この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
建設会社が、
「自社工事だけでなく、元請や他社の資材・重機も運びたい」
「運搬だけの仕事も受けたい」
と考えるなら、一般貨物自動車運送事業の許可を検討します。
ただし、今使っているダンプやトラックがあるから、そのまま緑ナンバーへ変えれば始められるわけではありません。
許可では主に、
- 営業所
- 車庫
- 車両
- 運転者
- 運行管理者
- 整備管理者
- 休憩・睡眠施設
- 資金
- 法令遵守
- 法令試験
などを確認します。
建設会社の場合は特に、
今の事務所・資材置場・車庫・ダンプを、そのまま運送業の営業所・車庫・車両として使えるか
を最初に確認したほうが進めやすくなります。
まず「運送業許可を取る段階か」を確認する
他社の荷物を運ぶからといって、すべて一般貨物自動車運送事業になるわけではありません。
自社が請け負った建設工事と運搬が密接不可分で、
- 自社が施工する
- 施工と運搬を一貫して行う
- 運送そのものの対価を受け取っていない
という場合は、建設工事に付帯する運搬として許可不要となることがあります。
一方、
- 他社から資材運搬だけを頼まれる
- 他社の重機を有償で運ぶ
- 1台1日○万円などでダンプを出す
- 距離・回数に応じて運搬料金を受け取る
- 工事をせず運搬だけを仕事にする
のであれば、一般貨物自動車運送事業の許可を具体的に検討する段階です。
まず「本当に許可が必要な仕事なのか」を整理し、そのうえで許可要件へ進みます。
建設業許可とは別に一般貨物の許可を取る
建設業許可を持っていても、一般貨物自動車運送事業を自動的に行えるわけではありません。
建設業と運送業は別の制度です。
建設会社が新たに運送業を始める場合は、現在の会社に一般貨物自動車運送事業を追加する形で申請できます。
そのため、運送会社を必ず別法人で作らなければならないわけではありません。
ただし、既存の建設会社の、
- 本店・営業所
- 資材置場
- 駐車場
- 車両
- 人員
が、そのまま一般貨物の許可基準を満たすとは限りません。
営業所を確保する
まず運送業を管理する営業所が必要です。
営業所は、
- 使用権原がある
- 都市計画法・建築基準法など関係法令に抵触しない
- 事業を行うために適切な規模がある
- 必要な備品等を備えられる
ことなどを確認します。
建設会社では現在の事務所をそのまま運送業の営業所にしたい場合が多いでしょう。
その場合は、
「今ここで建設業をやっているから大丈夫」
ではなく、一般貨物の営業所としても問題がないか確認します。
今の資材置場を車庫にできる?
建設会社で特に確認したいのが車庫です。
普段ダンプやトラックを置いている資材置場を、そのまま一般貨物の車庫として使いたいことがあります。
ただし、車庫には、
- 使用権原
- 関係法令
- 営業所との位置関係
- 収容能力
- 前面道路
などの基準があります。
「今まで白ナンバーダンプを置けていた」
というだけでは足りません。
車両を全部収容できる広さがあるか
車庫は、計画する車両を適切に収容できる必要があります。
車両同士や車庫境界との間隔も確認します。
建設会社の資材置場では、
- 建設機械
- 資材
- コンテナ
- ダンプ
- トラック
を同じ敷地へ置いていることがあります。
一般貨物の車庫として申請する部分に、計画車両を実際に収容できるかを図面で確認します。
前面道路を予定車両が通れるか
大型ダンプや大型トラックを使う場合は、車庫前の道路も重要です。
車庫の出入口まで、予定する車両が車両制限令等に照らして通行できるか確認します。
敷地が広くても、
「前の道路が狭くて大型車を出入りさせられない」
となれば問題になります。
車両は原則5両以上を準備する
一般貨物自動車運送事業では、通常、営業所ごとに事業用自動車を5両以上配置する必要があります。
したがって、
「自社のダンプ1台で他社の仕事も始めたい」
という場合、その1台だけでは通常の一般貨物許可には進めません。
建設会社なら、
- ダンプ
- 平ボディ
- ユニック
- トラクタ・トレーラー
など、運送業として使う予定の車両を確認します。
軽自動車は一般貨物の5台には含めず、貨物軽自動車運送事業の扱いになります。
今持っている建設会社名義のダンプは使える?
既に所有しているダンプ・トラックも、使用権原や車両の条件を満たせば計画車両として検討できます。
そのため、
「一般貨物を始めるために5台すべて買い直す」
とは限りません。
既存車両について、
- 所有者・使用者
- 車検証
- 車体の形状
- 最大積載量
- 使用する営業所
- 車庫
- 保険
などを確認します。
許可後、事業用車両として登録し、緑ナンバーで運行を開始する流れになります。
運転者を確保する
車両が5台あっても、運転できる人がいなければ運送業を始められません。
予定する運行に必要な運転者を確保します。
建設会社では、
「今いるダンプ運転手をそのまま使う」
ことも考えられます。
ただし、その人たちが、
- 建設作業員
- ダンプ運転者
- 重機オペレーター
を兼務している場合は、実際の勤務計画まで確認します。
一般貨物の運転者として安全に運行できる勤務体制が必要です。
運行管理者を確保する
一般貨物では、運行管理者の選任が必要になります。
現在の建設会社に運行管理者資格者がいなければ、
- 資格者を採用する
- 社内で資格取得を進める
などを考えます。
申請時点で未確保でも、確保予定があれば審査上認められる場合がありますが、運輸開始までには必要な運行管理者を選任しなければなりません。
建設会社の社長が、
「自分が全部配車しているから運行管理者も自分でよい」
とは限りません。
資格・勤務体制を別に確認します。
整備管理者も必要になる
一般貨物の車両を管理するため、整備管理者も確認します。
整備管理者には一定の資格・実務経験等の要件があります。
建設会社で以前から車両整備を担当している人がいても、その人をそのまま整備管理者として選任できるかは別問題です。
運行管理者と同様に、運輸開始までに選任できる体制を作ります。
休憩・睡眠施設も確認する
営業所には、運転者が有効に利用できる休憩施設が必要です。
睡眠を与える必要がある運行を行う場合は、必要な睡眠施設についても確認します。
建設会社では、今まで現場作業員用に使っていた休憩室を流用できる場合もあります。
ただし、運送業の営業所として必要な施設条件を満たすか確認します。
「今ある人と場所」で先に要件を当てはめる
建設会社が一般貨物を始める場合、最初から物件や車両を新しく探すより、
- 今の事務所
- 今の資材置場
- 今のダンプ
- 今いる従業員
を書き出して、許可基準に当てはめるほうが分かりやすくなります。
たとえば、
| 今あるもの | 確認すること |
|---|---|
| 建設会社の事務所 | 営業所として使えるか |
| 資材置場 | 車庫として使えるか |
| ダンプ3台 | 5台要件まであと何台必要か |
| 大型運転手3人 | 必要人数を確保できるか |
| 車両担当者 | 整備管理者になれるか |
| 社長・役員 | 法令試験を受ける人を確認 |
こうすると、「何が足りないか」が見えてきます。
資金要件は単純に「○○万円必要」ではない
一般貨物の許可では、事業を開始して継続できる資金を持っているか確認されます。
必要資金は会社ごとに違います。
たとえば、
- 人件費
- 燃料費
- 修繕費
- 車両購入費・リース料
- 営業所・車庫の賃料
- 保険料
- 税金
などから所要資金を計算します。
現行の申請様式・手引きでは、人件費等について6か月分、車両の購入・リースや施設使用料などについて所定期間分を計上する仕組みになっています。
そのため、
「運送業許可には一律1,000万円必要」
のようには判断しません。
既存車両を使うのか、新しく5台購入するのかでも必要資金は大きく変わります。
建設会社なら資金計画が大きく変わることがある
たとえば、
既に5台のダンプを所有している会社
既存の営業所・車庫・車両を活用できるなら、新規に設備をそろえる会社より所要資金を抑えられる可能性があります。
2台しかなく3台買い足す会社
車両購入費や保険料などが資金計画へ影響します。
車庫を新しく借りる会社
賃料だけでなく、契約期間や使用権原の確認が必要です。
建設会社だから特別な資金要件になるのではなく、自社の現在の設備をどこまで使えるかで金額が変わります。
任意保険も確認する
事業用車両については、事故時の損害賠償能力も審査対象です。
計画車両について必要な自賠責・任意保険等を確保できるか確認します。
これまで自家用ダンプとして加入していた保険を、そのまま事業用車両で使えるとは限りません。
緑ナンバー化後の保険条件・保険料も資金計画へ入れておきます。
役員等の法令遵守も審査される
一般貨物の許可では、申請者が法令を守って事業を行えるかも審査されます。
法人であれば役員等について、
- 過去の法令違反
- 欠格事由
- 適切な事業遂行能力
などを確認します。
建設会社として長年営業しているから、運送業の法令遵守審査が省略されるわけではありません。
法令試験に合格する必要がある
一般貨物自動車運送事業の新規許可申請では、法令試験があります。
中部運輸局では2026年度も法令試験を実施しており、5月・7月・9月・11月・1月・3月の日程が公表されています。
法人の場合、受験者は原則として、許可後に申請する事業に専従する常勤役員1名です。
つまり、
「行政書士へ申請書を頼めば、会社側は何もしなくてよい」
わけではありません。
会社側で法令試験へ対応する必要があります。
許可申請からすぐ運搬仕事を始められるわけではない
申請書を提出した日に運送業を始めることはできません。
審査・法令試験を経て許可を受け、その後も、
- 登録免許税
- 運行管理者・整備管理者の選任
- 運輸開始前の確認
- 車両の事業用登録
- 運賃料金関係
- 運輸開始届
などを進めます。
国交省の案内では、許可後にこうした準備を行ってから運輸開始となります。
したがって、
「来月から元請の荷物を運びたいから今から許可を取る」
では、間に合わない可能性があります。
仕事の開始予定から逆算します。
建設業と運送業を同じ車両で使える?
建設工事にも使い、他社荷物の運送にも使いたいダンプがある場合は、車両の使用方法を先に整理しておきます。
一般貨物の事業用自動車として登録した車両を、
- 運送業としてどのように使うか
- 自社建設工事の資材運搬にも使用するか
- 配車・点呼・運転日報をどう管理するか
など、実際の運用まで考えます。
「緑ナンバーを取れば、今までの白ナンバー運用へそのまま仕事を追加するだけ」
と考えるより、運行管理を含めて運送事業としての管理体制を作る必要があります。
許可を取る前に確認するチェックリスト
建設会社で一般貨物を始めたいなら、まず現在の状態を確認します。
- □ 他社の荷物を有償で運ぶ仕事を予定している
- □ 運送業の営業所に使う場所を決めた
- □ 営業所の関係法令を確認した
- □ 車庫候補を決めた
- □ 車庫の広さを確認した
- □ 前面道路を予定車両が通れるか確認した
- □ 原則5台以上の車両を準備できる
- □ 現在のダンプ等を何台使えるか確認した
- □ 必要な運転者を確保できる
- □ 運行管理者を確保できる
- □ 整備管理者を確保できる
- □ 休憩・睡眠施設を確認した
- □ 必要資金を試算した
- □ 法令試験を受ける常勤役員を決めた
- □ 許可後の運輸開始までの期間も考えている
チェックが付かないところがあれば、申請書を作る前にそこから確認します。
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まとめ
建設会社が他社の荷物を運搬する仕事も受けたい場合は、一般貨物自動車運送事業の許可を検討します。
許可を取るには、単に緑ナンバーへ変更するだけではなく、
- 営業所
- 車庫
- 原則5台以上の車両
- 運転者
- 運行管理者
- 整備管理者
- 休憩・睡眠施設
- 資金
- 法令遵守
- 法令試験
などを整える必要があります。
建設会社の場合は、まず今持っている、
事務所・資材置場・ダンプ・従業員
を一般貨物の許可基準へ当てはめてみると、足りないものが見えやすくなります。
自社資材を運ぶだけの状態から、他社の荷物を有償で運ぶ事業へ広げるなら、仕事を受ける前に許可取得までの期間を含めて準備します。
建設会社で運送業許可を取りたい方へ
「自社ダンプを使って他社の資材も運びたい」
「今の資材置場を運送業の車庫にできるか確認したい」
「車両はあるが、5台要件・運行管理者・資金が足りるか分からない」
という場合は、申請書を作る前に現在の会社の設備・車両・人員を整理します。
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、一般貨物自動車運送事業の新規許可・許可後手続きに対応しています。
現在の建設会社の事務所、資材置場、車両、従業員を確認し、そのまま使えるものと、新たに準備するものを整理するところから進めます。
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出典
国土交通省 関東運輸局|一般貨物自動車運送事業 許可申請書作成の手引き
国土交通省 関東運輸局|一般貨物自動車運送事業の申請から許可までの流れ
この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
