシートでは、車庫前面道路について、
「道路幅員証明書」
または
「幅員が車両制限令に抵触しないことを証する書類」
を確認する項目があります。
道路幅員証明書は、道路を管理する県や市などの道路管理者へ申請します。
発行方法や必要書類、交付までの日数は道路管理者によって異なるため、候補地が決まった段階で確認します。
出入口から実際に出入りできるかも確認する
道路幅員の基準を満たしていても、実際のトラックが安全に出入りできるかは別に確認したいところです。
たとえば、
- 出入口が狭い
- 出入口付近に電柱などがある
- 道路が急に曲がっている
- 対向車が来ると進入しにくい
という土地では、実際の運用に支障が出る可能性があります。
許可基準だけを見るのではなく、使用予定のトラックで毎日出入りすることを想定して候補地を確認します。
市街化調整区域や農地は借りる前に確認する
広い土地を探していると、市街化調整区域にある土地や、田畑だった土地が候補になることがあります。
このような土地は、
「空いているからトラックを置けばいい」
とは判断できません。
一般貨物の車庫は、都市計画法や農地法などの関係法令に抵触しないことも確認します。
中部運輸局の申請チェックシートでも、特に市街化調整区域に該当する場合には、事前に管轄する市役所等へ相談するよう案内されています。
また、現況では駐車場のように見えても、登記や農地法上の扱いまで同じとは限りません。
候補地について、
- 所在地
- 現在の土地利用
- 都市計画上の区域
- 農地に該当するか
- 車庫として使用できるか
を確認してから契約します。
借りる車庫は契約内容も確認する
土地そのものに問題がなくても、賃貸借契約の内容が一般貨物の車庫として使える形になっているか確認します。
車庫として使用できる契約か
賃貸借契約書の使用目的を確認します。
申請するのは一般貨物の車庫ですから、契約上も運送事業の車庫として使用できることが必要です。
たとえば、契約上の使用目的と実際の利用方法が異なる場合は、そのまま進めない方がよいでしょう。
貸主にも、トラックの車庫として使用する予定であることを伝えたうえで契約します。
契約期間も確認する
中部運輸局の基準では、借用する車庫について、原則として概ね2年以上の使用権原を確認します。
契約期間が2年未満でも、満了時に自動更新されると認められる契約であれば、使用権原があるものとして扱われる場合があります。
候補地を短期契約で借りる場合は、契約期間だけでなく更新条件まで確認します。
また、法人で申請する場合は、賃貸借契約の借主が法人になっているかも確認します。
車庫を決める前に使用予定車両を決める
車庫を先に決めてからトラックを選ぶと、後から必要面積が足りなくなることがあります。
車庫候補を検討するときは、
- 何台使用するのか
- 車両の長さ
- 車両の幅
- 将来すぐ増車する予定があるか
を確認しておきます。
一般貨物を新規で始める場合は原則として営業所ごとに5両以上の車両を配置するため、少なくとも申請時に予定する車両をすべて置ける車庫が必要です。
大型車を予定しているのに、普通乗用車を基準に「十分広い」と判断することはできません。
先に使用予定車両を整理し、その車両諸元から必要な車庫を探します。
車庫候補を見つけたらこの順番で確認する
車庫を探すときは、次の順番で確認すると手戻りを減らせます。
- 使用予定の車両と台数を確認する
- 営業所の所在地を確認する
- 車庫候補と営業所の距離を確認する
- 全車両を必要な間隔で配置できるか確認する
- 前面道路の幅員を確認する
- 出入口から車両が出入りできるか確認する
- 都市計画法・農地法などとの関係を確認する
- 賃貸借契約の使用目的・期間・借主を確認する
- 問題がないことを確認してから契約する
不動産会社から、
「大型車も置けます」
と言われただけで契約するのではなく、一般貨物の車庫として必要な条件を確認することが重要です。
候補地を借りる前に確認しておきたいこと
車庫候補が見つかったら、次の表で確認してみてください。
| 確認すること | チェックする内容 |
|---|---|
| 営業所との距離 | 併設または中部運輸局管内の距離基準を満たせるか |
| 車庫の広さ | 予定車両をすべて収容できるか |
| 車両間隔 | 車両同士・境界から50cm以上確保できるか |
| 前面道路 | 計画車両について車両制限令に適合するか |
| 出入口 | 使用予定車両が実際に出入りできるか |
| 関係法令 | 都市計画法・農地法などに問題がないか |
| 使用目的 | 運送事業の車庫として借りられるか |
| 契約期間 | 継続して使用できる契約か |
| 借主 | 申請者と契約者が一致しているか |
一つでも判断できない項目がある場合は、契約前に確認します。
特に土地の契約は、契約後に車庫として使えないことが分かると、新しい候補地を探し直すことになります。
車庫は「広い土地」ではなく「この車両を置ける土地」で決める
一般貨物の車庫を探すときに重要なのは、単純な土地面積ではありません。
予定する車両をすべて配置でき、営業所との距離、前面道路、関係法令、契約内容まで含めて車庫として使えることが必要です。
そのため、
「200㎡あるから大丈夫」
「トラックが何台か置いてある土地だから大丈夫」
といった判断だけでは足りません。
使用するトラックと営業所が決まれば、確認すべき車庫の条件も具体的になります。
候補地を見つけた段階で確認し、使えることを確認してから借りる。
この順番で進めると、契約後に車庫を探し直す手戻りを減らせます。
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まだ車庫を契約していない段階でも構いません。
営業所と車庫候補の所在地、使用予定車両、土地の状況などを確認し、一般貨物の車庫として計画を進められるか整理します。
候補地を借りてから使えないことが分かる手戻りを避けたい場合は、契約前にご相談ください。
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出典
国土交通省 中部運輸局|法令・公示、国土交通省 中部運輸局|貨物自動車運送事業に係る申請におけるチェックシート、国土交通省 中部運輸局|様式(申請・届出・報告)
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
