おひとりさまの持ち家を空き家にしないために決めておきたいこと

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

一人暮らしで持ち家がある方の中には、「自分が亡くなった後、この家はどうなるのだろう」と不安を感じている方もいるでしょう。

持ち家は、所有者が亡くなったからといって自動的に売却されたり、誰かが片付けたりするわけではありません。

入院や施設入所によって住まなくなる場合も含め、何も決めていなければ、管理する人が決まらないまま空き家になる可能性があります。

空き家にしないために必要なのは、家をどうするかだけでなく、誰が手続きを行い、必要な情報や費用をどのように引き継ぐかまで決めておくことです。

空き家にしないために決めるのは「家の行き先」だけではありません

持ち家について最初に考えるのは、「残す」「売る」「貸す」といった将来の方針です。

しかし、方針だけをメモに残しても、実際に動く人が決まっていなければ手続きは進みません。

空き家にしないためには、少なくとも次の5点を整理しておく必要があります。

  • 自宅を最終的にどうしたいか
  • 入院や施設入所後に誰が管理するか
  • 亡くなった後に誰が自宅を引き継ぐか
  • 売却、片付け、契約解除などを誰が行うか
  • 鍵、書類、連絡先、費用をどのように引き継ぐか

すべてを今すぐ確定する必要はありません。

ただし、「そのとき親族が考えてくれるだろう」と何も伝えずにいることは、対策にはなりません。

親族がいたとしても、自宅の所在地、権利関係、家財の状況、本人の希望が分からなければ、すぐには動けないためです。

まず自宅をいつまで使うのか決めておく

おひとりさまの持ち家が空き家になるのは、亡くなった後だけではありません。

長期入院や施設入所によって自宅へ戻らなくなり、そのまま空き家になるケースもあります。

そのため、次のような場面を想定しておきます。

短期間の入院で自宅へ戻る予定がある場合

郵便物の確認、庭の手入れ、換気、台風後の確認などを頼める人を決めておきます。

合鍵を誰に預けるのかも、本人が元気なうちに決めておく必要があります。

施設へ入所し、自宅へ戻る予定がない場合

売却するのか、一定期間残すのか、親族などへ引き継ぐのかを考えます。

施設費用に充てるため自宅を売却したい場合でも、本人の判断能力が低下した後では、自分だけで契約を進めることが難しくなる可能性があります。

亡くなった後の場合

自宅を誰に引き継いでもらうか、売却して代金を渡すのか、家財をどうするのかを決めます。

相続人がいる場合でも、その人が自宅を欲しいとは限りません。

自宅を引き継いでもらいたい人がいるなら、本人へ事前に相談し、負担も含めて確認しておくことが大切です。

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自宅の方針と「実際に動く人」をセットで決める

「亡くなったら家を売ってほしい」と書いたメモだけでは、売却手続きが自動的に始まるわけではありません。

誰が相続手続きを行い、誰が不動産会社へ連絡し、家財を片付けるのかを分けて考える必要があります。

自宅を引き継ぐ人

自宅を所有する人です。

遺言書がない場合は、法律上の相続人が相続について話し合うことになります。

疎遠な兄弟姉妹や、会ったことのない甥や姪が相続人になる可能性もあるため、自分の相続人を事前に確認しておきます。

遺言の内容を実現する人

遺言書を作成する場合は、遺言執行者を指定する方法があります。

遺言執行者は、遺言内容を実現するための相続手続きを進める人です。

ただし、遺言執行者を決めただけで、家の換気、庭の手入れ、家財の片付け、公共料金の解約など、すべての日常的な作業まで任せられるとは限りません。

自宅の片付けや死後の手続きを行う人

家財整理、公共料金の解約、鍵の引渡しなどを依頼したい場合は、死後事務委任契約などで依頼内容を整理する方法があります。

実際の片付けや不動産管理は、専門事業者や不動産会社などへ依頼することもあります。

大切なのは、遺言書を作ればすべて解決すると考えず、相続手続きと、実際の管理・片付けを分けて準備することです。

鍵・書類・連絡先・費用を残しておく

担当する人を決めても、必要な情報が見つからなければ手続きは止まります。

次の内容を一覧にして、保管場所を伝えておきます。

  • 自宅の所在地
  • 土地と建物の名義
  • 登記識別情報通知などの不動産関係書類
  • 固定資産税の納税通知書
  • 住宅ローンの有無
  • 火災保険や地震保険の内容
  • マンションの場合は管理会社と管理組合の連絡先
  • 自宅や門、物置などの鍵の保管場所
  • 電気、ガス、水道、インターネットなどの契約先
  • 不動産会社や片付け業者の候補
  • 自宅の管理や片付けに使う費用

書類を一か所にまとめても、その場所を誰も知らなければ見つけてもらえません。

一方で、通帳、印鑑、暗証番号などを一つの箱にまとめて、誰でも開けられる状態にすることも危険です。

何を保管しているかを一覧にし、信頼できる人へ保管場所だけを伝える方法が現実的です。

また、自宅を売却するまでには、固定資産税、管理費、保険料、片付け費用などが必要になることがあります。

誰が一時的に支払うのか、どの財産から費用を出すのかも整理しておきます。

よくあるのは「希望だけ決めて実行方法を決めていない」ケースです

持ち家の終活では、次のような準備不足が起こりやすくなります。

「自宅は甥に任せる」とだけメモしている

甥が自宅を引き継ぐ意思を持っているとは限りません。

遠方に住んでいる場合や、老朽化した家である場合は、管理や売却を負担に感じる可能性もあります。

本人へ事前に話し、引き受けられるか確認する必要があります。

遺言書はあるが、自宅の片付けをする人がいない

遺言書で自宅の相続先を決めても、家財の処分方法や公共料金の解約まで具体的に決まっているとは限りません。

相続の準備と死後の生活上の手続きを別々に整理します。

家を売るつもりだが、判断能力が低下した場合を考えていない

本人が元気であれば、自分で不動産会社と契約できます。

しかし、認知症などにより契約内容を判断できなくなった後では、本人の希望だけで売却を進められない場合があります。

亡くなった後だけでなく、生前に自宅を管理できなくなった場合も考えておく必要があります。

不動産会社だけ決めて安心している

不動産会社は売却や賃貸の相談先ですが、相続人の確認、遺言書、死後事務、家財整理などをすべて一社で行うわけではありません。

行政書士、司法書士、不動産会社、片付け事業者など、それぞれの役割を整理しておきます。

まだ売るか残すか決められなくても準備はできます

長年暮らしてきた自宅をどうするか、すぐに決められない方もいます。

その場合は、結論を急ぐ必要はありません。

まずは次の項目だけでも整理しておきます。

  • 自宅の名義を確認する
  • 自分の相続人を確認する
  • 不動産関係書類をまとめる
  • 鍵を預けられる人を考える
  • 入院中の管理を頼める人を考える
  • 自宅を引き継いでほしい人へ相談する
  • 売却した場合のおおよその見込みを確認する

「今は住み続けたい」という希望と、「将来は空き家にしたくない」という準備は両立できます。

元気なうちに選択肢を整理しておけば、入院や施設入所が急に決まった場合でも、慌てて自宅を処分する必要がなくなります。

まとめ

おひとりさまの持ち家を空き家にしないためには、単に「売る」「残す」と決めるだけでは足りません。

次の内容をセットで決めておくことが重要です。

  • 自宅を最終的にどうするか
  • 入院や施設入所後に誰が管理するか
  • 亡くなった後に誰が自宅を引き継ぐか
  • 相続手続きや売却を誰が進めるか
  • 鍵、書類、連絡先、費用をどう引き継ぐか

遺言書は、自宅を誰に引き継ぐかを決めるために役立ちます。

一方、家財の片付け、公共料金の解約、鍵の管理などは、死後事務や専門事業者との連携を別に考える必要があります。

すべてを一度に決めるのではなく、まずは自宅の名義、相続人、書類の保管場所から確認してみましょう。

おひとりさまの自宅・土地の終活について

いしかわ行政書士事務所では、愛知県三河地域(碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市など)を中心に、おひとりさまの自宅や土地に関する終活相談に対応しています。

自宅を誰に残すか、遺言書にどのように記載するか、死後の手続きを誰に頼むかなど、現在の状況と希望を整理します。

遺言書や契約書の作成を行い、実際の不動産売却、家財整理、自宅管理などが必要な場合は、対応する専門家や事業者へつなぐ形で進めます。

「何を依頼するか決まっていない」という段階でも、必要な準備と相談先を整理できます。

おひとりさま終活をご検討中の方や、まずは相談してみたい方は、料金やご依頼の流れなどをまとめた「おひとりさま終活のご依頼案内」もご覧ください。

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