運送業許可の法令試験とは?受験時期・内容・落ちた場合の対処

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

「法令試験は、許可申請前に受けられるのか」

「社長本人が受けなければならないのか」

「不合格になったら、運送業を始められなくなるのか」

一般貨物自動車運送事業の許可申請では、申請書の審査とは別に、申請者本人または法人の常勤役員が法令試験を受けます。

運行管理者試験とは別の試験であり、運行管理者資格を持っている人でも免除されるわけではありません。

特に注意したいのは、試験を受けられる回数が原則2回までである点です。2回目も合格できなければ、許可申請は却下の対象になります。

結論|申請後に1名が受験し、30問中24問以上で合格

中部運輸局が実施する一般貨物自動車運送事業の法令試験は、次の内容で行われます。

項目中部運輸局の取扱い
受験時期許可申請が受理された月の翌月以降
実施頻度隔月
受験者1申請につき1名
法人の場合許可後に運送事業へ専従する常勤役員
個人の場合申請者本人
出題数30問
試験時間50分
出題形式○×方式・語群選択方式
合格基準8割以上(30問中24問以上)
資料の持込み不可
条文集試験会場で配布
不合格の場合翌々月に1回だけ再試験
再試験も不合格申請の却下対象

法令試験だけを先に申し込む制度ではありません。一般貨物自動車運送事業の許可申請などが受理された後、対象者へ試験日時・会場が通知されます。

そのため、法令試験に合格してから営業所や車庫を探すという順番では進められません。施設・車両・人員・資金を計画して許可申請を行い、その審査中に試験を受けます。

法令試験を受ける人と、受験が必要になる手続き

法人で申請する場合、従業員や行政書士が代わりに受験することはできません。

受験できるのは、許可または認可を受けた後、その運送事業へ専従する常勤役員1名です。代表取締役でなければならないとは限りませんが、名義だけの非常勤役員は対象になりません。

個人事業主として申請する場合は、申請者本人が受験します。

法令試験の対象となる主な申請は次のとおりです。

  • 一般貨物自動車運送事業の新規経営許可
  • 一般貨物自動車運送事業の譲渡・譲受
  • 法人の合併・分割
  • 事業の相続
  • 特定貨物自動車運送事業の新規経営許可
  • 特定貨物自動車運送事業の譲渡・譲受、合併・分割、相続

ただし、合併・分割後も、すでに一般貨物自動車運送事業の許可を持つ事業者が存続する場合など、試験対象から除かれるケースがあります。

一方、通常の増車・減車、車両入替、役員変更、事業報告書の提出など、許可後のすべての手続きで法令試験を受けるわけではありません。

自社の手続きが次のどちらに該当するかで判断します。

自社の状況基本的な判断
新たに運送業許可を取得する法令試験の対象
許可を持たない法人が事業を譲り受ける法令試験の対象
個人事業を法人へ譲渡する譲渡譲受認可と法令試験を検討
許可会社同士の合併・分割存続会社などの条件により変わる
許可後に車両を増減する通常は法令試験の対象外
役員や運行管理者を変更する通常は法令試験の対象外

法令試験の受験時期|令和8年度の中部運輸局の日程

中部運輸局の令和8年度法令試験は、次の日程で実施されます。

試験日試験時間
令和8年5月21日14時~14時50分
令和8年7月15日14時~14時50分
令和8年9月17日14時~14時50分
令和8年11月18日14時~14時50分
令和9年1月20日14時~14時50分
令和9年3月17日14時~14時50分

受付時間は13時30分から13時50分まで、会場は許可等の申請先となる運輸支局です。

愛知県内に営業所を置く申請の場合は、原則として愛知運輸支局が申請先・試験会場になります。ただし、最終的な日時・場所は、中部運輸局から送られる通知書で確認してください。

試験日を自由に選択して申し込む制度ではなく、申請の受付時期に応じて受験日が指定されます。

例えば、令和8年8月に許可申請が受理され、9月17日の試験対象として通知された場合は、次のような流れになります。

  1. 8月に許可申請が受理される
  2. 中部運輸局から試験日時・会場の通知が届く
  3. 9月17日に初回試験を受験する
  4. 合格すれば、その後も許可審査が進む
  5. 不合格の場合は、原則として11月18日に再試験を受ける
  6. 再試験も不合格の場合は、申請が却下の対象になる

初回不合格になると、再試験まで約2か月必要です。その間に営業所や車庫の賃料、車両の確保費用などが発生する場合もあるため、試験対策は申請書の提出後ではなく、申請準備中から始めておく方が安全です。

出題範囲と試験内容

出題されるのは、試験実施日に施行されている法令です。

中部運輸局の公示では、次の法令などが出題範囲とされています。

  • 貨物自動車運送事業法
  • 貨物自動車運送事業法施行規則
  • 貨物自動車運送事業輸送安全規則
  • 貨物自動車運送事業報告規則
  • 自動車事故報告規則
  • 道路運送法
  • 道路運送車両法
  • 道路交通法
  • 労働基準法
  • 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
  • 労働安全衛生法
  • 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
  • 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律

令和8年7月15日の試験では、次のような分野から出題されています。

  • 一般貨物自動車運送事業の定義
  • 運輸開始や変更に関する届出
  • 運行管理者の選任
  • 点呼の方法
  • 運行指示書
  • 事故記録の保存
  • 事業報告書の提出期限
  • 運転者台帳
  • 過労運転の防止
  • 改善基準告示による拘束時間・休息期間・連続運転時間
  • 交通事故発生時の措置
  • 荷主との取引に関係する法令

法令の条文を暗記するだけではなく、「誰が」「いつまでに」「何をするか」を区別できるようにする必要があります。

例えば、次のような数字は混同しやすい部分です。

  • 事業報告書は事業年度終了後100日以内
  • 事業実績報告書は毎年7月10日まで
  • 変更登録は変更から15日以内
  • 事故記録は営業所で3年間保存
  • 合格基準は30問中24問以上

試験会場では条文集が配布されますが、持ち込んだ資料を使用することはできません。配布される条文集へ書き込むこともできず、試験終了後に回収されます。

したがって、事前学習では、答えを暗記するだけでなく、条文集のどこを見れば確認できるかまで練習することが大切です。

法令試験に落ちた場合の対処

初回試験で合格基準に達しなかった場合は、翌々月に1回だけ再試験を受けられます。

再試験に合格すれば、そのまま許可審査を進められます。ただし、再試験までの期間が加わるため、許可予定日や運輸開始予定日は後ろにずれる可能性があります。

再試験も不合格になった場合は、許可申請が却下の対象になります。却下前に申請者から取下げの願い出をすることもできますが、どちらの場合でも、その申請によって許可を受けることはできません。

改めて許可を取得するには、原因を整理したうえで再申請することになります。

初回で不合格になった場合は、すぐに次の対応を行います。

  1. 間違えた分野を、過去問題と公示された出題範囲から分類する
  2. 貨物自動車運送事業法・施行規則・輸送安全規則を優先して復習する
  3. 届出期限、保存期間、拘束時間などの数字を別に整理する
  4. 条文集から根拠を探す練習をする
  5. 再試験日を基準に、車両納車や雇用開始の予定を見直す

不合格の原因が単純な知識不足とは限りません。条文を探すのに時間がかかり、30問を解き終えられなかった場合は、条文検索の練習を増やす必要があります。

問題文の「できる」「しなければならない」「あらかじめ」「遅滞なく」などを読み落とした場合は、○×を判断する前に、主体・期限・義務か任意かを線引きする練習が有効です。

自社で確認する法令試験対策の順番

法令試験は、運送業の実際の管理にも関係する内容です。

試験合格だけを目的に丸暗記すると、許可後の点呼、運行管理、帳票保存、変更届などで判断できなくなる可能性があります。

次の順番で準備すると、試験対策と許可後管理をつなげやすくなります。

準備の順番行うこと
1.受験者の決定法人は許可後に事業へ専従する常勤役員1名を決める
2.日程の確認申請予定月から初回試験日を確認する
3.出題範囲の確認中部運輸局の最新公示で対象法令を確認する
4.過去問題を解くまず時間を計らず、根拠条文を探しながら解く
5.間違いを分類する期限、管理者、点呼、事故、労働時間などに分ける
6.時間を計って解く50分で30問を処理する練習をする
7.直前確認最新の法改正と試験通知書、本人確認書類を確認する

中部運輸局は、過去の試験問題と解答を公式サイトで公開しています。市販教材だけに頼らず、まず中部運輸局の問題形式と出題内容を確認することが基本です。

試験当日は、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、受験者本人であることを確認できる書類と筆記用具を持参します。

受験者が通知された役員と異なる、本人確認ができない、受付時間に間に合わないといった事態を防ぐため、通知書は受験者本人と申請担当者の両方で確認しておきましょう。

まとめ|申請準備と同時に法令試験対策を始める

運送業許可の法令試験は、許可申請後に、個人事業主本人または法人の専従常勤役員1名が受験します。

中部運輸局では30問・50分で実施され、24問以上の正解が必要です。

初回で不合格になっても、翌々月に1回だけ再試験を受けられます。ただし、再試験も不合格になれば申請が却下の対象となり、開業計画を立て直さなければなりません。

申請を提出してから慌てて勉強を始めるのではなく、次の3点を早めに決めてください。

  • 誰が受験するか
  • 申請予定月から見た試験日はいつか
  • 過去問題で不足している分野はどこか

これにより、法令試験による許可の遅れや、車両・人員を先に確保したまま開業できない状況を防ぎやすくなります。

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運送業許可・法令試験のご相談

「どの役員を受験者にすればよいか決まらない」「申請予定月から見て、いつ試験になるのか知りたい」「許可申請と試験対策を並行して進めたい」という場合は、申請前に全体の日程を整理する必要があります。

いしかわ行政書士事務所では、三河地域・愛知県内を中心に、一般貨物自動車運送事業の許可要件確認、申請書類の作成、法令試験の日程・出題範囲のご案内、許可後の運輸開始手続きを承っています。

元大型ドライバーの行政書士が、書類上の許可要件だけでなく、車両の確保、管理者の配置、運輸開始までの実際の順番を踏まえて整理します。

ご相談の際は、次の内容をお伝えください。

  • 法人・個人のどちらで申請するか
  • 受験予定者の役職と勤務状況
  • 許可申請の予定月
  • 運輸を開始したい時期
  • 車両・営業所・車庫・管理者の準備状況

申請後に試験日を知って慌てることがないよう、許可申請の準備段階からご相談ください。

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出典

情報確認日:2026年8月

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