
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
外国人ドライバーを採用するときは、「在留カードを持っている」「外国でトラックを運転していた」という理由だけで、すぐに乗務を始められるとは限りません。
採用前に確認する項目は、大きく分けて次の3つです。
- 在留資格上、トラック運転業務に就けるか
- 日本で担当車両を運転できる免許があるか
- 初任運転者教育、適性診断、点呼などの準備ができているか
この3つは、それぞれ別の制度です。在留資格に問題がなくても免許区分が合わない場合があり、日本の免許があっても在留資格上は運転業務に就けない場合があります。
採用予定日だけでなく、実際に乗務を始められる日から逆算して確認することが必要です。
採用前に3つの確認を別々に行う
外国人ドライバーの採用では、在留資格、運転免許、運行管理を一つの確認で済ませないことが大切です。
| 確認分野 | 採用前に見るもの | 主な確認内容 |
|---|---|---|
| 在留資格 | 在留カード、パスポート、指定書など | トラック運転業務が認められているか、在留期限、就労制限 |
| 運転免許 | 日本の運転免許証、外国免許、国際運転免許証など | 日本で運転できるか、中型・大型・けん引などの免許区分、有効期限 |
| 雇用条件 | 雇用契約書、労働条件通知書、担当業務 | 在留資格で認められる活動と実際の業務が一致するか |
| 運行管理 | 教育計画、適性診断、健康診断、点呼方法 | 乗務開始前に必要な教育と診断、理解できる言葉での安全指示 |
| 特定技能の受入れ | 試験、支援計画、会社側の要件 | 評価試験、日本語要件、支援体制、協議会加入など |
| 雇入れ後の届出 | 在留カード等の情報 | 外国人雇用状況の届出、特定技能関係の届出 |
例えば、永住者は原則として就労活動の制限を受けませんが、普通免許しか持っていなければ、その免許で運転できないトラックへは乗務できません。
反対に、日本の大型免許を持っていても、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」であれば、通常、トラック運転を主な業務として雇うことはできません。
確認結果は「採用できる・できない」だけでなく、次のように分けると採用計画を立てやすくなります。
- 現在の状態で乗務できる
- 在留資格の変更後に乗務できる
- 日本の運転免許取得後に乗務できる
- 教育や適性診断を終えた後に乗務できる
- 必要な要件を満たせないため、予定している業務では採用できない
外国人ドライバーを採用する前に確認すべきこと
最初に、採用候補者本人と会社が予定する業務を照らし合わせます。
在留カードの写しだけを受け取って判断せず、原本を提示してもらい、表面と裏面を確認してください。
採用前に用意したい資料は次のとおりです。
- 在留カード
- パスポート
- 指定書が交付されている場合は指定書
- 資格外活動許可に関する記載
- 日本の運転免許証
- 外国の運転免許証
- 国際運転免許証を使用する場合は原本
- 雇用契約書または予定する労働条件
- 担当する車両の種類
- 実際に任せる業務の一覧
- 過去の事業用自動車の乗務経歴
- 採用予定日と乗務開始予定日
在留カードでは、在留資格、在留期間の満了日、就労制限の有無、資格外活動許可欄を確認します。
ただし、在留資格の名称だけで判断できない場合があります。「特定活動」のように、指定書により認められる活動が異なる在留資格では、指定書まで確認しなければ業務範囲を判断できません。
運転免許では、免許証が本物か、有効期限内かだけでなく、会社が乗務させる車両を運転できる区分があるかを確認します。
車両総重量、最大積載量、乗車定員のどれを基準に免許区分が決まるかも含め、車検証と運転免許証を照合してください。けん引車両を運転させる場合は、けん引免許の要否も確認します。
外国免許から日本の免許へ切り替える場合、外国免許取得後に、その国などへ通算3か月以上滞在していたことを証明する資料が必要です。申請は本人が行い、知識や技能の確認が実施される場合もあります。
そのため、「外免切替をすればすぐに採用できる」と決めず、予約状況、必要資料、審査や試験にかかる期間を含めて乗務開始日を考える必要があります。
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外国人ドライバー採用前チェックとは?
外国人ドライバー採用前チェックは、採用候補者の書類と会社が予定する業務を照らし合わせ、乗務開始までに必要な確認事項を整理するものです。
いしかわ行政書士事務所では、主に次の項目を整理します。
- 在留カードに記載された在留資格と就労制限
- 指定書や資格外活動許可を追加確認する必要があるか
- 予定するトラック運転業務に就ける在留資格か
- 日本の運転免許証の種類と有効期限
- 担当車両に必要な免許区分
- 外国免許から日本免許への切替えが必要か
- 初任運転者教育や初任診断の対象になるか
- 乗務開始前に用意する教育、健康診断、点呼の体制
- 特定技能で採用する場合に会社側で準備する項目
- 採用後に期限を管理する項目
確認結果は、次の3段階に分けて整理します。
| 段階 | 整理する内容 |
|---|---|
| 採用判断前 | 在留資格、就労制限、免許、担当業務の適合 |
| 雇用契約から乗務開始まで | 在留手続き、免許取得、教育、診断、健康診断 |
| 乗務開始後 | 在留期限、免許期限、点呼、教育記録、労働時間、届出 |
採用候補者が複数いる場合も、国籍だけで一括判断せず、一人ずつ書類と担当業務を確認します。
同じ在留資格でも指定内容が異なる場合があり、同じ外国免許を持っていても、日本で運転できる期間や日本免許への切替状況が異なるためです。
この確認は、入管への申請代理を行うものではありません。申請が必要な場合は、申請を取り扱う申請取次行政書士、弁護士その他の適切な窓口へつなぐ前提で、運送会社側の準備項目を整理します。
特定技能で外国人ドライバーを雇いたい運送会社へ|確認すべき流れ
自動車運送業分野では、在留資格「特定技能1号」による外国人ドライバーの受入れが認められています。
ただし、特定技能評価試験に合格した人を採用すれば、直ちにトラックへ乗務させられるわけではありません。
採用前から乗務開始までの基本的な確認は、次の流れです。
- 採用予定者が特定技能評価試験と日本語要件を満たしているか確認する
- 会社が特定技能外国人を受け入れられる要件を満たすか確認する
- 雇用条件と担当業務を決める
- 1号特定技能外国人支援計画を作成する
- 自社支援か登録支援機関への委託かを決める
- 在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う
- 日本の運転免許取得に必要な手続きを進める
- 初任運転者教育、適性診断、健康診断を行う
- 乗務前に点呼、緊急連絡、事故報告などの理解度を確認する
- 条件がすべて整ってから乗務を開始する
会社側では、道路運送法や貨物自動車運送事業法に基づく事業を適正に行っていることに加え、国土交通省が定める受入れ要件を確認します。
働きやすい職場認証制度または安全性優良事業所(Gマーク)に関する要件、自動車運送業分野特定技能協議会への加入、支援体制なども確認対象です。
国土交通省は、協議会の加入届出について、内容確認に1か月程度を要する見込みと案内しています。不備があればさらに時間がかかる可能性があるため、採用日が決まってから慌てて準備するのではなく、早めに進める必要があります。
特定技能1号へ移行する前に、日本の運転免許取得などの準備期間として「特定活動」を利用する場合もあります。この期間に認められる活動と、実際にトラック運転業務を始められる時期を混同しないでください。
外国人ドライバー採用で不安なときは誰に相談する?行政書士・社労士の役割
外国人ドライバーの採用には、入管、運転免許、運送業、労務管理が関係します。相談内容に応じて窓口を分ける必要があります。
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 在留資格、就労可能な業務、在留手続き | 出入国在留管理庁、申請取取次行政書士、弁護士 |
| 外国免許から日本免許への切替え | 都道府県警察の運転免許センター |
| 中型・大型・けん引免許の取得 | 運転免許センター、指定自動車教習所 |
| 運送業許可、事業計画、運行管理上の準備 | 運輸支局、運送業務を扱う行政書士 |
| 雇用契約、社会保険、労働時間、就業規則 | 社会保険労務士、労働局、労働基準監督署 |
| 特定技能1号の生活・就労支援 | 受入れ会社、登録支援機関 |
| 点呼、教育、乗務可否の判断 | 運送会社の運行管理者 |
| 外国人雇用状況の届出 | ハローワーク |
登録支援機関へ支援を委託しても、運送会社が行う点呼、運転者教育、健康状態の確認、配車、乗務可否の判断まで任せられるわけではありません。
一方、行政書士が採用前の項目を整理しても、賃金、労働時間、社会保険などの労務管理をすべて代行できるわけではありません。必要に応じて社会保険労務士などと連携します。
最初の相談先が分からない場合は、次の資料をまとめておくと、相談内容を振り分けやすくなります。
- 採用候補者の在留カードとパスポート
- 日本と外国の運転免許証
- 予定する雇用条件
- 担当させる業務
- 使用する車両の車検証
- 採用予定日
- 乗務開始予定日
- 特定技能を利用する予定の有無
- 会社のGマーク・働きやすい職場認証の取得状況
よくある質問
- Q採用候補者が日本の大型免許を持っていれば、すぐに雇えますか?
- A
大型免許だけでは判断できません。在留資格上、トラック運転業務に就けるかを別に確認します。採用後に乗務させる前には、初任運転者教育、適性診断、健康診断などの対象も確認してください。
- Q永住者なら在留カードの確認は不要ですか?
- A
不要ではありません。永住者は原則として就労活動の制限を受けませんが、在留カードの有効性と本人確認は必要です。運転免許の種類や有効期限も別に確認します。
- Q外国の大型免許があれば、日本で大型トラックを運転できますか?
- A
外国の免許区分が、そのまま日本の大型免許として扱われるわけではありません。日本で有効な免許か、運転可能期間内か、担当車両を運転できる区分かを確認します。継続的に乗務させる場合は、日本免許の取得計画も必要です。
- Q特定技能評価試験に合格すれば採用できますか?
- A
試験合格だけでは足りません。日本語要件、在留資格、会社側の受入れ要件、支援計画、日本の運転免許、乗務前教育などを確認します。試験合格は在留資格の許可を保証するものでもありません。
- Q採用前チェックを受ければ、入管への申請も依頼できますか?
- A
いしかわ行政書士事務所の外国人ドライバー支援は、雇用前の書類確認と運送会社側の準備項目の整理です。入管への申請代理とは区別しています。申請が必要な場合は、申請を取り扱う専門家や窓口をご案内します。
- Q登録支援機関へ頼めば、運行管理の準備は不要ですか?
- A
必要です。登録支援機関が行う特定技能外国人への支援と、運送会社が行う点呼、教育、健康管理、労働時間管理は別です。乗務の安全に関する管理は、運送会社が行います。
- Q採用前チェックは、いつ依頼すればよいですか?
- A
雇用契約を確定する前が適しています。少なくとも、在留資格、免許、担当業務の確認前に乗務開始日を約束しない方が安全です。特定技能や外免切替が関係する場合は、採用予定日より早い段階で確認してください。
まとめ
外国人ドライバーの採用では、在留資格、運転免許、運行管理の3つを別々に確認します。
採用前に整理したいポイントは次のとおりです。
- 在留カードの原本と必要に応じて指定書を確認する
- 在留資格上、予定する運転業務に就けるか確認する
- 担当車両と日本の免許区分を照合する
- 外免切替や免許取得に必要な期間を見込む
- 初任運転者教育、適性診断、健康診断を乗務前に準備する
- 特定技能では会社側の受入れ要件と支援体制も確認する
- 採用日と実際の乗務開始日を分けて考える
- 入管、免許、運送業、労務の相談先を使い分ける
書類を一つずつ確認するだけでなく、候補者がいつから、どの車両で、どの業務を始められるかを一つの予定表にまとめると、確認漏れを防ぎやすくなります。
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外国人ドライバーの採用前に確認項目を整理します
外国人ドライバーの採用を検討していても、在留資格、運転免許、特定技能、乗務前教育を別々に調べていると、何から進めるべきか分からなくなることがあります。
いしかわ行政書士事務所では、採用候補者の在留カード、運転免許、担当予定業務を確認し、乗務開始までに会社側で整理しておきたい項目をご案内します。
対応範囲は、外国人ドライバーの雇用前確認と、運送会社側の準備項目の整理です。入管への申請代理とは区別し、申請や労務手続きが必要な場合は適切な相談先を整理します。
碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、三河地域・愛知県内の運送会社からのご相談に対応しています。
採用候補者の在留カード、パスポート、運転免許証、予定する雇用条件、担当車両の車検証、採用予定日をご用意のうえお問い合わせください。
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出典
国土交通省「自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて」
出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」
出入国在留管理庁「受入れ機関の方」
警察庁「外国の運転免許をお持ちの方」
厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
この記事は、2026年8月時点の公的情報をもとに作成しています。在留資格、特定技能、自動車運送業分野の受入れ要件、運転免許制度は変更される可能性があるため、採用時点の情報を確認してください。
