相続人が複数いる車をどうする?1人が乗る・売る場合は誰の名義にする?

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

親が亡くなり、車が残った。

相続人は母と兄弟3人。

でも、実際に車へ乗るのは自分だけ。

このような場合、

「乗る人の名義にすればいい?」

「相続人全員の共同名義にする?」

「売るなら誰の名義にしてから売る?」

と迷うことがあります。

普通車の相続では、相続人が複数いる場合でも、必ず全員の共同名義にする必要はありません。

相続人間で話し合い、

1人が車を相続する

と決めて、その人の名義へ変更する方法があります。

一方、相続人全員で共同相続することも可能です。

大切なのは、

誰が乗るのか。

誰が車を取得するのか。

今後売るのか。

を分けて考えることです。

まず相続人が誰かを確認する

最初に確認するのは、車を使いたい人ではなく、亡くなった人の相続人です。

たとえば父が亡くなり、

妻。

長男。

長女。

がいる場合、配偶者と子が相続人になるのが一般的です。

ただし、

子が先に亡くなっている。

子や兄弟姉妹に代襲相続がある。

相続放棄をしている人がいる。

遺言書がある。

などによって確認内容は変わります。

車だけを見て、

「兄弟の中で自分しか乗らないから自分の車」

と決めるのではなく、まず相続関係を確認します。

相続人が複数でも1人の名義にできる

愛知運輸支局の相続手続案内では、

単独相続

と

共同相続

が分けて案内されています。

単独相続とは、遺産分割協議書などによって、相続人のうち1人が車を相続する方法です。

共同相続は、相続人全員が共同で車を相続する方法です。

たとえば、

母・長男・長女が相続人。

長男が車を使い続ける。

という場合、

相続人間で協議して、

車は長男が相続する

と決めれば、長男の単独名義へ変更する方法があります。

1人が乗るならその人が相続する方法が分かりやすい

今後1人だけが継続して車を使うのであれば、その人が車を相続する形は管理しやすい方法の一つです。

たとえば長男が相続すれば、その後、

車検を受ける。

住所変更をする。

売却する。

廃車にする。

買い替える。

といったときも、所有者である長男を基準に手続きを進められます。

もちろん、

実際に乗る人=所有者

でなければならないわけではありません。

ただ、他の相続人が所有者になり、自分が使用者になる特別な理由がなければ、

今後その車を使用・管理する人が相続する

形をまず検討すると整理しやすくなります。

共同名義にすることもできる

相続人全員で車を相続することもできます。

たとえば、

母2分の1。

長男4分の1。

長女4分の1。

というように共有する方法です。

ただし、

車を実際に使うのは長男だけ

という場合には、本当に共同名義にする必要があるかを考えます。

共同名義にすると後の売却でも調整が必要になる

車を共有すると、将来売却するときにも共有者が関係します。

1人が自由に、

「もう使わないから売ろう」

と処分できる状態とは違います。

今後1人が継続して使用し、将来の処分もその人へ任せる予定なら、遺産分割でその人が単独取得する方法と比較して決めます。

1人が相続するなら遺産分割協議書を確認する

相続人が複数いて、そのうち1人が普通車を相続する場合には、遺産分割協議書などが関係します。

愛知運輸支局が公開している自動車用の遺産分割協議書も、

相続人間で協議した結果、

「当該自動車を○○が相続することになりました」

という内容です。

通常は、相続人全員が実印を押印して、誰が車を取得するのかを明確にします。

そのため、

乗る本人だけが書類を用意すれば終わる

とは限りません。

査定価格100万円以下なら使える書類が変わることがある

普通車では、相続する車の査定価格が100万円以下であることを確認できる場合、一定の条件で「遺産分割協議成立申立書」を利用できることがあります。

通常の遺産分割協議書とは別の書式です。

ただし、

100万円以下なら他の相続人の同意が不要。

100万円以下なら勝手に自分名義にできる。

という制度ではありません。

遺産分割協議が成立していることが前提です。

そのうえで、査定証など100万円以下であることを確認できる資料を添付して利用します。

1人が乗る場合は使用場所も確認する

誰が車を相続するか決まったら、次に、

その人がどこで車を使うのか

を確認します。

たとえば、

亡くなった父
→西尾市

車を相続する長男
→安城市

という場合です。

この場合は、相続による名義変更だけでなく、

新しい使用の本拠。

新しい保管場所。

車庫証明。

ナンバー管轄。

も確認します。

親と同居していた場合は条件が変わる

亡くなった親と相続する人が同居していて、

使用の本拠。

駐車場。

ナンバー管轄。

が変わらない場合もあります。

愛知運輸支局は、車検証上の使用の本拠の位置と新使用者の住所が同じ場合には、相続登録時の車庫証明が不要となる場合を案内しています。

誰が相続するかだけでなく、

相続後に車をどこで使用するか

まで確認します。

1人が売りたい場合も先に誰が取得するか決める

相続人は複数いるものの、

誰も車には乗らない。

1人が代表して売却したい。

という場合もあります。

この場合も、まず相続関係を整理します。

たとえば、

相続人
→母・長男・長女

遺産分割
→長男が車を取得

その後
→長男から買取会社へ売却

という方法があります。

売るためだけなら一度その人名義にするとは限らない

売却の場合は、必ず、

故人
→長男

へ一度車検証を書き換え、

その後、

長男
→買取会社

ともう一度変更しなければならないとは限りません。

普通車では、

相続と第三者への名義変更を同時に申請する方法

があります。

そのため売却先が決まっているなら、

誰が車を相続・処分するのかを決める。

相続書類を揃える。

そのまま第三者への名義変更まで進める。

という方法を確認できます。

「売るために、とりあえず自分名義へ変える」

と先に決めず、最終的な処分方法から手続きを考えます。

売却代金を誰が受け取るかは登録とは別に整理する

車の登録上、

長男が相続して売却する

ことになったとしても、相続財産全体の分け方は別の問題です。

たとえば車を長男が取得する代わりに、

預貯金は別の相続人が多く取得する。

売却代金を含めて遺産分割する。

といった決め方もあります。

自動車登録で誰を所有者にするかだけで、遺産全体の分け方が決まるわけではありません。

相続財産全体については、遺産分割の内容に沿って整理します。

相続人に未成年者がいる場合は注意する

相続人の中に未成年者がいる場合は、通常の成人だけの遺産分割とは違う確認が必要になることがあります。

特に、

親も相続人。

その子も相続人。

となり、親と子の利益が対立する遺産分割を行う場合には、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要になることがあります。

愛知運輸支局の相続案内でも、未成年者がいる場合の親権者の代理や利益相反について注意するよう案内しています。

相続人の人数だけでなく、

未成年者がいるか。

相続放棄をした人がいるか。

遺言書があるか。

も確認します。

軽自動車は普通車と手続きが違う

相続した車が軽自動車の場合は、普通車の遺産分割協議書の手続きをそのまま当てはめないようにします。

軽自動車検査協会では、相続による名義変更について、

亡くなった所有者の死亡。

新しい所有者がその人の相続人であること。

を確認できる戸籍謄本等または法定相続情報一覧図を案内しています。

普通車か軽自動車かで必要書類・窓口が変わるため、車検証で確認してから進めます。

複数の相続人がいる場合はこの順で決める

相続人が複数いる車は、次の順で整理すると分かりやすくなります。

1.車検証上の所有者を確認する

2.相続人が誰か確認する

3.今後その車に誰か乗るか決める

4.1人が乗るなら、その人が車を相続するか話し合う

5.誰も乗らないなら、売る・廃車のどちらにするか決める

6.車を取得・処分する相続人を決める

7.単独相続か共同相続かを決める

8.遺産分割協議書など必要書類を確認する

9.乗る場合は車庫証明・ナンバーも確認する

10.売る場合は相続と第三者への名義変更を同時にできるか確認する

先に必要書類を集めるのではなく、

この車を最終的に誰がどうするのか

から決めます。

結論|1人が乗るなら「その人が相続するか」を先に決める

相続人が複数いても、車を必ず全員の共同名義にする必要はありません。

1人が今後乗るのであれば、相続人間で話し合って、その人が車を単独で相続する方法があります。

誰も乗らず1人が代表して売る場合も、

誰が車を取得・処分するのか

を先に整理します。

そして売却先が決まっている場合は、相続と第三者への名義変更を同時に進められることもあります。

つまり、

相続人が複数いる
→全員名義にする

でも、

乗る人がいる
→勝手にその人名義にする

でもありません。

まず、

相続人は誰か。

誰が乗るのか。

誰が車を取得するのか。

売るのか。

を決めます。

その結論に合わせて、単独相続・共同相続・売却の手続きを選ぶのが分かりやすい進め方です。

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相続人が複数いる車の名義変更も確認します

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、自動車の相続による名義変更に対応しています。

相続人が複数いる。

自分1人が車に乗りたい。

誰の名義にすればよいか分からない。

売却するために誰が相続すればよいか確認したい。

遺産分割協議書の書類を整理したい。

という場合も、現在の車検証と相続関係、今後の車の使い方から必要な手続きを整理します。

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出典

中部運輸局|相続(所有者の死亡)による登録、中部運輸局 愛知運輸支局|遺産分割協議書、軽自動車検査協会|名義変更(売買・譲渡・その他)

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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