自分が亡くなった後、持ち家は誰が管理する?今からできる備え

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

自宅の管理は、亡くなった瞬間に止まる

一人暮らしで持ち家がある方から、こんな不安をよく伺います。

「自分が亡くなったら、この家は誰が見てくれるんだろう」

結論からお伝えすると、持ち家の管理は、亡くなった時点で自動的に誰かが引き継いでくれるわけではありません。

相続人がいれば最終的にはその人が管理することになりますが、亡くなった直後から相続人が動き出すまでの間には、必ず空白の期間が生まれます。

その間、家は誰も手を付けない状態で放置されます。郵便物がたまり、雑草が伸び、水道やガスの契約はそのままになります。

誰が管理することになるのか

自宅の管理を最終的に引き継ぐのは、法律上は相続人です。ここで整理しておきたいのが、次の2つの場合です。

相続人がいる場合 兄弟姉妹や甥姪など、相続人にあたる人が自宅を含めた財産を引き継ぎます。ただし、相続人が遠方に住んでいる、疎遠になっている、複数人いて話がまとまらないといった事情があると、実際に管理が始まるまでに時間がかかります。

相続人がいない、または相続人が管理できない場合 相続人がいない場合や、相続人全員が管理を望まない場合は、家庭裁判所が選任する相続財産清算人が財産を管理することになります。ただし、この手続きが始まるまでにも時間がかかり、その間は自宅が誰にも管理されない状態が続きます。

空白期間に何が起こるか

管理者が決まるまでの空白期間、自宅では次のようなことが起こります。

  • 雨漏りや設備の劣化に誰も対応しない
  • 庭木や雑草が伸び、近隣とのトラブルにつながる
  • 固定資産税や管理費の支払いが止まる
  • 空き家として近隣に迷惑をかける状態になる
  • 貴重品や重要書類の所在が分からなくなる

「そのうち誰かが何とかしてくれる」という状態は、実際には数か月から数年単位で続くことがあります。特に相続人が遠方にいる場合や、相続人同士の関係が良くない場合は、この空白がさらに長引く傾向があります。

今からできる備え

持ち家の管理を空白にしないために、生前にできる備えは主に3つあります。

1. 誰に管理を頼むかを決めておく

相続人がいる場合は、自宅をどうしてほしいか(住む・売る・貸す)を伝えておくだけでも、相続人が動き出すスピードは変わります。相続人がいない、または頼れる親族がいない場合は、親族以外の第三者に管理や処分を託す方法も検討できます。

2. 死後事務委任契約で当面の対応を託す

死後事務委任契約を結んでおくと、亡くなった直後の自宅の施錠確認や、電気・ガス・水道の解約といった当面の事務を、契約した相手に依頼できます。相続人が動き出す前の空白期間を埋める役割を果たします。

3. 遺言書で自宅の行き先を決めておく

自宅を誰に引き継いでもらうか、売却してよいかなどを遺言書に残しておくと、相続人や関係者が迷わずに動けます。特に相続人が兄弟姉妹や甥姪にあたる場合、遺言がないと自宅の扱いを決めるまでに時間がかかりやすい傾向があります。

よくある疑問

Q. 認知症になった場合の管理はどう考えればいいですか?

死後の管理とは別に、生きている間に判断能力が低下した場合の備えも必要です。この場合は任意後見契約を結んでおくことで、判断能力が低下した後の自宅や財産の管理を、あらかじめ決めた人に任せられます。死後の備え(死後事務委任契約・遺言書)と、生前の備え(任意後見契約)は役割が違うため、両方を組み合わせて考えることをおすすめします。

Q. 誰にも頼める人がいない場合はどうすればいいですか?

親族が近くにいない、疎遠であるという方は少なくありません。その場合は、行政書士などの専門家と死後事務委任契約や見守り契約を結び、日頃の安否確認から死後の当面の対応までを依頼する形が考えられます。

まとめ

持ち家の管理は、亡くなった瞬間に自動的に引き継がれるものではなく、相続人が動き出すまでの空白期間が必ず生まれます。

この空白を短くするには、「誰に管理を頼むか」「当面の事務を誰に託すか」「自宅をどうしてほしいか」の3点を、今のうちに決めておくことが大切です。

まずは自宅の名義や相続人が誰にあたるかを確認するところから始めてみてください。

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