
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
一般貨物自動車運送事業でトラックを増やすときは、車両を購入して自動車登録をすれば終わりではありません。
営業所ごとに配置する事業用自動車の数は、運送業許可の事業計画に含まれています。そのため、緑ナンバーのトラックを追加するときは、原則として運輸支局へ事業計画変更事前届出書を提出します。
ただし、すべての増車が届出で済むわけではありません。
一定規模以上の増車や、行政処分・巡回指導の状況など一定の要件に該当する場合は、届出ではなく事業計画変更認可申請が必要です。
車両の契約前に、次の4点を確認してください。
- 届出で進められる増車か
- 認可申請が必要な増車か
- 認可済み車庫へ新しい車両を収容できるか
- 登録日・納車日・運行開始日に手続きが間に合うか
運送業の増車は原則として事前届出
一般貨物自動車運送事業で、営業所に配置する事業用自動車を増やす場合は、通常、事業計画変更事前届出書を管轄運輸支局へ提出します。
増車に当たる代表的なケースは次のとおりです。
- 現在のトラックを残したまま新しい車両を追加する
- 新車や中古車を購入して緑ナンバーにする
- リース車両を新たに導入する
- 別の営業所から車両を移して配置台数を増やす
- 古い車両を残した状態で、新しい車両を先に登録する
会社全体の車両数だけでなく、営業所ごとの車種別台数を確認する点が重要です。
例えば、A営業所の車両をB営業所へ移す場合、会社全体の台数は変わりません。しかし、A営業所では減車、B営業所では増車となるため、営業所ごとの変更として整理します。
また、古いトラックを1台外して新しいトラックを1台入れる予定でも、新しい車両を先に登録して古い車両を後日売却する場合は、一時的に台数が増えます。
社内で「車両入替」と呼んでいても、手続き上は増車として確認することがあります。
通常の増車手続きでは、次のような情報や書類を準備します。
- 事業計画変更事前届出書
- 営業所別・車種別の事業用自動車数
- 増車する車両の車台番号や車種が分かる資料
- 事業用自動車等連絡書
- 自動車検査証記録事項
- 委任して手続きを行う場合の委任状
- その他、変更内容に応じて運輸支局から求められる書類
電子車検証には、所有者・使用者の住所や使用の本拠などが券面へ表示されない場合があります。電子車検証が交付されている車両は、自動車検査証記録事項も準備してください。
増車でも認可申請が必要になるケース
一般貨物自動車運送事業の増車は原則として事前届出ですが、一定の要件に該当すると認可申請へ変わります。
主なケースは次の3つです。
| 認可申請となる主なケース | 確認する内容 |
|---|---|
| 増車後も最低車両台数を下回る | 原則5両未満の営業所で、増車後も5両未満となる場合 |
| 一定規模以上の増車 | 3か月前の台数と比較し、増加台数が30%以上かつ11両以上となる場合 |
| 法令遵守が十分でないおそれがある | 行政処分の累積点数や巡回指導の評価などが一定要件に該当する場合 |
一定規模以上かどうかは、今回申請する台数だけでは判断しません。
申請日前3か月以内に増やした台数も合算し、申請日から起算して3か月前の同一営業所の台数と比較します。
| 車両数の変更例 | 基本となる取扱い |
|---|---|
| 10両から12両 | 2両増・20%のため通常は届出 |
| 10両から15両 | 5両増・50%だが増加数が10両以下のため通常は届出 |
| 37両から48両 | 11両増だが30%未満のため通常は届出 |
| 36両から47両 | 11両増・30%以上となるため認可申請 |
短期間に増車を分けて届け出ても、3か月以内の増加台数は合算して判定します。
また、次のような状況では、増車する事業者の法令遵守状況を確認するため、認可申請が必要になる場合があります。
- 変更する営業所の行政処分の累積点数が一定以上ある
- 申請前1年間の巡回指導で総合評価Eを受けている
- 許可取消しを受けた事業者との関係など、一定の欠格関係に該当する
認可申請に当たる場合は、通常の届出より審査に時間がかかります。納車日が決まってから判明すると、新しいトラックを希望日から稼働できない可能性があります。
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増車したいのに車庫が足りない場合はどうする?
増車前に必ず確認したいのが、現在認可を受けている車庫の収容能力です。
現場で空いている場所へ停められるかではなく、事業計画上の車庫へ既存車両と増車する車両を適切に収容できるかを確認します。
主な確認項目は次のとおりです。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 認可済みの収容能力 | 増車後の全車両を収容できるか |
| 新しい車両の寸法 | 長さ・幅が現在の配置計画に収まるか |
| 車両間の間隔 | 車両相互間に必要な間隔を確保できるか |
| 境界との間隔 | 車両と車庫境界との間隔を確保できるか |
| 車庫内の利用状況 | 自家用車、資材、コンテナなどが場所を占めていないか |
| 前面道路 | 新しい車両が通行・出入りできる幅員か |
| 使用権原 | 借地契約などで車庫として使用できるか |
中部運輸局の申請チェックシートでは、車両相互間および車両と車庫境界との間に、それぞれ50センチメートル以上の間隔を確保することが示されています。
認可上は車庫であっても、社用車、従業員の自家用車、資材、タイヤなどを置いている区画は、事業用トラックの収容場所としてそのまま計算できません。
大型車やワイド車を増やす場合は、台数だけでなく実際の車両寸法を使って配置図を確認します。
現在の車庫へ収まらない場合は、次のいずれかを検討します。
- 車庫内の利用方法を見直す
- 現在の車庫を拡張する
- 別の車庫を追加する
- 増車する車両の大きさを見直す
- 増車台数を分ける
新しい車庫の追加や現在の車庫の拡張は、単なる増車届ではありません。車庫の位置・収容能力を変更する事業計画変更認可が必要です。
この場合は、原則として車庫変更の認可を受け、その後に増車届、事業用自動車等連絡書、自動車登録という順番で進めます。
増車届を先に出しても、認可済み車庫へ収容できなければ、予定していた車両を稼働させることはできません。
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販売店からトラック購入を勧められたときに確認すべき手続き
販売店から条件のよいトラックを紹介され、「早く契約しないと売れてしまう」と言われることがあります。
しかし、車両を購入できることと、緑ナンバーを付けて予定日から運行できることは別です。
契約前に、販売店から次の情報を取得してください。
- 車名・型式
- 車台番号
- 初度登録年月
- 車両の長さ・幅・高さ
- 最大積載量
- 車両総重量
- 所有者・使用者
- 現在の登録番号
- 車検の有効期間
- 納車予定日
- 登録を販売店と依頼者のどちらが行うか
- ローンまたはリース利用の有無
この情報をもとに、配置する営業所、車庫の収容能力、前面道路、増車後の管理者数、届出か認可申請かを確認します。
販売店が自動車登録を担当する場合は、事業用自動車等連絡書をいつ渡すのかも決めておきます。
販売店は車両の売買や登録には詳しくても、運送会社ごとの認可済み車庫や行政処分歴までは把握していません。
「販売店が登録できると言ったから、運送業の増車も問題ない」とは限らないため、契約前に運送業側の条件を確認する必要があります。
増車で確認したい運行管理・整備管理
車両を増やすと、点呼、乗務員管理、日常点検、整備記録など、営業所で管理する対象も増えます。
増車前に次の内容を確認します。
- 増車する車両を運転する運転者が確保されているか
- 運転者の勤務時間・休日を無理なく組めるか
- 早朝・深夜を含めて点呼を実施できるか
- 増車後も必要な運行管理者数を満たすか
- 整備管理者による点検・整備体制が整っているか
- 車両台帳や点検記録を追加できるか
- 任意保険や運送保険の開始日が登録日に合っているか
事業用自動車の台数が増えた結果、必要な運行管理者数が増える場合は、運行管理者の追加選任と届出も必要です。
被けん引車は、運行管理者の必要人数を計算する車両数から除かれるため、トラクターとトレーラーを同じように数えない点にも注意してください。
増車後は、少なくとも次の社内情報を更新します。
- 車両台帳
- 車検・定期点検の予定
- 任意保険・運送保険
- ETCカード・燃料カード
- デジタルタコグラフ
- ドライブレコーダー
- 運転者への車両割当て
- 点呼・運行日報の管理情報
増車手続きから緑ナンバー登録までの流れ
増車は、車両の契約、運送業側の届出、自動車登録を一つの予定として組み立てます。
基本的な流れは次のとおりです。
- 現在の営業所別・車種別台数を確認する
- 増車する車両の情報を取得する
- 配置する営業所と車庫を決める
- 認可済み車庫の収容能力を確認する
- 通常の届出か認可申請かを判定する
- 運行管理者・整備管理者の体制を確認する
- 運輸支局へ届出または認可申請を行う
- 事業用自動車等連絡書を取得する
- 自動車検査登録事務所で登録・緑ナンバーの手続きを行う
- 保険・車両台帳・点検予定などを更新する
- 運行開始前の点検と運転者への説明を行う
通常の事前届出で進められる場合でも、提出しただけで新しい車両を運行できるわけではありません。
事業用自動車等連絡書を登録手続きへ使用し、緑ナンバーを取り付け、保険や車両管理を整えてから運行を開始します。
登録時に封印が必要な車両では、販売店、登録を担当する行政書士、封印を行う者との日程調整も必要です。
増車前に車両・車庫・登録日をまとめて確認したい方へ
増車手続きでは、車両だけでなく、認可済み車庫、過去3か月の増車数、管理者数、納車日まで確認しなければなりません。
特に、短期間に複数台を増やす場合、車庫に余裕がない場合、大型車を追加する場合は、自社だけで届出か認可申請かを判断しにくくなります。
いしかわ行政書士事務所では、現在の事業計画、新しい車両、車庫、管理体制、登録予定日を確認し、増車に必要な手続きと順番を整理します。
碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、三河地域・愛知県内の運送会社からのご相談に対応しています。
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よくある質問
- Qトラックを1台増やすだけでも届出が必要ですか?
- A
必要です。営業所に配置する事業用自動車の数は事業計画に含まれるため、通常は増車前に事業計画変更事前届出書を提出します。
- Q増車はすべて事前届出で進められますか?
- A
いいえ。増車後も最低車両台数を下回る場合、一定規模以上の増車となる場合、行政処分や巡回指導の状況が一定要件に該当する場合などは、認可申請が必要です。
- Q増車を数回に分ければ認可申請を避けられますか?
- A
避けられるとは限りません。一定規模以上の増車かどうかは、今回の増車数と申請日前3か月以内に増やした台数を合算して判定します。
- Q車庫に空きがあれば増車できますか?
- A
現場で空いているだけでは判断できません。認可済みの収容能力、新しい車両の寸法、車両相互間と境界との間隔、車庫内の資材や自家用車の状況を確認します。
- Q新しい車庫を借りれば、すぐに増車できますか?
- A
借りただけでは使用できません。車庫の追加について事業計画変更認可を受け、その後に増車届と車両登録を進めるのが基本です。
- Q古いトラックを後で売却する場合は車両入替ですか?
- A
新しいトラックを先に登録し、古いトラックを残している期間があれば、一時的に車両数が増えるため増車として確認します。
- Q増車届を提出すれば、その日から運行できますか?
- A
増車届だけでは運行できません。事業用自動車等連絡書を使用して登録し、緑ナンバー、保険、車両台帳、点検などを整えてから運行を開始します。
まとめ
一般貨物自動車運送事業でトラックを増やす場合は、通常、運輸支局へ事業計画変更事前届出書を提出します。
ただし、次の場合は認可申請が必要になることがあります。
- 増車後も原則5両未満となる
- 3か月以内の増加台数が、3か月前の台数の30%以上かつ11両以上となる
- 行政処分の累積点数や巡回指導の評価などが一定要件に該当する
また、増車できるかどうかは車両だけでは決まりません。
- 認可済み車庫へ収容できるか
- 新しい車両が前面道路を通行できるか
- 必要な運行管理者数を満たすか
- 事業用自動車等連絡書を登録日までに準備できるか
- 納車日から無理なく運行を開始できるか
これらを車両の契約前に確認します。
車庫が足りなければ、先に車庫追加・拡張の認可が必要です。手続きの順番を誤ると、購入した車両を予定日から稼働できません。
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増車では、新しい車両を購入できても、認可済み車庫へ収容できなかったり、認可申請が必要で登録日に間に合わなかったりすることがあります。
いしかわ行政書士事務所では、現在の車両数と認可内容、新しい車両、車庫、管理者数、納車予定日を確認し、届出・認可申請・事業用自動車等連絡書・登録までの順番を整理します。
社長・担当者が販売店や運輸支局へ何度も確認し直さなくて済むよう、実際に車両を稼働させる日まで見通してご案内します。
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出典
中部運輸局「様式(申請・届出・報告)|貨物自動車運送事業(緑ナンバー)」、e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法施行規則」、近畿運輸局「一般貨物自動車運送事業の増車・減車に関する認可申請」、国土交通省東北運輸局「増減車手続きに関するお知らせ」
この記事は、2026年8月時点の貨物自動車運送事業法施行規則、増減車に関する認可基準、中部運輸局の様式・申請資料をもとに作成しています。認可基準、必要書類、オンライン申請などの運用が変更された場合は、記事内容を見直してください。
