
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
おひとりさま終活は、気になっていても後回しにしやすいものです。
「まだ元気だから大丈夫」
「何から始めればよいか分からない」
「考えると不安になる」
「家族や親族に頼めるか分からない」
このような理由で、準備を先延ばしにしてしまう方は少なくありません。
しかし、おひとりさま終活では、元気なうちにしか決めにくいことがあります。
認知症になった後の財産管理、入院や施設入所の手続き、亡くなった後の葬儀・納骨・家財整理、財産の行き先などは、後から慌てて準備しようとしても間に合わないことがあります。
この記事では、おひとりさま終活で後回しにしやすいことと、早めに確認したい注意点をわかりやすく解説します。
おひとりさま終活が後回しになりやすい理由
おひとりさま終活が後回しになりやすいのは、怠けているからではありません。
むしろ、多くの方が「大切なことだとは分かっているけれど、どこから考えればよいか分からない」と感じています。
特に、次のような理由で先延ばしになりやすいです。
・まだ元気なので現実感がない
・家族や親族に相談しにくい
・自分の死後のことを考えるのがつらい
・制度や手続きが難しく感じる
・お金の話や財産の話を整理するのが面倒
・頼れる人がいないことを確認するのが不安
・一度に全部やろうとして手が止まる
終活という言葉は重く感じるかもしれません。
しかし、実際には「亡くなる準備」だけではなく、自分が困らないため、周りに迷惑をかけすぎないため、将来の不安を整理するための準備です。
おひとりさま終活では、最初から完璧な遺言書や契約書を作る必要はありません。
まずは、後回しにすると困りやすいことを知り、自分に関係するものから確認していくことが大切です。
関連記事:
おひとりさま終活は何から始める?最初に確認すべきことを解説
後回しにしやすいこと1|緊急連絡先と入院・施設入所
おひとりさま終活で後回しにしやすいことの一つが、緊急連絡先です。
普段の生活では困っていなくても、病気やけがで入院するとき、介護施設へ入るとき、突然「連絡先」や「身元保証に関する確認」を求められることがあります。
緊急連絡先を誰にするか
まず確認したいのは、自分に何かあったときに、誰へ連絡してほしいかです。
親族、友人、知人、近所の人、専門家など、現実に連絡がつく人を考えます。
ここで注意したいのは、緊急連絡先にしただけで、その人が財産管理や死後の手続きまで当然にできるわけではないという点です。
緊急連絡先は、あくまで連絡を受ける人です。
入院費の支払い、施設入所契約、財産管理、亡くなった後の手続きまで頼むなら、別に契約や準備が必要になることがあります。
入院時に困りやすいこと
入院時には、緊急連絡先だけでなく、次のようなことも問題になります。
・入院手続き
・医療費の支払い
・退院後の生活
・自宅の鍵や荷物の管理
・ペットの世話
・介護サービスとの連絡
・親族や関係者への連絡
身近に家族がいない場合、これらを誰が確認するのかが問題になります。
元気なうちに、連絡先、かかりつけ医、服薬情報、保険証、介護保険証、通帳や支払い方法などを整理しておくと、いざというときの負担を減らせます。
施設入所の契約
将来、自宅で暮らすことが難しくなった場合、施設入所を検討することがあります。
施設入所では、契約、支払い、緊急時対応、身元保証、退去時の対応などが問題になります。
「施設に入れば安心」と考えがちですが、入所前後の手続きを誰が支えるのかを確認しておく必要があります。
この部分を後回しにすると、体調が悪くなってから慌てて相談先を探すことになります。
関連記事:
入院や施設入所の手続きが不安な方へ|任意後見と終活を解説
後回しにしやすいこと2|財産・通帳・契約先の整理
おひとりさま終活で次に後回しになりやすいのが、財産や契約先の整理です。
財産整理というと、大きな資産がある人だけの話に聞こえるかもしれません。
しかし、終活で大切なのは、財産の金額よりも、どこに何があるか分かる状態にしておくことです。
預金口座や保険の整理
まずは、預金口座、証券口座、生命保険、年金関係、不動産、車、借金、ローンなどを一覧にしておきます。
金額を細かく書く必要はありません。
最初は、銀行名、支店名、保険会社名、証券会社名、不動産の所在地など、手続きの入口になる情報だけでも十分です。
亡くなった後、財産の場所が分からないと、相続手続きや解約手続きが進みにくくなります。
借金やローンの確認
借金やローンは、特に後回しにしやすい項目です。
クレジットカード、カードローン、住宅ローン、車のローン、事業上の借入れ、連帯保証などがある場合は、早めに整理しておきましょう。
借金の有無は、亡くなった後の相続放棄の判断にも関係します。
相続人が借金の存在を知らないまま時間が経つと、対応が難しくなることがあります。
スマホ・サブスク・ネット口座
最近は、スマホやインターネット上の契約も多くなっています。
スマホ、メール、SNS、ネット銀行、証券口座、通販サイト、クラウド、動画配信、サブスク、電子マネーなどは、本人以外が把握しにくいものです。
IDやパスワードをそのまま紙に書くことには注意が必要ですが、少なくとも「どのサービスを使っているか」は分かるようにしておくと安心です。
鍵・通帳・保険証券の保管場所
通帳、保険証券、印鑑、年金関係書類、不動産書類、賃貸契約書、車検証、マイナンバーカードなどの保管場所も整理しておきます。
大切な書類をどこにしまったか本人しか知らない場合、入院時や死亡後に手続きが止まることがあります。
「自分だけが分かる場所」ではなく、必要なときに信頼できる人が確認できる仕組みを考えることが大切です。
関連記事:
おひとりさまが財産を整理する方法|預金・保険・不動産の確認ポイント
鍵・通帳・保険証券はどこに保管する?おひとりさま終活の整理方法を解説
後回しにしやすいこと3|遺言書・任意後見・死後事務委任
おひとりさま終活で特に後回しにしやすいのが、遺言書、任意後見契約、死後事務委任契約です。
これらは名前が難しく、まだ自分には早いと感じやすいものです。
しかし、身寄りが少ない方や親族と疎遠な方ほど、早めに確認しておきたい制度です。
遺言書
遺言書は、主に財産の行き先を決めるためのものです。
独身で子どもがいない場合、親が亡くなっていれば、兄弟姉妹や甥姪が相続人になることがあります。
親族と疎遠な場合でも、遺言書がなければ法律上の相続人が財産を引き継ぐことになります。
次のような方は、遺言書を早めに検討した方がよいです。
・親族と疎遠である
・兄弟姉妹や甥姪に財産が渡る可能性がある
・世話になった人に財産を残したい
・寄付をしたい
・相続人の負担を減らしたい
・財産の行き先を自分で決めたい
遺言書は、判断能力がはっきりしているうちに作る必要があります。
認知症が進んでからでは、希望どおりに作成できないことがあります。
関連記事:
おひとりさまに遺言書は必要?未婚の方が確認すべき相続の注意点
任意後見契約
任意後見契約とは、将来、認知症などで判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ支援してくれる人を決めておく契約です。
財産管理、施設入所契約、介護サービスの契約、支払いなどが不安な場合に検討します。
任意後見契約で注意したいのは、判断能力があるうちに契約しておく必要があるという点です。
「認知症になったら考えよう」と思っていると、そのときには契約が難しくなっていることがあります。
関連記事:
任意後見契約とは?おひとりさまが認知症に備える方法を解説
認知症になったら誰が手続きする?おひとりさまの備えを解説
死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、亡くなった後の事務手続きを第三者に頼む契約です。
たとえば、次のような内容が関係します。
・葬儀や火葬
・納骨や永代供養
・病院や施設への支払い
・賃貸住宅の解約
・家財整理
・公共料金やスマホの解約
・関係者への連絡
遺言書は、財産の行き先を決めるものです。
一方、死後事務委任契約は、亡くなった後の生活まわりの手続きを頼むものです。
「遺言書を書けば全部大丈夫」と考えていると、葬儀や納骨、家財整理、解約手続きが残ってしまうことがあります。
関連記事:
死後事務委任契約とは?おひとりさまが知っておきたい手続きを解説
身寄りがない人の死亡後の手続きは誰がする?死後事務委任を解説
後回しにしやすいこと4|葬儀・納骨・家財整理・ペット
おひとりさま終活では、財産や法律書類だけでなく、生活まわりのことも後回しになりやすいです。
特に、亡くなった後の葬儀、納骨、家財整理、ペットのことは、周囲が困りやすい部分です。
葬儀や火葬の希望
葬儀をするのか、直葬にするのか、家族葬のように小さく行うのかを考えておきます。
希望をメモに残すだけでも役立ちますが、実際に手続きをする人がいなければ、希望どおりに進まないことがあります。
葬儀社との生前相談や、死後事務委任契約とあわせて考えることもあります。
納骨先やお墓
納骨先を決めていない場合、亡くなった後に周囲が困ることがあります。
先祖のお墓に入るのか、永代供養を選ぶのか、樹木葬や納骨堂を検討するのか、散骨を希望するのか。
希望がある場合は、費用、場所、手続き、誰が実行するのかを確認しておきましょう。
家財整理
賃貸住宅や持ち家にある家財を誰が整理するのかも大切です。
家具、衣類、通帳、写真、パソコン、スマホ、貴重品、書類、ペット用品など、亡くなった後に整理するものは多くあります。
身寄りが少ない場合、家財整理を頼める人がいないことがあります。
死後事務委任契約や家財整理業者との関係を考えておくと安心です。
ペットの引き取り先
犬や猫などのペットを飼っている方は、自分に万一のことがあった後の引き取り先を考えておく必要があります。
ペットの名前、年齢、病歴、かかりつけ動物病院、性格、食事、薬、預け先候補、飼育費用を整理しておきましょう。
「誰かが引き取ってくれるだろう」と考えていると、実際には引き取り先が見つからないことがあります。
関連記事:
葬儀や納骨を頼める人がいない場合は?死後事務委任契約を解説
おひとりさまがペットを飼っている場合の終活|万一の備えを解説
早めに進めるための順番
おひとりさま終活は、一度に全部やろうとすると重くなります。
後回しにしないためには、順番を決めて、小さく始めることが大切です。
1. 不安を書き出す
まず、自分が何に不安を感じているかを書き出します。
入院が不安なのか、認知症後のお金が不安なのか、亡くなった後の手続きが不安なのか、ペットが不安なのかを分けて考えます。
不安を分けるだけでも、次に確認すべきことが見えやすくなります。
2. 生活情報メモを作る
次に、財産、契約先、緊急連絡先、かかりつけ医、服薬情報、ペット情報などをメモにします。
最初からきれいに作る必要はありません。
ノートや紙に、思いつく範囲で書くだけでも十分です。
3. 頼れる人・頼れないことを整理する
親族、友人、知人、専門家など、誰に何を頼めそうかを整理します。
ここで大切なのは、「誰にも頼れない」と決めつけることではなく、頼めることと頼めないことを分けることです。
連絡だけなら頼める人、財産管理は難しい人、死後の手続きは頼みにくい人など、役割を分けて考えます。
4. 必要な制度を確認する
不安の内容に応じて、必要な制度を確認します。
財産の行き先を決めたいなら遺言書。
認知症後の財産管理が不安なら任意後見契約。
判断能力があるうちの支払い管理が不安なら財産管理委任契約。
亡くなった後の葬儀や解約手続きを頼みたいなら死後事務委任契約。
それぞれ役割が違うため、自分に必要なものを整理していきます。
5. 専門家に相談する
一人で整理しきれない場合は、専門家に相談することも選択肢です。
相談前に完璧な資料を用意する必要はありません。
「何が不安か」「誰に頼れそうか」「財産は大まかに何があるか」だけでも整理できていれば、次の準備が見えやすくなります。
まとめ
おひとりさま終活では、後回しにしやすいことほど、早めに確認しておくことが大切です。
特に注意したいのは、次の点です。
・緊急連絡先を誰にするか
・入院や施設入所の手続きを誰に頼むか
・預金、保険、不動産、借金、契約先を整理する
・スマホ、サブスク、ネット口座などを把握する
・財産の行き先を決めたい場合は遺言書を検討する
・認知症後の財産管理が不安なら任意後見契約を検討する
・亡くなった後の葬儀、納骨、解約、家財整理は死後事務委任契約を検討する
・ペットがいる場合は引き取り先や飼育費用を考える
・判断能力があるうちに準備する
おひとりさま終活は、不安をあおるためのものではありません。
後回しにすると困りやすいことを先に整理し、自分の希望を形にして、将来の不安を少しずつ減らすための準備です。
まずは、緊急連絡先、財産一覧、契約先、葬儀や納骨の希望、ペットのことをメモにするところから始めてみましょう。
関連記事:
おひとりさま終活で最初に作るメモとは?家族に頼れない方の整理方法を解説
おひとりさま終活チェックリスト|遺言・任意後見・死後事務の確認ポイント
おひとりさま終活でお困りの方へ
いしかわ行政書士事務所では、独身の方、子どもがいない方、身寄りが少ない方のおひとりさま終活について、遺言書、任意後見契約、財産管理委任契約、死後事務委任契約、相続手続きの整理などをサポートしています。
「終活を後回しにしてきたが、何から始めればよいか分からない」
「入院や施設入所の手続きを頼める人がいない」
「認知症になった後のお金の管理が心配」
「亡くなった後の葬儀や解約手続きを誰に頼むか決めたい」
「遺言書や死後事務委任契約が必要か確認したい」
このような場合は、早めにご相談ください。
愛知県三河地域(碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市・豊田市・半田市など)を中心に、相続・遺言・おひとりさま終活について、不安を整理しながら分かりやすくサポートいたします。
